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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1328033 
審判番号 取消2009-301152 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-10-16 
確定日 2012-12-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第1689805号の2商標の商標登録取消審判事件についてされた平成23年2月9日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成23年(行ケ)第10096号、平成23年11月30日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1689805号の2商標(以下「本件商標」という。)は、「GENESIS」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年12月10日に登録出願、同59年6月21日に設定登録された登録第1689805号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成18年7月21日に商標権の分割移転の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の予告登録は、平成21年11月4日にされている。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標は、商標権者により、その指定商品中の「プリンター機能(・コピー機能)搭載のファクシミリ」について、本件審判の請求の登録日前3年以内に使用されているから、本件商標の登録は維持されるべきである旨主張している。
しかしながら、被請求人により提出された乙第2号証ないし乙第7号証は、いずれも本件商標が使用されていたことを証明するものではない。
ア 乙第2号証は、商標権者のウェブサイトにおける商標権者の製造、販売する「ファクシミリ」についての紹介記事の抜粋であって、本件商標「GENESIS」が説明文中の文字とは異なる態様で大きく表示されているとするものであるが、これは、本件審判の請求の登録日以後である平成21年12月7日に打ち出されたものである。
イ 乙第3号証ないし乙第6号証は、商標権者が製造、販売しているファクシミリの製品カタログであって、本件商標「GENESIS」が説明文中の文字とは異なる態様で大きく表示されているとするものであるが、該「GENESIS」の文字は、被請求人自らが主張するように、高品位画質で送受信できる商標権者独自の画像処理技術を表す技術名称として使用されているものである。
また、上記各号証のカタログにおいて示されている「2008年7月現在」あるいは「2009年6月現在」といった日付は、本件審判の請求の登録日前3年以内のものであるが、仮にカタログに作成時期のような記載があったとしても、該カタログの配布に係る時期、対象者、方法及び数量等、その具体的な取扱いについて何ら証拠の提出がなされていない場合に、不使用取消審判における使用の証拠として認められないことは、過去の審決例からも明らかである(甲第1号証)。
ウ 本件と同様に、商標法第50条に基づく不使用取消審判が請求された事案において、「コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター」について、そのプリンターの特徴的技術又は機能の説明としてカタログの文章中に表示されている文字が、商標法における使用には該当しないとして、その登録が取り消されている(甲第2号証)。
すなわち、上記事案に係る審決において引用されている平成12年(行ケ)第117号判決(甲第3号証)に示されるとおり、「商標法50条の適用上、『商品』というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、『商品についての登録商標の使用』があったというためには、当該商品の識別標識として、同法2条3項、4項所定の行為がされることを要するものというべきである」ところ、乙第2号証ないし乙第6号証においては、「GENESIS」の文字が、原稿に忠実な高品位画質での送受信を可能にする画像処理技術の名称であることは示されているが、この技術名称を付した個別の独立した商品が取引されていることを示す証拠は何ら提出されていないのであり、仮にその技術名称を示す文字が他の文字とは異なる態様で大きく表示されていたとしても、需要者は、その技術を独立して購入するわけではないのであるから、これらの証拠をもって、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る商品について使用されたと認められるものではない。
エ 乙第7号証は、商標権者のファクシミリに同梱される送受信テストシートの写しであるとされるものであるが、該テストシートについて、独立して取引がなされていたことを示す証拠は何ら提出されていない。
また、上記テストシートが、いつ、どのような製品に同梱されていたのかも不明であるが、仮に本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者の技術名称を表示した該テストシートが商標権者の製品に同梱されていたとしても、そのような使用は、やはり技術の名称を示したものにすぎず、商標権者が該テストシートを独立して販売した実績は示されていないのであるから、この証拠をもって、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る商品について使用されたと認められるものではない。
(3)結語
以上のとおり、被請求人は、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されていることを主張立証できておらず、また、使用していないことについての正当な理由に係る証明も行っていないのであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その取消しを免れないものである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
(1)商標権者は、本件商標をその指定商品中の「プリンター機能(・コピー機能)搭載のファクシミリ」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において使用している。
(2)乙第2号証は、商標権者のインターネット上のホームページ中にある自己の製造、販売に係る「ファクシミリ」に関する製品紹介サイトからの抜粋(http://cweb.canon.jp/canofax/technology/beautiful.html)を打ち出したものであって、その中に、本件商標が、説明文中の文字とは異なる書体でロゴ化された態様で大きく表示されている。
上記抜粋から明らかなように、商標権者は、自己の製造、販売に係るファクシミリのうち、商標権者独自の画像処理技術により高品位画質で送受信可能な製品については、他のファクシミリと識別可能となるように、本件商標を使用しているものである。
(3)乙第3号証ないし乙第6号証は、本件商標の使用に係るファクシミリ(L380S、L230、JX6000、L2800)の製品カタログであるところ、該カタログ中には、本件商標が、説明文中の文字とは異なる書体でロゴ化された態様で大きく表示されている。
また、上記各カタログの最終頁には、該カタログに記載された製品仕様がいつのものであるかを明確にするための年月(2008年7月現在、2009年6月現在)が記載されているから、これにより、該カタログがいずれも本件審判の請求の登録前3年以内のものであることが立証される。
(4)乙第7号証は、商標権者のファクシミリに同梱される送受信テスト用のシート(写し)であるところ、ここにも本件商標が大きく表示された態様で使用されている。
(5)乙第8号証は、平成20年(2008年)に商標権者のホームページ上で公開されていたサイトページのデータを打ち出したものであり、該データは、該サイトページの作成者である「キャノンマーケティングジャパン株式会社」が自己のコンピュータ内に保管していたものである。
本号証は、乙第2号証と同内容のものであって、本件商標がロゴ化された態様で大きく表示されており、また、その最下段左方に「Canon Inc/Canon Marketing Japan Inc.2008」と表示されていることから、これが平成20年(2008年)時点でのサイトページであることが立証される。
(6)乙第9号証は、商標権者のインターネット上のホームページ中にある自己の製造、販売に係るファクシミリの電子カタログの掲載サイト(http://cweb.canon.jp/pdf-catalog/canofax/index.html)の打ち出しであるところ、ここに、乙第3号証ないし乙第6号証と同一内容からなるカタログが掲載されており、それぞれの掲載日(2008年7月3日又は2009年7月1日)が併記されている。
本号証により、上記カタログが、店頭等における配布のみならず、いわゆる電子カタログとして、本件審判の請求の登録前3年以内に、インターネット上で公開されていたことが立証される。
(7)請求人は、「GENESIS」が高品位画質での送受信を可能にする画像処理技術の名称であることは示されているが、該技術名称を付した個別の独立した商品が取引されていることを示す証拠は、何ら提出されていない旨主張する。
しかしながら、商標権者は、上述のとおり、自己の製造、販売に係るファクシミリのうち、商標権者独自の画像処理技術により高品位画質で送受信可能な商品については、他の商品と識別可能となるように、商品の識別表示として本件商標を使用しており、このことは、乙第2号証ないし乙第9号証により立証されるものである。
本件商標は、商標権者独自の技術名称として採択、使用されているものであるとしても、同時に商品の識別表示として使用されているものであり、需要者は、本件商標により、商標権者の画像処理技術によって高品位画質で送受信可能な商品を選別することが可能となっているのである。
(8)以上のとおり、被請求人の提出した乙各号証により、本件商標が、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に、商品「プリンター機能(・コピー機能)搭載のファクシミリ」について、商標権者により使用されていることが証明されるものであって、該商品は、本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に含まれるものである。
よって、本件審判の請求は、成り立たない。
4 当審の判断
(1)被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 商標権者の製造、販売に係るファクシミリのカタログにおける表記
(ア)乙第3号証は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリについてのカタログの写しであって、その表紙には、「Canon」の文字と共に、「キヤノフアクス」、「L380S」及び「FAX, COPY & PRINT」の記載等があり、また、その裏表紙には、該ファクシミリの主な製品仕様を表した一覧表や問い合わせ先等と共に、「2008年7月現在」の記載がある。
上記カタログの2葉目の冒頭部には、「小型、高速、高画質。スタイリッシュなボディで、ハイパフォーマンスを実現。」の記載や商品の外観画像等があり、その下方に、該商品の「FAX」に関する特徴として、「代行受信510枚可能な大容量メモリを標準装備」など、8項目にわたる説明文が記載されている。そして、その特徴の一として、「鮮明・高画質のGENESIS」の項目が設けられ、該項目に係る説明として、「キャノン独自の画像処理技術GENESISにより、原稿に忠実な高品位画質で送受信。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明かつスピーディに送信可能な『文字/写真モード』など、クリアな画像処理機能も装備しました。」の記載がされており、さらに、該説明文の右斜め下方には、縦横それぞれ約2倍の大きさで、太く、まとまりのある、特徴的な字体により表された「GENESIS」の文字からなる別掲に示すとおりの標章(以下「使用標章」という。)が、独立して、目立つように表記されている。
(イ)乙第4号証は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリについてのカタログの写しであって、その表紙には、「Canon」の文字と共に、「キヤノフアクス」、「L230」及び「FAX, COPY & PRINT」の記載等があり、また、その裏表紙には、該ファクシミリの主な製品仕様を表した一覧表や問い合わせ先等と共に、「2008年7月現在」の記載がある。
上記カタログの2葉目の冒頭部には、「小型&ハイセンスなデザイン。省スペースでマルチに活躍。」の記載や商品の外観画像等があり、その下方に、該商品の「FAX」に関する特徴として、「場所を選ばないコンパクトボディ」など、11項目にわたる説明文が記載されている。そして、その特徴の一として、「GENESIS」の項目が設けられ、該項目に係る説明として、「キャノン独自の画像処理技術GENESISにより、原稿に忠実な高品位画質で送受信。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明かつスピーディに送信可能な『文字/写真モード』など、クリアな画像処理機能も装備しました。」の記載がされており、さらに、該説明文の右斜め下方には、乙第3号証における場合と同様に、使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
(ウ)乙第5号証は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリについてのカタログの写しであって、その表紙には、「Canon」の文字と共に、「キヤノフアクス」、「JX6000」及び「FAX & COPY」の記載等があり、また、その裏表紙には、該ファクシミリの主な製品仕様を表した一覧表や問い合わせ先等と共に、「2009年6月現在」の記載がある。
上記カタログの2葉目の冒頭部には、「基本性能を追求。セキュリティ機能も搭載したオフィス向けインクジェットファクス。」の記載や商品の外観画像等があり、その下方ないし3葉目にわたり、該商品の「FAX&COPY」に関する特徴として、「A3読み取り可能なコンパクトデスクトップ」など、21項目にわたる説明文が記載されている。そして、その特徴の一として、「GENESISでスピーディ送信」の項目が設けられ、該項目に係る説明として、「キャノン独自のデジタル画像処理技術。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明スピーディに送信可能な『文字/写真モード』も装備しました。」の記載がされており、さらに、該説明文の右斜め下方には、乙第3号証における場合と同様に、使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
(エ)乙第6号証は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリについてのカタログの写しであって、その表紙には、「Canon」の文字と共に、「キヤノフアクス」、「L2800」及び「FAX & COPY」の記載等があり、また、その裏表紙には、該ファクシミリの主な製品仕様を表した一覧表や問い合わせ先等と共に、「2008年7月現在」の記載がある。
上記カタログの2葉目の冒頭部には、「信頼の性能と快適設計で、ビジネスをサポート。」の記載や商品の外観画像等があり、その下方ないし3葉目にわたり、該商品の「FAX」に関する特徴として、「処理能力を高める2回線同時通信」など、12項目にわたる説明文が記載されている。そして、その特徴の一として、「鮮やかさで定評のGENESIS&自動画質選択」の項目が設けられ、該項目に係る説明として、「キャノン独自の画像処理技術“GENESIS”に加え、ウルトラファインモード(16dot/mm×15.4line/mm)による高品位な画像読み取りを実現。さらに、文字・写真の混在原稿をより鮮明に送信する文字/写真モードなど、高度な画像処理機能を装備しています。」の記載がされており、さらに、該説明文の右斜め下方には、乙第3号証における場合と同様に、使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
イ その他の媒体における表記
(ア)乙第2号証は、商標権者のウェブサイトにおける「キャノン:オフィス向けファクス キヤノフアクス|テクノロジー 高画質」と題するページの写しであって、「テクノロジー高画質」の見出しの下、「ウルトラファインモード」、「リアル600dpiスムージング」、「GENESIS」、「高画質コピー」、「ハーフトーン256階調」、「細かな粒子のスーパーファイントナーで高画質プリント」及び「FINE高密度プリントヘッド技術」の各項目に関する説明文が記載されており、該説明文の後には、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2009」が表記されている。そして、該「GENESIS」の項目には、「対応機種:キヤノフアクスL380S、L230、JX6000、L2800」の記載と共に、「キャノン独自の画像処理技術GENESISにより、原稿に忠実な高品位画質で送受信。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明かつスピーディに送信可能な『文字/写真モード』など、クリアな画像処理機能も装備しました。」の記載がされており、さらに、該説明文の右方には、乙第3号証における場合と同様に、使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
なお、本号証は、上記のとおり、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2009」の表記があることからすれば、少なくとも2009年(平成21年)時点のものと推認されるが、その打ち出し日は、各葉の右下端に「2009/12/07」の印字があることからすれば、本件審判の請求日後の2009年(平成21年)12月7日と認められる。
(イ)乙第8号証は、商標権者のウェブサイトにおける、商標権者の製造、販売に係るファクシミリ「キヤノフアクス」の「テクノロジー|高画質」と題するページの写しであって、「ウルトラファインモード」、「リアル600dpiスムージング」、「GENESIS」、「高画質コピー」、「ハーフトーン256階調」、「細かな粒子のスーパーファイントナーで高画質プリント」及び「FINE高密度プリントヘッド技術」の各項目に関する説明文が記載されており、該説明文の後には、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2008」が表記されている。そして、該「GENESIS」の項目には、「対応機種:キヤノフアクスL380S、L230、JX6000、L2800」の記載と共に、「キャノン独自の画像処理技術GENESISにより、原稿に忠実な高品位画質で送受信。また、文字と写真の混在原稿をより鮮明かつスピーディに送信可能な『文字/写真モード』など、クリアな画像処理機能も装備しました。」の記載がされており、さらに、該説明文の右方には、乙第3号証における場合と同様に、使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
なお、本号証は、体裁において異にする点はあるものの、その内容は、乙第2号証と同じであり、また、上記のとおり、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2008」の表記があることからすれば、少なくとも2008年(平成20年)時点のものと推認される。
(ウ)乙第9号証は、商標権者のウェブサイトにおける「キャノン:サポート|製品カタログ:オフィス向けファクス【キヤノフアクス】」と題するページの写しであって、「ホームページ内に掲載されている電子カタログ(PDFファイル)の一覧です。」の記載があり、「一覧」中には、「キヤノフアクスL230カタログ」、「キヤノフアクスJX6000カタログ」、「キヤノフアクスL380Sカタログ」及び「キヤノフアクスL2800カタログ」のほか、2機種の電子カタログが掲載されているところ、その「キヤノフアクスL230カタログ」の見出しの下には、乙第4号証のカタログの表紙と同じ絵図と共に、掲載日として「2008年7月3日」の記載があり、同じく、「キヤノフアクスJX6000カタログ」の見出しの下には、乙第5号証のカタログの表紙と同じ絵図と共に、掲載日として「2009年7月1日(更新)」の記載があり、同じく、「キヤノフアクスL380Sカタログ」の見出しの下には、乙第3号証のカタログの表紙と同じ絵図と共に、掲載日として「2008年7月3日」の記載があり、同じく、「キヤノフアクスL2800カタログ」の見出しの下には、乙第6号証のカタログの表紙と同じ絵図と共に、掲載日として「2008年7月3日」の記載がある。そして、該一覧の後には、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2010」が表記されている。
なお、本号証は、上記のとおり、「C(丸付き)Canon Inc./ Canon Marketing Japan Inc.2010」の表記があることからすれば、少なくとも2010年(平成22年)時点のものと推認されるが、その打ち出し日は、各葉の右下端に「2010/07/12」の印字があることからすれば、本件審判の請求日後の2010年(平成22年)7月12日と認められる。
(エ)乙第7号証は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリに同梱される送受信テスト用のシートの写し(全2葉)であって、そのいずれにも、左斜め上方に「Canon」及び「FAX Test Sheet」の記載があり、かつ、下段部に日本語、英語、中国語等による文章が表記されている。そして、第1葉の上段部には地図が表され、かつ、該下段部の文章に重ねるように、その文章の各文字よりも、縦の長さが20倍以上の大きさで、白抜きの使用標章が、独立して、目立つように表記されており、また、第2葉の上段部には女性の頭部周辺の写真が表され、かつ、該写真に重ねるように、第1葉と同様の大きさで、黒色の使用標章が、独立して、目立つように表記されている。
なお、本号証の使用時期について、それを特定し得る具体的な主張及び立証は、何らなされていない。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、商標権者は、自己の製造、販売に係るファクシミリのうち、「キヤノフアクスL380S」、「キヤノフアクスL230」、「キヤノフアクスJX6000」及び「キヤノフアクスL2800」のカタログを2008年(平成20年)7月(ただし、「JX6000」については、2009年(平成21年)6月。)に作成すると共に、ほぼ同時期に、該カタログを自己のウェブサイトに電子カタログとして掲載することにより、該ファクシミリの広告を行っていたといえる。
そして、上記各カタログ(電子カタログを含む。)には、特徴的な字体による使用標章が、文章の各文字よりも、大きく、太く、まとまりよく、独立して、目立つように表記されており、さらに、商標権者のウェブサイトにおける「GENESIS」の項目においても、同様の使用標章の表記があり、かつ、「対応機種:キヤノフアクスL380S、L230、JX6000、L2800」の記載があって、ファクシミリとの関連性が明確に示されていることからすると、該カタログやウェブサイトの使用標章の表記に接した取引者、需要者は、その表記を商標権者の製造、販売に係るファクシミリに関する標章であると認識、理解するものといえる。
なお、上記カタログによる広告等の時期は、本件審判の請求の登録(平成21年11月4日)前3年以内に当たるものである。
(3)使用標章は、別掲のとおり、特徴的な字体を用いているものの、「GENESIS」の欧文字からなるものと容易に看取、把握されるものであるから、「GENESIS」の欧文字を横書きしてなる本件商標と社会通念上同一と認められる。
また、商標権者の使用に係る商品「ファクシミリ」は、本件商標の指定商品中に含まれる商品である。
(4)請求人は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリのカタログ等(乙第2号証ないし乙第6号証)には、「GENESIS」が、商標権者が独自に開発した高品位画質での送受信を可能にする画像処理技術の名称であることは示されているが、該技術名称を付した個別の独立した商品が取引されていることを示す証拠は、何ら提出されていない旨主張する。
しかしながら、商標権者の製造、販売に係るファクシミリに用いられている「商標権者独自の画像処理技術」が、どのような技術を指すかについての詳細な説明は格別されておらず、また、上記カタログ等は、画像処理技術の販売等に係る配布物等ではなく、ファクシミリの販売等に係る配布物等であることからすれば、そのような説明は、商標権者の製造、販売に係るファクシミリが高性能、高品質等といった商品の優位性を有するものであることを強調するために用いられた、ごく一般的な広告手法といえるから、そのような説明がされているからといって、取引者、需要者が、使用標章について、商標権者の開発した画像処理技術について使用されていると理解、認識すると解することは困難であり、むしろ、商標権者の製造、販売に係るファクシミリの広告等に、その商品の出所を示す趣旨で使用されているものと理解、認識すると解するのが自然であり、合理的である。
(5)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に国内において、商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「ファクシミリ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2012-08-07 
結審通知日 2012-08-16 
審決日 2012-08-07 
出願番号 商願昭56-103053 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 1984-06-21 
登録番号 商標登録第1689805号の2(T1689805-2) 
商標の称呼 ジェネシス、ジェニシス、ジーンシス 
代理人 岸田 正行 
代理人 杉山 直人 
代理人 水野 勝文 

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