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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 審判 全部申立て 登録を維持 W41 |
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管理番号 | 1326093 |
異議申立番号 | 異議2016-900341 |
総通号数 | 208 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-10-20 |
確定日 | 2017-03-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5868534号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5868534号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5868534号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年2月12日に登録出願、第41類「ウォーキングの指導,フィットネスの教授,知識又は技芸の教授,ヘルスクラブの提供,個人指導(フィットネストレーニング)」を指定役務として、同年7月12日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第7号該当性について 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、日本のノルディックウォーキングの更なる可能性を追求し、普及拡大・地域活性化への寄与を目的として2010年1月1日に設立、2016年に「一般社団法人日本ノルディックウォーキング振興会」として認定されたものである。 申立人は、その業務に係る役務について、本件商標と類似する別掲2及び別掲3のとおりの構成からなる商標(以下、順に「引用商標1」、「引用商標2」といい、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)を使用している。 一方、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、申立人と一定の関係を有していた者であり、申立人と類似する役務を行っており、本件商標は、引用商標を剽窃的に出願したものである。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害する商標であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、申立人の業務を表示するものとして、需要者に広く認識されている引用商標に類似する商標であって、その役務又は類似する役務について使用する商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、申立人の業務を表示するものとして、需要者に広く認識されている商標であるから、本件商標がその指定役務について使用された場合は、申立人の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は、取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の提出した証拠及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。 申立人は、日本のノルディックウォーキングの更なる可能性を追求し、普及拡大・地域活性化への寄与を目的として2010年(平成22年)1月1日に設立、2016年(平成28年)に一般社団法人として認定された(甲1、甲2)。 そして、申立人の具体的な事業内容は、ノルディックウォーキングに関する指導士育成、認定、資格認定、コース認定及び各種イベント・講習会の開催等であり、そのホームページ、業務に係るリーフレット、講習会の案内、講習テキスト、認定証、ビブス等に引用商標を表示している(甲2、甲6、甲9、甲17?甲23、甲26、甲28。なお、引用商標2は、2012年(平成24年)に、引用商標1を切り換える形で作成されたもの(甲8)で、2012年以前は、引用商標1のみの使用であったが、2012年以降は、主として引用商標2が使用されている。)。 また、申立人が開催した講習会及びイベントについて、新聞の記事に掲載がある(甲30)。 イ 上記アのとおり、申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標が、申立人のホームページや業務に係る各種書類等に使用されている事実はうかがえるものの、引用商標を表示した役務の取引の実情や広告宣伝活動等については、客観的、具体的な証拠がなく、引用商標の使用された実績を把握することができないものである。 また、講習会及びイベントを開催した事実は確認できるものの、その講習会の参加者数等の具体的な規模が不明であり、そして、その講習会及びイベントのリーフレット、講習会の案内、講習テキスト等が作成された事実は認められるものの、その頒布された部数、頒布地域及び頒布の方法が不明であって、広告宣伝の地域、規模も明らかにされておらず、どれほどの範囲の需要者の目にふれたのか不明であるから、広告宣伝の効果を推し量ることもできない。 さらに、申立人の業務に関する紹介が、新聞に掲載されたことがうかがえるものの、掲載された回数は、わずか5回であるから、決して多いとはいえず、また、該掲載記事中、引用商標が写っている写真は、ビブスに引用商標が表示されているものであり、極めて小さく表示されているものであるから、これらがどれほどの範囲の需要者の目にふれ、記憶されたのか不明というのが相当である。 加えて、ノルディックウォーキングは、我が国において、マラソンや駅伝等と比べてポピュラーなスポーツとはいい難く、また、その愛好家が我が国においてどの程度存在するのかも提出された証拠によっては明らかでない。 してみれば、申立人の提出した証拠によっては、申立人は、ノルディックウォーキングの愛好家の間において、申立人の業務を表示するものとして、引用商標を使用していたとしても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第7号について 申立人は、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について、商標権者は、申立人と一定の関係を有していた者であって、申立人と類似する役務を行っているから、本件商標は、引用商標を剽窃的に出願したものである旨主張するところ、この主張を裏付ける証拠は、2015年(平成27年)12月20日及び2016年(平成28年)1月24日のソーシャルネットワーキングサービスの通信記録(甲4、甲5)のみであり、甲第4号証の2015年12月20日のメールの記録は、申立人の従業員が商標権者に宛てたと推認されるものと、商標権者の仲介者が申立人に宛てたと推認されるもので、前者には、「そちらのマークを観まして驚きました。当振興会のマークとあまりにも酷似していて、どうなっているのか!と思い、メッセージをさせていただきました。」との記載があり、後者には、「杉原たくまさんのマークについて 酷似のメッセージを出されていると思います。来月、谷津さんが東京で杉原さんと会うことになっているので、まだ穏便にお願いします。私は単なる知人で、大したお付き合いはありませんが、マークのことで振興会さんと対立させないように、と思っています。」との記載があるにすぎないものである。 また、甲第5号証の2016年1月24日のソーシャルネットワーキングサービスの通信記録にしても、前半部分は、断片的な言葉が羅列され、その内容を把握することが困難であるばかりか、後半部分も「自由が丘全然わからないので早めに行って茶でも飲んで解散ですかね?」、「マークの件もきちんと伝えないといけないので、ぜひ会っておきたいですね?。」・・「10時に行きます」などと記載されているにすぎないものであって、申立人と商標権者との関係、あるいは、本件商標の出願経緯や今後の措置等について、申立人が商標権者との間でいかなる話し合いを持ったのか等の事柄を、明らかにする記載は一切ない。 さらに、申立人が主張する「商標権者は、申立人と一定の関係を有していた者」であることを裏付ける的確な証拠の提出もない。 そして、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務を表示するものとして、周知であったと認めることができないことから、商標権者が、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不正な利益を得る目的をもって、剽窃的に本件商標を登録出願し、登録を得たものということはできない。 以上に加え、本件のような商標権者と本来商標登録を受けるべきと主張する申立人との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきものであるから、このような問題は、商標制度に関する公的な秩序の維持を図る商標法第4条第1項第7号の該当性にかかわる問題と解することはできないこと、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮すると、商標権者が本件商標の登録を取得した行為が著しく社会的妥当性を欠き、その登録を容認することが商標法の目的に反すると認めることはできず、申立人の提出した全証拠によっても、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する商標であったと評価すべき事情を認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について ア 引用商標の周知性 上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 イ 本件商標と引用商標の類似性 本件商標は、別掲1のとおり、類人猿からヒトの直立二足歩行への進化を通じて、最終的にノルディックウォーキングを行っていると思しき人までの6体の図形をシルエット風に表した構成よりなるものであって、これより特定の称呼、観念は生じないものといえる。 これに対して、引用商標1は、別掲2のとおり、類人猿からヒトの直立二足歩行への進化を通じて、最終的にノルディックウォーキングを行っていると思しき人までの6体の図形をシルエット風に表した構成よりなるものであって、これより特定の称呼、観念は生じないものといえる。 また、引用商標2は、別掲3のとおり、類人猿からヒトの直立二足歩行への進化を通じて、最終的にノルディックウォーキングを行っていると思しき人までの7体の図形をシルエット風に表した構成よりなるものであって、これより特定の称呼、観念は生じないものといえる。 以上によると、本件商標と引用商標とは、外観上、細部において多少の差異があるものの、類人猿からヒトの直立二足歩行への進化を表したと思しき6体ないし7体の図形を、いずれもシルエット風に表現しているという点において、構成の軌を一にするものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合はいうまでもなく、迅速を旨とする商取引において一見して識別を要する場合においても、外観上、互いに相紛れるおそれのあるものというべきである。 そうすると、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において、比較することができないとしても、図形の類否を判断する上で重要な外観において、極めて類似するものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、類似の商標というべきである。 ウ 本件商標の指定役務と引用商標が使用される役務との類否 本件商標は、前記1のとおり、第41類「ウォーキングの指導,フィットネスの教授,知識又は技芸の教授,ヘルスクラブの提供,個人指導(フィットネストレーニング)」を指定役務とするものである。 これに対して、引用商標が使用される役務は、上記(1)のとおり、ノルディックウォーキングに関する指導士育成、認定、資格認定、コース認定及び各種イベント・講習会の開催等である。 してみると、本件商標の指定役務と引用商標が使用される役務とは、類似の役務ないし関連性の高い役務というべきである。 エ 小括 以上によれば、本件商標は、引用商標とは、商標において類似し、かつ、その指定役務において、引用商標が使用される役務と類似ないし関連性の高い役務であるとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきであり、また、本件商標と引用商標が類似し、本件商標の指定役務と引用商標が使用される役務の需要者が共通する場合があることを考慮しても、本件商標は、需要者の間に広く認識されているとは認められないから、これをその指定役務について使用しても、これに接する需要者をして、引用商標を想起ないし連想させて役務の出所について誤認、混同を生じさせるおそれがあるということはできないから、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標」にも該当しないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定によって、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 2 引用商標1 3 引用商標2 |
異議決定日 | 2017-02-20 |
出願番号 | 商願2016-14953(T2016-14953) |
審決分類 |
T
1
651・
255-
Y
(W41)
T 1 651・ 271- Y (W41) T 1 651・ 251- Y (W41) T 1 651・ 22- Y (W41) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大森 友子 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 大井手 正雄 |
登録日 | 2016-07-22 |
登録番号 | 商標登録第5868534号(T5868534) |
権利者 | 杉原 卓磨 |
代理人 | 下田 茂 |