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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y12
管理番号 1331387 
審判番号 取消2016-300657 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-09-21 
確定日 2017-07-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第1906548号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第1906548号商標の指定商品中,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1906548号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,昭和59年2月7日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同61年10月28日に設定登録され,その後,平成9年6月20日及び同18年10月10日に商標権の存続期間の更新登録がされ,また,同19年1月24日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を含む,第6類,第9類,第12類,第13類,第19類及び第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,さらに,同28年6月7日に第12類について商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,同年10月3日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中の第12類「自動車並びにその部品及び附属品」について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者,通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人(商標権者)は,「本件商標は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により指定商品中『自動車並びにその部品及び附属品』を構成する特殊自動車である油圧ショベルカーの遠隔操作装置として使用されていることが明らかであるから,本件審判の請求は成り立たない,との審決を求める。」と主張し,本件商標の使用状態を示す写真を乙第4号証として提出しているが,乙第4号証の写真に写っているのは油圧ショベルそのものであって,これは第7類の土木機械器具に分類されるべき商品である(甲2)。
したがって,本件商標がその指定商品中の第12類「自動車並びにその部品及び附属品」について使用されていることは未だ立証されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし甲乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
本件商標は,商標権者である「株式会社ココロ」により,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に我が国においてその請求に係る指定商品中「自動車の部品」又は「自動車の附属品」について,本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)商標の使用者
乙第1号証の「ロボQ試作機 取扱説明書」の最終頁(第119頁)の奥付には,「株式会社ココロ」,「住所:〒205-8556 東京都羽村市明神台4-9-1」が表示されている。
また,乙第2号証の1及び乙第3号証の1の注文書の宛名の欄には,それぞれ「住所 東京都羽村市明神台4-9-1 会社名 株式会社ココロ」と記載され,これら注文書に対応する乙第2号証の2及び乙第3号証の2の請求書の請求人の欄には,それぞれ「東京都羽村市明神台4丁目9番1号 株式会社ココロ」と記載されている。
(2)使用に係る商品
乙第1号証には,請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」を構成する特殊自動車である油圧ショベルカーの遠隔操作装置として用いられる「ロボQ(2)試作機」(「(2)」はローマ数字による「2」の表記を示す。以下同じ。)が記載されている。
乙第2号証の2及び乙第3号証の2の請求書には,その摘要の欄に「ロボQ試作」と記載されている。
また,乙第4号証の本件商標の本件商品への使用状態を示す写真のとおり,本件商品(以下「使用商品」という場合がある。)は,特殊自動車である油圧ショベルカー等の運転席に取り付けられる当該自動車等の遠隔操作装置であって,特殊自動車の部品又は附属品を構成するものである。
そして,その4枚目の写真に示すように,使用商品である特殊自動車(油圧ショベルカー)の遠隔操作装置の制御盤内部に「ロボQ(2)試作」の文字とともに,「製品番号:100837」の記載があるシールが貼られている。
(3)使用に係る商標
乙第1号証の取扱説明書には,各頁の右肩に本件商標と社会通念上同一の商標とみなされる本件商標の英文字部分である「KOKORO」が表示されている。
乙第4号証に示される上記シールには,同じく本件商標の英文字部分である「KOKORO」が表示されている。
(4)使用時期
乙第1号証の取扱説明書の発行日は「2015年9月25日」である。
乙第2号証の1の注文書(契約No.005-00)の発行日は「2014年7月2日」であり,対応する乙第2号証の2の請求書は3回に分けて発行されており,それぞれ「2014年9月30日」,「2014年10月31日」及び「2014年11月27日」である。
また,乙第3号証の1の注文書(契約No.011-00)の発行日は「2014年11月4日」であり,対応する乙第3号証の2の請求書は2回に分けて発行されており,それぞれ「2015年7月31日」及び「2015年9月14日」である。
乙第4号証に示される上記シールには,「製造年月日:2015/9」の記載がある。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,要証期間内に日本国内において商標権者により指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」を構成する特殊自動車である油圧ショベルカーの遠隔操作装置として使用されていることが明らかである。

第4 当審の判断
1 本件審判の請求について
商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消しの審判にあっては,その第2項において,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り,その使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて,商標権者は,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
本件審判は,本件商標の指定商品中,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録の取消しを請求されたものであり,これに対し,被請求人は,要証期間内に日本国内において商標権者により指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」を構成する特殊自動車である油圧ショベルカーの遠隔操作装置について使用している旨主張するので,以下検討する。
2 被請求人の提出した証拠について
(1)乙第1号証
乙第1号証は,「ロボQ(2)試作機取扱説明書」とするものであり,これには,119頁の右下部に,「発行日2015年9月25日」の記載があり,その左下部には,「株式会社ココロ」及び「住所:〒205-8556 東京都羽村市神明台4-9-1」の記載がある。
同じく,117頁の「概観仕様」には,「取付対象機種」の項に,「標準油圧ショベル/(特殊な車両およびミニバックホウは除く)」の記載がある。
そして,「ロボQ(2)試作機取扱説明書」の各頁の右上には,別掲2(以下「使用商標」という。)が表示されている。
(2)乙第2号証
ア 乙第2号証の1は,2014年7月2日に発行された「注文書」である。
これには,左側の面に「住所 東京都羽村市神明台4-9-1/会社名 株式会社ココロ/代表者名 代表者取締役社長 山田敦也殿」,「取引コード9193979」の記載,その下部に,「下記のとおり注文いたしますのでお引受のときは、『工事下請契約約款』(添付)を承認のうえ、直ちに注文請書を提出して下さい。」,その下に「建築機械」の記載があり,右側の面に「住所 埼玉県飯能市南町11-30/会社名 株式会社テクノマテリアル/リース事業部 代表者名 取締役社長 木岡 隆」の記載及び押印がある。
そして,その下に,「契約NO005-00」の記載がある。
イ 乙第2号証の2の1葉目,2葉目及び3葉目は,それぞれ,「2014年9月30日」,「2014年10月31日」及び「2014年11月27日」に発行された「請求書(兼支払票)」である。
これらには,左上部に「借方 株式会社テクノマテリアル 御中」の記載,その下の摘要欄には,それぞれ「ロボQ(2)設計」,「ロボQ(2)構造部」及び「ロボQ試作 制御部」の記載,その右側には「契約No./005-00」の記載があり,下部には,「取引コード/9193979」,「正式会社名 住所/東京都羽村市神明台4丁目9番1号/株式会社ココロ」の記載及び社印が押印されている。
ウ 上記ア及びイによれば,要証期間内である2014年(平成26年)7月2日に,株式会社テクノマテリアルから株式会社ココロに建築機械を注文し,その請求書が発行されたものである。
(3)乙第3号証
ア 乙第3号証の1は,2014年11月4日に発行された「注文書」である。
これには,左側の面に「住所 東京都羽村市神明台4-9-1/会社名 株式会社ココロ/代表者名 代表者取締役社長 山田敦也殿」,「取引コード9193979」の記載,その下部に,「下記のとおり注文いたしますのでお引受のときは、『工事下請契約約款』(添付)を承認のうえ、直ちに注文請書を提出して下さい。」,その下に「建築機械」の記載があり,右側の面に「住所 埼玉県飯能市南町11-30/会社名 株式会社テクノマテリアル/リース事業部 代表者名 取締役社長 木岡 隆」の記載及び押印がある。
そして,その下に,「契約NO011-00」の記載がある。
イ 乙第3号証の2の1葉目及び2葉目は,「2015年7月31日」及び「2015年9月14日」に発行された「請求書(兼支払票)」である。
これらには,左上部に「借方 株式会社テクノマテリアル 御中」の記載,その下の摘要欄には,それぞれ「ロボQ試作 制御部」の記載,その右側には「契約No./011-00」の記載があり,下部には,「取引コード/9193979」,「正式会社名 住所/東京都羽村市神明台4丁目9番1号/株式会社ココロ」の記載及び社印が押印されている。
ウ 上記ア及びイによれば,要証期間内である2014年(平成26年)11月4日に,株式会社テクノマテリアルから株式会社ココロに建築機械を注文し,その請求書が発行されたものである。
(4)乙第4号証
乙第4号証は,本件商標の使用商品への使用状態を示す写真とするものであり,1葉目は,使用に係る商品の写真であり,上段の写真は,油圧ショベルカーとおぼしき運転台に使用商品が組み込まれている状況を撮影したものであり,下段の写真は,使用商品を正面から撮影したものである。
同じく,2葉目は,使用商品の上部の装置の蓋を開けたところの写真であり,上段の写真は,上部の装置の全体を撮影したものであり,下段の写真は,上段の装置の一部を拡大して撮影したものであって,これには,「ロボQ(2)」,「試作」,「製造年月日:2015/9」及び使用商標(別掲2)が表示されている。
3 本件商標の使用について
上記2において認定した事実によれば,以下のとおりである。
(1)使用商標の使用時期について
乙第1号証の「ロボQ(2)試作機取扱説明書」は,要証期間内である2015年9月25日付けで,商標権者により作成されたものということができる。
また,商標権者は,株式会社テクノマテリアルからの「使用商品」の製造の注文を受け,2015年9月には,該商品が製造されたということができる。
そうすると,上記使用商品の納品に当たっては上記取扱説明書が頒布されていたことが推認され,使用商品及び取扱説明書には使用商標が付されていたことが認められる。
(2)使用商標について
本件商標は,上段に「ココロ」の片仮名,下段に「KOKORO」の欧文字を二段に横書きした構成からなるのに対し,被請求人の使用商標(別掲2)は,「kokoro」の欧文字を一部図案化してなるものであるが,語頭の「k」の文字から4番目及び6番目の「o」の文字は,上部にくぼみがあり,一見してハートの図形と看取されるものであるから,単なる小文字の「o」の欧文字とは看取されない程に図案化してなるものであり,極めて特異な態様といえるものである。
してみると,被請求人の使用商標は,本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標ということはできず,本件商標とは,その外観を著しく異にするものであるから,社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(3)使用商品について
被請求人(商標権者)は,使用商品が本件商標の指定商品中,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を構成する特殊自動車である油圧ショベルカーの遠隔操作装置である旨主張している。
しかしながら,「油圧ショベルカー」は,特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」及び商標法施行規則第6条別表によれば,第7類の土木機械器具に属する掘削機械として例示されている「パワーショベル」に類する商品であって,使用商品は,その部品又は附属品の範ちゅうに属する商品であると判断するのが相当であるから,第12類「自動車並びにその部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品とは認められない。
したがって,本件請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしたということはできない。
(4)審判長の審尋に対する被請求人の対応
審判長は,被請求人に対して,上記(2)及び(3)に係る暫定的見解を示すとともに,既に提出の乙各号証以外の証拠方法の提出を求める旨の審尋を行った。
これに対し,被請求人は,何ら主張・立証していない。
4 むすび
以上のとおり,被請求人の提出に係る証拠によっては,本件商標が請求に係る指定商品について使用されているものとは認められないものである。
してみれば,本件商標は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,本件請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」について使用されていなかったものといわざるを得ないものであり,また,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標



別掲2 使用商標(原本は、乙第1号証を参照。)



審理終結日 2017-06-02 
結審通知日 2017-06-07 
審決日 2017-06-21 
出願番号 商願昭59-9943 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y12)
最終処分 成立  
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 平澤 芳行
榎本 政実
登録日 1986-10-28 
登録番号 商標登録第1906548号(T1906548) 
商標の称呼 ココロ 
代理人 小池 晃 
代理人 伊賀 誠司 

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