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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y14 |
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管理番号 | 1330295 |
審判番号 | 取消2016-670014 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-05-30 |
確定日 | 2017-05-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第682561号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件国際登録第682561号商標(以下「本件商標」という。)は,「PILGRIM」の欧文字を横書きしてなり,2003年(平成15年)10月3日に国際商標登録出願(事後指定),第14類「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith,not included in other classes」を含む,第6類,第14類,第20類及び第25類に属する商品を指定商品として,平成17年10月7日に設定登録されたものであり,その後,その指定商品中,第25類「全指定商品」については,商標登録の一部取消し審判により取り消すべき旨の審決がされ,平成28年3月29日にその確定審決の登録がされたものである。 なお,本件審判の請求の登録は,平成28年6月6日である。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標は,その指定商品中の第14類「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith,not included in other classes」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存在しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨を主張し,その証拠方法として,甲第1号証を提出した。 なお,請求人は,被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)被請求人について 被請求人は,1983年にAnnemette Markvad及びThomas Adamsenによって設立された,ジュエリーのデザイン,製造,販売等に従事するデンマーク法人であり,ハンドメイドのジュエリー,時計,サングラスは世界50か国以上で愛用されていて,「PILGRIM」は,被請求人の略称であり,かつ,国際的なブランドとして認識されている。 (2)被請求人の業務に係る商品について 被請求人のオンラインストア(http://www.pilgrim.dk/)(乙1)を通じて,世界各国の需要者が,被請求人の商品(ジュエリー,時計,サングラス等)を購入することができる。取扱商品の中には,金メッキ(gold plated)や銀メッキ(silver plated)製の指輪等が含まれる(乙2)。 被請求人の取扱商品の一つである金メッキ製及び銀メッキ製の指輪は,要するに,「金又は銀といった貴金属によって被覆・メッキされた指輪」であって,「指輪」は第14類に属する商品であるから,被請求人が運営する上記オンラインストアで取り扱われている金メッキ製又は銀メッキ製の指輪は,「goods in precious metals or coated therewith,not included in other classes(貴金属製又は貴金属で被覆・メッキされた商品であって,他の類に属さないもの)」に該当する。 なお,乙第2号証は,2016年8月18日にプリントアウトされたものであるが,その内容はプリントアウト時のものではなく,過去のウェブサイトを閲覧できるインターネットサービス「Wayback Machine」(http://archive.org/web/)を用いて,2015年12月12日当時の内容を表示している。 以上より,被請求人が,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に,本件指定商品を,自らのオンラインストアにおいて取り扱って(販売して)いた。 (3)本件商標が使用された商品の輸入について 被請求人が上記オンラインストアで取り扱っている商品は,茨城県水戸市に所在し,被請求人商品を含むアクセサリーを販売するオンラインストア「MODE A DEPT」(http://mode-a-dept.net/,販売業者名:モードアデプト)によって購入された上,日本に輸入され,同人によって販売されている(乙4及び乙5)。 乙第4号証によると,2016年2月18日に,モードアデプトのウスイ・ユリコ氏よりEメールで商品の発注が被請求人(distributor@pilgrim.dk)に対して行われ,同日に被請求人によって当該取引に係るインボイスが発行されている(乙5)。 オーダーフォームやインボイスの「Description」の欄の記載から明らかなとおり,該取引は,「necklace;ring;earrings;bracelet(ネックレス;指輪;イヤリング;ブレスレット)」に関するものであり,これらの商品には,金メッキ(gold plated),銀メッキ(silver plated)等の貴金属による被覆・メッキが施されている。よって,これらの商品が本件指定商品に含まれることは明らかである。 (4)本件商標と使用商標の同一性について 上記取引に係るインボイス(乙5)には,その右上に「PILGRIM」(以下「使用商標1」という。)の語が表示されている。 また,上記取引に係る商品のうち,例えば,商品番号101612004の指輪(「COSMOS」)は,被請求人商品を輸入しているモードアデプト運営のオンラインストアにおいて,「ダブルバー・リング」という名称で販売されている(乙7)。当該指輪「ダブルバー・リング」の内側には,「PILGRIM」(以下「使用商標2」という。)の語が印字されている。 本件商標と使用商標1及び2は,書体こそ僅かに異なるものの,いずれもアルファベット「PILGRIM」を横書きに表してなるものであるから,使用商標1及び2は,本件商標とは,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる」「社会通念上同一」の商標に該当する。 モードアデプトによる輸入行為は,被請求人による商標法第2条第3項第2号に規定する商標の使用に該当すると考えるのが相当であり,また,インボイス(乙5)において,その右上に「PILGRIM」の語を表示する行為は,同項第8号に規定する「商品の取引書類の標章を付して頒布」する行為に該当するというのが相当である。 そして,使用商標1が用いられたインボイスの日付は2016年2月18日であり,モードアデプトは,同年3月9日の時点で,使用商標2を用いた商品を自己のオンラインストアで掲載していることから,それ以前に当該商品の輸入行為があったといえるから,各使用は要証期間内の使用であることは明らかである。 さらに,被請求人から商品を購入,輸入しているモードアデプトが,使用商標2が用いられた「ダブルバー・リング」を自己のオンラインストアにおいて展示する行為(乙7)は,被請求人による「譲渡若しくは引渡しのための展示」(商標法第2条第3項第2号)に係る商標の使用行為に該当するということができる。 インターネットサービス「Wayback Machine」を用いて,2016年3月9日時点におけるモードアデプトが運営するオンラインストアを確認すると,「CAMPAIGNFILM」の欄における「[2016-2-24UP] PILGRIM2016春夏コレクションのキャンペーンフィルム」との表示や「2016.03.05 NEW ARRIVAL」の欄における「ミニマリズムにより洗練をかけてバランスやフォルムの絶妙なシンプルジュエリーを展開するPILGRIMの新作コレクション。」といった表示に加え,「NEW ARRIVAL(新商品)」の部分には,使用商標2が用いられた「ダブルバー・リング」が掲載されている(乙8)。上記のとおり,乙第8号証は,「Wayback Machine」を用いて,2016年3月9日時点におけるモードアデプトが運営するオンラインストアの内容を示すものであるが,このことは,乙第8号証3頁において,2016年3月のカレンダーが表示されていることからも(2016年8月19日の時点で当該オンラインストアを閲覧すると,当然のことながら2016年8月のカレンダーが同じ位置に表示されている(乙9)),乙第8号証が,本件審判の請求の登録前の2016年3月時点でのオンラインストアの内容を表示していることは明らかである。 してみれば,乙第8号証が示す,モードアデプトのオンラインストアにおける使用商標2を用いた「ダブルバー・リング」の掲載は,要証期間内における,被請求人による「商品に標章を付したものを」「譲渡若しくは引渡しのために展示」する行為に該当する,ということができる。 2 まとめ 以上のとおり,本件商標と社会通念上同一の使用商標1及び2が,日本国内において,要証期間内に,本件指定商品について使用されていることは明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人提出の証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。 (1)乙第6号証は,2016年春版の商標権者の商品カタログ(抜粋)であって,表紙の下部に「PILGRIM」の記載があり,8頁の左下部には,指輪の写真と「RING,ADJUSTABLE」「GOLD PLATED」「A15 101612004」の記載,11頁の右下部には,イヤリングの写真と「EARRINGS」「GOLD PLATED」「A13 111612013」の記載,12頁の右下部には,ブレスレットの写真と「BRACELET」「GOLD PLATED」「A15 121612002」の記載がある。これらは,以下に記載する乙第4号証の「description」「No.」及び乙第5号証の「Description」「item number」と一致するものである。 (2)乙第4号証は,茨城県水戸市に所在する「MODE A DEPT.」(モードアデプト)のウスイ・ユリコ氏が商標権者に送信したとする商品発注Eメール及びその添付ファイルのオーダーフォームの写しであるところ,オーダーフォームには,「brand」として「PILGRIM」の記載があり,「date」として「2.18.2016」と記載されている。そして,「No.」及び「description」(品名)の欄には,それぞれ,「101612004」の「COSMOS ring」,「111612013」の「ESSENCE earring」,「121612002」の「DESTINY bracelet」と記載されていることから,モードアデプトは,「PILGRIM」のブランドに係るこれらの商品を商標権者に2016年2月18日に発注したことが認められる。 (3)乙第5号証は,商標権者が2016年2月18日付けで発行したモードアデプト宛のインボイスの写しであるところ,右上部には「PILGRIM」の文字からなる商標が表示されている。そして,「item number」(商品番号),「Description」(品名)の欄には,それぞれ,「10161-2004」の「ring,gold plated adjustable」,「11161-2013」の「earring,gold plated」,「12161-2002」の「bracelet,gold plated」の記載がある。 (4)乙第7号証は,2016年8月22日打ち出しのモードアデプトが運営するオンラインストア「MODE A DEPT」のウェブサイトであるところ,2016年の夏のセールに係るサイトであり,「RING」,「ダブルバー・リング」の見出しの下に指輪の写真が掲載されていて,当該指輪の内側に「PILGRIM」の文字からなる使用商標が付されている。そして,PRICEの欄に値下げ前の「定価6,372円(税込)」の記載があり,ブランドの欄に「PILGRIM(ピルグリム)デンマーク」の記載がある。さらに,「すっとしたスティック状のスクエアバーがふたつ平行に並んだバーリング。」と商品の説明が記載されているものであり,当該指輪の形状は,上記(1)の商標権者の商品カタログ(乙6)の8頁の左下部の「指輪」(A15 101612004)の形状と同一であると認められる。 (5)乙第8号証は,インターネットアーカイブ「Wayback Machine」を用いた2016年3月9日時点におけるモードアデプトが運営するオンラインストア「MODE A DEPT」のウェブサイトであるところ,右上部に「PILGRIM」の文字が表示され,「NEW ARRIVAL」の欄に,指輪の写真と「ダブルバー・リング」,「6,372円(税472円)」の記載があり,「スティック状のスクエアバーがふたつ平行に並んだグラフィカルなバーリング」と商品の説明がされており,これは,要証期間経過後の2016年の夏のセールに掲載された(乙7)の「ダブルバー・リング」の表示,商品説明,値下げ前の価格と一致することから,その間,同一の商品が,モードアデプトにより取扱われていたこと及び当該商品は,上記(1)の商標権者の商品カタログの指輪であるとみて差し支えない。 (6)上記(1)ないし(5)によれば,商標権者は,2016年2月18日に,茨城県水戸市に所在する「モードアデプト」から「PILGRIM」のブランドに係る商品の発注を受け,同日に商品を「モードアデプト」宛てに発送したこと及び2016年3月頃において,モードアデプトが運営するオンラインストアで「PILGRIM」ブランドの指輪が掲載されたことを認めることができる。 2 以上の事実を総合すると,以下のとおり判断することができる。 (1)使用商標の使用ついて 上記1によれば,商標権者は,モードアデプトから,要証期間内である2016年2月頃に「PILGRIM」のブランドであって商標権者のカタログに掲載された金メッキ(GOLD PLATED)製の指輪・イヤリング・ブレスレット等のアクセサリーについて注文を受け,インボイスをモードアデプトに発行していること,及び商標権者の商品カタログに掲載された使用商標を付した指輪が,モードアデプトが運営するオンラインストアにおいて,要証期間内である2016年3月頃に掲載されたことから,商標権者は,当該商品を日本国内のモードアデプトに輸出したと推認される。 そうすると,モードアデプトが輸入したと推認される使用商標が付されている商品は,「金メッキ(GOLD PLATED)製の指輪」であるから,該商品は,本件審判の請求に係る指定商品中の「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith,not included in other classes」の範ちゅうに含まれるものと認められる。 (2)本件商標と本件使用商標の同一性について 本件商標は,「PILGRIM」の文字を横書きしてなるものであり,他方,使用商標は,上記1(4)のとおり,「PILGRIM」の文字を横書きしてなるものである。 そうすると,使用商標は,本件商標と文字つづりを同一にする商標であるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (3)小括 商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した「金メッキ製の指輪」について,当該商品の日本における販売店と認められるモードアデプトが要証期間内に,輸入し,これを国内のオンラインストアにおいて掲載したとの事実を認定できるから,上記輸入行為をもって,商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として,同法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。 したがって,商標権者は,要証期間内に日本国内おいて,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,本件審判の請求に係る指定商品中「Precious metals and their alloys and goods in precious metals or coated therewith,not included in other classes」の範ちゅうに含まれる「金メッキ製の指輪」に使用したものと認められる。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者がその請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていたことを証明したものである。 したがって,本件商標の登録は,本件指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-03-09 |
結審通知日 | 2017-03-17 |
審決日 | 2017-03-29 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y14)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 守屋 友宏 |
特許庁審判長 |
堀内 仁子 |
特許庁審判官 |
田村 正明 平澤 芳行 |
登録日 | 1997-11-05 |
商標の称呼 | ピルグリム |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 北口 貴大 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 横川 聡子 |