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審決分類 審判 全部無効 商8条先願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03
管理番号 1331419 
審判番号 無効2015-890065 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-08-06 
確定日 2017-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5581902号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5581902号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5581902号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成24年12月11日に登録出願、第3類「化粧品,香料」を指定商品として、同25年4月9日に登録査定、同年5月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反する商標であることから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

2 具体的な理由
(1)請求人が引用する商標
請求人が引用する国際登録第1159360号商標(以下「引用商標」という。)は、「FINESSENCE」の文字を書してなり、2012年11月16日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2013年(平成25年)3月19日に国際商標登録出願、第3類「cosmetics, aromatherapy oils」をはじめとする第3類、第4類、第5類及び第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年5月16日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第8条第1項について
ア 出願人について
本件商標の出願日は平成24年(2012年)12月11日であり、引用商標はそれより先の平成24年(2012年)11月16日にFranceにおいてした出願を基礎としてパリ条約に基づく優先権主張を行い、我が国を指定した国際登録をし、我が国においては平成26年(2014年)5月16日に登録されている。
よって、本件商標に係る出願人は、商標法第8条第1項に規定する最先の出願人ではない。
イ 商標の類似について
本件商標と引用商標を比較した場合、本件商標は灰色の欧文字で「FINESSENCE」と書し、「N」の文字の下辺りに円の中にあやめの花が描かれた円形図形が配されているのに対し、引用商標は黒いシンプルな書体で「FINESSENCE」と書した構成となっている。
両商標は「FINESSENCE」の綴りが共通するため、称呼が同一である上、外観も円形図形の有無と色の違い以外共通し、両商標とも「FINESSENCE」の文字が目立つ態様で配されていることから、要部が共通していることになる。「FINESSENCE」の文字は辞書に存在しない造語であるため、両商標から特定の観念は発生せず、称呼が同一で外観が類似することから、全体として類似することになる。
ウ 指定商品の類似について
本件商標の指定商品は第3類の「化粧品(04C01)、香料(04D01)」であり、引用商標の指定商品も第3類の「cosmetics(04C01); aromatherapy oils(04D01)」であるため、指定商品が同一又は類似である。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は引用商標と類似し、両商標の指定商品も同一又は類似であるにもかかわらず、最先の出願人でない者が商標登録を受けている。
よって、本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
1 理由
請求人が述べる出願日及び登録日の事実関係に誤認はないが、以下の理由により本件商標は引用商標とは類似しないことから、両出願の間には先後願関係は成立しない。
したがって、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反せず、本件商標登録には無効理由は存在しない。以下、詳細に理由を述べる。

2 具体的な理由
(1)両商標の認定
本件商標は、「FINESSENCE」の文字と、当該文字の「N」の下方に配置された、文字の幅寸法の約2倍の直径を有し、「N」の文字を挟む「I」及び「E」にかかるように配置された大きな円形の輪郭を有する図形からなる。「FINESSENCE」の文字は、指定商品(化粧品,香料)との関係では、普通名称、商品内容一般を指称する名称ではないことから識別力を有し、また、上記図形に関しても同様であることから識別力を有し、文字及び図形の双方が商標の要部を構成しており、文字と図形からなる結合商標である。
「FINESSENCE」の文字からは、フランス語読みでは「フィニサンス」「フィネセンス」、英語読みでは「ファイネッセンス」「フィネッセンス」の称呼が生じる。また、図形は円形の地の中に模様化した植物(アヤメ)の花の図形が白抜きで描かれている。
これらの文字と図形とはいずれも、請求人も認めるように、グレーの色彩により統一的に着色され、文字と図形とは色彩によりまとまりよく一体感を持って描かれている。
一方、「アヤメの図形」は、「FINESSENCE」の文字の先端付近に配置されていることから、図形の配置としては全体としてアンバランスな印象を与えることとなり、本件商標の構成態様中において「アヤメの図形」の存在は、黒字の背景に白抜きの模様であることとあいまって見る者をして大きな注意をひくものである。
その結果、本件商標の構成態様上においては「アヤメの図形」の占める割合は大きく、本件商標を需要者、取引者が視認した場合には、「FINESSENCE」の文字と共に「アヤメの図形」の存在が特徴的に認識される。
一方、引用商標においては、「FINESSENCE」の文字のみが太字で描かれた文字商標である。該文字からは、フランス語読みでは「フィニサンス」「フィネサンス」、英語読みでは「ファイネッセンス」「フィネッセンス」の称呼が一義的に生じるものであることは上記のとおりである。
(2)両商標の類否について
ア 「商標の類否」に関しては、商標審査基準(第六版)によれば、「4条1項11号」の項において、「商標の類否は、商標の有する外観、称呼及び観念の夫々の判断要素を総合的に考察しなければならない」とされている。
「商標の類否」に関する判決例としては、例えば、「氷山事件」(最高裁判決昭和39(行ツ)110。乙1)があり、「商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうちその一点において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない」旨判示している。
また、同旨の審決としては、「WIN審決」等多数が存在する(例えば、乙2?乙7)。「WIN審決」(乙2)においては、「本願商標は、該構成により『ウイン』の称呼及び勝利(する)、成功(する)。第一着(になる)の観念を生ずることがあるとしても、前記したとおり、両商標は外観において著しく相違するものというべきであるから、本願商標と引用商標とは、誤認混同するおそれはなく非類似の商標といわなければならない」旨判示されている。
イ 本事件において、本件商標及び引用商標は、いずれも上記のような称呼が生じ、称呼の点では同一である。
しかしながら、上記のように本件商標には、特徴的で大きな「アヤメの図形」が存在すると共に、「FINESSENCE」文字の字体、大きさが引用商標とは異なることから、外観は非同一である。また、請求人も認めるように「FINESSENCE」の文字は辞書に存在しない造語であることから、該文字そのものからは特定の観念は生じない。しかしながら、本件商標の図形からは「花」もしくは「アヤメ」の観念が生じる。したがって、両商標は観念も非同一である。
したがって、外観、称呼、観念の3つの観点から両商標を観察した場合、両商標は外観及び観念の2点において大きく相違することから、本件商標と引用商標とは誤認混同するおそれはなく非類似である。この点は、上記の「氷山事件」判決及び各種審決例の観点から見た場合も同様であり、明らかに本件商標は引用商標とは非類似と判断されるべきである。
(3)取引の実情について
本件商標が登録された日においては、請求人は、日本市場において、本件商標の指定商品に係る「化粧品,香料」に類似するcosmetics(化粧品)、aromatherapy oils(マッサージ用及び美容用のオイル)を販売しておらず、被請求人のみが販売していたものである。
すなわち、請求人は引用商標の商標権者であるが、本来、「FINESSENCE」という商標はフランスの「イリス研究所」(インターナショナル・ヘルス・リサーチ研究所[I.R.I.S])により使用されていた。この「イリス研究所」はR氏の創設に係るもので(乙8)、引用商標の指定商品に係るaromatherapy oils(マッサージ用及び美容用のオイル)、アロマスプレー、アロマディフュージョン、エッセンシャルオイル、アロママッサージオイル、コールドセゾンスプレーを製造し、「FINESSENCE」の商標を使用して販売していたが(乙9?乙13)、その後、2011年頃イリス研究所は倒産した模様であり、その事業を請求人が引き継いでいる。
この間、被請求人は「イリス研究所」代表のR氏から2009年(平成21年)11月よりライセンスを受けて商品をイリス研究所から輸入し、請求人へ事業が移転した後も同社より商品を輸入し、「FINESSENCE」の商標を使用してアロマディフュージョン、エッセンシャルオイル等の商品の販売を日本で行っていたものである(乙14?乙17)。
「イリス研究所」から事業が請求人に承継された後、被請求人は、ライセンスの一方的な取消を要請されたことから、両者の関係が良好ではなくなり、その結果、両者の間に十分な意思疎通が不可能な状態となり、被請求人は日本における事業保護の観点から本件商標を登録するに至っているものである。
なお、この点に関しては、別件で本件審判請求人から商標法第53条の2の規定による商標登録取消審判が本件審判被請求人に対して請求された経緯があるが、当該取消審判は棄却されている(取消2013-300627、平成27年6月25日審決)。
この間、請求人は2012年12月に株式会社大香(乙18。以下「大香社」という。)にコンタクトし、日本における関連商品の販売を要請している。大香社の日本市場におけるアロマディフュージョン等の商品の販売は2014年4月頃からである(乙19)。大香社のウェブショップ「DaikoSHOP」のブログにおいて、「4月10日」の記事に「100%オーガニックのアロマテラピーブランド・Finessence(フィネッサンス)のアロマディフュージョンは目的に応じた精油が数種類とアルコールがブレンドされているので、あとはディフューザー等を使用して拡散させるだけで心地よい香りを楽しめます。」旨の記載があり(乙19)、2014年4月10日の時点において商品アロマディフュージョンを販売していることを推定させるものである。
また、「SIP渋谷ヒカリエShinQs」という「渋谷ヒカリエ」のウェブショップにおいては、2014年1月7日に「FINESSENCE」ブランドのマッサージオイル、アロマディフュージョン等の商品が販売されていることを推定させる記事が掲載されている(乙20)。
したがって、これらの証拠より、大香社が日本においてFINESSENCEブランドのアロマディフュージョン等の製品の販売を開始したのは2014年4月前後であり、他のウェブショップにおいて先行して販売されているものに関しても2014年1月7日前後である。
したがって、本件商標の登録時点においては、日本において「FINESSENCE」の商標が付されたアロマディフュージョン等の商品は被請求人のみが販売していたものであり、大香社による「FINESSENCE」の商標が付された同一又は類似商品の販売はない。また、その他、ウェブ情報によれば、本件商標の登録時点で「FINESSENCE」ブランドのマッサージオイル、アロマディフュージョン等の商品が日本で販売されていた事実は発見できなかった。
さらに、大香社発行の商品カタログ(乙21)には「FINESSENCE」ブランドの「オーガニックエッセンシャルオイル」、「ベジタブルオイル」、「マッサージオイル」、「アロマディフュージョン」の商品が掲載されているが、このカタログの発行日は2014年9月である。
これらの事実を補強する証拠として、被請求人代表の陳述書を提出する(乙22)。陳述書には「本件商標の登録時点においては、日本において、被請求人のみが『FINESSENCE』という商標が付された化粧品、香料の販売を行っていた」旨陳述されている。
したがって、上記「氷山事件」最高裁判決における、「その他取引の実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない」という観点に基づき、本件商標の登録時点における実際の「取引の実情」を参照した場合、登録時点で、実際の市場取引において本件商標と引用商標とが誤認混同を生じるおそれはなく、この取引の実情の観点からも両商標は非類似と判断される。
(4)まとめ
以上の理由により、本件商標は引用商標とは類似の関係にはなく、本件商標と引用商標とは先後関係は存在しない。
したがって、本件商標には商標法第8条違反の無効理由は存在しないものである。

第4 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第8条第1項に違反して登録されたものである旨主張しているので、以下検討する。
1 商標法第8条第1項に係る商標の類似
(1)商標の類似については、商標法第4条第1項第11号の類似について、次のように判示されている。
「商標法4条1項11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需用者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきであり、しかも、その商品又は役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引の実情に基づいて判断すべきものである。そして、文字や図形等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合、取引の実際においては、必ずしもその構成部分全体によって称呼、観念されず、一部の構成部分のみによって称呼、観念されることも少なくないといえるから、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるというべきである。」(知財高裁 平成26年(行ケ)第10217号)
(2)そして、「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第19版]」(特許庁ホームページ http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/cikujyoukaisetu19/syouhyou_all.pdf)によれば、商標法第8条の[趣旨]に「8条1項違反は無効理由であるが、拒絶理由ではない。その理由は、8条1項違反で拒絶すべき場合は必ず4条1項11号違反になるから8条1項違反を拒絶理由としておく意味がないのに反し、これを無効理由にしておかないと誤って後願が先に登録された場合にその後願に係る登録を無効にできないからである。」と記載されていることから、上記(1)の判示内容は、商標法第8条第1項に係る商標の類似についても適用すべきものといえる。
そこで、かかる観点から、本件商標と引用商標の類否について検討する。

2 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、薄い青緑色で表された「FINESSENCE」の文字とアヤメの花のような図が白抜きされた円形の図形を配してなるものである。
そして、本件商標の構成態様から、本件商標の構成中の上記文字部分と図形部分は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められないものであり、かつ、いずれの部分も取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中「FINESSENCE」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるというべきである。
そして、本件商標の構成中「FINESSENCE」の文字部分は、該文字に相応し、「フィネッセンス」及び「ファイネッセンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

3 引用商標
引用商標は、上記第2、2(1)のとおり「FINESSENCE」の文字からなり、該文字に相応し「フィネッセンス」及び「ファイネッセンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

4 本件商標と引用商標の類否
(1)商標の類否について
本件商標の構成中、要部と認められる「FINESSENCE」の文字部分と引用商標を比較すると、両者は外観において「FINESSENCE」の構成文字を共通にするものであり、また称呼においても「フィネッセンス」及び「ファイネッセンス」の称呼を共通にするものである。そして、観念において両者は、いずれも特定の観念を有しないから比較できないものである。
そうすると、両者は、外観において構成文字を共通にし、観念において比較できず、称呼を共通にするものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似のものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、引用商標と類似する商標といわなければならない。
(2)被請求人の主張について
ア 被請求人は、本件商標の登録時点において、請求人である引用商標の商標権者が日本国内で引用商標を使用していないから、本件商標は引用商標との関係で混同を生じさせるおそれはなく、両商標は非類似の商標である旨主張し、乙第19号証ないし乙第22号証を提出している。
しかしながら、乙第19号証ないし乙第21号証によれば、大香社が2014年1月頃に請求人に係る商品を販売したことがうかがえるとしても、それ以前に販売されていなかったことを肯定することにはならないから、乙第22号証の被請求人代表の陳述書のみによって大香社による商品の販売開始時期を認めることはできない。
もっとも、仮に大香社による商品の販売開始時期が被請求人主張のとおりであるとしても、商標登録出願は現実に使用していなくとも使用の意思があればでき、かつ、商標法第50条第1項は継続して3年以上登録商標の使用をしていないときに不使用の取消審判を請求できると規定していることからすれば、「本件商標の登録時点に引用商標が使用されていないから、本件商標は引用商標との関係で混同を生じさせるおそれはなく引用商標と非類似である」との被請求人の主張は認めることはできない。
イ 被請求人提出の審決(乙2?乙7)は、いずれも構成文字を異にする商標に係るものであって、構成文字を同じくする商標に係る本件とは事案を異にするものである。また、イリス研究所及び被請求人の取引に係る主張及び証拠(乙8?乙17)は、上記判断を左右するものとはいえない。

5 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
本件商標及び引用商標の指定商品は、上記第1及び上記第2、2(1)のとおりであり、前者の指定商品第3類「化粧品,香料」と後者の指定商品中第3類「cosmetics,aromatherapy oils」(仮訳:「化粧品,アロマセラピー用オイル」)等は同一又は類似の商品である。
なお、被請求人は指定商品の類否について争っていない。

6 本件商標及び引用商標に係る出願人について
本件商標は、上記第1のとおり平成24年12月11日に登録出願されたものであり、引用商標は上記第2、2(1)のとおり、2012年(平成24年)11月16日にした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し国際商標登録出願されたものであって、同主張が認められたものであるから、本件商標よりも引用商標が先願と認められる。
そうすると、引用商標に係る商標登録出願人が最先の商標登録出願人といわなければならず、かつ、同人と本件商標に係る商標登録出願人(商標権者)とは同一人ではない。
なお、被請求人は、両商標の出願に係る事実関係について争っていない。

7 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標と引用商標は、商標法第8条にいう「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に2以上の商標登録出願があつたとき」に該当し、最先の商標登録出願人でない者(商標権者)が商標登録を受けたものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)(色彩は原本参照)




審理終結日 2016-02-17 
結審通知日 2016-02-19 
審決日 2016-03-01 
出願番号 商願2012-103938(T2012-103938) 
審決分類 T 1 11・ 4- Z (W03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
原田 信彦
登録日 2013-05-17 
登録番号 商標登録第5581902号(T5581902) 
商標の称呼 フィニサンス、ファイネッセンス、フィネッセンス、フィンエッセンス、フィン、エフアイエヌ 
代理人 木村 高明 
代理人 阿部 達彦 
代理人 行田 朋弘 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 久保 怜子 

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