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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y07
管理番号 1327144 
審判番号 取消2015-670013 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-04-28 
確定日 2017-01-18 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第840884号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 国際登録第840884号商標の指定商品中,第7類「robots(machines),mixers」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第840884号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,2004年1月26日にFranceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2004年(平成16年)7月26日に国際商標登録出願,「robots(machines),mixers」を含む第7類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成18年10月6日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成27年5月12日にされたものである。
また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同24年5月12日から同27年5月11日までの期間を,以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第7類「robots(machines),mixers」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証は,関東混合機工業株式会社(以下「関東混合機工業」という。)の日本におけるカタログに「SPI160FX」という型番のミキサーが記載されていることを示すものである。
しかしながら,乙第2号証の記載からは,「SPI160FX」なる型番のミキサーに如何なる商標が使用されたか及びその商標が使用された時期は不明である。
(2)乙第3号証の1ないし3には,各号証に記載された商標が外国語のカタログにおいて使用されていることが示されている。乙第3号証の1は,「SPI160FX+」という型番のスパイラルミキサーのカタログにおいて,「VMI」の文字とその左側の2つの図形を結合した商標(別掲2:以下「使用商標1」という。なお,図形の色彩が異なるものも含む。)が使用されたことを示すものである。
また,乙第3号証の1の右下には「APRIL 2013」なる日付が付されている。
しかしながら,乙第3号証の1に記載された使用商標1は,「VMI」の文字の左側に2つの図柄が存在する点で,「VMI」の右側に1つの図柄が存在する本件商標とは相違する。また,図柄の形状も,本件商標と乙第3号証の1に記載された使用商標1では全く異なるものである。さらには,「VMI」の字体も本件商標と乙第3号証の1に記載された使用商標1では異なる。
以上から,本件商標と乙第3号証の1に記載された使用商標1は,全体としてみれば全く異なるものであるといわざるを得ない。
すなわち,乙第3号証の1の記載は,要証期間内の時期に「SPI160FX+」という型番のスパイラルミキサーに本件商標とは異なる使用商標1が使用されていたことを示唆するものである。
乙第3号証の2及び乙第3号証の3は,本件商標が種々のミキサーのカタログに使用されていることを示すものである。
しかしながら,乙第3号証の2及び乙第3号証の3には,「SPI160FX」以外の型番のミキサーしか記載されておらず,また,これらのカタログが使用された時期についても明らかにされていない。
(3)乙第4号証及び乙第5号証は,各々,関東混合機工業宛ての,「VMI」の社名が付された注文確認書および請求書である。
乙第4号証及び乙第5号証に記載された商標は,乙第3号証の1に記載された使用商標1と同じであるから,上記(2)で説明したのと同じ理由により,本件商標と乙第4号証及び乙第5号証に記載された商標とは全く異なるものである。
乙第6号証及び乙第7号証は,各々,関東混合機工業が「SPI-160FXプラス」の型番のスパイラルミキサーを常盤産業株式会社に販売した際の,受注票および納品書である。これらの証拠からは,かかる販売の際に「SPI-160FXプラス」の型番のスパイラルミキサーに如何なる商標が使用されていたかは明らかでない。仮に,乙第3号証の1,乙第4号証及び乙第5号証に付されていた使用商標1と同一の商標が当該販売の際に使用されていたとしても,上記(2)で説明したのと同じ理由により,乙第3号証の1,乙第4号証及び乙第5号証に使用されていた使用商標1は本件商標とは明らかに異なるものであるから,被請求人が関東混合機工業を通じて本件商標が使用されている商品を我が国で販売していたとすることを何ら証明するものではない。
(4)以上のとおり,被請求人の主張によっては,要証期間内に日本国内において商標権者であるVMIまたは通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことは何ら証明されていない。
よって,第7類「robots(machines),mixers」に係る本件商標は,商標法第50条の規定により取消を免れないものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判請求書は成り立たない,審判費用は,請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,その理由を,審判事件答弁書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証及び乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の日本企業を通じた使用
被請求人は,日本の企業である関東混合機工業を通じて日本において本件商標を付した商品を販売している。関東混合機工業は,日本において商標権者の商品を流通する際は,被請求人の商品に自己の商標を付して販売している。関東混合機工業のHP上で確認することが出来る食品用ミキサーのカタログ及び関東混合機工業が注文の際に確認する被請求人の商標が付してあるミキサーの型番が,SPIシリーズで共通し,また,カタログ上にある本件商標を付したミキサーも共通するため,上述の事実は明らかである(乙2,乙3)。
被請求人は,当該事実を立証するために,被請求人である「VMI」から関東混合機工業宛の注文確認書及び請求書を提出する(乙4,乙5)。また,関東混合機工業が被請求人から購入した製品を取引先に販売した際の受注書及び納品書を併せて提出する(乙6,乙7)。
請求書には,本件商標である「VMI」が記載されており,また,本件商標の指定商品中に含まれている「SPIRAL Mixer」のSPIが記載されている。このことから,被請求人は日本において関東混合機工業へ「MIXER」に本件商標を付して販売していたことは明らかである。
なお,当該請求書にはSPIという型番は記されていないが,注文確認書に記載のオーダー番号と,請求書記載のオーダー日の番号が一致するため,請求書は,本注文確認書の請求書であることは,明らかである。
また,被請求人は関東混合機工業を通じて(関東混合機工業を問屋として)本件商標が使用されている商品を我が国で販売していたことから,同人が本件商標を使用していたといえる。仮に,被請求人が使用されていないとされたとしても,関東混合機工業に上記商品を販売させたことによって黙示の使用許諾をしていたと解される。したがって,本件商標は被請求人である商標権者自身ないしは使用権者によって使用されていたといえる。
以上述べたことから,被請求人又はその黙示の通常使用権者は,商標法第2条第3項第2号又は第8号の規定により,本件商標の使用を行っていたことが明らかである。
2 本件審判の予告登録前3年以内による本件商標の使用
本件審判は平成27年5月12日に予告登録されたが,答弁書において提出した証拠から遅くとも2015年(平成27年)1月には本件商標が使用されていたことは容易に推測可能である。
以上により,本件商標は,本件審判の予告登録前3年以内に被請求人により使用されていたことは明らかである。
3 まとめ
以上述べたことからして,本件商標が,本件審判の取消請求に係る商品について予告登録前3年以内に被請求人によって使用されていたことが客観的に証明された。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠について
(1)乙第2号証は,関東混合機工業の商品の「カタログ」である。1葉目の表紙には,「SPISeries」の文字があり,3葉目に「SPISeries」として,ミキサーの写真の下に「SPI-60・80・120/160・200FX(1袋用?4袋用)/関東スタンダードのスパイラルミキサー。」の記載がある。なお,該カタログには,本件商標は表示されておらず,かつ,その発行日の記載もない。
(2)乙第3号証の1は,外国語で作成された被請求人の「カタログ」とされるものである。そして,これには,左上に,使用商標1が表示されており,その右横には,「SPIRAL MIXERS WITH FIXED BOWL FX+」,その下には,「SPIRAL MIXERS FX+」と「SPI 160 FX+/-267L fixed motorized stainless steel bowl -Power 11kW」,右下には,「APRIL 2013」の記載がある。
(3)乙第3号証の2は,外国語で作成された被請求人の商品の「カタログ」とされるものである。1葉目には,「Double spiral mixers」,2葉目には,「Spiral mixer」の記載があり,1葉目及び2葉目の右下並びに3葉目の下部には,「Vmi」の欧文字とその右側に楕円形の右下4分の1を残した扇形の図形に,円の中心点と水滴の上部を重ねた水滴の図形部分を白抜きにし,上部を青色に,下部を赤色で着色した図形を配してなる商標(以下「使用商標2」という。)の表示がある。
また,4葉目には,上部に「Spiral mixers/Amasadoras de espiral Spiralkneter」の記載があり,その右下及び,中央に写っている機械の上部に使用商標2の表示がある。なお,該カタログには,その作成日がない。
(4)乙第3号証の3は,被請求人が本件商標を付して販売することを証明する外国語で作成された「ウェブページ」とされるものである。そして,左上に「GUYON/WEST」の文字とその下に「VMI Mixers」の記載があり,右下に使用商標2の表示があり,その下に,「2015/10/20」の出力日の記載がある。
(5)乙第4号証は,被請求人から関東混合機工業へ製品を販売する際の「注文確認書」とされるものである。これの左上には,使用商標1の表示がある。
(6)乙第5号証は,被請求人から関東混合機工業へ製品を販売する際の「請求書」とされるものである。これの1葉目及び2葉目の左上には,使用商標1の表示がある。
(7)乙第6号証は,関東混合機工業から取引先へ被請求人の商品を販売することを証明する「受注票」とされるものである。上部の「受注票」の記載の下に,「製品受注 SPI-160FX 売上」の記載があり,表中には,「受注番号 JU14-06990」,「受注日2014/11/16」の記載がある。
(8)乙第7号証は,関東混合機工業が取引先へ被請求人の商品を販売することを証明する「納品書」とされるものである。上部の「納品書」の記載の左上には,「146-0091/東京都大田区/鵜の木3-13-13/常盤産業株式会社/ジュノエスクベーグル事業部/ご担当様」の記載があり,右上部には,「関東混合機工業株式会社/東京出張所/〒174-0061/東京都/板橋区大原町3-12」の記載がある。
そして,中央に「日付:2015/3/20」,「売上伝票番号:JU14-06990-01」,「取引区分:1/輸入関連」,「品名・品目・型式:スパイラルミキサー PP263/SPI-160FXプラス」及び「数量:1個」の記載がある。また,下部に「納品先:常盤産業株式会社ジュノエスクベーグル事業部」の記載がある。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用者について
被請求人は,被請求人自身ないし関東混合機工業によって本件商標を使用していると主張するが,被請求人提出の証拠からは,被請求人又は関東混合機工業が本件商標を使用している事実を見いだすことができない。
(2)使用商標について
乙第3号証の2及び乙第3号証の3に表示されている使用商標2は,本件商標とは同一の商標と認められるものである。
また,その他の乙第3号証の1,乙第4号証,乙第5号証に表示されている使用商標1は,本件商標とは,文字の字形,左側にある図形の形状及び2段目の「THE MIXING COMPANY」の欧文字の有無から,その構成態様の相違するところであるから同一とはいえないものである。
(3)本件商標の使用及び使用時期について
ア 乙第3号証の2は,外国語で作成されたカタログであり,本件商標と同一の商標が表示されているが,該カタログの作成日の記載がなく,かつ,これが要証期間内に日本国内において頒布された事実を証する証拠は提出されていない。
イ 乙第3号証の3は,外国語で作成されたウェブページであり,本件商標と同一の商標が表示されているが,その作成者が被請求人であることが確認できず,また,印字されている日付は,要証期間外のものである。
ウ これ以外の証拠には,要証期間内に本件商標を表示したものは提出されていない。
(4)小括
以上によれば,被請求人が提出した全証拠によっては,被請求人が,外国語で作成されたカタログに本件商標を使用している事実は認められるものの,該カタログについては,その作成及び頒布された時期は明らかにされておらず,また,ウェブページについては,その作成者が被請求人であることが確認できず,かつ,その印字日が要証期間外のものである。
さらに,これ以外の証拠には,要証期間内にその請求に係る指定商品について,本件商標を使用していた事実は認められない。
3 むすび
してみれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について,本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,請求に係る指定商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「robots(machines),mixers」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】


審理終結日 2016-07-21 
結審通知日 2016-07-26 
審決日 2016-09-13 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y07)
最終処分 成立  
前審関与審査官 酒井 福造 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 2004-07-26 
商標の称呼 ブイエムアイ 
代理人 特許業務法人小田島特許事務所 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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