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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X43
管理番号 1329197 
審判番号 取消2016-300519 
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-07-29 
確定日 2017-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5239444号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5239444号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5239444号商標(以下「本件商標」という。)は、「vege-table」の文字を横書きしてなり、平成20年10月3日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同21年6月19日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年8月10日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにも使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人の答弁内容について
被請求人は、「子会社である株式会社ユーティリティーズが運営する店舗内のINSTOREにて、野菜をメインとしたメニューでvege-tableを使用している。」、「展開店舗は、名古屋松坂屋と新宿小田急百貨店のCAFE PLANTS内、代々木上原のBACCA BACCA店にてベジタリアンメニューとして使用。」と主張している。そして、被請求人は、これらの主張に関係する証拠とおぼしきものとして乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
しかしながら、被請求人は、株式会社ユーティリティーズとの関係を示す資料を何ら提出していないし、そもそも、被請求人の提出したこれらの証拠をもってしても、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)において、本件商標を指定役務について使用したことを立証したことにならない。
(2)乙第1号証について
ア 1葉目の上部写真について
乙第1号証の上部の写真についてであるが、「CAFE PLANTS 大宮店・・・2008年9月?2011年7月使用(現在閉店)」と記載されているので、当該写真をもってしては要証期間内に本件商標を使用していたことを立証したことにならない。
そして、乙第1号証に「以降、名古屋松坂屋と新宿小田急百貨店のCAFE PLANTSに展開」との記載もあるが、何を「CAFE PLANTS」において展開したのかも全く不明である。
イ 1葉目の下部写真について
乙第1号証においては、「名古屋松坂屋CAFEPLANTS 食べ口グ掲載中 URL:http://tabelog.com/aichi/a230103/23031933/」の記載と四角いプレート皿に載った小皿料理の写真が掲載されており、この写真には「Vegitables×Lunch」の文字が書かれている。
しかしながら、当該文字は、ここに掲載されたプレートの料理が複数の野菜(Vegitables)を使用していることをいっているだけで、単に料理の内容を表しているにすぎないから、これが自他商品・役務識別標識としての商標には該当しない。
また、そもそも、ここに記載された語は、本件商標「vege-table」とは「-」(ハイフン)及び語尾の「s」の有無で相違しているのでこの点においても、本件商標の使用といえない。
さらに、上記URLのサイトを開くと飲食店の情報サイト「食ベログ」において「カフェプランツ」(CAFE PLANT’S)の栄店が紹介されており(甲3)、このサイトからも明らかなように、当該カフェについて商標として使用されているのは「カフェプランツ」及び「CAFE PLANT’S」であって、本件商標の使用は見あたらない。
よって、当該証拠をもって被請求人が本件商標「vege-table」を要証期間内に使用していたことを立証したといえない。
ウ 2葉目の上部写真について
被請求人は、「小田急百貨店新宿店CAFE PLANTS」としてテイクアウトで提供されるカフェの窓口とおぼしき写真を提出している。
しかしながら、被請求人は、当該写真がいつ撮影されたものであるかを明らかにしておらず、しかも、当該写真には「ハローウィン」の装飾が施されていることからして(一般的にハローウィンの装飾は9月下旬から10月末まで飾り付けられるものと考えられる)、被請求人が本件審判の請求書の副本を受け取った後に当該写真の撮影をしたものと考えられる。
また、当該写真に掲載されているテイクアウト用カフェの販売窓口には「vege-table」が記載されたシールのようなものが貼られているが、このシールの記載は、ガラス窓に貼られたその他のシールや案内板、商品陳列などに紛れて全く目立たず、これが当該カフェについて商標として使用されているとはいえない。
そして、当該カフェの商標(カフェの名称)は被請求人の説明するように「CAFE PLANT’S」(カフェプランツ)であって、この点からしても上記シールの記載が何について使用されているかも不明であるから本件商標が指定役務について使用されていることを立証したものとはいえない。
ちなみに、小田急百貨店新宿店のホームページ(甲4)には、「CAFE PLANT’S」(カフェプランツ)について掲載されているが、この記載からも、あくまで、このカフェの商標は「CAFE PLANT’S」(カフェプランツ)であって、本件商標ではないことは明らかである。
したがって、当該証拠をもって被請求人が本件商標を要証期間内に使用していたことを立証したことにならない。
エ 2葉目の下部写真について
被請求人は、「代々木上原 BACCA BACCA」というレストランの写真を提出しており、これには、牛の顔の絵と共に「洋食バル」の文字及び当該レストランの名称「BACCA BACCA」の文字が人きく目立つように記載された外看板が掲載されている。
そして、上記外看板の「BACCA BACCA」の文字の下にかなり不鮮明な何等かの文字が記載されている。
しかしながら、そもそも、被請求人は当該写真がいつ撮影されたかも全く明らかにしていないし、そもそも、当該写真についても、本件商標がその指定役務について使用されていたことが明確に示されているとはいえない。
そして、そもそも当該写真をみても、当該レストランを示すものとして使用されている商標は「BACCA BACCA」であって、本件商標ではないことは明らかである。
ちなみに、インターネット上の飲食店情報サイト「食ベログ」や「ぐるなび」でも当該レストランの名称としては「BACCA BACCA」(バッカバッカ)のみが使用されており、本件商標の使用は見あたらない(甲5、甲6)。
したがって、当該証拠をもって被請求人が本件商標を要証期間内に使用していたことを立証したことにならない。
(3)乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証として、「CAFE PLANT’S」のメニューとおぼしき資料を提出しており、ここには、「cafe plant’s」、「FOOD MENU」、さらにその下にかなり小さめの文字で「vege-table offers vegetables.」の記載があり、これらと共に当該カフェで提供される料理や飲み物が記載されている。
しかしながら、被請求人は、当該メニューがいったいいつどの「cafe plant’s」で使用されていたかも全く明らかにしておらず、また、当該カフェの名称(商標)はメニューの上部に記載されているように「cafe plant’s」であって、他の文字と比べてかなり小さく記載されている「vege-table」が当該カフェの出所を表示する商標として認識されるものではない。
しかも、当該メニューにはキノコ、ドングリや焼きサンマの如く装飾が施されていることなどからして秋に使用されるメニューと考えられることから、本件審判の請求書の副本を受け取った後に使用されたメニューであると考えられる。
したがって、当該証拠は、被請求人が本件商標を要証期間内に使用していたことの証拠とはならない。
(4)まとめ
以上のとおり、答弁書並びに乙第1号証及び乙第2号証では、本件商標を要証期間内に日本国内において、被請求人により使用されていたことは一切証明されていない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
3 上申書について
請求人は、平成29年2月21日付け上申書において、「被請求人が本件の口頭審理への出頭を望まず、これまでに提出した主張及び証拠をもって、書面審理にて審理することを望んでいることに、請求人としても異論がない。」旨を述べている。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し,その理由を答弁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、子会社である株式会社ユーティリティーズが運営する店舗内のINSTOREにて、野菜をメインとしたメニューで「vege-table」を使用している。
展開店舗は、名古屋松坂屋と新宿小田急百貨店のCAFE PLANTS内、代々木上原のBACCA BACCA店にてベジタリアンメニューとして使用している。
被請求人は、店舗企画、メニュー企画等をしている企業であり、企画書のタイトルや店舗名としての使用についても提供を予定している。
また、来春より、小田急百貨店CAFE PLANTS内にて野菜ジュース8種、ジェラート8種の展開が決定している。
同メニューに関しては、西武百貨店池袋店地下1階サルテリア店にて、被請求人の取組先メーカーによる供給が既に成されており、「vege-table」の商標と商品をセットにした販売を予定している。
2 上申書について
被請求人は、平成29年2月16日付け上申書において、「被請求人は、主張を尽くしており、口頭審理への出席を望まず、これまで提出した主張・証拠をもって、書面審理にて審理することを希望する。」旨を述べている。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した乙各号証及びその主張によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人の子会社である株式会社ユーティリティーズが運営する「店舗写真」とされるものである。
ア 1葉目の上部の写真は、2008年9月から2011年7月まで使用、現在閉店の「CAFE PLANTS 大宮店」(CAFEの「E」には、「´」が付いている。以下同様。)である。その他、説明として、「以降、名古屋松坂屋と新宿小田急百貨店のCAFE PLANTSに展開」の記載がある。
そして、この写真には、店舗内の壁に「vege-table」の文字が表示されている。
イ 1葉目の下部の写真は、「食べログ」掲載中とされる「名古屋松坂屋 CAFE PLANTS」における「メニュー」とされるものである。
これには、料理と飲み物が写っているほか、その右下に「Vegetables × Lunch」の文字が写っている。
ウ 2葉目の上部の写真は、「小田急百貨店新宿店 CAFE PLANTS」である。
この写真には、飲食物の販売カウンターのような窓口が写っており、その右側のガラスの仕切り部分に「vege-table」の文字が表示されたシールのようなものが貼られている。
エ 2葉目の下部の写真は、「代々木上原 BACCA BACCA」とされるものである。
この写真には、店舗前にスタンド看板(置き看板)が写っており、そこには、牛の顔を挟んで「洋食バル」、「BACCA BACCA」及び「vege-table」の文字が表示されている。
(2)乙第2号証は、「CAFE PLANTSメニュー」である。
これには、「cafe plant’s」、「FOOD MENU」及び「vege-table offers vegetables.」の記載があり、その下には、カフェで提供される料理の写真、料理名や飲物名等の記載がある。
2 上記1によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証の1葉目上部の写真及びその記載によれば、「CAFE PLANTS 大宮店」の店舗があった期間は、「2008年9月?2011年7月」であり、現在閉店しているものであるから、この写真の店舗内の壁に「vege-table」の文字が表示されているとしても、要証期間内に本件商標を使用していたことを証明するものとはいえない。
(2)同1葉目下部の写真は、「食べログ」に掲載された写真であって、これが掲載された時期は不明であるし、これに、「Vegetables × Lunch」の文字が写っているとしても、これは、本件商標とその構成及び態様が相違するものである。
(3)同2葉目上部の写真は、「小田急百貨店新宿店 CAFE PLANTS」とされるものであり、これには、飲食物の販売カウンターのような窓口が写っており、その右側のガラスの仕切り部分に「vege-table」の文字が表示されたシールのようなものが貼られているが、このシールは、ガラスの仕切り部分に貼られたその他のシールや案内板、商品陳列などに紛れて全く目立たず、これが「飲食物の提供」の役務との関係で、自他役務の識別標識としての商標として使用されているとはいえないものである。
なお、この写真の撮影された時期は不明である。
(4)2葉目の下部写真は、「代々木上原 BACCA BACCA」という店舗に係るスタンド看板等が写った写真であり、これには、「BACCA BACCA」の文字の下に、「vege-table」の文字が表示されている。
しかし、「vege-table」の文字が表示されている部分は、不鮮明であって、かつ、詳細に見てみれば、地色の色合いが看板と相違するように見えて、まるで、シールを貼り付けたかのようにも見えるものである。
そして、飲食物の提供を行う店舗名称としての商標は、「BACCA BACCA」(洋食バル)であって、上記「vege-table」の表示が何について使用されているものかも不明である。
なお、この写真の撮影された時期は不明である。
(5)乙第2号証は、「CAFE PLANTSメニュー」であり、これには、「vege-table offers vegetables.」の記載があるが、それ自体、一文で記述的に表されており、その文言中に「vege-table」の文字が含まれているとしても、この部分をもって役務の出所識別標識として使用されているものとは理解されないものであるから、当該記載部分をもって、本件商標の使用がされているとは認められない。
なお、提出された証拠においては、上記各店舗の運営者が株式会社ユーティリティーズであること、及び同社が本件商標の専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであることが立証されていない。
(6)小括
以上によれば、被請求人が提出した乙第1号証及び乙第2号証の証拠によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件商標が要証期間内に使用されていた事実を認めることができないものである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務「飲食物の提供」について、本件商標を使用していたことを証明したということができない。
また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2017-03-13 
結審通知日 2017-03-15 
審決日 2017-03-30 
出願番号 商願2008-84239(T2008-84239) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
井出 英一郎
登録日 2009-06-19 
登録番号 商標登録第5239444号(T5239444) 
商標の称呼 ベジタブル、ベジテーブル、ベジ、テーブル 

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