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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W11 |
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管理番号 | 1328083 |
異議申立番号 | 異議2016-900251 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-08-15 |
確定日 | 2017-04-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5848637号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5848637号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5848637号商標(以下「本件商標」という。)は,「F1ヒーター」の文字を標準文字で表してなり,平成27年12月4日に登録出願,第11類「電気ヒーター,床暖房用電気ヒーター,農業ハウス用電気ヒーター,屋根融雪用電気ヒーター,屋上融雪用電気ヒーター,歩道融雪用電気ヒーター,道路融雪用電気ヒーター,太陽光発電パネル融雪用電気ヒーター」を指定商品として,同28年3月24日に登録査定,同年5月13日に設定登録され,同年6月14日に商標公報に掲載されたものである。 その後,本件商標については,平成28年11月15日に放棄による本商標権の抹消登録の申請がされ,その登録の抹消がされているところ,本件商標の商標登録に対する登録異議の申立ては,申立日を,同年8月15日とするものである。 第2 登録異議申立ての理由の要点 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証から甲第59号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第15号について (1)「F1」又は「Formula 1」の文字は,日本において,申立人グループ主催に係るモーター・レースを想起する程に広く認識されるに至っていること,(2)本件商標権者が代表取締役会長を務めるエコホールディングス株式会社が,本件商標に係る商品の広告宣伝において,「F1ヒーター」中の「F」と「1」の間に「ormula」を挿入することにより「F1」が「Formula 1」を意味するものとして使用していること,(3)「F1」又は「Formula 1」を自己の商品又は役務の広告に使用する企業は,申立人と公式パートナーシップ契約を結んでいることからすれば,「F1」の文字を含む本件商標に接した日本の公衆は,当該「F1」の文字からF1レースを想起し,本件商標権者が,申立人グループ又はその許諾の下で商品を提供しているなど,申立人と経済的又は組織的関係があるかのごとく,商品の出所について誤認,混同を生ずるおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 商標法第4条第1項第11号について 申立人が本件登録異議の申立てに引用する登録第5734163号商標,国際登録第823226号商標,国際登録第845571号商標及び国際登録第1087826号商標は,いずれもその構成中に「F1」の文字を顕著に含むものであり,また,本件商標の要部は「F1」であるから,本件商標と引用商標とが,外観及び「エフワン」の称呼において共通するのは明らかである。そして,「F1」からは「Formula 1」としての意味合いが生じる。 そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念の全てにおいて相紛らわしく,類似するものであり,また,本件商標と引用商標の指定商品は,同一又は類似のものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 第3 当審における取消理由の要旨 当審において,本件商標権者に対して,「本件商標は,国際自動車連盟(FIA)又は申立人の業務に係るF1世界選手権の通称として我が国の需要者間に広く認識されている『F1』の文字を含んでなるものであるから,本件商標をその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,FIAあるいは申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生じるおそれがある。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年1月12日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。 第4 商標権者の意見 本件商標権者は,前記第3の取消理由に対して,指定した期間内に意見を述べていない。 第5 当審の判断 1 「F1」標章の著名性について (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出した甲各号証及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。 ア 「モータースポーツレースガイド」(1996年3月22日 株式会社新紀元社発行:甲2)の30頁ないし35頁には,「1947年 FIAがF1を規定。」,「1950年5月 F1世界選手権がスタート・・・」,「1976年10月 富士スピードウェイで日本初のF1レースが開催され・・・参加した日本人レーサーとそのマシンは,以下の通り。」,「1987年11月 鈴鹿で10年ぶりに日本GPが開催。」及び「1990年10月 鈴木亜久里が日本GPで3位入賞。」との記載がある。 イ 「F-1グランプリコース」(1991年6月10日 三樹書房発行:甲3)の19頁には,「フォーミュラワンというレース規定が設けられたのは,1950年・・・FIA(国際自動車連盟)が発足し,FIAの組織の中にできたCSI(国際スポーツ委員会)が動きはじめてからのことであって,現在まで約40年にわたって引き続き開催されたことになる。」との記載がある。 ウ 「フジテレビオフィシャル/F1 TV HANDBOOK 1999」(1999年4月30日 株式会社フジテレビ出版発行:甲4)には,「特集PART1」として「Formula One 50年の記録(1950?1998年)」が掲載され,また,「フジテレビオフィシャル F1 YEARBOOK87-88」(甲10),「フジテレビオフィシャル F1 TV HANDBOOK89」ないし「フジテレビオフィシャル F1 TV HANDBOOK1998」(甲11?甲22)の表紙には,「F1」の文字が顕著に大きく表示され,甲10号証ないし甲12号証には,「監修 フジテレビF1グランプリ事務局」と記載されている。 さらに,「フジテレビ-F1 GRAND PRIX 2015」(2016年1月6日出力:甲23)には,「フジテレビNEXTでは今年も,金曜フリー走行から土曜フリー走行,公式予選,決勝まで全セッションを完全生中継でお届けします!」との記載がある。 エ 「フォーミュラ1」(2016年1月6日出力のWikipedia:甲6)には,「フォーミュラ1(Formula One・・・)は,モータースポーツのカテゴリーの1つであり,その世界選手権を指す場合もある。略称はF1(エフ・ワン)。」との記載がある。 オ 「F1-Gate.com」(2015年7月11日:甲5)には,該サイトの右上に「FIAのF1最新情報,ニュースを掲載しています。FIドライバーのコメントやF1チームの情報,レース結果などを随時更新しています。」と説明され,「2016年F1カレンダー発表:バクーを追加して21戦」の見出しの下,「FIAは,21戦で構成される2016年のF1レースカレンダーを承認した。」との記載がある。 カ HONDAのウェブサイト(2016年1月6日出力:甲8)には,「HONDA/HISTORY」の中に「F1メキシコGPで初優勝 1965.10」との記載がある。 キ 「F1(TM)2015-日本公式サイト」(「TM」の文字は,前の文字の右上部に小さく配されている。以下同じ。)のウェブサイト(2016年1月6日出力:甲26)には,「NOW ON SALE」の表示,「ゲーム概要」及び「製品概要 RACE LIKE A CHAMPION」の表示とともに「XBOX ONE」及び「PS4」等の表示がある。 ク 「Official F1○ App」(「○」は,○の中に「R」の文字が配されている。以下同じ。)のウェブサイト(2014年3月10日:甲27)には,「Official F1○ App:あのアプリがついに公式!F1観戦するなら必須アプリ。無料」の見出しの下,「毎年恒例,F1開幕まであと3日!2014年は日本人ドライバー・・・」との記載がある。 ケ 広辞苑(2008年1月11日 株式会社岩波書店発行),「コンサイスカタカナ語辞典」(1999年9月20日 株式会社三省堂発行)等の辞書類(甲40?甲44)の「エフ・ワン【F1】(Formula 1)」や「F1(Formula One)」の項には,「国際自動車連盟の規定する単座席の競技専用車のうち最大の重量・排気量をもつ車。」である旨の記載がある。 コ 「The only official F1 Store(TM)」のウェブサイト(2016年1月29日出力:甲46)には,「THE F1 STORE」の表示とともに,ジャケットやTシャツ等の被服類やバッグ,レーシングカーの模型,キーホルダー及びマグカップ等の商品が販売されており,「Honda公式ウェア&グッズオンラインショップ」(2016年1月6日出力:甲47)には,「F1(TM) Honda Racing ロゴ入りiPhone○6用のケースです。」との見出しの下,iPhone用のケースが販売されており,商品説明の下段には「”The F1 FORMULA 1””F1””FORMULA 1”・・・およびこれらに関連する標章は,フォーミュラ ワン グループ会社である“フォーミュラ ワン ライセンシング ビーブイ(Formula One Licensing B.V.)”の商標です。これらの商標の無断使用は禁じます。」の記載がある。 サ 2007年(平成19年)9月29日付け日本経済新聞(甲49)には,広告の欄に,「現在,日本において,Formula 1(TM)(正式名称,FIA Formula One World Championship)日本グランプリが開催されています。Formula One Administration Limitedは,このFIA Formula One World Championshipの商業的権利の所有者であり,商業上の主催者です。また,Formula One Licensing BVは,右のFormula 1(TM)商標に関する権利者です。これら商標の多くは,日本及び世界各国で保護されています。右両社及びそのグループ会社は,これらの無断使用に対しては,法的に可能な民事上及び刑事上の手続をとる所存です。」の謹告文及び「F1(TM)」等の申立人の所有する商標権が掲載されている。 (2)上記(1)の事実によれば,申立人は,国際自動車連盟(以下「FIA」という。)が主管し,モーター・レースの中で最高峰のレースとされるF1世界選手権,通称「F1」及び「Formula 1」に関する商標を保有・管理している(甲49)。 また,申立人は,FIAから「F1」に関する標章についての商品化事業を行う権限を付与され,公式サイトにおいて,ジャケットやTシャツ等の被服類やバッグ,レーシングカーの模型,キーホルダー及びマグカップ等の商品が販売され(甲46,甲47),「PS4」及び「XBOX ONE」向けにレーシングテレビゲーム「F1 2015」が日本国内で発売されている(甲26)。 そして,「Formula 1」は,FIAが制定したレース用自動車に関する規定の下で,1950年にスタートして以来,現在まで継続的に開催されてきたモータースポーツの頂点に立つ自動車レース及び競走用自動車を指称するものといえ,「F1(エフワン)」とも称されて親しまれ,我が国を含む世界の様々な地域で開催される一連のレースによって構成され,2016年には21レース開催が予定されている(甲5)。 上記自動車レースは,我が国において,1976年に富士スピードウェイで開催され,1987年からは,鈴鹿サーキットにおいて再開され(甲2),その模様がフジテレビを通じて放送されたほか,「F1」の標章を使用して該自動車レース関連の映画,ゲーム,雑誌等が多数販売されている(甲6?甲27)。 してみると,「F1」は,FIAが主管し,申立人が商標管理している上記自動車レース及び競走用自動車を指称する標章として,本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に,我が国の需要者間に広く認識されていたものというべきである。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は,前記第1のとおり,「F1ヒーター」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「ヒーター」の文字部分は,本件商標の指定商品との関係では商品を表す語であること明らかであることから,自他商品の識別標識として機能するということはできないものである。 また,本件商標は,全体として特定の熟語的意味合いを看取させるような事情は見いだし得ない一方で,その構成中の前半部の「F1」の文字部分は,上記1(2)のとおり,FIAあるいは申立人の業務に係る自動車レース及び競走用自動車を指称する標章として,広く知られているものである。 そうすると,本件商標は,需要者の間において広く知られている「F1」を含むものと認識されるといえる。 してみれば,本件商標をその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,FIAあるいは申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生じるおそれがあるものといわなければならない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 まとめ 以上からすれば,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-03-16 |
出願番号 | 商願2015-119434(T2015-119434) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(W11)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 池田 光治 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
冨澤 武志 田中 幸一 |
登録日 | 2016-05-13 |
登録番号 | 商標登録第5848637号(T5848637) |
権利者 | 藤林 久士 |
商標の称呼 | エフワンヒーター、エフイチヒーター |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 林 司 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 野口 武男 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 小林 均 |