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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W354042
管理番号 1325072 
異議申立番号 異議2016-900214 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-01 
確定日 2017-01-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5844115号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5844115号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5844115号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILD & WOLF」の欧文字を標準文字で表してなり、2014年3月13日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成26年8月14日に登録出願、同28年4月6日に登録査定、第35類、第40類及び第42類に属する別掲に記載のとおりの役務を指定役務として、同28年4月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第1027186号商標(以下「引用商標」という。)は、「THE WILD WOLF COMPANY」の欧文字を横書きしてなり、2009年4月8日にスペイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)10月8日に国際商標登録出願、第32類「Beers; mineral and aerated waters and other non-alcoholic beverages; fruit drinks and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages.」及び第39類「Transport and storage of goods; packaging of goods, including bottling and capping of goods.」を指定商品及び指定役務として、平成22年12月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)引用商標の周知・著名性
引用商標の権利者である申立人は、第32類及び第39類等の区分に関する商標を広く取得しており、当該商品区分の属するマーケットにおける世界的な有名企業である。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標「WILD & WOLF」は、「ワイルドアンドウルフ」の称呼を生じるが、「WILD」と「WOLF」を隔てている「&」を省略した「ワイルドウルフ」の称呼も生じる。
これに対し、引用商標「THE WILD WOLF COMPANY」は、「ザワイルドウルフカンパニー」の称呼が生じる。
しかし、「THE」は冠詞であって、商標の識別に与える影響は低く、また、「COMPANY」も企業や団体であることを示すために付加される単語であり、引用商標の称呼には「ワイルドウルフ」も含まれている。
よって、本件商標と引用商標は、「ワイルドウルフ」の称呼によって同一であると認識される。
その結果、本件商標を使用して行われる商標権者の業務を、申立人の事業に係る役務と混同するおそれがあるものと認められ、本件商標は申立人の業務における需要者及び取引者の間において広く認識されている商標(周知商標)である引用商標と出所を混同するおそれがあるといえる。
(3)出所の混同のおそれ
引用商標は、請求人の業務に係る商品及び役務を表すものとして周知・著名であり、本件商標と引用商標は外観上相紛れるおそれのある類似の商標である。
また、本件商標の指定商品及び指定役務のうち、第35類の指定役務は、引用商標の第39類の指定役務と密接に関連するものである。
よって、本件商標がその指定商品及び役務に使用された場合、本件商標権者が申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者であると誤認を生じるおそれがあることから、商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について出所の混同を生じるおそれは極めて大きいといわざるを得ない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、第32類及び第39類の区分に属するマーケットにおいて世界的に有名な企業である旨主張しているが、そのことを裏付ける証拠の提出はなく、引用商標の周知・著名性の判断に使用できる程度の客観的な証拠の提出も見当たらない。
そうすると、引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり「WILD & WOLF」の欧文字を書してなるところ、その構成各文字は、「&」の前後に一文字程度のスペースを有するとしても、同じ書体、同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり、その構成文字全体から生じる「ワイルドアンドウルフ」の称呼も、無理なく一連に称呼できるものである。
そして、その構成中の「WILD」の文字は、「野生の」の意味を、「WOLF」の文字は「オオカミ(狼)」の意味を有する平易な英語であり、また、「&」の文字は「?と?」を意味する記号として、我が国においてよく知られているものであるから、本件商標は、該「WILD」の語と「WOLF」の語を「&」を介して結合したものと容易に理解させるものであって、これに接する取引者、需要者が、殊更「&」の文字を省略して取引に資するとはいい難く、むしろ、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「ワイルドアンドウルフ」の称呼のみを生じるものであり、また、上記構成からなる本件商標は、特定の意味合いを想起させるとはいえないものであるから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり「THE WILD WOLF COMPANY」の欧文字を書してなるところ、その構成各文字は、それぞれの文字部分との間に半角程度のスペースを有するとしても、同じ書体、同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり、その構成文字全体から生じる「ザワイルドウルフカンパニー」の称呼も、無理なく一連に称呼できるものである。
そして、その構成中の「THE」の文字が英語の定冠詞として看取、理解され、また、「COMPANY」の文字が「会社」を意味する場合があるとしても、かかる構成において、その構成中の「WILD WOLF」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められず、他に構成中の「WILD WOLF」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、引用商標のかかる構成にあっては、全体として不可分一体のものと認識され、該構成文字全体に相応して、「ザワイルドウルフカンパニー」の称呼のみを生ずるものであり、特定の観念を生じないというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標は、外観においては、「WILD」及び「WOLF」の文字を共通にするものであるが、両者は、「&」の有無並びに「THE」及び「COMPANY」の文字の有無という顕著な差異を有するから、外観上、十分に区別することができるものである。
次に、本件商標から生じる「ワイルドアンドウルフ」の称呼と引用商標から生じる「ザワイルドウルフカンパニー」の称呼とを比較すると、両称呼は、その構成音及び音数に明らかな差異があることから、両者は、称呼上、明確に聴別し得るものであり、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
してみると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起することはなく、当該役務を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとくその出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきでものである。
よって、結論のとおり決定する
別掲 別掲(本件商標の指定役務)
第35類「ノートブック・文房具・画用紙帳・ペン・万年筆・グリーティングカードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝飾品・ブレスレット・チェーン(宝飾品)・鎖用宝飾品・ネックレス・身飾品・指輪・宝石ブローチ・カフスボタン・貴金属製バッジの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衣服用ブローチ・衣服用バッジ(貴金属製のものを除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び腕時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,皿・マグカップ・コップ・卵立ての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,陶磁器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,園芸用手動工具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,植木鉢・じょうろ・家庭園芸用噴霧器・植木鉢カバー及び園芸用手袋の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,肩掛けかばん及びハンドバッグを含むかばん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、ノートブック・文房具・画用紙帳・ペン・万年筆・グリーティングカードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、宝飾品・ブレスレット・チェーン(宝飾品)・鎖用宝飾品・ネックレス・身飾品・指輪・宝石ブローチ・カフスボタン・貴金属製バッジの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、衣服用ブローチ・衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるキーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる時計及び腕時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、皿・マグカップ・コップ・卵立ての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる陶磁器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、園芸用手動工具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる、植木鉢・じょうろ・家庭園芸用噴霧器・植木鉢カバー及び園芸用手袋の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる,肩掛けかばん及びハンドバッグを含むかばん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第40類「受託による、ノートブック・文房具・製図用具・デッサン用具・画用紙帳・ペン・万年筆・グリーティングカード・写真立て・はがき・おもちゃ・ゲーム用具・球技用具・盤ゲーム・ジャグリング用具及びその附属品・ジャグリング用ボール・フライングディスク(おもちゃ)・模型飛行機おもちゃ・しゃぼん玉おもちゃ・ゴム製ボールおもちゃ・スケートボード・卓球用具・宝飾品・ブレスレット・チェーン(宝飾品)・鎖用宝飾品・ネックレス・身飾品・指輪・宝石ブローチ・衣服用ブローチ・カフスボタン・貴金属製バッジ・衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)・キーホルダー・時計・腕時計・皿・マグカップ・コップ・卵立て・電話機・電気通信機械器具・照明器具・懐中電灯・ラジオ送受信機・園芸用手動工具・植木鉢・じょうろ・家庭園芸用噴霧器・植木鉢カバー・園芸用手袋・肩掛けかばん及びハンドバッグを含むかばん類・被服・被服用のファッションアクセサリーの製造(他人のためのもの),陶磁器の焼成」
第42類「書籍・ノートブック・文房具・印刷物・カレンダー・漫画本・製図用具・デッサン用具・画用紙帳・ペン・万年筆・グリーティングカード・写真立て・はがき・ポスター・おもちゃ・ゲーム用具・球技用具・盤ゲーム・ジャグリング用具及びその附属品・ジャグリング用ボール・フライングディスク(おもちゃ)・模型飛行機おもちゃ・しゃぼん玉おもちゃ・ゴム製ボールおもちゃ・スケートボード・卓球用具・宝飾品・ブレスレット・チェーン(宝飾品)・鎖用宝飾品・ネックレス・身飾品・指輪・宝石ブローチ・衣服用ブローチ・カフスボタン・貴金属製バッジ・衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。)・キーホルダー・時計・腕時計・皿・陶磁器・マグカップ・コップ・卵立て・電話機・電気通信機械器具・照明器具・懐中電灯・ラジオ送受信機・園芸用手動工具・植木鉢・じょうろ・家庭園芸用噴霧器・植木鉢カバー・園芸用手袋・肩掛けかばん及びハンドバッグを含むかばん類・被服・被服用のファッションアクセサリーのデザインの考案」

異議決定日 2017-01-13 
出願番号 商願2014-68636(T2014-68636) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W354042)
最終処分 維持  
前審関与審査官 白鳥 幹周佐藤 松江庄司 美和 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 木住野 勝也
中束 としえ
登録日 2016-04-22 
登録番号 商標登録第5844115号(T5844115) 
権利者 ワイルド アンド ウォルフ (ホールディングス) リミテッド
商標の称呼 ワイルドアンドウルフ、ワイルドウルフ、ワイルド、ウルフ 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 杉村 憲司 
代理人 中山 健一 

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