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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X03
管理番号 1327128 
審判番号 取消2015-300669 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-05-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-09-17 
確定日 2017-03-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5318172号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5318172号商標(以下「本件商標」という。)は,「MicroBeauty」の欧文字を横書きしてなり,平成21年1月22日に登録出願,第3類「家庭用脱脂剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,合成香料,つや出し布,つけづめ」及び第9類「光学機械器具,電池,電気通信機械器具,眼鏡,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,電子出版物」を指定商品として,同22年4月23日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年10月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第3類「化粧品」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書,口頭審理陳述要領書及び平成28年8月8日付けの上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証及び甲第14証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第3類「化粧品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)薬事法第12条によれば,厚生労働大臣により,化粧品製造販売業の許可を受けた者でなければ,業として,化粧品の製造販売をしてはならないとされている(甲1)。
しかしながら,被請求人の提出した証拠のいずれにも,化粧品製造販売業の許可事業者である旨の表示はされておらず,また,その他に,化粧品製造販売業の許可を得ていることを示す立証資料も提出されていない。また,請求人は,被請求人である株式会社ビービーシー(以下「ビービーシー」という。)及び乙第3号証の「納品・請求書」のあて先であり,かつ,被請求人代表者が代表を務める株式会社キャンパック(以下「キャンパック」という。)の各登記簿を確認したが,会社の目的には,化粧品の製造販売に関する記載は見あたらない(甲2)。そのため,被請求人が化粧品製造販売業の許可を受けた者であるかどうかの確認はできない。
(2)乙第1号証の上段の写真によれば,「MicroBeauty」の文字が,「スキンケア」の文字と共に,商品の包装箱及び包装袋に記載されていることが確認できる。
しかしながら,当該写真は,不鮮明であるため,被請求人が述べる「美容パック」であることを示す文字も視認できず,乙第1号証の中段及び下段の写真に示されるような商品が包装されているものであるのかも明らかでない。
また,「スキンケア」の文字は,スキンケア用薬剤,化粧用具その他のスキンケア用品全般に使用される文字であるから,「スキンケア」の文字が記載されていることのみをもって,前記包装箱及び包装袋が,「化粧品」の包装箱及び包装袋であると断定することもできない。
さらに,乙第1号証の各写真は,そのいずれにも撮影日の記載がないため,いつ撮影されたものかが不明であり,これが,乙第3号証に示される「2015年9月10日」に納品された商品であると認めることもできない。
その他,乙第1号証の上段の写真には,販売者等を表したと思しき部分やバーコードのように思われる部分があるものの,これらの情報も不鮮明で視認できない。
(3)被請求人が提出した乙第2号証によれば,「MicroBeauty スキンケアパック」の文字及び「2015年9月より日本で販売開始!」との記載が確認できる。
しかしながら,乙第2号証に係る「商品カタログ」の頒布部数,頒布方法,頒布日時等については,何ら立証がなされていない。
そして,乙第2号証によれば,価格について,日本卸単価「880円/枚」,希望小売価格「1,980円/枚」と記載されており,スキンケアパック1枚の卸単価が880円であり,スキンケアパック1枚の希望小売価格が1,980円との記載であることが確認できる。
この点,商品の販売事業者は,値札やチラシにおいて,取引価格を表示する際に,予め消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた表示(総額表示)が義務付けられていることからすれば,上記各価格は,税込み価格と推認されるが,乙第3号証における単価「880」円の記載と一致するものの,乙第3号証における「明細金額は税抜きです。」との記載とは,記載内容に明らかな矛盾が認められる。
また,乙第2号証には,「目元のしわをオーラルにケアする」との文章が大きく書かれているが,スキンケアパックは,オーラルケア用の商品ではないことからすると,当該文章は,スキンケアパックの宣伝のために書かれた広告として,記載内容に明らかな矛盾が認められる。
(4)乙第3号証は,ビービーシーにより発行された「納品・請求書」と題する資料であることが確認できる。
しかしながら,乙第3号証には,「明細金額は税抜きです。」と記載されているにもかかわらず,「単価」の欄には,乙第2号証に記載された日本卸単価「880円/枚」と同額の「880」円の記載がされている。広告物に税額が明示されていない場合は,総額表示義務違反となることから,前述のとおり,乙第2号証における記載内容は明らかな矛盾が認められる。
そして,化粧品に限らず,販売商品には,一定の品番・型番その他のコードが付与され,伝票に記載されるのが一般であるところ,甲第4号証においては,「MicroBeautyコスメティック・クリーナー&クロスセット」のみ「品番・品名」が記載されていないにもかかわらず,「マルチケース K-856 【折畳ケース】ブラック/WTステッチ」,「プラセミハード 4003F グレー」のように,「MicroBeauty」以外の商品には,すべて「品番」が記載されていることから,被請求人は,通常,「品番・品名」欄には,必ず品名とともに品番を入れて管理していることがうかがえる。一方,乙第3号証の「品番・品名」の欄には,品名のみが記載され,品番が記載されていない。そうとすると,被請求人は,甲第4号証及び乙第3号証のいずれにおいても,「MicroBeauty」に係る商品のみ,品番を記載していないことになり,その他の商品の取扱いに関する矛盾が認められる。
また,乙第2号証に示されるとおり880円は1枚あたりの卸単価であるから,被請求人は,発売日である2015年9月10日以降,合計6枚の製品を,被請求人代表者が代表を兼ねる関連会社に対してのみ販売したと主張することになるが,「全国に頒布」したとする乙第2号証とは,販売数量や地域等に著しい乖離があるため,乙第3号証の記載は,乙第2号証の客観的証明力にも影響を与える。
以上のとおり,乙第3号証に記載された取引先が,被請求人と緊密な関係にあって,実質的に同一人と推認できることや,上述のとおりの記載における各矛盾点を総合的に勘案するならば,乙第3号証には,客観的な証拠力を認めることができず,また,その他の各証拠資料との関係を考慮しても,2015年9月10日に,本件商標が付された「化粧品」の販売がなされたという事実及びその他のいずれの被請求人の主張に係る事実をも立証し得るものではない。
(5)被請求人の主張する使用事実は,請求人提出の証拠により示された事実によれば,かけこみ使用であり商標法第50条1項における登録商標の使用ではない(甲7,同3項)。
3 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)証拠の作成日等について
被請求人は,「異なる取引先に販売している」ことを主張するが,乙第4号証及び乙第5号証は,写真の撮影日,撮影場所等が不明であり,乙第7号証は,作成日,配布先,配布方法,配布時期,印刷方法等が不明である。また,乙第4号証及び乙第5号証に撮影されている商品がいつ製造されたものかも不明である。さらに,乙第6号証については,乙第4号証及び乙第5号証との関係が不明である。
(2)販売時期について
被請求人は,「異なる取引先に販売している」と主張するが,販売時期に関する被請求人の主張は変遷しており,提出する各証拠の記載内容も信用できるものではなく,該当する取引は存在しないものと考えられる。
被請求人は,「2013年より美容パックによる目元のしわをケアする化粧品(乙1)の企画・開発を開始し,2015年より商品カタログ(乙2)を全国に頒布し,同年9月より納品伝票(乙3)の通り販売を行っている」と主張する。すなわち,被請求人による「美容パックによる目元のしわをケアする化粧品」の販売は,2015年以前は行われておらず,2015年9月より販売されたとの主張であるとみるのが自然である。
しかし,乙第6号証によれば,「2014年12月26日」の趣旨と解される「14年12月26日」との日付が記載されている。
この点,仮に被請求人又はキャンパックが,既に平成26(2014)年12月に美容パックを販売していたのであれば,答弁書においても当然そのように主張し,証拠を提出したはずである。しかし,答弁書においては被請求人が「同年(2015年)9月より」販売を行っていると明記し,平成26(2014)年の取引については何ら言及していないのは,平成26(2014)年12月には美容パックを販売していなかったからと考えるのが自然である。
(3)製造販売主体について
被請求人は,陳述要領書において,「被請求人は化粧品製造許可及び化粧品製造販売許可を有する外部取引先にて本件商標が付された『化粧品』の製造・管理を行っており,被請求人は発売元として商品を流通している。」と,製造・管理を行っているのは「外部取引先」である旨,唐突に述べている。
当初は化粧品の製造・販売はいずれも被請求人自身が行っているかのような主張であったにもかかわらず,製造は外部取引先が行っているとして,主張が変遷している。
また,陳述要領書において「基本的に被請求人は,企画,開発,生産を主な業務とし,丙社(キャンパック)は販売を目的として」と述べている。他方,被請求人がキャンパックにより販売していたとする商品には,発売元として「株式会社ビービーシー福井県鯖江市吉谷町15-112お問い合わせ0778-52-8833」と記載されている(乙5)。
このように,被請求人が発売元として介在しているのかいないのか,実際の商流さえ,被請求人陳述要領書の記載及び提出した証拠からは判然としない。
さらに,被請求人は,2013年より化粧品の研究・企画・テスト製造をすると「同時に」,化粧品製造許可並びに化粧品製造販売許可を「現在は取得している」と主張する。
この点,被請求人が福井県の化粧品製造業許可及び化粧品製造販売業許可を受けたのは,いずれも平成28年6月1日である(甲10)。これ以前には,被請求人が自ら化粧品を製造し,製造した化粧品を販売することは,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」に違反する。
したがって,答弁書において「2013年より美容パックによる目元のしわをケアする化粧品(乙1)の企画・開発を開始し,2015年より商品カタログ(乙2)を全国に頒布し,同年9月より納品伝票(乙3)のとおり販売を行っている」としたのが,被請求人自身による化粧品の製造及び販売行為であれば,違法行為である。
他方,美容パックの製造を外部委託し自社ブランドとして販売するだけであれば,当該委託先が化粧品製造業許可及び化粧品製造販売業許可を受けていれば足り,被請求人自身がこれらの許可を受ける必要はない。
このように,製造,販売主体に関する主張が変遷し,必要ではない化粧品製造業許可及び化粧品製造販売業許可を平成28年6月1日になって受けたのは,弁駁書にてこれらの許可についての指摘があったためと考えられる。
なお,化粧品製造業許可等の申請が受理されてから許可証発行までの平均的な事務処理期間は自治体によっても異なるが,ホームページ等に公開された情報によれば東京都では約7週間,大阪府では60日,兵庫県では90日程度等とされている。被請求人の申請時期は不明であるが,福井県における申請から許可証発行までの処理期間も他の自治体と概ね同程度と思われること,登記された会社の目的に「化粧品の製造,販売等」といった記載がないこと(甲2の1及び2)こと等から,申請時期は今年に入ってからと推量される。
また,被請求人の製造委託先は明確に主張されてはいないが,乙第5号証の記載によれば,株式会社ゼロ・インフィニティ(以下「ゼロ・インフィニティ」という。」)である。ゼロ・インフィニティのホームページによれば,小ロットから自社ブランドの化粧品が製造可能と謳っている。そして,商品に関する打ち合わせから試作品の提出まで1?2週間程度,内容物及びパッケージが決定し正式発注してから最短30日程度で納品可能であり,比較的短期間で商品化が可能である(甲11)。
したがって,仮に本件審判請求後に着手しても,美容パックの商品化は可能である。
(4)販売先について
乙第6号証には,「高島眼鏡(有)」と記載されているが,登記情報(甲12)によれば,乙第6号証に記載の住所には,「有限会社高島眼鏡」の情報が掲載されており,商号が異なっている。
また,当該「高島眼鏡(有)」の表示は,本件商標と対象とする件外取消審判(取消2015-300229)の乙第2号証の「納品・請求書」にも記載されている(甲4)。
通常,取引先の商号を誤れば,指摘を受けるとみるのが自然であり,継続的に取引先の商号を誤るとは考えがたいことからすれば,乙第6号証は,「有限会社高島眼鏡」との取引が実際に行われたことを示す客観的証拠力に欠ける。
(5)まとめ
以上のとおり,被請求人の陳述並びに乙第4号証ないし乙第10号証は,平成28年5月24日付け審理事項通知書で示された暫定的な見解に影響を与えるものではない。
4 平成28年8月8日付け上申書
(1)乙第5号証の撮影日時について
平成28年7月11日の口頭審理において,被請求人より,被請求人提出の画像データは,マイクロソフトコーポレーションの表計算ソフト「エクセル」のシートに貼り付けて管理しているため,提出した乙各号証における画像の撮影年月日は不明であるとの趣旨の陳述があった。そこで,請求人代理人よりその場で,その画像データのプロパティの確認を求めたが,その際,画像データのプロパティ情報の提供はなされなかった。
その後,前記上申書において,被請求人により,「image0181.jpg」に関して印刷された文書が提出された(乙11)。しかし,当該文書は,3つのスクリーンショットに係る画像を貼り合わせて,各スクリーンショットに係る画像をまたがるように矢印等を付すなど,任意に加工された資料であり,かつ,印刷してなるものであって,データ自体ではないため,前記画像データの真正のプロパティ情報を示す証拠とはならない。
また,画像データの撮影年月日については,例えば,カメラの日時設定が違っていた場合などに,撮影日を書き換えることは,「Windowsフォトギャラリー 取り込んだ写真のデータの撮影日時を修正する方法<WindowsVista(R)」(甲14)のような方法により一般に行われている。
したがって,乙第11号証をもって,「image0181.jpg」に示される画像の撮影年月日を立証することはできない。
しかも,乙第11号証には「撮影日時:2014/12/25 12:11」と読み取れる記載があるが,被請求人提出に係る平成28年6月10日付証拠説明書には,乙第4号証及び乙第5号証の作成年月日は「平成26年12月10日」となっており,矛盾する。
商品の写真を何のために撮影したのかも不明である。
(2)高島眼鏡(有)宛 納品書控え(乙12)について
乙第12号証として提出された「高島眼鏡(有)宛て 納品書控え」は,乙第6号証と同じものであるため,乙第6号証を何ら補強するものではない。
(3)高島眼鏡(有)宛 請求書控え(乙13)ないし高島眼鏡(有)宛 領収書(乙18)について
ア 「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13),「高島眼鏡(有)の得意先元帳」(乙15)及び「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)は,「高島眼鏡(有)宛 納品書控え」(乙12)と同様,商品画像(乙4及び乙5)との関係が不明であり,何らこれらの関係性の立証を補強するものではない。
「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)においては,ほぼすべての伝票の「品番・品名」欄に品番や型式など等が詳細に記載されているにもかかわらず,「伝票No.」欄の「103631」及び「103742」のみ,何ら品番や型番などが記載されていない。予め販売のために用意された商品について,品番等の記載がないことは,他の各商品に関する記載との関係において不自然である。
イ 「高島眼鏡(有)宛 領収書控」(乙14)及び「高島眼鏡(有)宛 領収書」(乙18)について
「高島眼鏡(有)宛 領収書控」(乙14)及び「高島眼鏡(有)宛 領収書」(乙18)は,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13),「高島眼鏡(有)の得意先元帳」(乙15)及び「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)が本件商標の要証期間における使用を客観的に裏付けるものではない以上,当該使用の事実の立証を何ら補強するものではない。
「高島眼鏡(有)宛 領収書控」(乙14)には,品番,型式はもとより,品名も記載されていないため,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)及びその他の提出資料との関連性は不明である。とりわけ,本件商標の付された商品代金の支払いに関するものであるかは立証し得ない。
また,仮に,当該「領収書」に係る金員の授受があり,当該「領収書」のみが実際に存在したとしても,それが,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)に対応するものであるかという点を立証するものでない。また,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)自体が,「高島眼鏡(有)宛て納品書控」(乙12)と同様,商品画像(乙4及び乙5)との関係が不明であり,かつ,前記のような疑義がある以上,本件商標の要証期間における使用を客観的に裏付けるものではない。
「高島眼鏡(有)の得意先元帳」(乙15)には,「16年7月7日作成」の記載がある。つまり,作成日は2016(平成28)年7月7日であり(「印刷日」ではない),本件取消審判の口頭審理に合わせて作成されたことは明らかである。また,[14年12月21日?15年2月20日](乙15)という取引期間の記載も,請求締め日間の1ヶ月でもなく,会計年度の1年でもない不自然な期間となっている。なお,平成28年7月25日付け被請求人の上申書にも「得意先元帳」(乙15)の作成年月日は平成28年7月7日と記載されている。実際に得意先元帳を作成した日が取引日後同一会計年度内の日であればそのように主張するはずであり,日付までは不明であっても例えば「平成27年1月頃」などとすることも可能であるのに,作成日として平成28年7月7日と記載しているのは,単なる印刷日ではないことを被請求人自身が認めているといえる。
ウ 被請求人は,前記上申書において,「高島眼鏡(有)宛 納品書」(乙16),「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)及び「高島眼鏡(有)宛 領収書」(乙18)を提出しているが,いずれも,「高島眼鏡(有)宛 納品書控え」(乙6,乙12),「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)及び「高島眼鏡(有)宛 領収書控」(乙14)と同様の内容が示されているのみであるから,本件商標の要証期間における使用を客観的に裏付けるものではなく,当該使用の事実の立証を何ら補強するものではない。
また,「高島眼鏡(有)宛 納品書」(乙16),「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)には,請求書や納品書には通常押されている社印もなく,控えと殆ど区別がつかない。
これらの文書のいずれにも,「高島眼鏡(有)」による検収印や受領印などは押されておらず,手書きの文字等が加えられた形跡も一切ない。
(4)受注内容確認書(乙19)ないし納品書(控え)(乙26)について
被請求人は,「ゼロ・インフィニティ」から発行された資料として,それぞれ「受注内容確認書」,「請求明細書」,「領収書」及び「納品書」と記載された書類写しを提出しているが(乙19ないし乙22),本件商標の要証期間における使用を客観的に裏付けるものではない以上,当該使用の事実の立証を何ら補強するものではない。
ア ゼロ・インフィニティのウェブサイト上の記載(甲11の1)によれば,打ち合わせにより内容物やパッケージを決めるとされているのに,「受注内容確認書」(乙19)からは,内容物やパッケージは一切不明であり,本件商標を表示した製品が被請求人が有限会社高島眼鏡に販売したと主張する日以前に製造され,被請求人に納品されたという事実は確認できない。ゼロ・インフィニティのウェブサイト上の記載(甲11の1)によれば,最低ロットは100個(「容器も含め,最低ロット100個から対応!」)とされているのに,12個しか納品されていない(乙19ないし乙26)のも不自然である。
イ 「領収書」(乙21)には,品番,型式はもとより,品名も記載されていないため,「請求書明細書」(乙24)及びその他の提出資料との関連性は不明である。
通常,法人の領収書には,社印が捺印されるのが一般的であるが,「領収書」(乙21)は,形式的に,有印の私文書の写しと見受けられるものの,「高島」との捺印があるのみで,発行者の社印が押されていないことから,いかなる者が発行した領収書の写しであるかが明確ではない。
ウ 「納品書」(乙22)には,何ら捺印等はなされておらず,発行者の住所の記載すらない。よって,いかなる者が発行した納品書の写しであるかが明確ではない。
「受注内容確認書」(乙19)及び「請求明細書」(乙20)は,一連の取引に関する書類の作成が可能な業務用ソフトなどを使用して,印字,作成された書式によるものと見受けられ,伝票番号,商品コードが記載されている。(作成年月日には疑義がある)。これらに対応する「領収書」及び「納品書」のみが,これらとは異なり,一般に市販される形式の「領収書」及び「納品書」が使用され,かつ,手書きで記載されている点は非常に不自然である。
エ 「受注内容確認書」(乙19)においては,「発注日」の欄に「11月7日」との記載及び被請求人の捺印と思しき印影が見受けられるのに対して,「請求明細書」(乙20)の日付は「2014年10月28日」となっており,正式な発注の意思表示前に「請求明細書」(乙20)が発行されているのは極めて不自然である。
また,通常の商取引においては,他社から納品書や請求書などを受領した場合,受領の際,検収印や受領印などが押され,請求関係の書類に関しては,支払いの際に支払済といった印を押したり,納品書等との照合の際にチェックをつけたりするなど,受領者によって何らかの記載等が施されるのが一般的であるが,これらの文書のいずれにも,「ゼロ・インフィニティ」による検収印や受領印などは押されておらず,手書きの文字等が加えられた形跡も一切ない。
(5)業務委受託契約書(乙27)について
被請求人は,「業務委受託契約書」(乙27)の写しを提出しているが,これは,その体裁や内容からして,いわゆる取引基本契約書にあたるものであり,取引期間中に個別契約が存在したことやその内容を示すものではない。「業務委受託契約書」には本件商標に関する記載は一切なく,本件商標の要証期間における使用を客観的に裏付けるものではない以上,当該使用の事実を何ら立証するものではなく,当該事実の立証を何ら補強するものではない。
(6)被請求人ウェブサイト等
被請求人の販売サイトにおいても,本審判の請求前より現時点まで,一貫して,本件商標を使用した化粧品は販売されていない(甲15)。キャンパックの販売サイトにおいても,眼鏡拭き用のクロス,化粧品,眼鏡クリーナー等,本件商標を使用した商品は一切販売されていない(甲16)。
被請求人は,口頭審理において,乙第7号証等の広告物の配布は「その都度,パソコンからカラープリントして,眼鏡等の取引書類に同封した」という趣旨の陳述をしたのみで,具体的な印刷枚数,配布先,配布年月日その他の配布状況を一切明らかにしておらず,また,被請求人よりは,配布後の受注に関する取引書類等の提出は一切ない。
そうとすれば,被請求人の提出に係る各乙号証は,いずれも,本件商標の要証期間における使用を証明し得ていないものや,証拠の真実性自体に疑念を生ずるものばかりであるから,これらをもって,本件商標を使用されていたものと認めることは到底できない。また,再三の証拠の補充の機会にかかわらず,被請求人からは,当該疑念を払拭する明確な証拠は得られていないことから,被請求人と関係のある有限会社高島眼鏡及びゼロ・インフィニティ所持の被請求人との取引に関する文書の被請求人経由での入手は不可能に等しい状況であり,文書送付嘱託以外に当該文書を確認する術はないと考えるため,請求人は,ゼロ・インフィニティ及び有限会社高島眼鏡が所持する被請求人との取引に関する文書についての平成28年7月1日付けで提出した各文書送付嘱託申立をしていただきたい。
(7)その他
被請求人が,取引があったと主張する内容も,被請求人自身が自認するように,キャンパックヘの取引1件以外には,有限会社高島眼鏡に対する1件のみ,販売数量も10(枚)とごく少量であり,その範囲はきわめて限定的である。
本件の場合,仮に,被請求人の主張する取引があったとしても,要証期間の3年の間に僅か2回の取引であり,かつ,極めて少量の商品を,子会社を除けば1社のみとの間で行なったという取引の内容であって,反復,継続してなされる通常の取引形態とは言いがたいものであるから,当該取引をもって,本件商標を指定商品「化粧品」について使用したと評価することはできない。
(8)以上より,本件商標は,その指定商品中,第3類「化粧品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないものであるため,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,審判事件答弁書,口頭審理陳述要領書及び同年7月25日付けの上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第27号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,第3類「化粧品」として2013年より美容パックによる目元のしわをケアする化粧品(乙1)の企画・開発を開始し,2015年より商品カタログ(乙2)を全国に頒布し,同年9月より納品伝票(乙3)のとおり販売を行っている。
2 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)被請求人は,本件商標が付された「化粧品」(乙4)と商品の包装袋に記載されている記載内容(乙5)を明示すると共に,該商品の納品伝票(乙6)と販売時に頒布した商品カタログ(乙7)を追証として提示する。
乙第6号証の納品伝票発行者のキャンパックと被請求人とは,代表者を同じくする法人である。被請求人は,企画,開発,生産を主な業務とし,キャンパックは,販売を目的として平成5年に被請求人の代表取締役が代表として設立した。したがって,被請求人は人事・資金・技術・取引等の関係を通じて,キャンパックの財務・営業の方針に対して重要な影響力を持っている(乙8ないし乙10)。
(2)日本国内において,「化粧品」の範ちゅうに含まれる「美容パック」が,本件商標の表記をもって販売され,譲渡されている(乙4ないし乙6)ことは明らかであり,商標法第2条第3項第2号に該当する行為であることは明白である。
3 平成28年7月25日付けの上申書
(1)証拠画像の撮影日時について
請求人より「MicroBeauty」商品画像の撮影日について指摘があり,被請求人が所有するエクセルデータをWEBページ形式にて保存することで画像データの抽出を行った。その中から,「本件商標が付された化粧品」画像(乙5)に該当する「image0181.jpg」のプロパティ情報画像(乙11)を確認すると,「撮影日時:2014/12/25 12:11」の内容が確認できた。
「MicroBeauty アイケアマスク」の表記がある商品の包装袋の画像が「2014年12月25日」時点には撮影されていたことから,すでに商品が存在していたことは明らかであり,商標法第2条第3項第1号に該当する行為が行われていることは明白である。
(2)販売時期について
高島眼鏡有限会社(審決注:正しくは有限会社高島眼鏡。以下,同社自体を示すときは「高島眼鏡」という。)に向けて発行した納品書控(乙12),請求書控(乙13),領収書の控(乙14)及び得意先元帳(乙15)を追証として提示する。なお,領収書の控の押印は,現金出納帳との確認の際に押印したものである。
キャンパックが商品納品時に高島眼鏡に発行した納品書(乙16),後日,期日に発行した請求書(乙17)及び集金時に発行した領収書(乙18)を預かったので,原本並びにその写しを合わせて追証として提示する。
同じく,ゼロ・インフィニティより「MicroBeauty」注文時に発行された受注内容確認書(乙19)及び請求明細書(乙20)を追証として提示する。また,被請求人より支払われた前払い現金に対する領収書(乙21)及び商品納品時に発行された納品書(乙22)も合わせて追証として提示する。
また,ゼロ・インフィニティより受注内容確認書控(乙23),請求明細書控(乙24),領収書控(乙25)及び納品書控(乙26)の写しを提供頂いたので,追証として提示する。
また,ゼロ・インフィニティとの業務委託契約書(乙27)の写しを追証として提示する。
(3)まとめ
乙第12号証ないし乙第27号証の各号証を証拠とし,日本国内において「化粧品」の範ちゅうに含まれる「美容パック」が,本件商標の表記をもって販売され,譲渡されていることは明らかであり,商標法第2条第3項第2号に該当する行為であることは明白である。

第4 文書送付嘱託
請求人から平成28年7月1日付けで提出された文書送付嘱託申立書について,口頭審理実施後の平成28年9月9日付けで,高島眼鏡及びゼロ・インフィニティに対して,それぞれ,以下を内容とする文書送付嘱託を通知し,期間を指定して,これに対する文書の送付を依頼した。
1 高島眼鏡に対して
高島眼鏡がキャンパックから2014(平成26)年12月26日納品書・請求書により仕入れた商品に関する,2014(平成26年)12月26日付け納品書,物品受領書,請求書,配達書,2014(平成26)年12月26日の取引について記載された総勘定元帳(買掛金,仕入高のキャンパックとの取引部分),補助元帳,買掛帳等一切の記録
2 ゼロ・インフィニティに対して
2013(平成25)年1月1日から2016(平成28)年6月10日までの期間に,ゼロ・インフィニティがビービーシーに納品した「Micro Beauty スキンケア」及び「Micro Beauty アイケアマスク」と表示されたアイケアマスク商品に関する商品内容,パッケージその他仕様の打ち合わせ記録,試供品の納品書,契約書,決定商品の発注書,見積書,納品書等一切の記録

第5 高島眼鏡及びゼロ・インフィニティの回答
高島眼鏡及びゼロ・インフィニティからは,上記第4の文書送付嘱託に対して,回答はなかった。

第6 当審の判断
請求人主張のように,被請求人の主張,立証には一部変遷がみられるが,被請求人の主張の全趣旨によれば,被請求人は,本件商標を「アイケアマスク」なる商品に使用している旨の主張・立証をするものであるので,以下,それについて検討する。
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば,以下のとおりである。
(1)使用商品について
ア 乙第4号証は,アイケアマスクと称する商品(以下「本件使用商品」という。)の包装袋の写真画像複数を一葉の書類に貼付したものであり,左上部の画像は,包装袋を収納ケースに入れた状態の写真であり,該収納ケースには,「MicroBeauty」(以下「使用商標」という。)及び「EyeCareMask」の欧文字の表示があり,該包装袋には,「MicroBeauty」,「アイケアマスク」の文字の表示がある。そして,右上部の画像は,本件使用商品が4袋重なっている写真であり,その下部の画像は,包装袋を開封したシート状化粧品の写真である。また,下段には「商品カラーバリエーション」として4色の収納ケースを並べた写真画像がある。
イ 乙第5号証は,上記包装袋の写真画像であるところ,該包装袋について,「MicroBeauty」の欧文字(当該文字の右上に,○の中に「R」を書した小さな表示がある。以下「(R)」という。)と「アイケアマスク」の文字が間隔をおいて二段に表示され,その下部に「メガネ,コンタクトレンズ,スマホ,PCの長時間使用後は,マイクロビューティー(R) アイケアマスクで目元のうるおいをキープ」,「マイクロビューティー(R)(アイケアマスク) 内容量 3mL(2枚入)」の記載があり,「《ご使用方法》お肌を清潔にしたあと,袋から取り出したアイケアマスクを目頭?目尻下7mmの目元ラインに密着させます。5?7分後マスクをはがし,肌の上に残った成分を指先で馴染ませて下さい。」と商品の説明が記載されている。そして,その下に「水,ダマスクバラ花水,グリセリン,BG,ペンチレングリコール,ヒアルロン酸Na」等の成分表示があり,さらにその下に,発売元として「株式会社ビービーシー」,製造販売元として「株式会社ゼロ・インフィニティ」の記載がある。そして,バーコードの上部に「MicroBeauty アイケアマスク」の文字の表示がある。
ウ 乙第7号証は,本件使用商品のカタログであるところ,「MicroBeauty」,「アイケアマスク(3mL(2枚入))/袋×4)&クロス(24×24cm)セット」,「卸単価 718円(税別)」,「メガネ屋の,アイケアの為の,美容液パック」,「オトコだって潤いチャージ」の表示があり,右上部と左下部に乙第4号証及び乙第5号証の写真画像があり,さらにその下に,「株式会社キャンパック 〒916-0004 福井県鯖江市糺町23-1-9」の表示がある。
(2)本件商標権者とゼロ・インフィニティとの商品取引について
ア 乙第27号証は,平成26年10月1日を契約日とする,ゼロ・インフィニティと本件商標権者との「化粧品等の製造販売後安全管理に関する業務委受託契約書」であり,その冒頭には,「株式会社ゼロ・インフィニティ(以下、甲という)と株式会社ビービーシー(以下、乙という)とは、甲が製造販売し、乙が販売する化粧品及び医薬部外品(以下「化粧品等」という)の製造販売後安全管理に係る業務を甲が乙に委任するに当たり、次の通り本契約を締結する。」の記載がある。
イ 乙第19号証は,2014年(平成26年)10月28日を発行日とする,本件商標権者に宛てたゼロ・インフィニティの「受注内容確認書」であり,「御見積り金額合計」の欄に「¥5,160(税別)」の記載があり,「担当」欄に「黒田」の捺印がある。そして,「項目」の欄に「マイクロビューティー アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「数量」の欄に「12」,「単価」の欄に「¥430」,「小計」の欄に「¥5,160」,「合計(税別)」の欄に「¥5,160」の記載があり,右下の「発注日」欄には「11月7日」の日付の記載と「株式会社BBC」の社印が押印されている。また,最下段には「★ご注文内容をご確認頂き、太枠箇所に日付・押印・記載の上、返信頂きましたら正式なご注文として手配させて頂きます。」との記載がある。
乙第23号証は,乙第19号証の「受注内容確認書」と同じもので,ゼロ・インフィニティから本件商標権者に資料として提供された「受注内容確認書控」であり,上記の「黒田」の捺印の二つ左の「承認」の欄に「高島」の捺印がある。
ウ 乙第20号証は,2014年10月28日を締切分とする,本件商標権者に宛てたゼロ・インフィニティの「請求明細書」であり,「下記の通りご請求申し上げます」の記載のとなりに「黒田」「高島」の捺印があり,「今回御買上額」の欄に「5,820」,「消費税」の欄に「465」,「今回御請求額」の欄に「6,285」の記載がある。そして,「日付」の欄に「10.28」,「商品名」の欄に「マイクロビューティー アイケアマスク 4袋入[クロス付き](99)」,「数量」の欄に「12」,「単価」の欄に「430」,「金額」の欄に「5,160」があり,「5,160」は,乙第19号証の「御見積り金額合計」の記載と一致するものである。また,「商品名」の欄に「運賃」,「数量」の欄に「1」,「単価」の欄に「660」,金額の欄に「660」,「消費税」として「465」の記載がある。
乙第24号証は,乙第20号証の「請求明細書」と同じもので,ゼロ・インフィニティから本件商標権者に資料として提供された「請求明細書控」である。
エ 乙第21号証は,2014年11月11日を領収日とするゼロ・インフィニティから本件商標権者に宛てた「領収証」であり,金額の欄に「¥6285」の記載がある。そしてこれは,乙第20号証の「今回御請求額」の記載と一致するものである。また,ゼロ・インフィニティの住所記載の右横に,「高島」の捺印がある。
乙第25号証は,乙第21号証の「領収証」と同じもので,ゼロ・インフィニティから本件商標権者に資料として提供された「領収証(控)」である。
オ 乙第22号証は,平成26年12月22日を納品日とする,ゼロ・インフィニティから本件商標権者に宛てた納品書の写しであり,「品名」の欄に「マイクロビューティー アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「数量」の欄に「12」,「単価」の欄に「12×1」の記載がある。
乙第26号証は,乙第22号証の「納品書」と同じもので,ゼロ・インフィニティから本件商標権者に資料として提供された「納品書(控)」である。
(3)本件商標権者とキャンパックとの関係について
乙第8号証は,平成28年6月10日の日付で本件商標権者の代表取締役とキャンパックの代表取締役の連名及びそれぞれの社印を捺印して提出された「証明書」であり,1ビービーシー及びキャンパックは共に代表者を同じくする法人であること,及び2キャンパックは,人事・資金・技術・取引等の関係を通じて,財務・営業の方針に対して本件商標権者より多大な影響を受けていること,よって,キャンパックの事業活動が事実上本件商標権者の影響下にあって,実質的には親子会社と同等の関係にあることを証明するとするものである。そして,それぞれの印鑑証明書(乙9及び乙10)において,両社の代表取締役が同一人であることが認められる。
(4)キャンパックと高島眼鏡との取引について
ア 乙第6号証は,2014年(平成26年)12月26日を発行日とする,キャンパックから高島眼鏡に宛てた「納品・請求書」であり,「品番・品名」の欄に「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「数量」の欄に「10」,「単位」の欄に「枚」,「単価」の欄に「718」,「金額」の欄に「7,180」,「合計」の欄に「¥7,180」の記載がある。左上にお客様コード「3TKG」,右上に「No.103631」の記載がある。
乙第16号証は,乙第6号証の「納品・請求書」と同じもので,高島眼鏡から本件商標権者に資料として提供されたものである。
イ 乙第13号証は,2015年(平成27年)1月20日を締切分とする,キャンパックから高島眼鏡に宛てた「請求書(控)」であり,「今回御請求額」の欄には「¥227,226」の記載があり,「伝票日付」の欄に「14.12.26」,「伝票No.」の欄に「103631」,「品番・品名」の欄に「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「数量」の欄に「10」,「単位」の欄に「枚」,「単価」の欄に「718」,「金額」の欄に「7,180」の記載があり,これらは,上記乙第6号証の日付,No.,品番・品名,数量,単位,単価,金額と一致するものである。
乙第17号証は,乙第13号証の「請求書(控)」と同じもので,高島眼鏡から本件商標権者に資料として提供された「請求書」である。
ウ 乙第14号証は,2015年2月17日を領収日とする,「吉田」の印鑑が捺印された高島眼鏡宛ての「領収証(控)」であり,No.欄に「3580」,金額の欄に「¥227226」の記載があり,これは上記乙第13号証の「今回御請求額」と一致する。
乙第18号証は,乙第14号証の「領収証(控)」と同じもの(金額,日付の筆跡は同一と認められる)で,高島眼鏡から本件商標権者に資料として提供された「領収証」であり,収入印紙に「福嶋」の割印と「福井県鯖江市糺町第23号1番地の9」「株式会社キャンパック」の押印がある。
エ 乙第15号証は,売上げ期間を2014年12月21日?2015年2月20日とする,高島眼鏡を得意先とするキャンパックの「得意先元帳・品名明細」であり,「売上日」の欄に「14.12.26」,「伝票No」の欄に「103631」,「品名」の欄に「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「数量」の欄に「10」,「単位」の欄に「枚」,「単価」の欄に「718」,「売上」の欄に「7,180」の記載があり,これらは,乙第6号証の日付,No.,品番・品名,数量,単位,単価,金額と一致するものである。
上記の事実から,キャンパックは,高島眼鏡に対し,要証期間内である平成26年12月26日に「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」を10枚納品し,代金として7,180円を請求したこと,当該商品も含めた所定期間中の商品の販売について,平成27年1月20日を締切分としたキャンパックから高島眼鏡に宛てた請求金額227,226円に対して,高島眼鏡より同年2月17日に同額の支払いがキャンパックになされたことが認められる。
2 前記1の事実によれば,当審の判断は,以下のとおりである。
(1)使用商標を付した商品について
前記1(2)ないし(4)によれば,「マイクロビューティー アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」又は「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」の商品が,要証期間内である平成26年11月7日に,本件商標権者からゼロ・インフィニティに発注され,同年12月22日にゼロ・インフィニティより本件商標権者に納品された後,同月26日に本件商標権者の関連会社であるキャンパックにより高島眼鏡に販売されたと認めることができる。
そして,当該「アイケアマスク」は,乙第4号証及び第5号証において使用商標が付された包装袋に係る商品であり,当該商品は,前記1(1)のとおり,目元用のシート状化粧品であるから,本件請求に係る商品「化粧品」の範ちゅうに属するものである。
(2)使用商標の使用者について
前記1(3)によれば,本件商標権者とキャンパックの代表者は,同一人であり,本件商標権者は,キャンパックの事業活動が事実上本件商標権者の影響下にあることを陳述していることから,キャンパックは本件商標権者の子会社であり,キャンパックは,本件商標の使用について,本件商標権者より黙示の許諾を受けていたものと認められるから,キャンパックは,本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
(3)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は,「MicroBeauty」の欧文字を書してなるものであり,他方,使用商標は,前記1(1)アのとおり「MicroBeauty」の欧文字を書してなるから,本件商標と使用商標とは社会通念上同一の商標と認められる。
(4)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者であるキャンパックは,要証期間内に,本件審判の請求に係る商品である「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品「目元用のシート状化粧品」の包装に本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を付したものを譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号)ということができる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13),「高島眼鏡(有)の得意先元帳」(乙15)及び「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)は,「高島眼鏡(有)宛 納品書控え」(乙12)と同様,商品画像(乙4及び乙5)との関係が不明であり,何らこれらの関係性の立証を補強するものではない旨主張する。
しかしながら,「高島眼鏡(有)宛 納品書控え」(乙12),「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13),「高島眼鏡(有)の得意先元帳」(乙15),「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)には,いずれも「MicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]」,「単価 718」の記載があること,乙第4号証及び乙第5号証の写真画像には,発売元として「株式会社ビービーシー」,製造販売元として「株式会社ゼロ・インフィニティ」の記載があること,及び当該画像が掲載された本件使用商品のカタログ(乙7)には,アイケアマスクとクロスをセットで718円で販売することがうかがえることから,乙第12号証,乙第13号証,乙第15号証及び乙第17号証のMicroBeauty アイケアマスク 4袋入[クロス付き]は,乙第4号証及び乙第5号証のアイケアマスクであるとみて差し支えない。
(2)請求人は,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)においては,ほぼすべての伝票の「品番・品名」欄に品番や型式など等が詳細に記載されているにもかかわらず,「伝票No.」欄の「103631」及び「103742」のみ,何ら品番や型番などが記載されておらず,品番等の記載がないことは,他の各商品に関する記載との関係において不自然である旨主張する。
しかしながら,「高島眼鏡(有)宛 請求書控え」(乙13)の「品番・品名」欄に品番や型番が記載されている商品は,ほとんどが眼鏡や眼鏡の付属品であり,マイクロビューティー アイケアマスク 4袋入[クロス付き]の商品に品番や型番の記載がないから,取引書類として不自然であるとはいえない。
(3)被請求人は,「高島眼鏡(有)宛 納品書」(乙16),「高島眼鏡(有)宛 請求書」(乙17)のいずれにも,「高島眼鏡(有)」による検収印や受領印などは押されてない。また,「受注内容確認書」(乙19),「請求明細書」(乙20)のいずれにも「ゼロ・インフィニティ」による検収印や受領印などは押されてない旨主張する。
しかしながら,「納品書」や「請求書」には検収印や受領印が捺印されることが一般的であるとしても,事務処理の簡略化のため捺印しないで処理されることが少なくないことは,取引の経験則上認められることであるから,捺印がないことをもって,直ちに取引上実際に使用されたものではないとはいえない。また,「受注内容確認書」(乙19)には,「ゼロ・インフィニティ」の営業担当である黒田の捺印が,「請求明細書」(乙20)には,「ゼロ・インフィニティ」の黒田と高島の捺印がある。
(4)請求人は,ゼロ・インフィニティと本件商標権者との「受注内容確認書」(乙19)において,正式な発注の意思表示前に「請求明細書」(乙20)が発行されているのは極めて不自然である旨主張する。
しかしながら,前記1(2)のとおり,本件商標権者からゼロ・インフィニティに対し,「マイクロビューティー アイケアマスク」の発注依頼があり,ゼロ・インフィニティが2014年10月28日に受注内容を確認すると共に「請求明細書」を発注者に送付し,その後,11月7日に正式に発注がされたとみて差し支えない。
(5)請求人は,子会社を除けば1社のみとの間で行なったという取引の内容であって,反復,継続してなされる通常の取引形態とは言いがたいものである旨主張する。
しかしながら,通常使用権者と特定の1社だけに限定された取引であるとしても,このような取引は,一般の業者間取引においてはあり得るものであって,これをもって,高島眼鏡に納品した本件使用商品について市場流通性がないということはできない。
(6)請求人は,「受注内容確認書」(乙19)及び「請求明細書」(乙20)には,伝票番号,商品コードが記載されているが,これらに対応する「領収書」及び「納品書」のみが,これらとは異なり,一般に市販される形式の「領収書」及び「納品書」が使用され,かつ,手書きで記載されている点は非常に不自然である旨主張する。
しかしながら,小規模な取引の実際においては,必ずしも形式に即した書類が用いられるとはいいきれず,これら「領収書」及び「納品書」が不自然であると認めるに足る証拠は見いだせない。
(7)以上のとおり,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
4 請求人は,高島眼鏡及びゼロ・インフィニティが所持する被請求人との取引に関する文書について文書送付嘱託申立をしているが,これに先だって被請求人より提出された証拠を検討するに,領収証の領収者のゴム印,承認欄の捺印の有無,領収証や納品書の(控)の有無等により,乙第16号証ないし乙第18号証は,高島眼鏡が本件使用商品に関するキャンパックとの取引に関して所持する納品・明細書,請求書,領収証であって,それぞれ,乙第6号証,乙第13号証及び乙第14号証と符合するものであり,乙第23号証ないし乙第26号証はゼロ・インフィニティが本件使用商品に関する本件商標権者との取引に関して所持する受注内容確認書,請求明細書,領収証(控え),納品書(控)であって,それぞれ,乙第19号証ないし乙第22号証と符合するものである。
5 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品である化粧品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-01-26 
結審通知日 2017-01-31 
審決日 2017-02-15 
出願番号 商願2009-7474(T2009-7474) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 2010-04-23 
登録番号 商標登録第5318172号(T5318172) 
商標の称呼 マイクロビューティー、ミクロビューティー 
代理人 谷山 尚史 

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