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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2020900181 審決 商標
不服20171293 審決 商標
不服202013251 審決 商標
異議2014900320 審決 商標
異議2014900283 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1332401 
異議申立番号 異議2017-900051 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-17 
確定日 2017-09-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5897728号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5897728号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5897728号商標(以下「本件商標」という。)は、「applesnow」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年5月2日に登録出願、第35類「被服(「和服」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計バンドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,端子(電気用のもの)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年11月8日に登録査定、同月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1758671号商標(以下「引用商標1」という。)は、「APPLE」の欧文字を横書きしてなり、昭和53年4月4日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年4月23日に設定登録、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成17年6月22日に、指定商品を第9類「電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第3286569号商標(以下「引用商標2」という。)は、「APPLE」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月24日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成及び保守,電子計算機による情報処理,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与」を指定役務として、同9年4月25日に設定登録され、その後、同29年2月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
米国カリフォルニア州に本社を置く、申立人であるアップル インコーポレイテッド(Apple Inc.)は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型携帯情報端末等の製造販売、コンピュータアプリケーションソフトウェアの販売を行っている他、音楽・映像配信サービスを提供する米国法人である。申立人が、コンピュータ分野における成功によって著名であることは明白な事実であり、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り、当該ランキングにおいては、2011年から6年連続で首位の座を維持している(甲1)。また、申立人の商標「APPLE」は、周知・著名商標として登録されている(甲2)。
(2)混同の判断について
ア 本件商標
本件商標は、その構成中に申立人の著名商標「APPLE」の文字を一部に有しており、本件商標「applesnow」の語は、既成語ではなく、明確に「apple」と「snow」が結合した語と認識することができ、「apple」の語が既成語の一部としてとけ込んでいる状況になっていない。
イ 本件商標の指定役務
本件商標の指定役務のうち、複数の商品(被服、時計バンド、文房具類、端子(電気用のもの))はすでに、「Apple Store」で販売及び「Apple Watch」が関連しており、高い関連性が認められる(甲3、甲4)。
また、以下の出所混同の考慮事項に検討を加えても、本件商標が使用されると、出所の混同が生じるおそれや、申立人から公認を受けているとの誤認あるいは、申立人の周知、著名な商標「APPLE」の希釈化汚染化が生じるおそれがある。
ウ 出願商標とその他人の標章との類似性の程度
本件商標は、商標全体として既成語ではないものの、「apple」及び「snow」の語から構成されていることが容易に理解することができる。そして、「snow」の語は「雪」等を意味する平易な英単語であるのに対し、「apple」は、上記のとおり、申立人を示すものとして広く知られているため、本件商標中「apple」部分の識別力の方が強く、本件商標の要部は「apple」部分といえる。
したがって、本件商標と引用商標は類似の関係にある。
エ その他人の標章の周知度
申立人の商標「APPLE」が、著名であることは、前述のとおりである。
オ その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
本件商標は造語ではなく、標準文字のため、構成上の顕著な特徴は有していない。
カ その他人の標章がハウスマークであるか
申立人の商標「APPLE」が著名なハウスマークであることは社名から当然に導き出せる。
キ 企業における多角経営の可能性
申立人は、コンピュータの分野以外にも様々な事業分野で商品展開している。例えば、コンピュータ関連製品の他、マグカップやTシャツ、文房具等が販売されている(甲3)。したがって、多角経営の可能性は十分に認められる。
ク 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
商品等の関連性があることは、上記イのとおり、十分に認められる。
ケ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情
申立人の商品と本件商標の指定役務は関連性が認められるため、需要者の共通性は当然に認められ、需要者は申立人の関連商品と誤認を生じてしまうおそれがあることが明白である。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型携帯情報端末等の製造、販売などを主な業務とする企業であって、引用商標は、パーソナルコンピュータをはじめ、その関連商品の分野において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
しかしながら、引用商標は、主としてパーソナルコンピュータに関連する商品に使用されていることは、需要者の間に知られているとしても、申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、それ以外の商品又は役務について、広く使用されている事実が確認できないことから、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く認識されていると認めるに足る証拠を見いだすことができない。
そうすると、引用商標は、パーソナルコンピュータ及びその関連商品を取り扱う分野を超えて、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「applesnow」の欧文字を表してなるところ、該文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、その構成文字全体から生じる「アップルスノー」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標中の「apple」の文字部分は、「リンゴ」の意味を有し、「snow」の文字部分は、「雪」の意味を有する語であるとしても、本件商標全体としては、具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「アップルスノー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「APPLE」の文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して「アップル」の称呼を生じ、また、引用商標に接する需要者は、パーソナルコンピュータ関連分野において周知、著名な申立人のブランドとしての「APPLE」の観念を想起するものとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、外観においては、前記ア及びイの構成からなるところ、その全体構成において、「snow」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、両者は、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「APPLE」(申立人のブランド)の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、類似するところがないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれ
引用商標は、前記(1)のとおり、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものであり、また、前記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起、連想することはないといえるから、該役務が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-08-01 
出願番号 商願2016-49336(T2016-49336) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安達 輝幸中山 寛太 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
登録日 2016-11-18 
登録番号 商標登録第5897728号(T5897728) 
権利者 大上 和男
商標の称呼 アップルスノー 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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