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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201420713 審決 商標
不服201512656 審決 商標
不服20149674 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 W05
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W05
管理番号 1324979 
審判番号 不服2015-4606 
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-09 
確定日 2017-02-13 
事件の表示 商願2013-63462拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「CP-1」の文字を標準文字で表してなり、第1類及び第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年8月14日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同26年1月13日受付の手続補正書並びに当審における同27年3月9日受付及び同28年5月16日受付の手続補正書をもって、第5類「臨床用の細胞凍結保存液」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の品番、型式、等級等を表示する記号、符号として使用されているアルファベットの二文字の一類型である『CP』と、数字の『1』とを、『-』(ハイフン)を介して一連に『CP-1』と標準文字で表してなるものであるところ、該アルファベットの一又は二文字が、その指定商品との関係において、商品の製品番号や薬剤識別コード等として使用されているものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しない、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ず、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人が提出した『商標の使用の事実を示す書類』の記載内容によっては、本願商標が、その使用の結果、取引者、需要者に出願人の業務に係る商品であることを認識させるに至っているとは認めることができないから、商標法第3条第2項の適用により、商標登録を受けることができるものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「CP-1」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、普通に用いられる書体をもって表された「CP」の欧文字と「1」の数字とをハイフン「-」を用いて結合してなるといえるものである。
そして、欧文字や数字は、製品の管理のための符号などとして、それらをハイフン「-」を用いて結合したものを含め、一般に広く用いられているといえるところ、本願商標は、上述したとおり、欧文字2文字と数字1文字とをハイフン「-」を用いて「CP-1」と結合し、標準文字で表してなるものであって、その文字の態様や組合せ方法に特徴があるわけではなく、その全体の文字数も、ハイフン「-」を除けば、3文字と少ないものである。
そうすると、本願商標は、その構成態様において、製品の管理のための符号などとして一般に広く用いられているものと比べて、特段の差異があるものとはいえない。
してみれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるか否かについて
請求人(出願人)は、原審ないし当審を通じて、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであるとしても、その使用の結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり、同条第2項(使用による識別性)の適用により、商標登録を受けることができるものである旨主張し、原審において、「商標の使用の事実を示す書類」を、また、当審において、甲第1号証ないし甲第64号証(請求人(出願人)が平成28年7月29日付け手続補足書をもって提出した証拠(甲第1号証ないし甲第6号証)は、先に提出された証拠と番号が重複するため、甲第59号証ないし甲第64号証とする。)を、それぞれ提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるか否かについて、請求人(出願人)の主張及び同人の提出に係る証拠等の内容に基づき、以下検討する。
ア 本願商標と使用商標との同一性
本願商標は、前記1のとおり、「CP-1」の文字を標準文字で表してなるものである。
他方、請求人(出願人)が自己の商品の容器や包装箱に貼付されたラベル及び商品の使用説明書上において使用する商標(以下「使用商標」という。)は、専らゴシック体による「CP-1」の文字からなるものである(甲第59号証、甲第60号証)。
してみれば、本願商標と使用商標とは、外観において同視できるものであり、同一性を有するものと認められる。
イ 使用商標の使用状況について
(ア)請求人(出願人)は、平成4年(1992年)1月、骨髄及び末梢血の幹細胞の凍結保存液(細胞凍害保護液)「CP-1」(以下「本件商品」という。)を発売した(原審において提出された「1.新製品販売の告知文書」)。
本件商品は、請求人(出願人)が有する営業所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、中国・四国及び九州)から、代理店を通じて、全国の医療機関や研究機関に販売されている(原審において提出された「2.CP-1の販売実績」、甲第1号証、甲第2号証)。
(イ)本件商品は、採取できる末梢血幹細胞の量に対応すべく、2種類の商品形態(100mL用及び50mL用)があり、それぞれ6瓶を1箱として出荷している。
本件商品の出荷数量は、100mL用のものが、1994年(平成6年)に約500箱であったものが、1997年(平成9年)に約1,100箱に倍増し、その後、2015年(平成27年)に約1,500箱を出荷するまでの間、概ね穏やかな増加傾向にある。また、50mL用のものは、1996年(平成8年)の出荷開始後、1997年(平成9年)に約100箱であったものが、2000年(平成12年)には約330箱となり、その後、2015年(平成27年)に約800箱を出荷するまでの間、漸増傾向にある。
(ウ)本件商品は、次のとおり、幹細胞の保存に関する書籍や論文等において、度々取り上げられている。
a 「医学のあゆみ Vol.176 No9 1996.3.2」における「末梢血幹細胞の保存方法」(甲第35号証)
b 「低温医学 24巻4号,1998」における「CP-1による幹細胞保存」(甲第32号証)
c 「Japanese Journal of Transfusion Medicine, Vol.46. No.1 46(1):1-6,2000」における「末梢血幹細胞採取・保存の効率化の検討」(甲第40号証)
d 「臨床検査 vol.47 no.3 2003年3月」における「樹状細胞の機能評価法」(甲第39号証)
e 「第41回科学技術部会、平成19年10月11日」に係る「資料5-2」における「ヒト幹細胞臨床研究実施計画について」(甲第38号証)
f 「みんなに役立つ造血幹細胞移植の基礎と臨床(上巻)」(医療ジャーナル社、平成20年(2008年)12月発行)(甲第31号証)
g 「院内における血液細胞処理のための指針」(日本輸血・細胞治療学会 日本造血細胞移植学会、平成22年5月27日 第1版作成)(甲第42号証)
h 「共済医報 第61巻第2号、2012年5月」における「末梢血幹細胞移植における凍害防止剤CP-1の有効性と安全性に関する検討」(甲第36号証)
i 「自家末梢血幹細胞移植マニュアル」(日本医学館、2012年8月発行)(甲第30号証)
j 「医学のあゆみ Vol.250 No.8 2014.8.23」における「凍害防止剤CP-1の功績」(甲第37号証)
k 「同種造血幹細胞移植ポケットマニュアル」(造血幹細胞移植推進拠点病院 大阪市立大学医学部付属病院 血液内科・造血幹細胞移植科、2014.10.1第2版改訂)(甲第33号証)
(エ)本件商品は、上市時点における承認との関係上、商品の容器や包装箱に貼付されたラベル及び商品の使用説明書(甲第59号証、甲第60号証)に「研究用試薬」と記載されているものであるが、例えば、上記(ウ)に挙げた書籍や論文等において、次のaないしfに示す記載があることに加え、2014年(平成26年)に、自家移植、血縁者間末梢血幹細胞移植又は非血縁者末梢血幹細胞移植のいずれかを実施した病院等(245施設)のうち、本件商品の販売実績があるものが全体の約84.1%(206施設)に達すること(甲第63号証、甲第64号証)からすれば、臨床用の細胞凍結保存液(細胞凍害保護液)としても、長年にわたり、広く用いられているということができる。
a 「自家骨髄移植(AMBT),末梢血幹細胞移植(PBSCT)および臍帯血移植(CBSCT)に使用される造血幹細胞の凍結保存には,凍害防止薬としてdimethylsulfoxide(DMSO)が使用され,プログラムフリーザーを用いるrate-controlled freezingを行い,液体窒素中(-196℃)に保存する方法(段階凍結法)が一般的であった。しかし,ABMTおよびPBSCTが実施される施設や適応疾患が拡大されつつある現在,費用および方法の煩雑さから,凍害防止液としてDMSOとhydroxyethyl starch(HES)の混合液(CP-1:極東製薬)を使用し,プログラムフリーザーを使用せず凍結を行う方法(簡易凍結法)がひろく用いられてきている。最近では臍帯血バンクが全国各地に設立され,臍帯血幹細胞(CBSC)の凍結保存にCP-1を使用しているバンクもあり,骨髄(BM)および末梢血幹細胞(PBSC)のみならずCBSCにも用いられるようになってきた。」(甲第32号証)
b 「3.3.3.細胞凍結保存 CP-1(ヒト血清アルブミン含有,極東製薬) (1)概要:細胞凍害保護液であり,細胞冷凍保存に用いる.医薬品と同等とされ,人体への投与が広く行われている.」(甲第38号証)
c 「現在,わが国ではPBSCの凍結保存にCP-1(極東製薬工業)を用いた簡易法を用いている施設がおそらくほとんどであろう。CP-1は骨髄,末梢血および臍帯血幹細胞の凍結保存方法として開発されたDMSOとHESを混合した研究用試薬である。・・・わが国ではすでに自家末梢血幹細胞移植を含めて数千例以上に使用されているが,CP-1が直接の原因と考えられる重篤な有害事象は経験されていない。CP-1は患者あるいはドナーの体内に輸注されるものであるが,医薬品として承認されたものではなく,あくまでも研究用試薬という位置づけである。医薬品として承認されるためには,わが国における薬事法のもとに治験を行う必要があるが,すでに多数の症例で安全に使用されていること,および日常の臨床でわが国において広く使用されていることを踏まえて考える必要がある。また,医薬品として承認されれば価格が上昇することも懸念され,現時点では,医薬品に準じた研究用試薬で,医師の裁量で使用しているという取り扱いである。」(甲第31号証)
d 「現在、研究用試薬としてCP-1(極東製薬工業KK)が市販されており広く造血幹細胞の凍結保存に用いられている。」(甲第42号証)
e 「現在、研究用試薬としてCP-1(R)(「(R)」は、○の中に「R」の文字を配してなる記号。)(極東製薬工業KK:HES12g,DMSO10mL,生理食塩水でtotal68mL)が市販されており,広く造血幹細胞の保存に用いられている.」(甲第30号証)
f 「1992年にはDMSOとHESを無菌的に混合したDMSO/HES液が,臨床的に使用しやすい100mLボトルで凍害防止剤CP-1として発売された(極東製薬).以後,多くの移植施設で使用されるようになり,日本輸血・細胞治療学会が行った総括的輸血アンケート調査による“末梢血幹細胞の院内細胞処理・凍結保存・保管に関する全国調査”の結果,CP-1を用いた簡便凍結法で末梢血幹細胞の保存を実施している施設が全体の80%以上に達することがわかった(図1).」(甲第37号証)
ウ 小括
上記ア及びイによれば、請求人(出願人)は、平成4年(1992年)1月から継続して、自己の業務に係る商品「臨床用の細胞凍結保存液」(本件商品)について、本願商標と同一性を有する商標(使用商標)を使用しており、その商品の取引者、需要者の間で、請求人(出願人)の業務に係る商品を表示するものとして、認識されているとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人(出願人)の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認められる。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものの、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2017-02-01 
出願番号 商願2013-63462(T2013-63462) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W05)
T 1 8・ 15- WY (W05)
最終処分 成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 松浦 裕紀子
田中 敬規
商標の称呼 シイピイイチ、シイピイワン 
代理人 特許業務法人グローバル知財 

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