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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W44
審判 査定不服 観念類似 登録しない W44
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W44
管理番号 1331459 
審判番号 不服2017-889 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-22 
確定日 2017-08-07 
事件の表示 商願2015- 95134拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年10月1日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、前審における同28年6月30日付け手続補正書及び当審における同29年1月22日付け手続補正書をもって、第44類「医業,医療情報の提供,巡回による医業,健康診断,調剤,栄養の指導,介護,あん摩・マッサージ及び指圧,はり,カイロプラクティック,きゅう」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願商標の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりである。
ア 登録第3150363号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願、第41類「短期大学における教授」を指定役務として、同8年4月30日に特例商標として設定登録され、その後、同17年12月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同28年4月30日に商標権の存続期間が満了し、同29年1月18日に商標権の登録の抹消登録がされているものである。
イ 登録第3264187号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成4年9月29日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,図書の貸与,レコード又は録音済磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、同9年2月24日に設定登録され、その後、同19年2月27日及び同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
ウ 登録5608629号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成25年4月1日に登録出願、第44類「医業」を指定役務として、同年8月16日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標3との類否について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、桃色と若草色からなる四つ葉のクローバーをモチーフにしたとおぼしき輪郭的な図形内に、「TMC」の欧文字をゴシック体で表した構成からなるところ、該「TMC」の文字は、辞書等に記載のない語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものである。
そして、該図形部分は、輪郭的な図形と看取されるものであって、これと文字部分とが、常に一体のものとして捉えられなければならない構成ということはできないものであるから、それぞれの部分が自他役務の識別標識としての機能を有するものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、該「TMC」の文字部分に相応して「ティーエムシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標3について
引用商標3は、別掲4のとおり、上から、青色で半円の弧を描く様に「Tochigi Medical Center」の欧文字を書し、その下に、オレンジ色の太いゴシック体で大きく「TMC」の欧文字を横書きし、さらに、緑色で植物の葉とおぼしき図形を二つ並べて配し、最下部には、黒色で「栃木医療センター」の文字を横書きしてなるものである。
そして、構成中の各文字部分及び図形部分は、それぞれ段を異に配され、その色彩及び文字種も異なって表されており、かつ、引用商標3の構成全体をもって、特定の称呼、観念を生じる等、常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情は見出せないものであるから、それぞれの部分が自他役務の識別標識としての機能を有するものというのが相当である。
そうすると、引用商標3に接する取引者、需要者は、その構成中、上方中央に位置し、他の文字に比して太く大きく表され、その色彩も看者の目を惹くオレンジ色で書された「TMC」の文字部分に着目して取引に当たる場合も少なくないというのが相当である。
そうすれば、該「TMC」の文字部分は、印象的な要部として、独立して自他役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
また、該「TMC」の文字は、辞書等に記載のない語であって、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものである。
してみれば、引用商標3は、該「TMC」の文字部分に相応して「ティーエムシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標3との類否について
本願商標と引用商標3の類否について検討するに、外観においては、両商標は、その構成を異にするものであるが、上記ア及びイに記載したとおり、両者の要部と認められる「TMC」の文字部分は、同じ綴りの欧文字を、共に大文字のゴシック体で表したものであるから、両者は、その要部において、外観上、近似した印象を与えるものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標3は、両者の要部と認められる「TMC」の文字に相応して、「ティーエムシー」の称呼を生じるものであるから、称呼上、その称呼を同一にするものである。
また、観念においては、両者の要部と認められる「TMC」の文字部分よりは、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標3とは、上記のとおり、それぞれの要部と認められる「TMC」の文字部分においては、観念において比較できないとしても、外観上、近似した印象を与えるものであって、かつ、その称呼を同一にするものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願の指定役務と引用商標3の指定役務の類否について
本願の指定役務中の「医業,医療情報の提供,巡回による医業,健康診断,調剤」と、引用商標3の指定役務の「医業」は、同一又は類似するものである。
オ 小括
したがって、本願商標と引用商標3とは、類似の商標であり、その指定役務も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標3の類否判断に当たり、引用商標3の構成中の「TMC」の文字部分は、その上段の「Tochigi」、「Medical」、「Center」の各文字の頭文字を欧文字三文字の略称として表したにすぎないものであって、指定役務との関係においては、自他役務の識別機能が認められないことから、「TMC」の文字部分より称呼及び観念が生じることはないため、「本願商標と引用商標3は、その外観、称呼、観念のいずれにおいても相紛れることのない非類似のものである。」旨を主張している。
しかしながら、引用商標3の構成中「TMC」の文字が、上段の「Toc
higi」、「Medical」、「Center」の各文字の頭文字を欧文字三文字の略称として表したものと理解される場合があるとしても、該「TMC」の文字が、指定役務との関係において、自他役務の識別機能が認められないとする理由はなく、また、その証拠も提出されていない。
そして、上記3(1)イでも述べたように、「Tochigi Medical Center」の文字と、「TMC」の文字とは、常にこれを一体のものとして捉えなければならない特段の事情は見出せず、それぞれが独立して自他役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものであるところ、「TMC」の文字自体は、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものであるから、引用商標3の指定役務との関係において、「TMC」の文字部分は、自他役務の識別機能を有する部分というのが相当である。 よって、請求人の主張は、採用することができない。
イ また、請求人は、称呼を共通にする場合のある商標の類否判断にあたり、観念と外観において区別し得るものとして、商品の出所について混同を生じるおそれのない非類似の商標であるとの判断をしたとする審決例をあげ、本願商標についても、非類似と判断されるべきである旨を主張している。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例に拘束されることなく、個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであって、該事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切ではない。
よって、請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標 (色彩については原本参照)




別掲2 引用商標1(色彩については原本参照)



別掲3 引用商標2


別掲4 引用商標3(色彩については原本参照)


審理終結日 2017-06-06 
結審通知日 2017-06-08 
審決日 2017-06-27 
出願番号 商願2015-95134(T2015-95134) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W44)
T 1 8・ 261- Z (W44)
T 1 8・ 262- Z (W44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 真鍋 恵美

中束 としえ
商標の称呼 テイエムシイ 
代理人 藤掛 宗則 
代理人 押久保 政彦 

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