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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z03
管理番号 1331417 
審判番号 取消2017-300015 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-01-11 
確定日 2017-07-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4322347号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4322347号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4322347号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「ティスランド」の文字と「TISSERAND」の文字とを上下二段に横書きした構成からなり、平成10年11月17日に登録出願、第3類「石けん類,歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同11年10月8日に設定登録され、その後、同21年6月9日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の予告登録は、平成29年1月20日にされたものである。

第2 使用商標
本件商標権者(被請求人)が「エッセンシャルオイル,シャンプー,ヘアートリートメント」等について使用していると主張する商標は、以下のとおりの構成からなるものである。
1 「Maggie Tisserand」の文字と「マギー ティスランド」の文字とを上下二段に横書きしてなるもの(別掲2の商標。以下「使用商標1」という。)。
2 「Maggie Tisserand」の文字を横書きしたもの(別掲3の商標。以下「使用商標2」という。)
3 「マギー ティスランド」の文字を横書きしてなるもの(以下「使用商標3」という。)。
以下、これらをまとめていうときは「使用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁の理由
(1)本件商標と使用商標の対比
本件商標は、「ティスランド」の片仮名と「TISSERAND」の欧文字とを上下二段に横書きした構成よりなるところ、被請求人が提出した商品カタログ(乙1?乙6)に示されている商標は3つの類型(「Maggie Tisserand」、「マギー ティスランド」及び「Maggie Tisserand」と図形との結合商標)に分けられるため、それぞれについて本件商標と同一あるいは社会通念上同一といえるかについて述べる。
ア 本件商標と使用商標「Maggie Tisserand」(使用商標2)との対比
本件商標からはその片仮名より「ティスランド」の称呼が生じる一方、使用商標2からは「マギーティスランド」、「マギーティサーランド」などの称呼が生じる。両称呼は、音数が明らかに異なるものである。
また、外観において、本件商標は欧文字と片仮名とを上下二段で書してなるのに対し、使用商標2は欧文字を横書きにした構成である。よって、本件商標と使用商標2は外観においても明らかに異なる。
観念においては、本件商標の「TISSERAND」、「ティスランド」は人名であるが、日本において一般的ではなく、人名として理解されているとはいい難い。
一方、使用商標2は、「Maggie」というファーストネームが比較的知られているため、「マギーティスランド」という人名を表したものと理解される。よって、本件商標と使用商標「Maggie Tisserand」は観念において同一とはいえない。
イ 本件商標と使用商標「マギー ティスランド」(使用商標3)との対比
本件商標からはその片仮名より「ティスランド」の称呼が生じる一方、使用商標3からは「マギーティスランド」の称呼が生じる。両称呼は、音数が明らかに異なるものである。
また、外観において、本件商標は欧文字と片仮名を上下二段で書してなるのに対し、使用商標3は片仮名を横書きにした構成である。よって、本件商標と使用商標3は外観においても明らかに異なる。
観念においては、本件商標の「ティスランド」は人名であるが、日本において一般的ではなく、人名として理解されているとはいい難い。一方「マギーティスランド」は、「マギー」というファーストネームが比較的知られているため、「マギーティスランド」という人名を表したものと理解される。よって、本件商標と使用商標3は観念において同一とはいえない。
ウ 本件商標と使用商標「Maggie Tisserand」と図形との結合商標(別掲4)との対比
本件商標からはその片仮名より「ティスランド」の称呼が生じる一方、別掲4の商標はその要部より「マギーティスランド」の称呼が生じる。両称呼は、音数が明らかに異なるものである。
また、外観において、本件商標は欧文字と片仮名を上下二段で書してなるのに対し、別掲4の商標は図形と文字が一体となってバランスよく配置された構成であり、本件商標と別掲4の商標は外観においても明らかに異なる。
観念においては、本件商標の「ティスランド」は人名であるが、日本において一般的ではなく、人名として理解されているとはいい難い。一方、別掲4の商標の「Maggie Tisserand」の文字部分は、「マギー」というファーストネームが比較的知られているため、「マギーティスランド」という人名を表したものと理解される。また、別掲4の商標の「Organic Herb Essence」の文字より「有機栽培されたハープのエッセンス」といった観念が生じる。よって、本件商標と別掲4の商標は観念において明らかに異なる。
以上のように、本件商標と使用商標2、使用商標3及び別掲4の商標とは、称呼、外観、観念においていずれも非類似であり、ましてや社会通念上同一ということはできない。
被請求人は、使用商標2及び使用商標3の後半部が本件商標と社会通念上同一である旨主張している。
しかしながら、使用商標2、使用商標3及び別掲4の商標の要部における「Maggie」と「Tisserand」、「マギー」と「ティスランド」はいずれも同大同書体の文字を横書きしているものであり、間に半角程度のスペースがあるとはいうものの、全体として一連一体のものと把握できる。
また、「Maggie」あるいは「マギー」の文字が指定商品との関係において識別力を有しないといった事情はなく、「Maggie」あるいは「マギー」の文字部分を捨象し、「Tisserand」あるいは「ティスランド」の文字部分のみが抽出して把握される合理的理由もない。
よって、使用商標2、使用商標3及び別掲4の商標の要部は、全体が一体として捉えられるものであり、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。
さらに、乙第6号証のカタログ273頁右下や被請求人のウェブサイト(甲1)、被請求人の関連会社のウェブサイト(甲2)においては「マギーティスランド」と「マギー」と「ティスランド」の間にスペースを設けない態様での使用が見受けられ、被請求人は、商標登録第3316044号商標(甲3)、登録第4179371号商標(甲4)の商標登録を有している。
これらの事実からすると、「マギー」あるいは「Maggie」と「ティスランド」あるいは「Tisserand」というそれぞれの商標をたまたま併記して使用していたというよりは、被請求人も使用商標2、使用商標3及び別掲4の商標の要部は一連一体であるとの認識の下、使用していたというのが相当である。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内(平成26年(2014年)1月20日?同29年(2017年)1月19日、以下「要証期間内」という場合がある。)に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を指定商品に使用したことを立証していないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証に示すとおり、本件商標を付した「エッセンシャルオイル,シャンプー,ヘアートリートメント」等の商品(以下「本件商品」という。)を2014年から2016年までの間に販売した事実がある。
商標法第2条第3項第2号により、本件商標は本件商品について使用されたことが明らかである。
2 本件商品
被請求人が2014年4月に発行した商品カタログ(乙1)、被請求人が運営するオンラインショップ「Healing Beauty SHOP」の2014年から2016年版の商品カタログ(乙2?乙4)、原田産業株式会社が発行した2016年版のヘアサロン向け商品カタログ「あっぷる」(乙5)、及び滝川株式会社が発行した2016年版の美容業界向け商品カタログ「Beauty Gallery」(乙6)には、被請求人が販売するエッセンシャルオイル、シャンプー、ヘアートリートメント等の商品が掲載されている。
エッセンシャルオイルは、第3類の香料類(現行分類における「香料」)に分類されるものであり、シャンプーは、第3類の石けん類に分類されるものであり、ヘアートリートメントは、第3類の化粧品に分類されるものであるため、本件商標の指定商品である。
3 使用商標1
乙第1号証の商品カタログの表紙中央部に、使用商標1が表示されている。
使用商標1の後半部「Tisserand」及び「ティスランド」は、本件商標を使用するものである。
本件商標は、上段に「ティスランド」、下段に大文字の「TISSERAND」を書してなるものであるのに対し、使用商標1中の「Tisserand」及び「ティスランド」は、上段に欧文字、下段に片仮名が配されている点及び「Tisserand」の1番目の文字「T」が大文字で、その他の文字「isserand」が小文字である点で本件商標との違いがあるが、本件商標と使用商標1は社会通念上同一と認められるべき商標である。
4 使用商標2
乙第1号証の商品カタログにおいて本件商品に使用商標2が表示されている。
使用商標2の後半部「Tisserand」は、本件商標を使用するものである。使用商標2中の「Tisserand」は、片仮名の「ティスランド」が併記されていない点で本件商標との違いがあるが、本件商標と使用商標2は社会通念上同一と認められるべき商標である。
5 使用商標3
乙第2号証ないし乙第4号証の商品カタログにおいて、使用商標3が使用されている。
使用商標3の後半部「ティスランド」は、本件商標を使用するものである。使用商標3中の「ティスランド」は、欧文字の「TISSERAND」が併記されていない点で本件商標との違いがあるが、本件商標と使用商標3は社会通念上同一と認められるべき商標である。
6 商標使用者
乙第1号証ないし乙第4号証の商品カタログの裏表紙には、本件商品の販売元として、商標権者である被請求人の名称及び住所が記載されている。
したがって、商標の使用者は、商標権者である被請求人である。
7 使用時期
乙第1号証の商品カタログには発行年月日が明記されてはいないが、裏表紙の右下隅に「MT1404」のコードが付されている。これは被請求人がカタログに付している社内コードであり、「MT」は「Maggie Tisserand」を表し、「1404」は「2014年4月」を表すものである。すなわち、当該カタログは2014年4月に発行されたものである。
乙第2号証の商品カタログの表紙及び裏表紙には、「2014.春号」及び「2014年春号」との記載がある。
乙第3号証の商品カタログの表紙及び裏表紙には、「2015秋冬号」及び「2015年秋冬号」との記載がある。
乙第4号証の商品カタログの表紙及び裏表紙には、「2016春号」及び「2016年春号」との記載がある。
乙第5号証の商品カタログの表紙及び裏表紙には、「2016-2017 Autumn/Winter」との記載がある。
乙第6号証の商品カタログの表紙には、「Spring&Summer2016」との記載がある。
以上より、2014年から2016年までの間に被請求人が使用商標を用いて本件商品を販売していたことは明らかである。
すなわち、被請求人は、2014年から2016年までの間に商標を使用していた。当該使用時期は、要証期間内であるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定「継続して3年以上・・・使用していないとき」には該当しない。
8 結論
したがって、本件商標を表示した本件商品は、要証期間内に、商標権者である被請求人によって日本国内で販売されていたから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきではない。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、エッセンシャルオイル、シャンプー及びヘアトリートメント等の商品が掲載された商品カタログの写しであるところ、表紙中央部に使用商標1が表示され、商品の容器に使用商標2が表示されている。
そして、裏表紙の下部に「株式会社パシフィックプロダクツ」及び「東京都中央区日本橋本町1-6-1」の記載がある。
(2)乙第2号証は、「Healing Beauty SHOP」と題するエッセンシャルオイル、シャンプー及びヘアトリートメント等の商品が掲載された通信販売用の商品カタログの写しであるところ、表紙に「2014.春号」の記載があり、商品の写真や商品名等とともに、使用商標3が表示されている。
また、36頁に女性の写真とともに「マギーティスランド」及び「英国のアロマテラピー実践研究家」の記載がある。
そして、裏表紙の下部に「株式会社パシフィックプロダクツ」及び「東京都中央区日本橋本町1-6-1」の記載がある。
(3)乙第3号証は、「Healing Beauty SHOP」と題するエッセンシャルオイル等の商品が掲載された通信販売用の商品カタログの写しであるところ、表紙に「2015 秋冬号」の記載があり、商品の写真や商品名とともに、使用商標3が表示されている。
また、42頁に女性の写真とともに「マギーティスランド」及び「英国のアロマテラピー実践研究家」の記載がある。
そして、裏表紙下部に「株式会社パシフィックプロダクツ」及び「東京都中央区日本橋本町1-6-1」の記載がある。
(4)乙第4号証は、「Healing Beauty SHOP」と題するエッセンシャルオイル等の商品が掲載された通信販売用の商品カタログの写しであるところ、表紙に「2015 春号」の記載があり、商品の写真や商品名とともに、使用商標3が表示されている。
また、42頁に女性の写真とともに「マギーティスランド」及び「英国のアロマテラピー実践研究家」の記載がある。
そして、裏表紙下部に「株式会社パシフィックプロダクツ」及び「東京都中央区日本橋本町1-6-1」の記載がある。
(5)乙第5号証は、「あっぷる」と題する「サロン向け商品カタログ」の写しであるところ、その表紙に「2016-2017 Autumn/Winter」及び「有効期限 2017年3月末まで」の記載がある。
また、192頁にエッセンシャルオイルの商品の写真とともに使用商標3が表示されている。
(6)乙第6号証は、「Beauty Gallery」と題する商品カタログの写しであるところ、表紙に「Spring&Summer2016」及び「?2016.8.31」の記載がある。
また、273頁にアロマオイルの商品の写真とともに使用商標3が表示されている。
2 上記1で認定した事実によれば、本件商標権者は、要証期間内に、日本国内において、使用商標を本件商標の指定商品の範疇に属する商品の商品カタログに付して頒布したと推認できる。
3 本件商標と使用商標の同一性について
使用商標は、上記1(2)ないし(4)によれば、その構成全体をもって、人名を表したものとして認識されるというのが相当であるから、その構成文字全体に相応して「マギーティスランド」のみの称呼を生じ、「マギーティスランドという人名」ほどの観念を生じるのに対し、本件商標は、その構成各文字から「ティスランド」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるから、使用商標は、本件商標と同一の称呼及び観念を生じる商標ということができない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができない。
4 小括
以上によれば、本件商標権者が、要証期間内に日本国内において、使用商標を、その請求に係る指定商品に使用したことは推認されるものの、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることができない。
その他、本件商標が要証期間内に請求に係る指定商品について使用されたことを認めるに足る証拠はない。
5 被請求人の主張について
被請求人は、本件商標を付した本件商品を要証期間内に販売したので、商標法第2条第3項第2号により、本件商標は本件商品について使用されたことが明らかである旨主張している。
しかしながら、被請求人の提出に係る証拠は、いずれも商品カタログの写しであり、請求に係る商品又はその包装に本件商標を付したものを、要証期間内に譲渡又は引き渡し等したことを立証するものではないから、これらの証拠によっては商標法第2条第3項第2号にいう使用行為が実際にあったとはいえない。
6 むすび
以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をした事実を証明したものということができない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用をしていないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(使用商標1)

別掲3(使用商標2)

別掲4(請求人がいう使用商標の類型の一つ。)


審理終結日 2017-06-01 
結審通知日 2017-06-05 
審決日 2017-06-20 
出願番号 商願平10-98260 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z03)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 松浦 裕紀子
小松 里美
登録日 1999-10-08 
登録番号 商標登録第4322347号(T4322347) 
商標の称呼 ティスランド、ティスラン 
代理人 會田 悠介 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 
代理人 高岡 亮一 

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