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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z35
管理番号 1331389 
審判番号 取消2016-300287 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-04-25 
確定日 2017-05-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4654930号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4654930号商標の指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4654930号商標(以下「本件商標」という。)は、「ステップ」の片仮名及び「STEP」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、平成13年9月21日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,職業のあっせん,人材派遣による一般会社事務,人材派遣による経理・会計事務の代行,人材派遣による建築物における来訪者の受付及び案内,人材派遣による電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれに準ずる事務用機器の操作,人材派遣による秘書,人材派遣による電話交換,人材派遣による輸出入に関する事務の代理又は代行,人材派遣による文書・磁気テープ等のファイリング」及び第36類「人材派遣による建物の管理,人材派遣による建物の貸借の代理又は媒介,人材派遣による建物の貸与,人材派遣による建物の売買,人材派遣による建物の売買の代理又は媒介,人材派遣による建物又は土地の鑑定評価,人材派遣による土地の管理,人材派遣による土地の貸借の代理又は媒介,人材派遣による土地の貸与,人材派遣による土地の売買,人材派遣による土地の売買の代理又は媒介,人材派遣による建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、同15年3月20日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年5月16日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証
ア 広告該当性
被請求人は、乙第2号証の18頁及び19頁の記載が他社の広告である旨述べているが、「役務」に該当するとは到底いえない。
乙第2号証のウェブサイトは、不動産売買に関するものである。同サイトでは、不動産の購入者向けの特典として引越業者や買取業者等の業者を「ご紹介」しているにすぎず、当該特典は不動産売買の役務に付随するものである。商標法上の役務は、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」を意味するところ、当該特典は独立して商取引の目的となるものではない。
また、18頁及び19頁は、同ウェブサイトのトップページからどうたどれば閲覧できるかも不明であるが、提出された証拠を見る限り、極めて目につきにくい箇所にある。さらに、当該情報も引越業者等の商標や「詳しくはこちら」といったリンクが貼ってあるのみであり、需要者が当該引越し業者等のサービスを受けるかどうかを検討するのに十分な情報が掲載されていない。したがって、これらの特典情報は、そもそも広告としての体を成していない。
イ 役務についての使用
当該ウェブサイトには、以下の2種類の標章が表示されている。
(a)1頁左上部に小さい文字で「不動産売買情報なら住友不動産売買のステップへ」の表示(1頁?6頁左最上部の同表示は、印刷されて初めてページに表れるものであるため、需要者のウェブサイト閲覧時に目に入る表示でない。以下、他の証拠においても同様。)
(b)2頁及び5頁右上部にフォトコンテストの文字とともにロゴ「Step」の表示
被請求人が広告であると主張する18頁及び19頁の箇所は、同ウェブサイトのトップページからどうたどれば閲覧できるかも不明であるが、少なくとも(a)及び(b)の標章表示から大分離れたところにあるといえる。また、(a)は不動産売買に関して使用されており、(b)はフォトコンテストに関して使用されている。したがって、仮に、18頁及び19頁における被請求人の行為が役務「広告」であったとしても、(a)及び(b)は、当該指定役務について使用されているということができない。
ウ 本件商標の使用
(a)は、説明文又はキャッチフレーズのような表現であって、かつ、あまりにも小さいだけでなく、その直下に著名な井桁マーク及び著名な「住友」の文字を含む商標「住友不動産売買」が表示されている。したがって、需要者が(a)に着目するとは考え難く、(a)が商標として使用されているとはいえない。
また、(a)は、本件商標と社会通念上同一の商標にも該当しない。
商標法第50条第1項では、社会通念上同一の商標の例示として以下の商標が挙げられている。
1)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標
2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標
3)外観において同視される図形からなる商標
そうすると、同項における「登録商標と社会通念上同一の商標」とは、上記1)?3)いずれか又はこれらと同程度の商標をいうものと解される。本件において、(a)は、上記1)?3)のいずれにも該当せず、同程度の標章とも評価できないため、本件商標と社会通念上同一ということはできない。また、当該標章は全体の称呼が冗長であるため、文脈上「住友不動産売買のステップ」と省略されることはあっても、そこからさらに「ステップ」の部分のみが分離して認識されることはない。その理由として、まず、「住友不動産売買のステップ」は書体及び文字の大きさが統一されており、一連に称呼し得ること及び「の」が前後をつなげる役割を果たすことが挙げられる。また、「ステップ」の部分は、周知商標ではないため、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。さらに、「住友」の部分は本指定役務の分野においては特に著名であることに鑑みると、「住友不動産売買の」の部分が捨象されることはない。
したがって、(a)は、本件商標と社会通念上同一の商標にも該当しない。
以上のような考え方は、近年の知的財産高等裁判所における裁判例でも示されている(平成24年(行ケ)第10382号、平成25年3月21日)。
エ 小括
ア及びイで述べたとおり、乙第2号証による被請求人の行為は、「広告」に該当しない上に、表示されている標章も、「広告」に関連して使用されておらず、かつ、本件商標と社会通念上同一でないか又は商標として使用されていない。したがって、当該行為は、商標法第2条第3項各号に該当しない。
(2)乙第3号証ないし乙第6号証
ア 広告該当性
被請求人は、乙第3号証?乙第6号証の役務が他社の広告である旨述べているが、「広告」に該当するとはいえない。
これらのウェブサイトには、他人のための広告といえるような情報は掲載されておらず、「新着のお仕事情報」、「お仕事一覧」、「この仕事にエントリーする」等の記載、その他の人材を募集するために必要な情報が掲載されているのみである。したがって、当該ウェブサイトにより提供されている役務は、「求人情報の提供」であって、「広告」ではない。
イ 本件商標の使用
当該ウェブサイトには、以下の標章が表示されている。
(a)「STEP ASSOCIATES」の表示
(b)小さい文字で「派遣のお仕事探しならSTEPJOBサーチ」の表示
(c)小さい文字で「派遣の仕事・人材派遣サービスはステップアソシエイツ」の表示
(d)「次のステップに、踏み出すあなたへ。」の表示
(a)?(d)は、商標法第50条第1項における社会通念上同一の商標の例示のいずれにも該当せず、同程度の標章とも評価できないため、本件商標と社会通念上同一ということはできない。(a)は、同書同大で記され、全体の称呼が冗長ではなく、かつ、「ステップ」の部分は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。したがって、(a)は一体不可分である。(b)及び(c)は、全体の称呼が冗長であるため、文脈上「STEPJOBサーチ」及び「ステップアソシエイツ」と省略されることはあっても、(a)の理由と同様にそこからさらに「STEP」又は「ステップ」の部分のみが分離して認識されることはない。さらに、(d)は、同書同大で記されていることに加え、全体で一つの意味が生じるキャッチフレーズであるため、外観及び観念上一体である。
したがって、(a)?(d)は、本件商標と社会通念上同一の商標に該当しない。また、(b)及び(c)は、説明文のような表現で、かつ、あまりに小さいため需要者が着目するとはいい難く、商標として使用されているとはいえない。さらに、(d)も、単に役務の提供促進を促すためのキャッチフレーズであるため、商標として使用されているとはいえない。
ウ 小括
ア及びイで述べたとおり、乙第3号証?乙第6号証による被請求人の行為は、「広告」に該当しない上に、表示されている標章は、本件商標と社会通念上同一でない又は商標として使用されていない。したがって、当該行為は、商標法第2条第3項各号にも該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した乙第1号証?乙第6号証には、本件商標と社会通念上同一の商標が本請求に係る指定役務について使用されている事実が示されていない。
したがって、被請求人の答弁の理由は成り立たず、本件登録の取消がなされるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
本件商標は、本件商標権者及び本件商標権者の100%子会社であり、かつ、通常使用権者である東京都新宿区西新宿四丁目32番12号 西新宿フォレスト5階に住所を有するステップ・アソシエイツ株式会社(乙1)により本件審判の請求の登録日前3年以内に日本において指定役務「広告」について使用されていたものである。
上記事実を示す証拠として、インターネットアーカイブから入手した本件商標権利者の2015年12月31日及び2016年4月4日のWEBページ写しを提出する(乙2)。こちらのWEBページには、商標「STEP」及び「ステップ」と他社の広告(引っ越しのサカイ、アート引越しセンター、日本通運、クロネコヤマト、ブックオフ、住友倉庫等)が掲載されている。
また、ステップ・アソシエイツ株式会社の2016年3月6日(乙3)、2015年11月1日(乙4)、2015年11月9日(乙5)、2015年10月31日(乙6)のWEBページ写しを提出する。こちらのWEBページには、商標「STEP」と他社の広告が掲載されている。
当該WEBには、本件商標である「ステップ/STEP」が記載されており、役務内容「広告」が記載されている。
上記証拠より、本件審判の請求日前3年以内である2016年3月1日以前に、本件商標が広告について使用されていたことは明らかである。
以上より、本件審判請求に理由がないことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、2016年8月9日に出力された「ステップ・アソシエイツ株式会社」のホームページの企業概要であって、「資本金」の項目に「3,000万円(住友不動産販売株式会社100%出資)」の記載がある。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人がインターネットアーカイブから入手した2015年12月31日の被請求人(商標権者)のウェブページである。
1葉目及び4葉目には、左上に小さく「不動産売買情報なら住友不動産販売のステップへ」の記載がある。
2葉目及び5葉目には、ページ右側の「第3回 住友不動産販売/フォト/コンテスト」の表示中に「Step」のロゴ(「e」の欧文字の末端を上向きの矢印としている)の表示がある。また、その下部には「サービス・特典のご案内」として「ステップ瑕疵保証」、「ステップ相続税/立て替えサービス」、「ステップ/相続診断サービス」、「ステップ/提携アパートローン」、「ステップ買替購入/立て替えサービス」、「ステップ測量/サービス」、「ステップマンション/おそうじサービス」、「ステップ空家/クリーンサービス」、「ステップ/空家巡回サービス」、「ステップ空地草刈り/サービス」の記載がある。
3葉目及び6葉目には、「不動産の売買(購入・売却)のことなら住友不動産販売にお任せください。・・・お住み替えをご検討の際は、住友の仲介<ステップ>が完全バックアップ致します。」の記載がある。
17葉目には、「ご契約者様/サポートサービス・特典」のタイトルの下、「住友不動産販売は、ご契約者様がより快適にお過ごしいただけるよう、暮らしに関するさまざまなサポートサービスをご用意いたしました。お客様のご要望に応じて、各種サポートに特化した専門会社をご紹介いたします。」の記載がある。
18葉目には、「ご契約者様のスムーズなお引越しをサポートするため、引越し業者をご紹介しています。・・・詳細は、下記の各社ページをご確認下さい。」の記載に続いて、「引っ越し大手6社/一括見積もりサービス」の項の下、「サカイ引越センター」、「アート引越センター」、「アリさんマークの引越社」、「日本通運」、「クロネコヤマト引越センター」の記載がある。
また、18葉目から19葉目にかけて「インターネット接続案内」として「ぴったりネットパーク」、「パソコン設置・トラブルサポート」として「ジャパンベストレスキューシステム」、「不用品買取」として「トレジャーファクトリー」及び「ブックオフ」、「エアコン取り外し・取り付け」として「ジャパンベストレスキューシステム」、「トランクルーム」として「住友倉庫」及び「キュラーズ」の記載がある。
(3)乙第3号証ないし乙第6号証について
乙第3号証ないし乙第6号証は、被請求人がインターネットアーカイブから入手した2016年3月6日及び3月23日、2015年11月1日及び11月9日、2015年10月31日のステップ・アソシエイツ株式会社のウェブページであり、いずれも、その1葉目には最上段に「STEP ASSOCIATES」、「派遣のお仕事探しならSTEPJOBサーチ/派遣の仕事・人材派遣サービスはステップ・アソシエイツ」の記載があり、乙第3号証の1葉目には、該記載の下に「次のステップに、踏み出すあなたへ。/派遣で働くあなたの、キャリアプランを応援します。/私たちは住友不動産販売グループの人材派遣会社、/ステップ・アソシエイツです。」の記載がある。
そして、乙第3号証の3葉目以降及び乙第4号証ないし乙第6号証には、「お仕事一覧」として、各種求人情報が掲載されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)乙第2号証の被請求人のウェブページによれば、被請求人(商標権者)は不動産販売に係る各種情報やサポートサービスの提供、仲介を業務とする法人であることが認められ、引越し業者等の紹介もしている。
なお、被請求人は、同号証に他社の広告が掲載されていると主張するが、上記のとおり、「サカイ引越センター」、「アート引越センター」等の他社の名称は、引越関連の業者を紹介する内容として掲載されているものであり、これを他社の広告とみることはできない。
そして、同号証中に記載された「不動産売買情報なら住友不動産販売のステップへ」、「お住み替えをご検討の際は、住友の仲介<ステップ>が完全バックアップ致します。」の文字は、一連のキャッチフレーズや文章中に「ステップ」の文字があるにすぎず、本件商標が、取消請求役務について、自他役務の識別標識として使用されているものということはできない。
その他、同ウェブページ中に本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を確認することができない。
(2)乙第3号証ないし乙第6号証は、ステップ・アソシエイツ株式会社のウェブページであるところ、同社は、被請求人(商標権者)が100%出資する子会社であることから(乙1)、本件商標の通常使用権者であると推認できるとしても、そのウェブページの記載内容は、いずれも求人情報であり、広告の役務を提供しているものとみることはできない。
そして、ウェブページ中に記載された「STEP ASSOCIATES」及び「ステップ・アソシエイツ」の文字は、上記子会社の略称とみるべきものであり、「派遣のお仕事探しならSTEPJOBサーチ」、「次のステップに、踏み出すあなたへ。」の文字は、一連のキャッチフレーズや文章中に「STEP」又は「ステップ」の文字があるにすぎず、本件商標が、取消請求役務について、自他役務の識別標識として使用されているものということはできない。
その他、該ウェブページ中に本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を確認することができない。
(3)小括
以上のとおり、被請求人(商標権者)及び本件商標に係る通常使用権者であると推認できる商標権者の子会社は、いずれも、取消請求役務(広告,トレーディングスタンプの発行)を提供している事実がない上、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用している事実もない。
3 むすび
以上からすれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定役務中「広告,トレーディングスタンプの発行」について、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「広告,トレーディングスタンプの発行」について、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-04-04 
結審通知日 2017-04-06 
審決日 2017-04-19 
出願番号 商願2001-85912(T2001-85912) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z35)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2003-03-20 
登録番号 商標登録第4654930号(T4654930) 
商標の称呼 ステップ 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 岡村 太一 
代理人 行田 朋弘 
代理人 久保 怜子 
代理人 柳生 征男 
代理人 小暮 理恵子 

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