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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない W09111442
管理番号 1326051 
審判番号 不服2016-7490 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-23 
確定日 2017-03-08 
事件の表示 商願2014-75536拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願標章
本願標章は,別掲のとおりの構成よりなり,登録第2587058号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として,第9類,第11類,第14類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成26年9月8日に登録出願されたものである。
その後,その指定商品及び指定役務については,平成27年8月26日付けの手続補正書において,第9類「理化学機械器具,実験用機械器具,模型及び標本,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,望遠鏡類,顕微鏡類,測定機械器具,基本単位計量器,誘導単位計量器,精密測定機械器具,自動調節機械器具,材料試験機,測量機械器具,天文用測定機械器具,隠蔽率測定紙,温度指示用シート,クロノグラフ,温度計,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,バッテリーチャージャー,電気磁気測定器,青写真複写機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,郵便切手のはり付けチェック装置,キャッシュレジスター,眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」,第11類「家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),衣類乾燥器,加湿器,家庭用電気浄水器,家庭浴槽用電気式温水浄化器,空気清浄器,除湿機,扇風機,電解水生成器,電気カーペット,電気がま,電気こたつ,電気こんろ,電気ストーブ,電気足温器,電気トースター,電気火鉢,電気布団,電気ポット,電気毛布,電気冷蔵庫,電気冷凍庫,電気レンジ,電子レンジ,電磁調理器,布団乾燥機,ホットプレート,ルームクーラー,レンジフード,家庭用超音波美顔器,ヘアドライヤー,美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類,家庭用電気式ヘアスチーマー,製パン機,暖冷房装置,空気清浄装置,冷凍機械器具,電気コーヒー沸かし,自転車・三輪車・オートバイ用ライト,懐中電灯,LED照明用器具」,第14類「時計,時計の部品及び付属品,腕時計,置き時計,懐中時計,自動車用時計,ストップウォッチ,柱時計,目覚まし時計,ゼンマイ,時計側,時計鎖,時計のガラス,時計バンド,針,振子,文字盤,ゲーム機能を有する時計,アラーム付き時計,カレンダー付時計並びにその部品および附属品」及び第42類「建築物の設計,測量,気象情報の提供,電気に関する試験又は研究,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,理化学機械器具の貸与」に補正されたものである。

2 原登録商標
原登録商標は,別掲のとおりの構成よりなり,昭和56年10月26日に登録出願,第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成5年10月29日に設定登録され,その後,平成16年3月17日に,指定商品を第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,電池,電線及びケーブル」とする指定商品の書換登録がなされ,現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は,「原登録商標は,その指定商品とは類似していない本願標章の指定商品又は指定役務に付された場合において,商品又は役務の出所に混同を来す程度に至るほどに需要者の間に広く認識されているものとは認められない。したがって,本願標章は,商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
(1)本願標章と原登録商標との同一性について
本願標章は,原登録商標と同一の構成よりなるものであり,また,本願標章の請求人は,商標登録原簿の記載によれば,原登録商標の権利者と同一人である。
(2)原登録商標の著名性について
請求人の主張及び提出した第1号証ないし第81号証並びに職権調査によれば,以下の事実が認められる。
ア 請求人及び使用商標
(ア)請求人は,1968年に設立され,会計事務所及び企業経理部門に特化したコンピュータシステム並びにパソコン向け経理ソフトの設計・開発・製造・販売及びこれらに付随するアフターサービス・Webサービスの提供を主な事業とする法人であって,本社,工場,開発センターのほか,全国約30箇所に営業所を展開している(7,52号証)。
また,請求人の2014年3月期の売上高は234億97百万円(連結売上高は359億22百万円),従業員数は1188名(同年月末現在)である(7,52?54,70?75号証)。なお,請求人のグループ会社として,半導体の設計・製造・販売を行うアイベックステクノロジー株式会社,定期航空運送事業を行うアイベックスエアラインズ株式会社等が存在するが,両社の出所を表示するものとして,原登録商標は使用されていない。
(イ)平成27年5月15日に日本税理士連合会が発行した「税理士界 第1328号」22頁(第51号証)において,税理士事務所(税理士法人)で使用している税務・会計ソフトベンダーに関する調査結果(回答者25,970人,複数回答)が記載されているところ,当該回答結果によれば,税理士事務所(税理士法人)で使用される,会計ソフトウェアの項目において,請求人の割合は,「弥生」(29%)に次いで約17%であり,税務ソフトの項目においては,請求人の割合が最も多く(16.4%),給与等ソフトの項目においては,「日本ICS」,「TKC」に次いで11.5%であり,いずれの項目においても上位に位置している。
(ウ)請求人は,1971年から「JDL」の文字を商品「会計事務所用コンピュータ」に使用し(8,71号証),また,「jDL」の文字をロゴ化した商標(当初は黒塗りの態様であり,その後,全て白抜き文字,あるいは「j」及び「L」の文字を白抜きし,「D」の文字のみに色彩を施した態様に変更されている。以下,これらを総称して「ロゴ商標」という。)については,1974年から,商品「会計事務所専用コンピュータシステム」のカタログに使用している(8,11,71号証)。
そして,「JDL」の文字及びロゴ商標は,その後も作図・計算機能付きのワードプロセッサー(1997年前半には製造終了(8号証))のほか,会計事務所用ネットワークサーバー等を含めた「会計事務所及び企業経理部門向けのコンピュータ及びコンピュータソフトウェア」(以下「使用商品」という。)について,請求人により継続して使用されていることが,請求人の製品カタログ,請求人発行の雑誌,請求人の作成に係る業務紹介用ショートムービー,ウェブサイト等から認められる(8?18,52,55?61,64?71,76号証)。
(エ)1980年代半ばには,請求人のワードプロセッサーや請求人の会社紹介を記事にした冊子が事務管理分野の雑誌の別冊として発行され(68号証),請求人の業績や経歴を紹介する新聞記事が連載されている(69号証)。
イ 新聞,雑誌,テレビ,インターネット及び交通機関等における広告
第24号証ないし第48号証によれば,請求人が2002年から2016年にかけて,読売新聞や朝日新聞等の全国紙,税務業界専門誌やPC雑誌,ビジネス雑誌,全国ネットのテレビ放送におけるコマーシャル,鉄道車内や駅の看板,税務関係のウェブサイト,本社フェンス,アイベックスエアラインズ社の航空機内や時刻表等において,「JDL IBEX」「JDL Benny」等の請求人の取扱商品について広告を行ったことがうかがえる。
しかしながら,上記証拠によれば,新聞広告については全国紙であるが,それ以外のもの,例えば雑誌広告は,税務関連の専門誌において行われている割合が多く,また,テレビコマーシャルは,全国ネットであるものの,平日の早朝又は深夜の放映が主であって,しかも,上記広告例はいずれも,経理・会計業務向けの商品として,「経理(税務)ソフト」,「(管理)会計システム」,「青色申告は簡単です」,「あなたの会計事務所で!」等の文字が使用されているものである。
ウ 小括
以上のことからすれば,請求人は,その取扱いに係る使用商品を表示する商標として,他の各商標とともに,ロゴ商標を1974年から使用し,商品「会計事務所及び企業経理部門向けのコンピュータ及びコンピュータソフトウェア」について宣伝広告を行い,当該商品は,税務・会計ソフトの分野において,上位の売上を有しているといえる。
そして,上記2のとおり,原登録商標は別掲のとおりの構成よりなるものであり,ロゴ商標とは同視し得るものといえるものであることからすれば,原登録商標は,請求人による販売活動及び宣伝広告の結果,上記商品を表示するものとして,当該商品の取引者,需要者に広く知られているものと認められる。
(3)混同を生ずるおそれの有無について
上記のとおり,原登録商標は,請求人の取扱いに係る使用商品を表示する商標として,会計・経理分野の需要者の間に広く認識されているといえるものである。
ところで,使用商品は,主にコンピューターソフトウェアメーカーが製造し,会計事務所や企業の経理部門向けに販売される,限定された分野の商品であるといえる。
一方,本願標章の指定商品及び指定役務は前記1のとおりであるところ,これらは,主に科学分野の各種機械器具及び建築物や機械の設計・研究等の役務といった,専門性の高い商品及び役務の他,家電品や時計等の一般的な商品も含まれている。
そうすると,原登録商標の使用商品と,本願標章の商品・役務とは,商品製造者・役務提供者,用途,目的,役務の提供内容が明らかに異なり,使用商品の製造者・販売者等が,同一の場所において,本願標章の指定商品・指定役務を普通に販売・提供しているとは考え難く,商品の製造・販売場所ないし役務の提供場所も一致するものとは認められない。
さらに,原登録商標の需要者は,会計事務所や企業の経理部門の担当者という極めて限られた者であるというのが相当であり,他方,本願標章の需要者は,科学分野,建築・機械等の専門分野の需要者のほか,一般の需要者といえるところ,両者が需要者を共通にするものとはいい難い。
してみれば,他人が本願標章をその指定商品及び指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのごとく,その出所について混同を生じるおそれがあるということはできないものと判断するのが相当である。
(4)請求人の主張について
請求人は,「近年,電子計算機用プログラム(経理ソフト)の開発・提供を行っており,家電量販店やインターネット上のウェブショップ等においても販売されているところ,このような実店舗やウェブショップでは,会計ソフトと,カメラ,ドライヤー・冷蔵庫等の家電品,時計等とが,同一の取扱者によって,同一の店舗やサイトで販売されている。また,経理ソフトの需要者は,性別・年齢を問わないから,これらの取引業者・需要者の共通性を勘案すれば,本願標章がその指定商品に使用された場合,あたかも請求人の業務に係る商品あるいは経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく,出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。」旨主張する。
確かに,家電量販店の実店舗やウェブショップにおいて,コンピュータ又はコンピュータソフトウェアと,家電品や時計とが,同一の店舗において販売されることは少なくない。
しかしながら,上記(3)で述べたとおり,家電品や時計等の商品が一般の需要者を対象としているのに対し,原登録商標の使用商品の需要者は,会計事務所及び企業の経理部門に限られた範囲の者である。そして,両者の需要者は異なり,用途も相違するものである上,製造者や原材料が一致するものともいい難い。したがって,使用商品と本件標章の指定商品及び指定役務とは,関連性を有する商品及び役務とは認められないというのが相当である。
よって,請求人の上記主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり,本願標章は,商標法第64条に規定する要件を具備しないものであるから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願標章及び原登録商標。色彩については原本を参照されたい。)


審理終結日 2016-11-09 
結審通知日 2016-12-02 
審決日 2016-12-27 
出願番号 商願2014-75536(T2014-75536) 
審決分類 T 1 8・ 8- Z (W09111442)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 裕子榊 亜耶人 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小林 裕子
田村 正明
商標の称呼 ジェイデイエル 

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