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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W0942
管理番号 1327998 
審判番号 取消2016-300586 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-22 
確定日 2017-04-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第5608877号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5608877号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年4月17日に登録出願、第9類「水質計,その他の測定機械器具,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機の貸与,コンピューターサーバーの記憶領域の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を含む、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の予告登録は、平成28年9月5日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「水質計,その他の測定機械器具,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機の貸与,コンピューターサーバーの記憶領域の貸与,電子計算機用プログラムの提供」(以下「取消請求商品及び役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、取消請求商品及び役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実は存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、証拠において、枝番全てを示す場合は、以下、枝番を省略する。
1 本件商標は、商標権者によりその指定商品である「電子応用機械器具」について、本件審判の請求の登録日前より日本国内で継続的に使用されている。
(1)乙第1号証は、本件商標の使用対象商品(以下「本件装置」という。)の販売用リーフレットである。
乙第1号証には、大きく本件商標が表示され、本件装置の写真にも本件商標が付されている。
本件装置は、主に浄水場、下水処理場において、施設の運転情報(例えば、ポンプON、ポンプOFF)、異常情報(例えば、水質異常発生、水質異常復旧)、計測値(例えば、浄水場への流量、取り込んだ原水の濁度)といった情報を収集・蓄積・加工・転送するためのサーバーコンピューターである。
本件装置は、浄水場や下水処理場を運営する地方自治体やその委託を受けて施設を管理点検するメンテナンス事業者に対して販売・貸与するもので、販売台数は限られることからカタログや取り扱い説明書は、印刷会社に発注するのではなく、自社で制作している。
(2)乙第2号証は、本件装置の取り扱い説明書である。
本件装置の機能は、データ収集機能、データ蓄積機能、データ転送機能、データ加工機能があり、商標権者が開発したソフトウェアを搭載している。
(3)乙第3号証は、乙第1号証及び乙第2号証をR&Dセンター所属の研究開発者が平成26年2月に作成した事実に関する環境開発部部長による証明書である。
(4)乙第4号証は、商標権者が本件装置の製造を富士アイティ株式会社(以下「富士アイティ社」という。)に委託した際に、先方から示された製造費用に関する見積書である。
乙第4号証中に、件名又は品名として「GSA2_IO」「GSA2IO」とあるのは、乙第2号証の「特長」の欄に「i-Curatorは、GSA2に入出力部を一体化させた装置です。」とあるように、既存の施設監視用サーバーコンピューターである「GSA2」の改良品(入出力部を意味するIOをGSA2に付加)であることを意味するものである。
(5)乙第5号証に示すとおり、商標権者は、富士アイティ社に本件装置100台の製造を発注し、乙第6号証に示すとおり、本件装置は、平成25年5月20日に納品され、請求書が発行されている。
(6)乙第7号証は、株式会社エステム(以下「エステム社」という。)からの平成28年4月7日付け見積依頼書である。件名として「I-curator 1台」との記載があり、見積仕様書にも「広域監視コンテンツ」として、マンホールポンプに設置するI-curator 1台についての買取費用の見積を求めた事実が記載されている。
(7)乙第8号証は、乙第7号証の見積依頼に対する回答として、エステム社へ送られた見積書である。
品名として、「N市マンホールポンプ様向け 広域監視サービス(従来型 機器買取) 機器費 I-Curator 1台」等と記載されている。
(8)乙第9号証は、本件装置を示す参考写真である。
当該写真は、本件審判の請求の登録後に撮影されたものであるが、本件装置に本件商標が直接表示されている事実を確認することができる。
2 結語
以上の証拠により、被請求人は、本件商標の商標権者による本件審判の請求の登録日前3年以内において、本件商標の「電子応用機械器具」についての日本国内使用事実を立証し得た。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証の1は、左上に、「i-Curator 利用シーン」の見出しの下、「遠隔でもできる施設監視/i-Curatorをインターネットに接続することで、施設から離れた場所でも施設監視を行うことができます。/収集した信号の値は・・・/i-Curatorには施設に異常が発生した際、メール発信する機能も備わっており、施設の健康状態を素早く把握できます。」との記載があり、同左下に、商標権者の名称及び住所が記載され、同右下に「Built on GSA2 Technology」の記載、該文字の上部には、本件商標と社会通念上同一の商標の表示があり、商標の上部には、「希望小売価格 オープンプライス」等の記載があることから、乙第1号証は、本件装置「i-Curator」に関する商標権者の販売用カタログ(リーフレット)であるといえる。
そして、該カタログに掲載されている本件装置の写真の表面には、本件商標と社会通念上同一の商標の表示がある。
(2)乙第2号証は、「SPECIFICATIONS SHEET」、「i-Curator」の見出しの下、「概要/i-Curatorはフィールド情報を収集して現場の情報を手軽に分かりやすく扱うことのできるユニット装置です。施設や装置を管理することなどに利用できます。GSA2に入出力部を一体化させたことによってトータルエンジニアリングコストを抑制しています。」との記載及び2頁以降の「制御部仕様」、「デジタル・パルス入力仕様」、「アナログ入力仕様」、「ACアダプタ仕様」等の記載より、全8頁からなる本件装置「i-Curator」に関する取扱い説明書といえる。
そして、該7頁の「外形図」で表されている本件装置の図の表面には、本件商標と社会通念上同一の商標の表示があり、最終頁の8頁には、「本件商標はメタウォーターの登録商標です。」の旨の記載と左下に商標権者の名称及び住所が記載され、各頁下には、「MWTDJ50020」及び「メタウォーター株式会社」の表示がある。
(3)乙第3号証は、「カタログ(『アイキュレーターBuilt on GSA2 Technology』)及び、SPECIFICATION SHEET(MWTDJ50020)は、メタウォーター株式会社R&Dセンター所属の研究開発者が顧客への製品説明に用いる目的で2014年(平成26年)2月に作成したものである。」を旨とするR&Dセンター環境技術開発部部長による平成28年10月19日付けの証明書である。
(4)乙第4号証は、富士アイティ社が商標権者に宛てた2013年3月30日付け見積書である。品名欄に「GSA2IO/型式:FSA3-DA00【手配型式:FSA3-DA00(M)】」、その内訳として「本体」、「AC電源アダプタ」、「GSAプラットフォームシステムソフト内蔵」等の記載、数量欄に「100台」との記載があって、「注文No.」を「P00028393」とし、「依頼No.」を「R30006810」とするものである。
(5)乙第5号証及び乙第6号証は、商標権者から富士アイティ社に宛てた2013年4月23日付けの注文書(控)及び富士アイティ社から商標権者に宛てた同年5月20日付けの請求書であって、それぞれ「注文(書)No.P00028393」、「依頼No.R30006810」、品名・規格寸法欄に「GSA2IO/FSA3-DA00」、数量欄に「100台」との記載があり、該「GSA2IO」は、同年5月20日に商標権者に納品されている。
(6)乙第7号証は、エステム社からの2016年(平成28年)4月7日付け見積依頼書及び別紙見積仕様書であって、見積依頼書には、件名として「I-curator 1台」との記載、3葉目の見積仕様書の「2.広域監視コンテンツ」には、「監視機種」の欄の5行目に「I-curator」、「台数」の欄に「1」、「設置位置」の欄に「マンホールポンプ」及び「備考」欄に「買取費用」との記載、及び乙第8号証は、乙第7号証の見積依頼に対する回答として、商標権者からエステム社宛ての同日付け見積書であって、品名として、「N市マンホールポンプ様向け 広域監視サービス(従来型 機器買取)」、「機器費 I-Curator 1台」等と記載されている。
(7)乙第9号証は、本件装置を示す参考写真であって、商標権者は、当該写真は、本件審判の請求の登録後に撮影したものと主張しているところ、本件装置の表面に本件商標と社会通念上同一の表示が付されている。
2 判断
上記によれば、商標権者は、富士アイティ社に品名を「GSA2IO」とする装置の製造を委託し、該装置は、要証期間前の平成25年5月20日に納品されている。そして、商標権者は、平成26年2月に、顧客への製品説明に用いる目的で、「GSA2」とする装置と入出力部(IO)を一体化した装置である本件装置のカタログ及び説明書を作成したと認められる。
そうすると、商標権者が富士アイティ社に製造委託した品名を「GSA2IO」とする装置は、本件装置と同一のものといい得るものであり、また、本件装置は、データ収集機能やデータ転送機能を有するGSAプラットフォームシステムソフト内蔵のサーバーコンピューターであるといっても差し支えないものである。
そして、本件装置のカタログ及び説明書に記載の本件装置の写真及び図の表面には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されている。
さらに、商標権者は、2016年(平成28年)4月7日付けのエステム社からの見積依頼を受けて、「広域監視サービス(従来型 機器買取) I-Curator 1台」とする見積書を同日付けでエステム社に宛てている。
してみると、商標権者は、本件装置に関するカタログ及び説明書を本件審判の要証期間内(平成26年2月)に作成し、本件装置に関して機器買取の見積り(平成28年4月7日)をしていることから、本件審判の要証期間内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されている本件装置を販売目的で有していたといい得る。
3 小活
以上を総合すると、商標権者は、本件審判の要証期間内に本件装置(ソフトウェア内蔵のサーバーコンピューター)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものと認めることができる。
そして,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第1号にいう「商品に標章を付する行為」に該当するものと認められる。
また、本件装置である「ソフトウェア内蔵のサーバーコンピューター」は、本件審判の取消請求商品及び役務中、第9類の「電子応用機械器具」の範ちゅうに属する商品である。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が取消請求商品及び役務に包含される「ソフトウェア内蔵のサーバーコンピューター」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、取消請求商品及び役務について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲(本件商標)

審理終結日 2017-02-14 
結審通知日 2017-02-17 
審決日 2017-03-09 
出願番号 商願2013-28661(T2013-28661) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波方 美奈子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
大森 友子
登録日 2013-08-16 
登録番号 商標登録第5608877号(T5608877) 
商標の称呼 アイキュレーター、キュレーター 
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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