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審決分類 審判 全部取消 商標の同一性 無効としない Y10
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y10
管理番号 1325960 
審判番号 取消2015-300750 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-10-21 
確定日 2017-02-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5042162号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5042162号商標(以下「本件商標」という。)は、「SIDEKICK」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年8月7日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同19年4月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成27年11月5日にされている。
なお、本件商標に係る登録は、商標登録の取消し審判(予告登録:平成27年11月5日)により、その指定商品中の「医療用機械器具(「バルーンカテーテル並びにその部品及び附属品」を除く。)」についての登録を取り消すべき旨の審決がされ、平成28年4月28日にその確定審決の登録がされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(甲第1号証及び甲第2号証が重複していたため、請求書に添付の甲第1号証を「甲第1号証の1」、同じく甲第2号証を「甲第1号証の2」、平成28年4月1日付け弁駁書に添付の甲第1号証を「甲第1号証の3」とする。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その全ての指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人の主張及び証拠からは、以下のとおり、本件商標が指定商品について使用されているということはできない。
(1)乙第1号証の1
ア 展示又は頒布
被請求人は、乙第1号証の1が被請求人のバスキュラー製品についての総合カタログである旨述べているが、当該カタログが展示又は頒布された事実は示されていない。このため、当該カタログによる被請求人の行為は、商標法第2条第1項第8号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
なお、乙第1号証の1には、「2014/09/24」及び時間の表示とともに、「e-timing」及び「Amano Degital Time Stamp Service」の表示があるが、これは、乙第1号証の1の内容の電子データがこの日時に存在していたことを証明するものにすぎない(甲1の3)。つまり、同証拠と同じ内容のカタログが、紙媒体でこの日時に存在していたことは証明されておらず、ましてや、展示又は配布されていたことは証明されていない。
イ 本件商標の使用
当該カタログには、以下の3種類の標章が表示されている。
(ア)左上部に大きい文字で「SIDEKICK(丸R) OZMA PLUS」(「(丸R)」の表示は丸印の中にRの文字を記載した記号を表す。以下同じ。)の表示
(イ)右上部に小さい文字で「サイドキック」の表示
(ウ)オレンジ色の背景に白字でカテーテルのイラストとともに「SIDEKICK(丸R) OZMA PLUS(+の記号)」の表示
被請求人は、(ア)のうち、「SIDEKICK」の部分のみを抜き出しているが、同書同大の文字で一体的に書された標章の一部を抜き出すべき理由がなく妥当ではない。
また、(ア)は、本件商標と社会通念上同一の商標にも該当しない。商標法第50条第1項では、社会通念上同一の商標の例示として、(a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(b)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(c)外観において同視される図形からなる商標が挙げられている。
そうすると、同項における「登録商標と社会通念上同一の商標」とは、これらと同程度の商標をいうものと解される。本件において、(ア)は、上記(a)ないし(c)のいずれにも該当しないため、本件商標と社会通念上同一ということはできない。また、「SIDEKICK」の部分は、周知商標ではないため、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。さらに、「OZMA PLUS」の部分は、出所識別標識としての称呼、観念が生じないということはできないことから、「SIDEKICK(丸R) OZMA PLUS」から捨象されない。したがって、(ア)は、本件商標と社会通念上同一ということができない。以上のような考え方は、近年の知的財産高等裁判所における裁判例でも示されている(甲2:知財高裁平成24年(行ケ)第10382号同25年3月21日判決)。なお、(ウ)についても(ア)と同様のことがいえる。
さらに、(イ)については「登録商標の使用」に該当しない。商標は、自他商品識別機能を発揮することによって初めて、保護対象である信用が化体するものであるため、自他商品識別機能を発揮しない態様での使用は「登録商標の使用」に該当しないと解される。本件において、(イ)の「サイドキック」は、極めて小さい文字で表示されているにすぎず、かつ、より目立つ表示である(ア)や(ウ)があることも相俟って、需要者が(イ)の部分のみに着目するとはいい難い。このため、(イ)は、自他商品識別標識として使用されているということができない。
(2)乙第1号証の2
被請求人は、乙第1号証の2を「添付文書」と説明されているが、何に添付されたどういった書類であるかが明らかにされておらず、位置づけが不明である。また、仮に、この添付文書が乙第1号証の1又は3に添付されたものであることを被請求人が意図しているとしても、その添付された事実を示す証拠も示されていない。これに加えて、乙第1号証の1及び3には「SIDEKICK/OZMA PLUS」及び「SIDEKICK/OZMAX/CROSS」が一体的に、かつ、「SIDEKICK」よりも大きく目立つように表示されていることからすると、「サイドキック」のみが表示された乙第1号証の2が同号証の1及び3の添付文書ということは不自然である。また、需要者の立場から考えても、このような2つの異なる表示が同一の商品を指すとは直ちに認識できないといえ、添付文書としての不自然さが伺える。
このため、当該添付文書に係る被請求人の行為は、商標法第2条第1項第8号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
なお、乙第1号証の3には、「2014/09/24」及び時間の表示とともに、「e-timing」及び「Amano Degital Time Stamp Service」の表示があるが、上記(1)と同様に、同証拠と同じ内容の添付文書が、紙媒体でこの日時に存在していたことも、展示又は配布されていたことも証明されていない。
(3)乙第1号証の3
ア 展示又は頒布
上記(1)と同様に、乙第1号証の3が展示又は頒布された事実は示されていないため、これらの資料による被請求人の行為は、商標法第2条第1項第8号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
イ 本件商標の使用
当該カタログには、以下の3種類の標章が表示されている。
(ア)3箇所に大きい文字で「SIDEKICK(丸R) OZMAX/CROSS」の表示
(イ)製品仕様の欄に小さい文字で「Sidekick OZMA X」及び型番の表示
(ウ)小さい文字で「サイドキック」の表示
上記(1)と同様に、一体的に表示された(ア)及び(イ)から、その一部の「SIDEKICK」を抜き出すのは妥当ではなく、かつ、当該一体不可分の標章と本件商標とは社会通念上同一でない。
また、被請求人は、最も目立つように表示された商標(ア)と同一の商標について出願し登録を受けている(甲3:登録第5458026号商標、別件登録商標1)。当該事実は、(ア)が、本件商標ではなく、別件登録商標1の使用であるとする被請求人の意思の表れであるといえる。したがって、このような観点からも、商標(ア)は本件商標と社会通念上同一ではないといえる。なお、このような判断手法も、上記裁判例(甲2)において採られている。
さらに、(ウ)についても、上記(1)と同様に、需要者がこの部分のみに着目するとはいい難いため、自他商品識別標識として使用されているということができない。
したがって、乙第1号証の1ないし3によって、本件商標が使用されているということはできない。
(4)乙第2号証の1及び2
ア 展示又は頒布
上記(1)と同様に、乙第2号証の1及び2が展示又は頒布された事実は示されていないため、これらの資料による被請求人の行為は、商標法第2条第1項第8号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
イ 本件商標の使用
これらの証拠には、以下の3種類の標章が表示されている。
(ア)大きい文字で「SIDEKICK(丸R) OZMAXX/DOUBLE CROSS」の表示
(イ)製品仕様の欄に小さい文字で「Sidekick OZMA XX」及び型番の表示
(ウ)小さい文字で「サイドキック」の表示
上記(1)と同様に、(ア)及び(イ)の外観に鑑みると、その一部の「SIDEKICK」及び「Sidekick」を抜き出すのは妥当ではなく、かつ、当該一体不可分の標章と本件商標とは社会通念上同一でない。また、被請求人は、最も目立つ商標(ア)と同一の商標について出願し登録を受けている(甲4:登録第5733731号商標、別件登録商標2)。当該事実は、(ア)が、本件商標ではなく別件登録商標2の使用であるという被請求人の意思の表れであるといえる。したがって、このような観点からも、商標(ア)は本件商標と社会通念上同一ではないといえる。
さらに、(ウ)についても、上記(1)と同様に、需要者がこの部分のみに着目するとはいい難いため、自他商品識別標識として使用されているということができない。
したがって、乙第2号証の1及び2によって、本件商標が使用されているということはできない。
(5)乙第3号証
ア 展示又は頒布
乙第3号証と同一内容の情報を電磁的方法により提供がされた事実は示されていないため、これらの資料による被請求人の行為は、商標法第2条第1項第8号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
なお、乙第3号証には、「2014/09/24」及び時間の表示とともに、「e-timing」及び「Amano Degital Time Stamp Service」の表示があるが、上記(1)と同様に、これは、乙第3号証の内容の電子データがこの日時に存在していたことを証明するものにすぎない(甲1の3)。つまり、同証拠と同じ内容のホームページが、この日時に公開されていたことは証明されていない。
イ 名目的使用
乙第3号証のホームページには、「サイドキック」の文字が表示されており、当該表示とともに商品の写真及び説明が表示されている。しかしながら、これらの各情報は、商品の内容をアピールし説明する広告とは思えない程、極めてあっさりとした内容である。これは、被請求人の現在のウェブサイトにおける同種商品を紹介するページと比較するとより顕著となる(甲5)。また、「より詳しい情報は医療機器情報サイトにてご覧いただけます。」との説明があるが、当該より詳しいサイトには、「サイドキック」の文字とともにより詳しい商品情報が掲載されていると考えるのが自然である。そうすると、当該サイトの写しを提出する方がより確実に「広告」に該当する使用(商標法第2条第1項第8号)であるといえそうである。しかしながら、当該サイトではなく、乙第3号証について日付確認を依頼し証拠として残した点が不自然であり、当該サイトには、当時「サイドキック」の文字はなかったことが推認される。そして、他の証拠全体からも理解できるとおり、被請求人は、「SIDEKICK」に、より大きな文字の「OZMAX」、「OZMAXX」等を組み合わせた商標を大々的に使用している。これらを総合すると、乙第3号証によって、不使用取消審判による商標登録の取消しを免れるために名目的に使用されていたことがうかがえる。
したがって、乙第3号証によって、本件商標が使用されているということはできない。
(6)乙第4号証の1ないし5
ア 使用の証明期間
乙第4号証の1ないし5に係る商品の包装に標章が表示されているとしても、標章を付する行為それ自体は示されていない。また、同商品が譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為も示されていない。したがって、これらの証拠による被請求人の行為は、商標法第2条第1項第1号及び2号に該当せず、かつ、他の同項各号にも該当しない。
なお、乙第4号証の1ないし5には、「2014/9/26」又は「2014/9/29」が表示されているが、この日時は後から変更可能なものであって、当該日時に同証拠に係る包装等が存在していたことの証明がなされているとはいえない。
イ 本件商標の使用
これらの証拠には、以下の3種類の標章が表示されている。
(ア)外箱の表面に「SIDEKICK(丸R) OZMAX/CROSS」の表示
(イ)個包装に「SIDEKICK(丸R) OZMAX/CROSS」の表示
(ウ)外箱の裏面に「サイドキック」の表示
(エ)添付文書に「サイドキック」の表示
上記(1)と同様に、(ア)及び(イ)の外観に鑑みると、その一部の「SIDEKICK」を抜き出すのは妥当ではなく、かつ、当該一体不可分の標章と本件商標とは社会通念上同一でない。
また、被請求人は、最も目立つように表示された商標(ア)及び(イ)と同一の商標について出願し登録を受けている(上記別件登録商標1)。当該事実は、(ア)及び(イ)が、本件商標ではなく別件登録商標1の使用であるという被請求人の意思の表れであるといえる。したがって、このような観点からも、商標(ア)及び(イ)は本件商標と社会通念上同一ではないといえる。
さらに、(ウ)についても、上記(1)と同様に、需要者がこの部分のみに着目するとはいい難いため、自他商品識別標識として使用されているということができない。
加えて、(エ)に係る添付文書は、商品の性質上、外箱の中に入っており購入後にのみ見ることができると推認できる。商標は、自他商品識別機能を発揮することによって初めて、保護対象である信用が化体するものであるところ、そもそも取引時に視認されなければ自他商品の「識別」ができない。このため、取引時に視認不可能な標章の使用は、自他商品識別機能を発揮せず保護対象である信用が化体しない以上、商標法上の使用であると認めるべきではない。本件において、(エ)の「サイドキック」は取引時には視認不可能であるため、(エ)が、自他商品識別機能を発揮して使用されているということはできない。
したがって、乙第4号証の1ないし5によって、本件商標を使用しているということはできない。
(7)乙第5号証の1ないし23
被請求人は、乙第5号証の1ないし23によって、被請求人と取引先との間で本件商標に係る商品の売買があった旨を述べている。しかしながら、同証拠において、御納入先名の欄には第三者の名称が記載されているが、御得意先名がいずれも「ニプロ(株)(+地名)」となっており、被請求人自身である。また、これらのいずれも金額の欄が空白であり、合計の欄も全て「0」となっているため、実際に商品の売買が行われたことの証明になり得ない。さらに、「店内移動」の文字が記載されていることからも、同号証は内部書類であって売買が行われたことの証明はなされていない。
したがって、乙第5号証の1ないし23によって、被請求人と取引先との間で本件商標に係る商品の売買があったということはできない。
なお、同号証の品名の欄には「OZMA XX」の表示が多数あるものの、「SIDEKICK」の表示は乙第5号証の1ないし23のいずれにもない。したがって、同証拠に係る行為が本件商標の使用に該当しないことは明らかである上、被請求人の本件商標を使用する意思が表れていないことがうかがえる。
(8)乙第6号証の1ないし7
ア 売上伝票の品名等の不一致
被請求人は、乙第6号証の1ないし7に係る売上伝票に記載の品名が、乙第1号証の3のカタログ及び乙第2号証の1及び2の資料に記載の品名及び商品名と一致している旨述べているが、両者は一致していない。つまり、当該カタログ等には、「SK-A10150X」や「OZMA XX SK-A15200XX」及び「SIDEKICK」の表示がされているのに対して、同売上伝票には「SIDEKICK」の表示が一切ない。これでは、上記カタログ等と伝票の関連付けがされていない。そもそも、当該品名の一致不一致にかかわらず、上記カタログ等を需要者が見た上で同売上伝票に表れた商品を購入したか否かは不明である。
したがって、同売上伝票及び上記カタログ等をもって、本件商標に係る商品が譲渡されたということはできない。
イ 信憑性
乙第6号証の1ないし7と同様のフォーマットの売上伝票(乙第5号証の1ないし23)が提出されている。乙第5号証の1ないし23の売上伝票では、「御得意先名」がいずれも被請求人自身であり、金額の欄が空白で、かつ、合計の欄も全て「0」となっているため、実際に商品の売買が行われたことの証明になり得ないこと、さらに、「店内移動」の文字が記載されていたため、同号証は内部書類であって売買が行われたことの証明はなされていない旨請求人が主張したところ、乙第6号証の1ないし7が提出されたが、何故初めから、売上伝票としての体を成した乙第6号証の1ないし7が提出されず、乙第5号証の1ないし23が提出されたのかが甚だ疑問である。つまり、乙第6号証の1ないし7は、請求人の指摘を受けて作成されたのではないかという疑念を抱かせるものであり、証拠としての信憑性に欠ける。
したがって、同売上伝票をもって、本件商標に係る商品が譲渡されたということはできない。
(9)乙第7号証の1ないし23
ア 本件商標に係る製品の変遷に関する資料
被請求人は、乙第7号証の1ないし23を提出し、本件商標に係る製品の変遷にともなって、本件商標が「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズとして使用されてきた旨を述べている。
しかしながら、被請求人は、「SIDEKICK」シリーズとしてではなく、「SIDEKICK OZMA」シリーズとしてこれまで使用してきたというべきである。つまり、被請求人は、「SIDEKICK」を3?4年使用した後は、「SIDEKICK OZMA」に変更し、その後、商品の変遷とともに「+(プラス)」、「X(エックス)」、「XX(ダブルエックス)」のように、「SIDEKICK OZMA」部分を共通部分として維持し9?10年間使用してきたようである。
したがって、被請求人が、これまで「SIDEKICK」シリーズとして継続して使用してきたというには無理がある。
また、平成19年11月に、被請求人の「サイドキック」に係る商品の手術中の破損により、血管中に空気が漏れ、患者が「一時、血管が詰まる危険な状態になった」という事故が発生したことから、被請求人は、平成20年4月17日、被請求人商品の大規模なリコールを行った(甲6)。この事実及び「SIDEKICK」よりも「OZMA」や「X」等を目立たせる態様で長年使用してきた事実から、被請求人は、むしろ、「SIDEKICK」シリーズとして使用する意図がなかったことがうかがえる。
イ 商標的使用
被請求人は、「・・・既に提出した使用証拠が示す通り、『サイドキック(SIDEKICK)』単独での使用又は上段の『SIDEKICK』の文字の右横に『(丸R)』を付した上で、下段に『OZmAX/CROSS』、『OZmAXX/DOUBLE CROSS』の文字を配置する態様にて使用しております。このことはまさに、本件商標『サイドキック(SIDEKICK)』シリーズとしての使用、すなわち自他商品識別標識としての機能を果たし得る使用であることを示すものに他なりません。」と述べているが、理解に苦しむ主張である。おそらく、請求人が、各証拠に表示された「サイドキック」は、自他商品識別標識として使用されていない旨を主張したことに対する反論であろうと推測される。
しかしながら、請求人が、上記主張の根拠として、極めて小さい文字で表示されていること等により、需要者が「サイドキック」の部分のみに着目するとはいい難いといった理由を挙げているのに対して何ら反論されていない。また、「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズとしての使用であることが、自他商品識別標識としての機能を果たし得るということとどう関係するのか不明である。
また、「販売名:サイドキック」の表記は、薬事法又は薬機法にもとづく規制による義務の履行として、医療機器承認番号、クラス分類等と一体的に表記されたにすぎないから、商標的使用ではない。
ウ 社会通念上の同一
被請求人は、使用商標「SIDEKICK OZmAX/CROSS」又は「SIDEKICK OZmAXX/DOUBLE CROSS」から、「SIDEKICK」の文字が独立した表示として認識される旨主張しており、その根拠として、(ア)「SIDEKICK」の右横に「(丸R)」が付されていること、(イ)「SIDEKICK」とそれ以外の文字が二段書きにより視覚上分離すること、(ウ)全体として一つの意味合いを生じる等常に一体不可分と認識される特段の事情がないこと、(エ)「SIDEKICK(サイドキック)」の語が取引者・需要者に十分に認識されており、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えること、の4点を挙げている。
(ア)について
「(丸R)」は、独立して認識されるか否かの決定的要素ではない。「(丸R)」は、米国商標法に基づく表示である上、ある程度日本で通用しているとしても、その意味を日本で理解しているのは商標に精通した者ぐらいであり、医療関係者を含む需要者一般には理解されていない。これは、「(丸R)」の意味について解説された書籍やウェブサイトが複数存在し(甲7)、実際に、弁理士が「(丸R)」について日常的に質問を受けている事実から導くことができる。また、仮に「(丸R)」の知識がある需要者であっても、「『X』の横ではなく『SIDEKICK』の横に『(丸R)』があるからここに注目しよう」等と考える者はまずいないであろう。したがって、「(丸R)」があるからといって、「SIDEKICK」が独立して認識されるとはいえない。
(イ)について
商標が視覚上分離できるからといって、一部分を捨象すべき理由はない。これについては、近年の裁判例にて段書き表記でかつ書体も異なる商標が以下の理由で、使用商標と本件商標が社会通念上同一でないと判断されていることからも肯定できる(甲8:知財高裁平成27年(行ケ)第10203号同28年3月24日判決)。
「・・・分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないが、需要者、取引者においては、ひとまとまりの表示として認識するものと認められるから、・・・」
(ウ)及び(エ)について
被請求人の主張に反して、一体不可分と認識される特段の事情が存在する。つまり、本件使用商標の「Z」が「SIDEKICK」の下線部の機能を果たしている上に、「SIDEKICK」と「X」の上部が揃っているため、むしろ、全体としてまとまりがある一体不可分の商標と認識される。
これに加えて、平成28年4月1日付け提出の弁駁書にて述べたとおり、上記使用商標と本件商標は、第50条第1項の社会通念上同一の商標の例示に該当せず、近年の裁判例(前出(甲2):知財高裁平成24年(行ケ)第10382号同25年3月21日判決)で示された基準を用いても社会通念上同一の商標には該当しない。すなわち、「SDEKICK」の部分は、周知商標ではないため、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。ここで、被請求人は(エ)の主張をしているが、10年以上前に発行された1つの辞典(乙7の5)のみをもって需要者等に十分認識されているとは到底いえず、「SIDEKICK」部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。また、「SIDEKICK OZmAX/CROSS」又は「SIDEKICK OZmAXX」の部分からは、出所識別標識としての称呼、観念が生じないということができないため、上記使用商標から捨象されない。
ところで、被請求人は乙第7号証の5と同一著者の単語帳(乙7の16)を提出しているところ、そこには「SIDEKICK OZMA+【サイドキック オズマ プラス】」及び「2008?,ニプロ」が記載されている。当該記載は、「SIDEKICK OZMA+」から「SIDEKICK」のみを殊更分離して捉えることは不自然であることの証左といえる。
さらに、近年の裁判例において、小さく表された文字と大きく表された文字を組み合わせた二段書き商標について、小さく表された文字が強く支配的な印象を与えない旨や独立の称呼、観念が生じない旨の判断がなされている(甲9:知財高裁平成23年(行ケ)第10372号同24年7月12日判決,甲10:大阪地裁平成24年(ワ)第6896号同25年1月24日判決)。これらの裁判例は類否判断の事例ではあるが、商標に含まれる各要素が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるか否かを考えるにあたって十分参酌されるべき事例である。そうすると、上記使用商標のうち「SIDEKICK」の部分は、それ以外の文字に比べてかなり小さく表されているため強く支配的な印象を与えず、「SIDEKICK」のみが独立して認識されないというべきである。
したがって、上記使用商標は、本件商標と社会通念上同一ではない。
(10)乙第8号証
被請求人は、請求人が税関へ提出した意見書写し(乙8)を提出するとともに、請求人が「(丸R)」を「SIDEKICK」の右横から抹消した旨を主張している。
しかしながら、請求人は、単に特許情報プラットフォームに掲載されている登録商標の画像データを利用したにすぎないため、被請求人の主張は事実に反する。
(11)乙第9号証
被請求人は、医師による陳述書(乙9)を提出し、本件商標に係る商品が購入された旨を主張している。
しかしながら、当該陳述書には、「購入製品」として「SIDEKICK OZMA X」及び「SIDEKICK OZMA XX」が記載されているものの、どの商標がどのような使用態様で表された製品が販売されたかが示されていない。また、被請求人は「乙第1号証及び第2号証と相まって」と述べるが、同号証に係る資料を上記医師が見た上で商品を購入したといったことも示されていない。このため、当該証拠は、本件商標が使用されたことを証明していない。
3 結び
以上のとおり、被請求人が提出した証拠には、本件商標と社会通念上同一の商標が指定商品について使用されている事実が示されていない。
したがって、被請求人の答弁の理由は成り立たず、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の要約
(1)請求人は、本件商標はその全ての指定商品について継続して3年以上日本国内において使用されていないので、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである旨を主張している。
しかしながら、被請求人は、以下に示すとおり、本件商標を指定商品である第10類「医療用機械器具」に含まれる下位概念の商品「バルーンカテーテル」について、本件審判請求の予告登録日である平成27年11月5日前3年以内(以下「本件要証期間内」という場合がある。)に日本国内において使用している。
(2)本件商標を使用している者及び商標使用に係る商品・商標
本件商標が使用されている商品は、乙第1号証の1ないし3に示すとおり、「バルーンカテーテル」である。当該証拠には、本件商標である「SIDEKICK」又は「サイドキック」が明確に表示されている。また、製造販売元として、被請求人である「ニプロ株式会社」が明確に表示されている。
また、これらの「SIDEKICK」又は「サイドキック」の使用が本件商標「SIDEKICK」の使用に該当すること(50条1項括弧書)、及び上記「バルーンカテーテル」が、請求に係る指定商品「医療用機械器具」に含まれることは明白である。
2 証拠の説明
(1)乙第1号証の1ないし3
乙第1号証の1は、被請求人のバスキュラー製品についての総合カタログであり、乙第1号証の2は、「サイドキック」に関する添付文書、乙第1号証の3は、「サイドキック(SIDEKICK)に関するカタログ」である。上記各証拠から、本件商標が使用されている商品が「バルーンカテーテル」であることは明らかである。
(2)乙第2号証の1及び2
乙第2号証の1は、被請求人の「バルーンカテーテル新発売のご案内」に関する資料であり、乙第2号証の2は、「バルーンカテーテル価格表」である。
いずれの証拠においても、「SIDEKICK」の文字が明確に表示されおり、また、商品名の欄には「Sidekick」の文字が表示され、販売名の欄には「サイドキック」の文字が表示されている。また、上記証拠には、いずれも発行時期が平成27年5月と明確に表示されている。
すなわち、乙第2号証の1及び2により、本件商標に係る商品が本件要証期間内に使用されてきたことは明らかである。
(3)乙第3号証
乙第3号証は、2014年当時の被請求人のホームページ中の製品情報についてのプリントアウトである。当該証拠には、「サイドキック」の文字の表示と共に商品名「バルーンカテーテル」が表示されている。
すなわち、乙第3号証により、本件商標に係る商品が本件要証期間内に使用されてきたことは明らかである。
(4)乙第4号証の1ないし5
乙第4号証の1は、本件商標に係る商品についての外箱の表面の写真、個包装の写真及び添付文書の写真である。外箱の表面には、「SIDEKICK」の文字が表示され、添付文書には「サイドキック」の文字が明確に表示されている。
また、乙第4号証の2ないし4は外箱の裏面の写真であり、乙第4号証の5は個包装の拡大写真である。外箱の裏面のラベル及び個包装のラベルには、「サイドキック」又は「SIDEKICK」の文字が表示され、一般的名称として、「冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」と表示されている。また、製造番号として「製造番号(Lot.):13F25」と表示されている。当該表示は、製造年月日を示している。「13」は、「2013年」、「F」は6月(Aを1月として順に、Bは2月、Cが3月、・・・と数える。)、「25」は「25日」を示している。すなわち、当該商品の製造年月日が「2013年6月25日」である。当該製造年月日は、その下に記載されている使用期限(2016年5月)が滅菌効果の有効期限として製造年月日から3年とされていることとの整合性がとれている(具体的には、この種の製品については、EOG滅菌というガス滅菌がなされており、その滅菌の効果の保証期間が3年であることから使用期限は製造年月日から3年とされている。)。
すなわち、乙第4号証の1ないし5により、本件商標に係る商品が本件要証期間内に使用されてきたことは明らかである。
(5)乙第5号証の1ないし23
乙第5号証の1ないし23は、被請求人が複数の取引先に発行した売上伝票(課控)であり、平成26年から現在までの間に、被請求人と複数の取引先との間で、本件商標に係る商品の売買(譲渡)が行われたことの証左である。
乙第5号証の1ないし23には、品名について、分類すると下記ア及びイの2種類の記載がみられる。そして、アに挙げた品名は、乙第1号証の3のカタログに記載の品名と一致しており、イに挙げた品名は、乙第2号証の1の「バルーンカテーテル新発売のご案内」に関する資料及び乙第2号証の2の「バルーンカテーテル価格表」に記載の商品名と一致している。すなわち、上記乙第5号証の1ないし23は、乙第1号証及び乙第2号証と相まって、被請求人が、本件商標に係る商品を本件要証期間内に使用してきたことを証するものである。
ア SK-A10200X/SK-A10250X/SK-A15200X/SK-A20200X/SK-A20225X/SK-A15225X/SK-A15250X/SK-A15275X/SK-A15350X/SK-A15300X/SK-A15400X/SK-A10150X/SK-A15150X
イ OZMA XX SK-A20200XX/OZMA XX SK-A20225XX/OZMA XX SK-A15150XX/OZMA XX SK-A10200XX/OZMA XX SK-A10225XX/OZMA XX SK-A10250XX/OZMA XX SK-A15325XX/OZMA XX SK-A15350XX/OZMA XX SK-A15200XX/OZMA XX SK-A15250XX/OZMA XX SK-A15300XX/OZMA XX SK-A15275XX/OZMA XX SK-A10150XX/OZMA XX SK-A20250XX/OZMA XX SK-A20350XX
(6)乙第6号証の1ないし7
当該証拠は、複数の取引先に発行した売上伝票(店舗控)であり、平成26年から現在までの間に、被請求人と複数の取引先との間で、本件商標に係る商品の売買(譲渡)が行われたことの証左となる。
乙第6号証の1ないし7には、品名について、分類すると下記ア及びイの2種類の記載がみられる。そして、アに挙げた品名は、乙第1号証の3のカタログに記載の品名と一致しており、イに挙げた品名は、乙第2号証の1の「バルーンカテーテル新発売のご案内」に関する資料及び乙第2号証の2の「バルーンカテーテル価格表」に記載の商品名と一致している。すなわち、上記乙第6号証の1ないし7は、乙第1号証及び乙第2号証と相まって、被請求人が、本件商標に係る商品を本件要証期間内に使用してきたことを証するものである。
ア SK-A10150X/SK-A15200X/SK-A15225X/SK-A15250X/SK-A15275X/SK-A15300X/SK-A15350X/SK-A20150X/SK-A20225X/SK-A20250X/SK-A20275X
イ OZMA XX SK-A10250XX/OZMA XX SK-A15200XX/0ZMA XX SK-A15250XX/OZMA XX SK-A15300XX
(7)乙第7号証の1ないし23
ア 乙第7号証の1ないし23は、被請求人の本件商標「サイドキック(SIDEKICK)」に係る製品の変遷(ヒストリー)に関する資料である。
要約すれば、以下のとおりであり、本件商標に係る製品は、2003年「サイドキック(SIDEKICK)」として販売が開始され、数年毎にバージョンを追加・変更しながら「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズとして2003年から現在に至るまで販売を継続しているものである。
2003年 サイドキック(SIDEKICK)販売開始
2007年 サイドキック(OZMA)販売開始
2008年 サイドキック(OZMA+)販売開始
2011年 サイドキック(OZMA X)販売開始
2015年 サイドキック(OZMA XX)販売開始
また、乙第7号証の2及び3、7及び8、12及び13、18及び19並びに21及び22は、「医療機器の保険適用希望書」及び「保険適用を認める旨の通知書」である。医療機器の保険適用を希望する場合には、区分に応じて定められた様式の保険適用希望書を厚生労働大臣あてに提出しなければならず、当該証拠は、その適用が認められたことを示す通知書である。被請求人は、上記バージョンの追加・変更ごとに希望書を提出した上で保険適用を認める通知書を受けている。これは、本件商標に係る製品の上記変遷の事実を裏付けるものである。
さらに、被請求人は、上記変遷に基づき、商標権の確実な保護のためにバージョンの追加・変更の度に各態様の商標登録を得ている。
イ 被請求人は、実際の使用に際し、既に提出した使用証拠が示すとおり、「サイドキック(SIDEKICK)」の単独での使用又は上段の「SIDEKICK」の文字の右横に「(丸R)」を付した上で、下段に「OZmAX/CROSS」、「OZmAXX/DOUBLE CROSS」の文字を配置する態様にて使用している。このことはまさに、本件商標「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズとしての使用、すなわち自他商品識別標識としての機能を果たし得る使用であることを示すものである。
また、乙第7号証の5が示すように、PCI(冠動脈のインターベンション)の業界用語に関する単語辞典において、「SIDEKICK」の語は「ニプロサイドキック」又は「2003?,ニプロ」と被請求人の製品であることが明記されている。このことは、「SIDEKICK(サイドキック)」の語が当該業界の取引者、需要者において十分に認識されており、取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであると認められていることの証左となり得る。このことからも、使用商標からは、「SIDEKICK」の部分が独立した表示として認識されるものといえる。
そうだとすれば、本件商標「SIDEKICK」と上記使用商標中の「SIDEKICK」の文字とは社会通念上同一の商標と認められるものである。
(8)乙第8号証
本件商標に関し、請求人の子会社(輸入元)である「株式会社メディコン」に対して、現在、仮処分命令申立書(大阪地方裁判所)を提出しており、また、同社が輸入する物品につき大阪税関に対して輸入差止申立書を申請している。
乙第8号証は、「株式会社メディコン」が輸入する物品につき大阪税関に対して申請している輸入差止申立に対して提出された意見書(写し)である。当該意見書は、その内容を見る限り、本件不使用取消審判請求及び弁駁書の提出をしている請求人の代理人が提出したものと思われる。
当該意見書中「2.権利消滅可能性」の項目において、不使用取消審判請求について言及するとともに、被請求人によって提出された証拠について以下のように言及されている。
「申立人の証拠資料には、登録商標「SIDEKICK」自体の表示はほとんどなく、「OZMA」又は「OZMAXX」等の他の語と組み合わせた表示が主に見られます(資料3:申立人提出証拠の一部抜粋)。つまり、以下のように、「OZMAX」又は「OZMAXX」を含む他の標章が最も目立つように表示されています。」
そして、上記言及のすぐ下に、被請求人の使用態様が二つ具体的に明示されている。
上記意見書に示された態様には、上段の「SIDEKICK」の文字の右横にあるはずの「(丸R)」がいずれも剥奪抹消されている。被請求人が提出した使用証拠における同態様には全て、上段の「SIDEKICK」の文字の右横に「(丸R)」が付してあり、登録商標「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズとしての自他商品識別標識としての機能を発揮する態様で表示されている。当該事実を考慮すれば、請求人が上記意見書において示す使用態様は、被請求人による実際の使用態様から敢えて「(丸R)」を剥奪抹消したものであるとの疑念を生じさせるものである。
(9)乙第9号証
乙第9号証は、本件商標に係る商品を購入した医師による陳述書である。当該陳述書には、時期(平成27年4月?12月)、購入製品、本数が特定されている。また、購入者である医師の記名及び押印がある。したがって、当該陳述書は、第三者による客観性が担保された証拠である。
すなわち、上記乙第9号証は、乙第1号証及び乙第2号証と相まって、被請求人が、本件商標に係る商品を本件要証期間内に使用してきたことを証するものである。
3 結び
以上のとおり、本件商標は、請求に係る指定商品「医療用機械器具」に含まれる商品「バルーンカテーテル」について、本件要証期間内に日本国内において使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内にその請求に係る商品中の「バルーンカテーテル」について使用していると主張するところ、被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の1ないし3について
乙第1号証の1は、商標権者(被請求人)の作成に係る「ニプロ バスキュラー製品総合カタログ」と題するバルーンカテーテルを始めとするバスキュラー製品についてのカタログの写しであると認められ、その4葉目(カタログの1ページ)には、上部の表題部に、左寄りで「SIDEKICK(丸R) OZMA PLUS」の文字(以下「本件関連使用標章1」という。)が表示されている。そして、本件関連使用標章1の上部左方に「PTCA Balloon Catheter」の文字が表示され、同じく右方に「エチレンオキサイドガス滅菌済」の表示、さらにその右方に「医療機器承認番号:21500BZZ00122000」、「販売名:サイドキック」(「サイドキック」の片仮名の使用を以下「本件関連使用標章2」という。)等が表示されている。また、表題部のすぐ下の右方に、商品の説明と思われる画像が表示され、その画像内の上方部に、「SIDEKICK(丸R)」の文字、やや図案化された「OZMA」の文字及び「『+』の記号と『PLUS』の文字の組合せ」(これら全体の使用を以下「本件関連使用標章3」という。)が表示されている。そして、本件関連使用標章3の下部に「PTCA Balloon Catheter」の文字が表示されている。
乙第1号証の2は、商標権者の作成に係る「サイドキック」に関する添付文書とするものであり、「機械器具 51 医療用嘴管及び体液誘導管」及び「**高度管理医療機器 冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル 17184024」の記載の下、表題として「サイドキック」の片仮名(本件関連使用標章2)が表示され、以下2ページにわたって「形状・構造及び原理等」、「使用目的、効能又は効果」、「操作方法又は使用方法等」及び「使用上の注意」の各項目が記載されている。そして、表題部の右上には、「医療機器承認番号:21500BZZ00122000」の記載がされている。
乙第1号証の3は、「サイドキック(SIDEKICK)」に関するカタログの写しとするものであり、商標権者の作成に係るものと認められ、その1葉目の左方上方部及び右方中央部並びに2葉目の右方下方部に、「SIDEKICK(丸R)」の文字並びに「やや図案化された『OZMA』の文字、『X』の文字及び『CROSS』の文字の組合せ」(これら全体の使用を以下「本件関連使用標章4」という。)が表示されている。そして、1葉目の右方中央部及び2葉目の右方下方部に係る本件関連使用標章4の下部には、「Coronary Dilatation Catheter」の文字が表示されている。また、「製品仕様」の項目の表において、「品名」欄には、「Sidekick OZMA X」の文字に続けて、「SK-A10150X」、「SK-A15200X」、「SK-A15225X」、「SK-A15250X」、「SK-A15275X」、「SK-A15300X」、「SK-A15350X」、「SK-A20150X」、「SK-A20225X」、「SK-A20250X」「SK-A20275X」などの符号、記号が記載されていることが認められる。さらに、「製品仕様」の項目の表の右下部には、「販売名 サイドキック」(本件関連使用標章2)、「一般的名称 冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」、「医療機器承認番号 21500BZZ00122000」等が表示されている。なお、「品名」欄の符号、記号の「SK-A15300X」に対応する「商品コード」は「26-249」と表示されている。
(2)乙第2号証の1及び2について
乙第2号証の1は「バルーンカテーテル新発売のご案内」に関する資料、また、乙第2号証の2は「バルーンカテーテル価格表」とするものであり、いずれも商標権者の平成27年5月作成に係る「PTCAバルーンカテーテル『OZMA XX』新発売のご案内」及び「PTCAバルーンカテーテル価格表」を表題とする文書の写しであると認められ、それぞれ、上記表題の下部に、「SIDEKICK(丸R)」の文字並びに「やや図案化された『OZMA』の文字、『XX』の文字及び『DOUBLE CROSS』の文字の組合せ」(これら全体の使用を以下「本件関連使用標章5」という。)が表示されている。そして、その下部には、「Coronary Dilatation Catheter」の文字が表示されている。また、「規格」の項目の表において、「商品名」欄には、「Sidekick OZMA XX」の文字に続けて、「SK-A10250XX」「SK-A15200XX」「SK-A15250XX」「SK-A15300XX」などの符号、記号が記載されていることが認められる。さらに、上記の表の下部には、「販売名:サイドキック」(本件関連使用標章2)、「医療機器承認番号:21500BZZ00122000」、「一般的名称:冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」等が表示されている。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、2014年9月24日における商標権者のホームページ中の「製品情報」の項についてのプリントアウトであると認められ、該ページには、医療機器として、「PTCA用バルーンカテーテル」の記載の下、その画像が表され、その下部に「サイドキック」(本件関連使用標章2)の文字が記載されていることが認められる。
(4)乙第4号証の1ないし5について
乙第4号証の1は本件商標に係る商品についての外箱の表面の写真、個包装の写真及び添付文書の写真、乙第4号証の2ないし4は外箱の裏面の写真、乙第4号証の5は個包装の拡大写真とするものである。該乙号証は、商標権者の製造販売に係る商品及びその包装等であることが認められる。そして、外箱の表面及び個包装の上部には、本件関連使用標章4が表示され、外箱の裏面のラベル及び添付文書には、本件関連使用標章2が表示されている。
また、外箱の裏面のラベル及び個包装のラベルには、「一般的名称:冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」、「管理区分:高度管理医療機器」「販売名:サイドキック」(本件関連使用標章2)、「品番:SK-A15300X」、「商品コード:26-249」、「製造番号(Lot):13F25」、「使用期限:2016.05」、「医療機器承認番号:21500BZZ00122000」等が表示されている。
(5)乙第6号証の1ないし7について
乙第6号証の1ないし7は、商標権者が複数の取引先に発行した「売上伝票(店舗控)」の写しであり、その期間は、平成26年7月3日から同年9月26日まで及び平成27年9月2日から同年10月20日までに発行したものであると認められる。
そして、それらの品名欄には、「SK-A10150X」、「SK-A15200X」、「SK-A15225X」、「SK-A15250X」、「SK-A15275X」、「SK-A15300X」、「SK-A15350X」、「SK-A20150X」、「SK-A20225X」、「SK-A20250X」、「SK-A20275X」の符号、記号が記載されており、乙第1号証の3の品名欄において、「Sidekick OZMA X」の文字に続けて記載されている符号、記号と符合し、これらに対応する「売上伝票(店舗控)」の写しは、平成26年7月3日から同年9月26日まで及び平成27年9月2日から同年9月30日までに発行されたものである。上記(4)における乙第4号証(枝番を含む。)に係る商品の包装に記載されている「品番:SK-A15300X」と符合する「売上伝票(店舗控)」の写しは、乙第6号証の2に係る平成26年7月3日付け「(株)アクティブメディカル」宛て及び同年9月1日付け「テスコ(株)郡山営業所」宛て並びに乙第6号証の3の下段に係る平成26年9月4日付け「(株)アクティブメディカル」宛てのものである。これらは、「商品コード」である「26-249」も符合している。
また、同じく品名欄の「OZMA XX SK-A10250XX」、「OZMA XX SK-A15200XX」、「0ZMA XX SK-A15250XX」、「OZMA XX SK-A15300XX」の記載は、乙第2号証の1及び同2の商品名欄に記載の商品名と符合する。これらに対応する「売上伝票(店舗控)」の写しは、平成27年9月10日、同月14日及び同年10月20日に発行されたものである。
(6)乙第7号証の1ないし23
乙第7号証の1ないし23は、商標権者による「サイドキック(SIDEKICK)」に係る製品の変遷(ヒストリー)に関する資料とするものであり、これらによれば、厚生労働大臣から、「類別:器具機械51 医療用嘴管及び体液誘導管」、「一般的名称:滅菌済み血管処理用チューブ及びカテーテル」、「販売名:サイドキック」である製品が平成15年3月11日付けで製造承認され(承認番号:21500BZZ00122000)、同年6月1日から医療用具の保険適用を受けたこと、その後、形状、構造、性能等を変更する保険適用の申請をし、追加変更通知を4回(平成18年11月,同20年9月,同23年4月,同26年12月)受けたことが認められる。
そして、商標権者は、昭和29年7月8日に設立された事業内容を「医療機器・医薬品の製造・販売」等とする法人であり、「PTCAバルーンカテーテル サイドキックの販売を平成15年10月販売開始したとされている(乙7の4)。その後、上記の追加変更に合わせ、(a)「SIDEKICK OZMA」・「サイドキック OZMA」(乙7の10)、(b)本件関連使用標章4(乙7の14)、「SIDEKICK OZMA PLUS」・「サイドキック OZMA PLUS」・「サイドキック OZMA+」(乙7の15)、(c)本件関連使用標章4(乙7の20)、(d)本件関連使用標章5(乙7の23)の表示をした新しい型を製造、販売したことが認められる。
(7)乙第9号証について
乙第9号証は、商標権者代表取締役社長宛ての「医療法人桜友会所沢ハートセンター院長」の平成28年5月16日付け陳述書と認められ、「平成27年4月から同年12月まで、当院において、貴社製造のPTCAバルーンカテーテル(購入製品:「SIDEKICK OZMA X」又は「SIDEKICK OZMA XX」)を購入した。」旨陳述されている。
(8)小括
上記(1)、(4)及び(5)によれば、乙第4号証(枝番を含む。)に係る品番、商品コードの商品は、乙第1号証の3のカタログに掲載された商品と同一であること、また、乙第6号証の2及び同号証の3下段の売上伝票(店舗控)に記載された商品と同一であることが認められる。
2 本件商標の使用について
上記1の事実を総合して考察すれば、商標権者の製造に係る商品「冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」の包装(外箱及び個包装)に本件関連使用標章4及び本件関連使用標章2が付され、少なくとも平成26年7月3日、同年9月1日及び同月4日に、商品の取引先に販売されたことが推認される。
そして、商標権者の製造に係る商品「冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテル」は、本件審判の請求に係る指定商品中の「バルーンカテーテル」に包含されるものであり、また、その使用の期日は、本件要証期間内(平成24年11月5日から同27年11月4日まで)に含まれていると認められる。
さらに、本件関連使用標章4中の「SIDEKICK」の文字部分は、本件関連使用標章4のその余の文字部分と近接してはいるものの、それらとは書体、大きさが判然と相違するものであって、本件関連使用標章4のその余の文字部分から視覚上分離して看取されるとみるのが自然であり、また、本件関連使用標章4全体として一体的な称呼や観念が生ずるものでもなく、構成全体を一体に捉えて把握しなければならないとみるべき特段の事情も見当たらないことから、商品「バルーンカテーテル」の取引者、需要者において、「SIDEKICK」の文字部分が独立して自他商品識別標識として機能し得るものである、すなわち、商標権者の製造販売する製品を表す独立した個別の表示として理解、認識されるものであると認められる。そして、該部分は、本件商標と同一の文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
また、本件関連使用標章2についても、その片仮名と本件商標「SIDEKICK」のローマ字とにおいて、文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、乙第4号証(枝番を含む。)に係る(a)外箱の表面及び個包装に表示された本件関連使用標章4について、その一部の「SIDEKICK」を抜き出すのは妥当ではなく、かつ、当該一体不可分の標章と本件商標とは社会通念上同一でない、(b)外箱の裏面に表示された本件関連使用標章2について、需要者がこの部分のみに着目するとはいい難いため、自他商品識別標識として使用されているということができない、(c)添付文書に表示された本件関連使用標章2について、取引時に視認不可能な標章の使用は、自他商品識別機能を発揮せず保護対象である信用が化体しない以上、商標法上の使用であると認めるべきではない旨主張する。
(1)主張(a)について
乙第4号証の1及び同5に係る外箱の表面及び個包装に表示された本件関連使用標章4について詳細にみるに、該使用標章は、「SIDEKICK(丸R)」の文字、図案化された「OZMA」の文字、「X」の文字及び「CROSS」の文字を構成要素として、これらを結合させた標章であるところ、「OZMA」の構成中の「Z」の文字の上の横線を「O」の文字部分の上まで、下の横線を「MA」及び「X」の文字部分の下まで、それぞれ著しく長くし、また、「X」の下線部分に当たる部分に「CROSS」の文字を配し(これらの部分を以下「OZMAX・CROSS部分」という。)、さらに、「Z」の上の横線部分の上部に「SIDEKICK」の文字を配したものであり、「SIDEKICK」の文字は、「OZMAX・CROSS部分」とは相違したやや特徴のある同じ書体、同じ大きさで統一感をもってまとまりよく表されており、「OZMAX・CROSS部分」とは別に強い印象を与えるものである。
そして、上記構成要素の観念については、「CROSS」の文字が「横切ること,交差すること,十字架」の意味を有する英語であるほか、「OZMA」、「OZMAX」の文字はいずれも成語とは認められない。他方、「SIDEKICK」の文字は、「親友,相棒,共謀者」の意味を有する英語といえるものであるが、一般になじみのある語とはいえないものであり、また、その表音である「サイドキック」の片仮名も「(サッカー・ラグビーなど)足の側面でボールをけるキック」の意味で使用されていることが認められるものの一般になじみのある語とまではいえないものであって、共に、「側面」の意味を有する「SIDE」又は「サイド」と「蹴ること」の意味を有する「KICK」又は「キック」とを結合した語であると少なくとも理解、認識されるとみるのが自然である。いずれにしても「SIDEKICK」の文字部分と「OZMAX・CROSS部分」とが一体的に捉えられて親しまれた意味合いを理解させるものとみるべき特段の事情は見当たらない。
また、被請求人は、乙第7号証の1ないし23を提出して、商標権者による「サイドキック(SIDEKICK)」に係る製品の変遷(ヒストリー)について「本件商標に係る製品は、2003年『サイドキック(SIDEKICK)』として販売が開始され、『2007年 サイドキック(OZMA)販売開始』、『2008年 サイドキック(OZMA+)販売開始』、『2011年 サイドキック(OZMA X)販売開始』、『2015年 サイドキック(OZMA XX)販売開始』のように、数年毎にバージョンを追加・変更しながら『サイドキック(SIDEKICK)』シリーズとして2003年から現在に至るまで販売を継続しているものである。」旨主張しているが、該主張は、上記1(6)のとおり、その認定事実により、本件関連使用標章4が付された商品についてもその一環で製造、販売されたものであると認められる。
さらに、本件関連使用標章4の「SIDEKICK」の文字部分の右横には、それらの文字よりやや小さく近接して「(丸R)」の記号が明確に表示されており、(丸R)記号が登録商標であることを示す記号として広く使用されていること(甲7)を考慮すると、該記号が付加された「SIDEKICK」の文字部分は、「SIDEKICK」の文字からなる標章が付された商品の取引者、需要者において、該商品の自他商品識別標識としての機能を有する商標として使用されているものと看取されるとみるのが自然である。
そうすると、本件関連使用標章4中の「SIDEKICK」の文字部分は、商品「バルーンカテーテル」の取引者、需要者において商標権者が製造販売する「サイドキック(SIDEKICK)」シリーズの製品を表す独立した個別の表示として理解、認識されるものであると認められることから、上記2において示した本件関連使用標章4中の「SIDEKICK」の文字部分が本件商標と社会通念上同一の商標である旨の認定、判断を覆すことはできない。
なお、請求人は、「知財高裁平成24年(行ケ)第10382号同25年3月21日判決」(甲2)及び「知財高裁平成27年(行ケ)第10203号同28年3月24日判決」(甲8)を挙げ、本件関連使用商標1、同3及び同4において、その構成中、「SIDEKICK」以外の文字部分は捨象されないから、これらの使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない旨主張しているが、上記裁判例は、本件商標「rhythm」に対し、使用商標の「NEORHYTHM」又は「NEO RHYTHM」は、「ネオリズム」の称呼を生じ、「新しいリズム」「新しい調子」という観念が生じる等の理由から外観上まとまりよく一体的に表示された使用商標から「NEO」の部分は捨象されないとされた事例、「Line」と「ライン」の二段併記の本件商標に対し、「Rubotan」と「LINE」又は「ルボタン」と「ライン」の二段併記の使用商標等は、「LINE」の部分のみをその出所の識別標識として使用していた事情は認められない等の理由により、それらがひとまとまりの表示として認識されるから、「LINE」又は「ライン」の部分が独立して自他商品識別標識として機能し得るものということはできないとされた事例であり、「SIDEKICK」の部分が、上記のとおり、当該製品を表す独立した個別の表示として理解、認識される本件とは事案を異にするものである。
さらに、「知財高裁平成23年(行ケ)第10372号同24年7月12日判決」(甲9)及び「大阪地裁平成24年(ワ)第6896号同25年1月24日判決」(甲10)を挙げ、これらの裁判例は類否判断の事例ではあるが、商標に含まれる各要素が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるか否かを考えるにあたって十分参酌されるべき事例であるとも主張するが、請求人もいうように、これらの裁判例は類否判断の事例ではあり、対象となる登録商標と同一の商標を使用しているか否かを争う本件審判とは事案を異にする。
(2)主張(b)及び(c)について
乙第4号証の1及び同4に係る外箱の裏面のラベルに表示された本件関連使用標章2について詳細にみるに、該ラベルは、外箱の裏面の下方左側に同じ記載内容のものが3枚連続で貼られているものであり、各ラベルには、上段に「NIPRO」のロゴ及び本件関連使用標章2、下段にバーコードを配し、その間に3段に分け、「パターンサイズ」、「商品コード」、「製造番号」、「シリアルNo.」等が記載されているところ、本件関連使用標章2は、3段に分け記載された「パターンサイズ」等の表示に比較してはるかに大きく上段中央に明確に表示されていることから、十分に自他商品の識別標識としての機能を発揮するといい得るものであり、「需要者がこの部分のみに着目するとはいい難い」というのみでは、本件関連使用標章2の商標法上の使用を否定することはできない。
また、乙第4号証の1に係る個包装の添付文書に表示された本件関連使用標章2について詳細にみるに、該添付文書は、商品と重なるように同封されている本件関連使用標章4が表示されたラベルの下側に個包装の内部に同封されているものと認められ、本件関連使用標章2は、該添付文書の表題として明確に表示されていることから、「取引時に視認不可能である」としても、十分に自他商品の識別標識としての機能を発揮するといい得るものであるから、本件関連使用標章2の商標法上の使用を否定することはできない。
(3)したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、第10類「バルーンカテーテル」について商標権者が本件商標を使用していたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-09-16 
結審通知日 2016-09-23 
審決日 2016-10-14 
出願番号 商願2006-73377(T2006-73377) 
審決分類 T 1 31・ 11- Y (Y10)
T 1 31・ 1- Y (Y10)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
酒井 福造
登録日 2007-04-20 
登録番号 商標登録第5042162号(T5042162) 
商標の称呼 サイドキック 
代理人 久保 怜子 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 行田 朋弘 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
代理人 阿部 達彦 
代理人 岡村 太一 

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