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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W18
管理番号 1329204 
審判番号 不服2016-15226 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-11 
確定日 2017-05-17 
事件の表示 商願2015-108440拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「洗えるスーツケース」の文字を標準文字で表してなり,第18類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年11月6日に登録出願されたものである。
そして,その指定商品については,原審における平成28年3月24日受付の手続補正書により補正された結果,第18類「内貼り布を取り外すことができるスーツケース」となった。

2 原査定の拒絶の理由
本願商標は,「洗えるスーツケース」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「洗える」の文字は「洗うことができる」程の意味合いを容易に認識させ,「スーツケース」の文字は本願指定商品が属する範疇の商品を意味するものであるから,これらを一連に表してなる本願商標が「洗うことができるスーツケース」を意味することは,本願指定商品の取引者・需要者において極めて容易に認識され得る程度のものである。そして,別掲1のとおり,近時,洗うことができるかばん類が実際に販売取引されている。
そうすると,本願商標は,その指定商品に使用するときは,「洗うことができるスーツケース」であることを認識させ,商品の品質,機能を表示するにすぎないものとするのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における審尋
当審において,別掲2に係る証拠を新たに示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨を審尋し,請求人に意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の意見
請求人は,前記3の審尋に対して,通知された各証拠に対する意見を述べて,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものではないことを主張した。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商標の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和54年4月10日,昭和53年(行ツ)第129号,最高裁判所第三小法廷判決参照)。そして,同号は,取引者,需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき,それ故に登録を受けることができないとしたものであって,該表示態様が,商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか,現実に使用されている等の事実は,同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年9月4日,平成12年(行ケ)第76号,東京高等裁判所判決参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
ア 本願商標は,前記1のとおり,「洗えるスーツケース」の文字を標準文字で表してなるものである。
イ 「洗える」の語は「水などですすぎ清める。よごれを落とす。」の意味を有する「洗う」の可能動詞であり,「スーツケース」の語は「旅行用の衣類かばん。旅行かばん。」の意味を有し(広辞苑第6版参照),いずれも意味内容の理解が容易な日常語であるから,本願商標は,全体として「洗うことができるスーツケース」程度の意味合いを容易に認識させる。
ウ 本願指定商品を取り扱う業界では,「洗えるbag」,「洗えるトートバッグ」,「洗えるペーパーランチバッグ」,「洗えるペーパーハンドバッグ」,「洗えるペーパーバッグ」などのように,「洗える○○」(「○○」はバッグ等を表す商品名)として,「洗える」の語を商品名と結合することで,一般に「水洗いや洗濯機で洗うことができる○○(商品名)」程度の意味合いで,商品の品質(機能)を表示することが取引上普通に行われていることが認められる(別掲2(1)?(3))。
また,水洗いや洗濯機で洗うことのできる商品が製造,販売され,それらの特徴を商品の機能として広告物などにおいて記述することも,取引上普通に行われていることが認められる(別掲1,別掲2(4)?(7))。
併せて,内装が水洗い又は洗濯できる商品「スーツケース」等が,実際に製造,販売されていることも認められる(別掲2(8)?(10))。
エ 以上を踏まえると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者,取引者は,その商品が「洗うことができるスーツケース」としての商品の品質を表示したものと容易に理解するものということができ,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきである。
オ 請求人の主張に対して
請求人は,原審及び当審の示す証拠によっても,本願商標である「洗えるスーツケース」の語は使用されておらず,その意味合いの示唆もなく,取引上普通に用いられているものとはいえない旨や,スーツケースの外殻は固くて変形しないように製造されており,家庭用の洗濯機では洗うことはできず,その内張布を取り外して洗うことできるようにしたのが本願の指定商品であり,そのような内張布を取り外すことができるスーツケースもわずかである旨主張する。
しかし,前記(1)のとおり,商標法第3条第1項第3号の規定の適用において,該表示が商品の品質を表すものとして現実に使用されている等の事実は,必ずしも要求されるものではないばかりか,前記(2)ウのとおり,本願指定商品を取り扱う業界では,「洗える○○」(「○○」はバッグ等を表す商品名)と表示して商品の品質を表示することも取引上普通に行われており,水洗いや洗濯機で洗うことのできる商品が製造,販売又は宣伝され,内装が水洗い又は洗濯できるスーツケース等も実際に同業他社から販売されている。これら取引の実情を踏まえれば,本願商標は,特定人による独占使用を認めることは適切ではなく,自他商品識別力を備えるものともいえないため,請求人の主張はいずれも採用できない。
カ したがって,本願商標は,その指定商品との関係において,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であり,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)結語
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 原審において示した証拠
(1)フルグリー株式会社のウェブサイトにおいて,「【日本製・洗える】超軽量//レディースバッグ/カジュアル/通勤通学/マザーズバッグ/肩掛け/ショルダー/斜め掛け/斜めがけ/肩がけ/プチプラ/軽量/鞄/カバン/レザー/ボストン/ミニ ボストンバッグ/日本製//【ベルパーチ】2WAYバラナイロンバッグ【05P05Dec15】」の見出しの下,「丸洗いOK!」の記載がある。
http://www.bagshopsale.top/-p-44077.html
(2)「藤巻百貨店」のウェブサイトにおいて,「leatheria/washable shopping bag」の見出しの下,「東京産,洗えるピッグスキンスエード 気軽に扱えるオールレザーの手提げ」とあり,さらに「これに手洗い可能という利便性を加え,通常のピッグスキンよりもグレードアップさせたのが今回の素材。色落ちもしにくい同素材は,中性洗剤での手洗いで,土や泥,コーヒー,しょう油などの汚れがスッキリ落ち,清潔に保てるのが嬉しい。」の記載がある。
http://fujimaki-select.com/item/106_0006.html
(3)「ナチュラン」のウェブサイトにおいて,「charm」の見出しの下,「洗えるリネンのフシギなバッグ」の記載がある。
http://natulan.jp/kikaku/l72_chm/

別掲2 当審における審尋で示した証拠
(1)「dinos楽天市場店」のウェブサイトにおいて,「AQUALEATHER(R)/アクアレザー 洗えるbag」の商品紹介として,「丸洗いができ,水にも強いアクアスムースレザーのトートバッグは毎日のおしゃれの強い味方です。」の記載がある。
http://item.rakuten.co.jp/dinos/cy4202/
(2)「こだわりの鞄専門店 SKIPSPACE」のウェブサイトにおいて,「C’omodo+plust(コモドプラスト) カミラ2 洗えるトートバッグ c-7661 レッド」の商品紹介として,「こだわりの日本製!持ち手部分を取り外して本体を手洗いできる綿麻トート」の記載がある。
http://item.rakuten.co.jp/skipspace/c/0000002068/
(3)「CHLOROS」のウェブサイトにおいて,「UASHMAMA セルロース 100% 洗えるペーパーランチバッグ モノクロ」,「UASHMAMA セルロース 100% 洗えるペーパーハンドバッグ ワンハンドル モノクロ」及び「UASHMAMA セルロース 100% 洗えるペーパーバッグ XXLサイズ モノクロ 33×33cm」他,それらと同じシリーズの商品紹介の記載がある。
http://www.chloros.jp/brand/uashmama/
(4)「mymo」のウェブサイトにおいて,「ファッションピープルも注目!軽くて洗えるバックとは?」及び「SAVE MY BAGとは?」の見出しの下,「防水性が高いだけでなく,そのまま洗濯機に入れて洗えるので,もし汚れや匂いがついてしまっても,中身を取り出してそのまま洗濯機に入れるだけで丸洗いできてしまうのです。」の記載がある。
http://mymo-ibank.com/items/356
(5)「老舗 ヤマト屋 Online shop」のウェブサイトにおいて,「ヤマト屋のバッグは丸洗いできます」の見出しの下,「当初は手洗いで,洗ってもらって戴いておりましたが,検査機構に検査を依頼したところ,洗濯機でも洗うことが出来る事がわかりました。」の記載がある。
http://www.shop-yamatoya.com/html/page115.html
(6)「TOKYU HANDS」のウェブサイトにおいて,「hands+ ウォッシャブルポーチ」の商品紹介として,「そのまま洗濯機で洗えるトラベル収納用品」,「洗濯物を入れて,そのまま洗濯機で洗えます。」の記載がある。
http://www.tokyu-hands.co.jp/original/travel/handsplus%E2%80%97washable.html
(7)「JIB KYOTO」のウェブサイトにおいて,「JIBのバッグや小物は,洗濯機で丸洗いすることが出来ます。」の記載がある。
http://jibkyoto.shop-pro.jp/?mode=f23
(8)「TravelerStore」のウェブサイトにおいて,「ロンカート スーツケースの特徴」の見出しの下,「丸洗いできる内装 内装は,取り外して丸洗いできるので,衛生的。長く使って欲しいからと考えられた機能です。」の記載がある。
http://www.traveler-store.com/products/list.php?category_id=616
(9)「MonoMax別冊 一生使える旅モノ大全」(宝島社,2014年1月6日発行)において,「プロテックス」の「コアシリーズ」の樹脂製キャリングケースについて,「内装の素材は水洗いが可能 内装には水洗い可能な生地を採用。」の記載がある。
(10)「WORLD SHOPPING PLAZA」のウェブサイトにおいて,「サムソナイトエアリアル 74cm#」の見出しの下,商品「スーツケース」の写真とともに,「内装の裏地は取り外し,洗うことが出来ます!」の記載がある。
https://www.worldsp.jp/style/products/17217



審理終結日 2017-03-14 
結審通知日 2017-03-21 
審決日 2017-04-03 
出願番号 商願2015-108440(T2015-108440) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
田村 正明
商標の称呼 アラエルスーツケース、アラエル 
代理人 佐藤 富徳 

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