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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
管理番号 1326089 
異議申立番号 異議2016-900282 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-05 
確定日 2017-03-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5855403号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5855403号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5855403号商標(以下「本件商標」という。)は,「ボーイフレンド(仮)」の文字を標準文字で表してなり,平成27年9月17日に登録出願,第14類「貴金属製衣服用缶バッジ,貴金属製バッジ,身飾品,録音済みボイスレコーダ付きキーホルダー,ボイスレコーダ付きキーホルダー,キーホルダー,録音済みボイスレコーダ付き目覚まし時計,ボイスレコーダ付き目覚まし時計,目覚まし時計,時計,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,宝石箱,記念カップ,記念たて,貴金属製靴飾り」のほか第9類,第16類,第20類,第21類,第24類ないし第26類,第28類,第30類,第36類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成28年4月20日に登録査定,同年6月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は第14類に属する指定商品について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして本件登録異議の申立ての理由として引用する登録第5779771号商標(以下「引用商標」という。)は,「BOYFRIEND」の欧文字を標準文字で表してなり,平成27年1月21日に登録出願,第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年7月17日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は第14類に属する指定商品について商標法第4条第1項第第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標の構成中「(仮)」の部分は,「仮称」を意味する略記号であり,「仮称」とは,「正式の名が決まるまでの臨時の呼び名を付けること。また,その仮の名」(甲3の1及び2)を意味する言葉である。「(仮)」は,一般に,正式に採用される予定の名称等(商標)の末尾に付して暫定的に使用され,その商標が正式に採用された後は意味をなさなくなるものであり,商標構成中に含まれていても,いずれは除かれる性質のものとして一般に理解し把握されていることは顕著な事実である。そうすると,「(仮)」が商標構成中に含まれていたとしても,一種の形容詞的文字として把握されるべきものといえる。
このため,本件商標の構成中の「(仮)」の部分は,「ボーイフレンド」部分が暫定的に採用した「仮名」であることを認識させるにすぎないから,自他商品の識別標識としての機能はない。また,「(仮)」をつけることで,「ボーイフレンド」部分が名称であることを強調する役目を果たしていることから,本件商標は,「(仮)」の部分を除いた「ボーイフレンド」の部分が他人の登録商標との類否を判断する要部である。
してみれば,本件商標は,その構成文字全体に相応して,「ボーイフレンドカリ」の全体としての称呼を生ずるほか,「ボーイフレンド」の文字部分に相応して「ボーイフレンド」の称呼をも生ずるものである。また,「ボーイフレンド」の文字部分は,「ボーイフレンド,男友達,彼氏」等の意味合いを有する語であるほか,後述するとおり,申立人が製造販売する周知な時計「BOYFRIEND」(ボーイフレンド)を意味する語として我が国において広く知られていることから,本件商標は,申立人の製造販売にかかる「時計」を想起させるものであり,かかる観念が生じる。
2 引用商標について
引用商標を構成する「BOYFRIEND」は,「ボーイフレンド,男友達,彼氏」等の意味合いを有する語である。
また,引用商標は,後述するとおり,申立人の製造販売にかかる商品「時計」に継続して使用している商標であり,日本において,本件商標の登録出願前から査定前を通して,申立人商品について広く知られていた商標である。
したがって,引用商標からは,「ボーイフレンド」の称呼とともに,申立人の製造販売にかかる商品「時計」を想起させるものである。
3 指定商品の類否について
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を含む。
4 引用商標及び申立人の周知著名性について
申立人は,著名なデザイナーである「Gabrielle COCO CHANEL」(ガブリエル・ココ・シャネル)により創設され,香水等の化粧品のほか,高級婦人服,ハンドバッグ,ベルト,靴,時計,アクセサリー等の宝飾品などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータルファッションメーカーである。申立人の業務に係る商品は,いずれも洗練された高品質の商品として知られ,長年にわたる継続的な努力によって,世界の超一流品としての高い信用が日本においても形成され,「シャネル」の称呼で親しまれた極めて高い世界的な著名性を獲得している。
しかるところ,申立人は,2015年に,腕時計の高級ブランドシリーズの一つとして「BOYFRIEND」(ボーイフレンド)をリリースした(甲5の8)。当該シリーズの腕時計は,伝説的な香水,シャネルNo5のボトルストッパーとヴァンドーム広場に経緯を表した八角形のケースシェイプを採用している(甲5の6)。引用商標にかかる「BOYFRIEND」(ボーイフレンド)は,申立人の新たなアイコンとして重要なブランドとして位置づけられている。
この「BOYFRIEND」(ボーイフレンド)は,発売されるやいなや瞬く間に人気を博し(甲5の1?7),引用商標は,日本において,申立人が製造販売する時計として,ファッション分野における取引者・需要者に広く認識されるに至っているものである。
以上に述べたところから,引用商標は,本件商標の出願日である平成27年9月17日以前より,申立人の業務に係る商品「時計」を表示する商標として,その取引者・需要者において,周知性を獲得するに至っていたものである。
5 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,「ボーイフレンド(仮)」を横一連に表してなるところ,上記1のとおり,構成中の要部である「ボーイフレンド」の文字部分から「ボーイフレンド」の称呼が生ずる。
それに対して,引用商標は,「BOYFRIEND」の文字より「ボーイフレンド」の称呼が生ずる。
してみれば,周知な引用商標から生ずる「ボーイフレンド」の称呼と,本件商標の要部である「ボーイフレンド」の文字部分から生ずる称呼「ボーイフレンド」は同一である。よって,本件商標と引用商標は,称呼上類似する商標である。
また,本件商標と引用商標は,いずれも「ボーイフレンド,男友達,彼氏」等を意味するものであり,さらに,引用商標が申立人の製造販売にかかる時計として周知であることを併せて考えると,両商標は観念上も類似する商標である。
したがって,本件商標は,引用商標と称呼及び観念において類似する商標であり,また,本件商標の指定商品は,引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品である。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
6 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,商品「時計」についての宣伝広告及び引用商標に化体した信用により,申立人の製造販売に係る商品「時計」を表すものとして,日本において周知に至っているものである。
そして,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は,類似であり,取引者・需要者も共通している。
また,本件商標と引用商標とは,「ボーイフレンド」の称呼及び観念を共通にする類似性の高い商標であり,特に,本件商標からは「申立人の製造販売する時計『ボーイフレンド』」といった観念が生じ,申立人の周知な引用商標を付した商品に関連するものと認識されるおそれがある。実際,引用商標にかかる「ボーイフレンド」ブランドシリーズのなかに,2016年に腕時計のブレスレット(ベルト)部分を新しいモデルにした「ボーイフレンドツイード」が発売されている(甲5の4及び8)。
したがって,本件商標は,我が国において「時計」等の商品に関して周知な引用商標を容易に想起させる商標であり,また,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であることを考慮すると,本件商標がその指定商品「時計,身飾品」等に使用された際には,これに接する取引者・需要者は,あたかも申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務にかかる商品であるかのごとく,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
申立人は,本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当すると主張しているので,以下,検討する。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は,上記第1のとおり「ボーイフレンド(仮)」の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の「ボーイフレンド」の文字は「ボーイフレンド,男友達,彼氏」の意味を有する語である。
また,構成中の「()」(カッコ)は,数式や文章の中で,ある部分をかこって,他との区別を明らかにするための記号を表すものであり,「仮」の文字は,「暫時それと決めること。永久でないこと。かりそめ。」の意味を有する語であるところ,これらの「()」(カッコ)の記号及び「仮」の語は,本件商標の指定商品の品質,原材料,用途などを表すものとはいえず,また,これらを結合した「(仮)」の文字部分も自他商品識別機能を果たし得ないということはできないというのが相当である。
そして,本件商標は,標準文字により一連に表されていることから視覚上も一体的に把握でき,かつ,本件商標を構成する「ボーイフレンド」及び「(仮)」の文字部分は,観念において軽重の差を見出せず,どちらかの文字部分が,本件商標の指定商品の出所を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるべき特別な理由及び事情は認められず,ここから生ずる「ボーイフレンドカリ」の称呼も一連に称呼できるものである。
そうすると,本件商標は,その構成全体をもって一体不可分のものと認識・把握されるとみるのが自然であり,ここから「ボーイフレンド」の部分を抽出して他人の商標との類否を判断することは許されないというべきである。
してみると,本件商標は,その構成全体をもって一体的に看取,把握され,「ボーイフレンドカリ」の一連の称呼が生じ,「ボーイフレンド」と「(仮)」の文字とが一体的に結合された一種の造語であって,ここからは,取引に資すべき特定の観念は生じないというのが相当である。
この点について,申立人は,本件商標の構成中「(仮)」の文字部分は,「仮称」を意味する略記号であって,一般に,正式に採用される予定の名称等(商標)の末尾に付して暫定的に使用され,その商標が正式に採用された後は意味をなさなくなるものであり,商標構成中に含まれていても,いずれは除かれる性質のものとして理解されていることは顕著な事実であるから,「(仮)」が商標構成中に含まれていたとしても一種の形容詞的文字として把握されるべきものであるから,自他商品の識別標識として機能しないといえると主張している。
しかしながら,本件商標の「(仮)」の文字部分は,上記した意味の記号及び文字からなるものである。そして,当該文字部分が「仮称」を意味する略記号であって,一般に,正式に採用される予定の名称等(商標)の末尾に付して暫定的に使用され,いずれは除かれる性質のものとして理解されているとの主張についても,それを立証する証拠は示されてはいないから,上記の申立人の主張は,採用することはできない。
(2)引用商標について
引用商標は,上記したように,「BOYFRIEND」の欧文字を標準文字により表してなるものであり,これより,「ボーイフレンド」の称呼及び「ボーイフレンド,男友達,彼氏」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは,外観において顕著な差異を有し,称呼においても「ボーイフレンドカリ」と「ボーイフレンド」との差異があり,「カリ」の音の有無により十分識別でき,さらに,両者は観念においても類似するところはない。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれからみても,類似する商標ということはできない。
(4)小括
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)証拠及び主張について
申立人が,引用商標は,本件商標の出願日以前より,申立人の業務に係る商品「時計」を表示する商標として,その取引者・需要者において,周知性を獲得していたと主張して提出している甲第5号証(枝番を含む。)をみるに,以下の事実を認めることができる。
ア 甲第5号証の1について
甲第5号証の1は,平成28年11月7日の「NAVER まとめ」とのウェブサイトの写しであり,ここには「2016年新作人気ブランドおすすめの腕時計」との見出しのもと,1枚目中段に「シャネルの腕時計『ボーイフレンドツイード』メゾンを代表するファッションコードを手元に」との記載がされ商品「腕時計」の紹介がされており,その下の部分に「発売日:2016年9月30日(金)」との記載がされている。
イ 甲第5号証の2について
甲第5号証の2は,申立人が平成28年7月7日に作成したと主張している「WATCH MONSTER」とのウェブサイトの写しであり,ここには「【ボーナスで買っちゃう♪】2016年新作レディース時計 さぁ?どれにする!?」との記載があり,4枚目には「そんなシャネルの新作は『ボーイフレンド』のステンレススティールケースが登場 2016年4月15日(金)から発売されてます。」との記載のもと,商品「腕時計」が紹介されている。
ウ 甲第5号証の3について
甲第5号証の3は,申立人が平成27年11月20日に作成したと主張している「アンジェリーナ ジョリー,シャネルの人気ウォッチ『ボーイフレンド』を着用」とのタイトルのウェブサイトの写しであるところ,下方の【アイテム詳細】との記載の下に「シャネル『ボーイフレンド』」,「発売時期:2015年9月」との記載がある。
エ 甲第5号証の4について
甲第5号証の4は,申立人が平成28年11月9日に作成したと主張している「CHANEL(シャネル)ボーイフレンドツイード」とのウェブサイトの写しであるところ,中段部分に,「2015年に発売され,瞬く間に人気モデルとなった『ボーイフレンド』。」との記載があるものの,ここには,当該商品の発売日は記載されていない。
オ 甲第5号証の5について
甲第5号証の5は,「SPUR.JP」とのウェブサイトの写しであるところ,「シャネル,新アイコンウオッチ『ボーイフレンド』の新作モデルを発売」との記載があるものの,ここには,当該商品の発売日は記載されていない。また,当該記載の上部に「2016.04.22」との記載があることから,この情報は本件商標の登録出願後に,このサイトに掲載されたものとみることができる。
カ 甲第5号証の6について
甲第5号証の6は,「シャネル,マスキュリンな新作腕時計『BOY・FRIEND』誕生」との2015年6月23日付のウェブサイトの写しであるところ,中段部分に,「女性のための新作ウォッチ『BOY・FRIEND』(ボーイフレンド)を発表。・・・9月発売がいまから待ち遠しい。」との記載がある。
キ 甲第5号証の7について
甲第5号証の7は,「CHANEL(シャネル)のレディース腕時計 人気アイテムランキング」とのウェブサイトの写しであるところ,「Boy Friend」,「ボーイフレンド」の腕時計が紹介されているが,ここには当該商品の発売時期についての記載はない。また,当該見出しの下に「毎日更新!」との記載があることから,この商品紹介情報は,当該写しの下段に表示されている2016年11月9日のものとみることができる。
ク 甲第5号証の8について
甲第5号証の8は,申立人が平成28年11月25日に作成したと主張している「ボーイフレンド」との商品「腕時計」の紹介ウェブサイトの写しであるが,当該商品の発売時期についての記載はない。
(2)引用商標の周知性について
上記(1)の証拠及び主張によれば,「ボーイフレンド(BOYFRIEND)」と称する商品「腕時計」が,申立人の業務に係る商品として,各種ウェブサイトにおいて紹介されていることはうかがえる。
しかしながら,引用商標が使用された商品「腕時計」について,その発売時期は記載がないか,本件商標の登録出願日(平成27年9月17日)以降の日付が確認できるのみであり,本件商標の登録出願前に我が国で発売されていた事実を認めることができない。また,その宣伝広告については,甲第5号証の6によれば,平成27年6月23日に広告されたことが確認できるものの,これ以外に,本件商標の登録出願前に我が国で宣伝広告されていたことを示す事実は確認できない。
そうすると,引用商標が本件商標の出願日以前より,申立人の業務に係る商品「時計」を表示する商標として,その取引者・需要者において,周知性を獲得していたとの申立人主張は採用できないというべきである。
その他,引用商標が,本件商標の登録出願前に周知となっている事実を見いだすことはできないから,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間で広く認識されていたと認めることはできない。
(3)出所の混同のおそれ
以上,引用商標は,本件商標登録出願前に我が国の取引者,需要者の間で広く認識されていたとはいえないから,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が,該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認することはなく,その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
(4)小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 結論
以上,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号に該当するとは認められないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-02-24 
出願番号 商願2015-90220(T2015-90220) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W14)
T 1 652・ 262- Y (W14)
T 1 652・ 271- Y (W14)
T 1 652・ 263- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小林 裕子
堀内 仁子
登録日 2016-06-03 
登録番号 商標登録第5855403号(T5855403) 
権利者 株式会社サイバーエージェント
商標の称呼 ボーイフレンドカリ、ボーイフレンド、カリ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
復代理人 池田 万美 
復代理人 佐藤 俊司 

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