• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0910
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0910
管理番号 1323751 
異議申立番号 異議2015-900062 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-02-19 
確定日 2017-01-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5720829号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5720829号商標の指定商品中、第9類「実験用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」及び第10類「医療用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5720829号商標(以下「本件商標」という。)は、「EDI」の文字を標準文字により表してなり、平成26年4月18日に登録出願され、第9類「実験用機械器具並びにその部品及び附属品,実験室用特殊備品並びにその部品及び附属品,実験用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品,実験用の濾過装置並びにその部品及び附属品,化学研究室用機械器具並びにその部品及び附属品,物理学実験用機械器具並びにその部品及び附属品」及び第10類「病院用機械器具並びにその部品及び附属品,診断用機械器具並びにその部品及び附属品,医療用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品,医療用機械器具並びにその部品及び附属品」を指定商品として平成26年11月7日に登録査定、同年11月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第70号証を提出した。
本件商標は、「EDI」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、これは、実験用及び医療用にも使われる「純水・超純水製造装置の部品」の一つである「電気再生式イオン交換装置」の意味を表す英語の「Electro DeIonization」あるいは「Electric DeIonization」の略称であり、該商品の普通名称の略称として普通に使用されている。また、本件商標を「EDI」を搭載した「純水・超純水製造装置」に使用した場合は、単に該商品の品質又は原材料を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、さらに、本件商標を「EDI」を搭載していない「純水・超純水製造装置」に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して、平成28年3月28日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。
1 「EDI」の文字に係る使用状況について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、「EDI」の文字に関し、純水・超純水製造装置等に関連する書籍、学術論文・記事、企業の商品カタログ、ウェブページ、新聞記事において以下のような記載が見られる。
ア 書籍
(ア)株式会社富士経済、2009年10月15日発行、「2009年版水資源関連市場の現状と将来展望」(甲第3号証)
「電気再生式イオン交換装置(EDI)」の表題下においては、「電気再生式イオン交換装置(EDI:Electro Deionization)はイオン交換樹脂とイオン交換膜から構成される装置で、薬品を使用することなく、電流を通すことで連続してイオン交換樹脂を再生することができる。」等と記載されている。
そして、「純水製造装置」の表題下において、「対象品目の概要」の項には、「純水とは水中に含まれる不純物やイオン等を除去した純度の高い水であり、一般的には抵抗値が1?10MΩ/cm(電気伝導率1μS/cm以下)の水を指す。」、「蒸留、ろ過、イオン交換によって純水は生成される。ろ過には主にRO膜等が、イオン交換にはイオン交換樹脂やEDIが用いられる。近年はRO膜やEDIを使用するケミカルレスの純水製造装置が増えている。」、また、「価格帯特性」の項には、「EDIを搭載した純水製造装置のイニシャルコストは装置の規模によるが、イオン交換樹脂のみのものに比べておよそ1.2?1.5倍程割高となる。EDIは高水質、ケミカルレスを望む製薬・医療分野や、ラボ用を中心に普及が進んでいる。」、さらに、「今後の市場の方向性」の項には、「EDIの標準化」として「近年EDIの低価格化が進んでおり、特に中・小型装置でEDI組み込み型製品が標準化している。」等と記載されている。
(イ)株式会社アイピーシー、2004年3月20日発行、日本海水学会・電気透析および膜技術研究会編「イオン交換膜の機能と応用 -環境・エネルギー・バイオ-」(甲第4号証)
「電気再生式脱塩装置について」の表題下に、「装置の概要」の項において「電気再生式脱塩システムをEDI(Electrodeionization)とかCDI(Continuous Deionization)と略して呼ばれることが多い。」と記載されている。
(ウ)一般社団法人膜分離技術振興協会、2014年3月15日発行、「透析用水ガイドブック」(甲第5号証)
「電気再生純水装置(EDI:ElectroDeionization)」の表題下に、「はじめに」の項において「電気再生純水装置(以下、EDI)は、イオン交換樹脂と電気透析(以下、ED)という二つの水処理技術で構成されています。・・・さらに、薬品による樹脂再生も不要であり、純水を連続的に製造することができます。」と記載され、「EDIの構造」の項で「EDIではイオン交換膜とイオン交換樹脂によってイオンが除去されます。」と記載されているほか、「EDI」の語が随所に記載されている。
(エ)株式会社羊土社、2005年4月25日発行、日本ミリポア株式会社ラボラトリーウォーター事業部編「水は実験結果を左右する!超純水超入門 データでなっとく、水の基本と使用のルール」(甲第6号証)
「純水・超純水精製に用いられる要素技術」の表題下に、「連続イオン交換 Electric Deionization(EDI)」の項において、「EDIは、電極、イオン交換膜および少量のイオン交換樹脂から構成される。イオン交換樹脂を陽イオン交換膜と陰イオン交換膜で交互に積層し、その両端の電極で直流電源を通すことにより、イオンの除去を連続的かつ効果的に行うことができる。」と記載されている。
(オ)株式会社宇宙堂八木書店、2008年10月1日発行、巽典之著「水を知る -病院検査を理解するための豆知識-」(甲第7号証)
「超純水(ultra-pure water)の製造法」の項において、「電気再生式イオン交換法(electro deionization;EDI);RO法やUF法についで半導体や液晶産業、そして医薬品・試薬産業で最近利用が盛んになったのが本法であり、電気脱イオン法・連続イオン交換法とも呼ばれます。」と記載されている。
(カ)財団法人造水促進センター、平成16年11月25日発行、造水技術ハンドブック編集企画委員会編「造水技術ハンドブック2004」(甲第8号証)
「EDI」の表題下に、「概要と特徴」の項において、「EDI」(ErectoーDeionization)は「CEDI」(Continuaus Erecto-Deionization)とも呼ばれ、電気遮断から発展した技術である。研究の歴史は古く、すでに1955年にはW.R.Waltersらによる論文が発表されている。その後永らく実用化にいたらなかったが、主に、ROとの組合わせにより純水を製造する目的で、1980年代末に再生式純水装置の代替として導入された。」と記載されている。
(キ)財団法人日本規格協会出版事業部出版サービス第一課、2009年4月15日発行、「INTERNATIONAL STANDARD 国際規格 ISO26722(英和対訳版)」「血液透析用途及び関連療法のための水処理機器」(甲第9号証)
「脱イオン化」の項において、備考欄に「脱イオン化のための上記の要求事項は、電気再生式脱イオン(EDI)技術には適用されない。EDIは血液透析用途での逆浸透に続く脱イオン化の代わりとして使用できる。」と記載されている。
イ 学術論文・記事
(ア)日本海水学会誌第58巻第2号(2004)に掲載された論文、野口幸男著「EDIにおける弱電解質の除去」(甲第12号証)
「はじめに」の項において、「EDIは、超純水の製造に用いられる膜式の脱イオン装置である。」、「超純水装置と一口にいっても、実験室レベルで使用されるような、家庭用の浄水器程度の小型のものから、2000m3/hを超えるような大型プラントまで多種多様である。しかし、実用で使用されるEDIは、現在、数10m3/h程度から下の比較的小型の純水装置においてより積極的に採用される傾向にある。」と記載され、「純水装置におけるEDIの歴史」の項において「1990年代以降、商用で用いられるようになったEDIは、超純水装置の歴史の中で、第三の時代と呼ぶにふさわしいものであった。」等と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(イ)日本海水学会誌第58巻第2号(2004)に掲載された論文、菊池健一、高橋博著「EDIの数値シミュレーション」(甲第13号証)
「はじめに」の項において、「電気再生式脱塩装置(EDI)は、電気力により生成した水素イオンと水酸化物イオンによりイオン交換樹脂が連続的に再生されながら脱塩操作もできることから、煩雑な再生操作が必要な従来からのイオン交換樹脂塔に代わりうる脱塩操作として注目されている。」と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(ウ)日本工業出版「クリーンテクノロジー」(1998.12発行)に掲載された論文、吾妻直樹著「連続電気再生式純水装置(EDI)=薬品再生を不要とするイオン交換純水装置の展望=」(甲第14号証)
「純水・超純水製造におけるEDIの展望」の項において、「一般にEDIと呼んでいるものは、ELECTRODEIONIZATIONの略称である。直訳すると、『電気式脱塩』となる。・・・EDIも確かに、その呼び名と共に原理方式も徐々に認知され一般的になってきたようにも思う。」等と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(エ)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO海外レポート2005.9.7」の記事(甲第15号証)
「バイオマスから化学物質を作る新バイオリアクター(米国)」の表題下に、「電気再生式脱イオン化でグルコン酸の分離が可能に」の項において、「分離バイオリアクターは、脱塩技術の一種である電気再生式脱イオン化(electrodeionization:EDI)の原理を応用して生まれた。EDIは一般的に生化学研究、超純水を製造する化学工場や半導体工場で使用され、市販されている硬水軟化装置などに含まれているイオン交換樹脂と類似したものがEDIのセルに使用されている。」と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(オ)日本学術会議海水科学研究連絡委員会第19期報告書(平成17年7月21日)「沿岸・浅海域の資源の有効利活用を目指した技術開発」(甲第16号証)
「海水淡水化技術の現状と動向」の項において、「電気透析法淡水化技術の動向」として「最近では電気再生式脱塩(純水)装置(EDI)として、混床式イオン交換樹脂と電気透析膜を組み合わせたシステムが実用化され、超純水装置に多用されている。」と記載されている。
(カ)財団法人造水促進センター「造水技術」通巻第97号(1999年10月28日発行)に掲載された論文、正司信義著「EDI(electrodeionization)電気再生式超純水製造装置」(甲第17号証)
「純水製造技術」の項において、「本来、EDIの名称は脱塩原理の略称であるが、今では、その原理を利用して作られた装置の一般名称としても使われている。」と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(キ)日本工業出版「クリーンテクノロジー」(1998年10月発行)に掲載された論文、赤堀晶二著「電気式脱塩装置『GDI』=超純水製造システム=」(甲第19号証)
「電気式脱塩装置」の項において、「電気式脱塩器の開発の歴史は40年前にさかのぼるが、約10年前頃からEDIと称される実用機が供給され始めた。・・・EDI(Electro De-Ionization)は、電気透析槽にイオン交換体を混床で充填しているのが特徴であり、分離充填しているGDIとは異なっている。」と記載されている。
(ク)日本工業出版「クリーンテクノロジー」(2000年6月発行)に掲載された論文、杉山勇・知野秀一著「超純水製造部分における技術動向=HERO、EDIシステム=」(甲第20号証)
「EDI」の項において、「EDIとはElectrodeionizationの略であり、電気脱イオン装置と訳されている。EDIは、1980年代に本格的な工業化の研究が開始され、1990年代に商品化された新しい技術である。」と記載されているほか、「EDI」の文字が随所に用いられている。
(ケ)「JETI」Vol.53,No11(2005)に掲載された論文、日高真生著「電気式脱イオン水製造装置の開発」(甲第23号証)
「はじめに」の項において、「・・・イオン交換膜とイオン交換樹脂を組み合わせて、薬品を一切使用せず、連続的に直流電流を印加する事によって純水を製造する電気式脱イオン水製造法(EDI:ElectroDeIonization)を逆浸透膜法と組み合わせて利用する方法がここ数年で急激に増大している。当社は電気式脱イオン水製造装置が不得手としていた弱酸除去性能を向上させ、かつ原水水質の悪化にも充分な耐性を発揮する独自構造の『D2EDI』を開発に成功した。」、また、「2.『D2EDI』の用途とラインナップ」の項において、「小流量?中流量タイプは主に大学や研究所での研究用途や設備として用いられる事が多い。また、医薬製薬分野では注射用水等として用いられる事が多い・・・。大流量タイプは半導体や液晶工場等の大規模工場でウェハー等の洗浄水としての用途が多く・・・」等と記載されている。
(コ)「PHARM TECH JAPAN」Vol.25No.6(2009)に掲載された論文、布目温著「連載:製薬用水の選択」「第3回精製水の選択その1」(甲第24号証)
「精製水利用と選択」の項において「純水装置はボイラ給水用などに広く利用されたが、まずイオン交換樹脂塔が使われ、次に逆浸透膜(RO膜)が加わり、続いて電気再生式脱イオン器(EDI)が使われるようになった。」と記載され、「EDI(電気再生式脱イオン器)」の項において「EDIは1954年米国で考案され、実用化されたのは1980年代である。」、「EDの膜間にイオン交換体を充填したものを総称してEDIと呼んでいる。」等と記載されている。
(サ)「化学装置」2010年7月号に掲載された論文、浅井克也著「原薬製造用の製薬用水設備」(甲第25号証)
「精製水製造装置」の項において、「精製水製造装置は、従来イオン交換塔が主流であったが、近年RO(逆浸透膜)、EDI(連続電気再生式イオン交換器)が普及し、RO+EDI装置が主流となっている。」等と記載されている。
(シ)「THE CHEMICAL TIMES」2014No.3に掲載された論文、小林礼治著「ラボラトリーウォーター」(甲第26号証)
「電気再生式イオン交換」の項において、「電気再生式イオン交換装置(EDI)は、電気的透析とイオン交換技術を組み合わせた方法で、長時間の連続運転も容易です。」等と記載されている。
(ス)「日本防菌防黴学会誌」Vol.41.No.12(2013)に掲載された論文、阿瀬智暢他5名著「人工透析用水造水の補完技術として用いられている電気再生式脱塩(EDI)法の殺菌・エンドトキシン不活化メカニズムと水解離現象の関係に関する研究」(甲第27号証)
「緒言」の項において、「・・・RO膜処理以降における透析用水の微生物学的安全性を確保するため、電気再生式脱塩(Electro-de-ionization:以下EDI)法の利用が進んでいる。EDI法は高度に脱塩し、超純水レベルの水を得る方法として実用化されたものであるが、・・・」等と記載されている。
ウ 企業の商品カタログ
(ア)2013年6月製作のダイセン・メンブレン・システムズ株式会社の商品カタログ(甲第28号証)
表紙に「EDI(Electro Deionization)」、「EDI SYSTEMシリーズ」、「電気再生純水装置」の表題が付されているほか、次頁以降に「EDI SYSTEMの特徴」として、「EDIの原理」、「EDIの特徴」、「EDI脱塩水の使用例」の各項目の下に説明がされると共に、「EDI装置 水質分析結果一覧表」、「EDI SYSTEM一体型装置の仕様」等が掲載されている。また、「人工透析における水処埋」にも使用されることが記載されている。
(イ)2014年8月発行のオルガノ株式会社の商品カタログ(甲第29号証)
表紙に、「EDI式(電気再生)純水製造装置 スーパーデサリナー SDAシリーズ」の表題が付されているほか、「最新のEDIで省メンテを実現」、「自社製EDIを搭載」の語句に加え、「・・・最新型EDIを搭載しているので従来必要だったイオン交換樹脂のボンベ交換がいりません。」等の説明文が記載されている。また、「使用例・組み合わせ例」として「生化学分析装置に純水を供給する場合」等が記載されている。
(ウ)1998年5月30日発行の伸栄化学産業株式会社の商品カタログ(甲第30号証)
表紙に、「SHIN・EI」、「連続電気再生式純水装置」、「Super Pure Clean」「スーパーピュアクリーン」、「薬品を使わず、イオン交換樹脂の再生。」等の表題が付されているほか、「本装置は陰イオン交換膜と陽イオン交換膜間の脱塩室内にイオン交換樹脂(混床式)を充填、直流電源により、常時電流を流しながら、連続して脱イオン(再生)を行う、連続電気再生槽(EDI=Electric De-ionization)を基軸に前処理に逆浸透膜を組込みシステム化した装置です。」と記載され、「用途」として「純水を必要とするユーザー、特に高?超純水を要求する工程にはメリット大。半導体・電子部品の洗浄、表面処理洗浄水、食品・製薬用水、ガラス・レンズ・プラスチックの精密洗浄等。」と記載されている。
(エ)2013年1月発行のアドバンテック東洋株式会社他の商品カタログ(甲第31号証)
「科学機器製品」中の「精製方法の原理と特長」の項における「連続電気透析再生型イオン交換器」の見出し下に「イオン交換樹脂の交換や薬品によるイオン交換樹脂の再生を必要とせず、メンテナンスが容易です。EDI(Electrodeionization)方式とも呼ばれます。」と記載され、「超純水製造装置」の項において、「・・・連続電気透析再生型イオン交換器(EDI)タイプとイオン交換樹脂タイプの2種類あり・・・」と記載されているほか、「純水製造装置」の項において、「精製方法:連続電気透析再生型イオン交換器(EDI)」として商品の写真と共に「イオン交換樹脂を連続的に再生するので、メンテナンスが大変簡単です。」と説明がされている。
(オ)2014年5月15日発行のザルトリウス・ジャパン株式会社の商品カタログ(甲第32号証)
「アリウム ラボウォーターシリーズ」として2頁以降に商品の写真が掲載され、商品毎に精製量、用途、精製方法が記載されているほか、「ザルトリウス独自の新EDI搭載」、「EDI技術でラボに最適なA3タイプの純水を供給」、「EDI(Electric Deionization:電気的連続イオン交換システム)は、イオン交換膜・イオン交換樹脂・電極で構成され、通水しながら電流を流すことでイオン除去を強制的および効果的におこなうことが出来る。」等と記載されている。
(力)株式会社ビーシーファーマの商品カタログ(甲第35号証)
表紙に「Pure Water Treatment System」との表題が付され、2頁以降に商品説明がされており、「電気再生式イオン交換装置(EDI装置)Electro Deionization Systems」の項では「電気再生式イオン交換装置(EDI)は樹脂再生のための薬品は一切使用いたしません。」、「EDIはイオン交換膜とイオン交換樹脂の組み合せで構成されております。」等の説明が記載されている。
(キ)その他、アクアス株式会社(甲第33号証)、ユアサアイオニクス株式会社(甲第34号証)、野村マイクロ・サイエンス株式会社(甲第36号証)、日本ガイシ株式会社(甲第37号証)、旭硝子株式会社(甲第38号証)の各商品カタログにおいても、純水・超純水製造装置について、「EDI」の文字が商品の品質を表示するものとして普通に使用されている。
エ 医療関係や水処埋会社等のウェブページ
<医療関係>
(ア)社会医療法人明陽会明陽クリニックのウェブページ(甲第39号証) 「電気再生純水装置(EDI)の導入」の見出し下に、「当クリニックでは、2009年7月より透析用水を作るRO装置の更新を機にいち早く透析用水の更なる清浄化を目指して電気再生純水装置(EDI)を導入致しました。まず、EDIについて簡単に説明いたします。EDIは、物理学的にも生物学的にもレベルの高い清浄化が期待できます。」等と記載されている。
(イ)池袋久野クリニックのウェブページ(甲第40号証)
「超高純度透析液の使用でからだにやさしい治療」の見出し下に、「水のグレードについて;下の図に示すように、RO+EDIにより作成された水は、純水の中でも、超純水に近い質の高い水となります。当院ではオンラインHDFは無論の事、全ての患者様に供給する透析液を、「RO+EDI水」で作成しています。」、「EDIとは;イオン交換樹脂およびイオン交換膜を直流電流と組み合わせることで、水からイオンを除去する技術。」等と記載されている。
(ウ)財界さっぽろのウェブページ(甲第41号証)
「広域医療法人社団39会 星野泌尿器科・透析センター」に関する記事(取材日・2010年7月)において、「新システムを導入し、世界最高レベルの透析環境を更新」の見出し下に、「これは電気で超純水を作るEDI(電気透析装置)を利用するもので、従来型に比べ環境にやさしく、現段階で最も安全と言われている透析液精製システム。」等と記載されている。
(エ)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社のウェブページ(甲第43号証)
「医療システムの紹介」として、「人工透析用システム(RO装置)」の見出し下に、「EDIシステム(電気再生純水装置)」、「イオン交換樹脂を電気で連続的に再生し、薬品による再生は不要です。ROと組み合わせることで、半導体・液晶電子部品の洗浄水レベルの純水が得られます。」等と記載されている。
<水処理会社>
(ア)東洋紡エンジニアリング株式会社のウェブページ(甲第44号証)
「水処理技術大公開」、「2012年9月15日」、「連続イオン再生式イオン交換技術の原理」の見出し下に、「連続イオン再生式イオン交換法(Electro Deionization)は、電気透析法とイオン交換樹脂法の2つの確立された浄水技術を結合した技術で、一般的に『EDI』と言われます。」等と記載されている。
(イ)ELGA Lab Waterのウェブページ(甲第45号証)
「Electrodeionization(EDI)とは?」との見出し下に、「EDIとは、イオン交換樹脂およびイオン交換膜を直流電流と組み合わせることで、水からイオンを除去する技術のことです。」と記載されている。
(ウ)美浜株式会社のウェブページ(甲第46号証)
「取扱製品|水処理事業」の見出し下に、「EDI装置とは電気で純水が連続的に取水できる装置です」、また、「原理」として「EDI(Electro-deionization)とはイオン交換樹脂にイオン交換で結合した陽イオン、陰イオンをイオン交換膜と電気の力で再生し再生作業無しで連続通水できる純水装置です。」等と記載されている。
(エ)トスク株式会社のウェブページ(甲第47号証)
「EDI(電気再生式イオン交換)スタック・ユニット」の見出し下に、「EDI(電気再生式イオン交換)は再生用薬品不要で高品質な純水を製造する環境にやさしいイオン交換プロセスです。・・・EDIユニットは超純水に近い水を連続的製造することが可能です。」等と記載されている。
(オ)野村マイクロ・サイエンス株式会社のウェブページ(甲第49号証)
「電気再生式イオン交換装置(EDI)」の見出し下に、「EDIは、イオン交換膜とイオン交換樹脂で構成され、直流電流を用いてイオン交換樹脂を連続再生する水処理装置です。」と記載されている。
(カ)日本錬水株式会社のウェブページ(甲第52号証)
「精製水製造装置」の見出し下に、「特徴」として「電気再生式純水装置(EDI:Electric Deionizer)を組み込む事で、連続的に安定した精製水を製造可能」、また、「用途」として「医薬用機器洗浄水、固形剤・顆粒剤のプロセス水など」と記載されている。
(キ)GEウォーター&プロセステクノロジーのウェブページ(甲第53号証)
「分析装置」、「ED/EDR/EDI」の見出し下に、「EDI(Elecrtodeionization)は、槽内のイオン交換樹脂の再生を電気的に連続して行うため、イオン交換樹脂塔のように劇物の酸やアルカリで再生する必要がありません。」と記載されている。
(ク)オルガノ株式会社のウェブページ(甲第56号証)
「EDI」の見出し下に、「EDIとは”電気脱塩式純水装置(Electro Deionization)”の略で、水中のイオンをイオン交換樹脂でトラップし、これを電場によって濃縮室へ集め濃縮水として排出する技術です。この働きにより、イオン交換樹脂は常にイオン交換能力を保持しています。」等と記載されている。
(ケ)株式会社リンカイのウェブページ(甲第57号証)
「純水装置」の見出し下に、「電気再生式純水装置(EDI)」の項において、「RO膜処理された水をより高純度な純水に処理するための装置です。イオン交換樹脂と交換膜により、脱塩処理し同時に電気を利用して再生を行うことで、連続的に高純度純水を供給することができます。」等と記載されている。
(コ)その他、富士化水工業株式会社(甲第48号証)、アクアス株式会社(甲第50号証)、日本濾水機工業株式会社(甲第51号証)、伸栄化学産業株式会社(甲第54号証)、有限会社アールエイチプリンスビラ(甲第55号証)、ラボテック株式会社(甲第58号証)、宝産業株式会社(甲第59号証)、株式会社オ一センアライアンス(甲第60号証)の各社のウェブページにおいても、「電気再生式イオン交換装置(EDI)」、「電気再生式純水装置(EDI:Electric Deionizer)」、「EDI(連続イオン交換システム)」、「EDI(Electric DeIonization」、「連続電気再生式純水システムEDI(ElectroDeionization)」等の用語を用いて純水製造装置について説明されている。
オ 新聞記事
(ア)1998年10月16日付日刊工業新聞(甲第61号証)
「アクアスが装置開発」、「高純度純水を連続採取」、「EDIと逆浸透を併用」の見出し下に、「逆浸透膜を用いたRO装置とEDIスタックを組み合わせることで、・・・高純度純水の連続採取を実現したほか、再生剤が不要なため、取り扱いが安全。」、「・・・イオン交換樹脂を経由して、濃縮水側にイオンが移動し純水になるというEDl方式を採用。」等と記載されている。
(イ)2003年3月18日付日刊工業新聞(甲第62号証)
「純水製造コスト低減」、「イオン交換樹脂ボンベ不要 東洋紡が装置」の見出し下に、「東洋紡エンジニアリングは・・・電気式自動再生機能(EDI)を採用したイオン交換器付きの純水製造装置を開発したと発表した。イオン交換樹脂ボンベが不要になり、純水製造のランニングコストを低減できる。大学や企業の環境試験水、工場の洗浄用水、病院などの生化学分析用水向けに展開する。」等と記載されている。
(ウ)2005年3月25日付日刊工業新聞(甲第63号証)
「自動純水装置」、「スガ試験機が小型化」、「イオン交換樹脂 交換・再生不要に」の見出し下に、「スガ試験機は・・・自動純水装置2機種を開発した。逆浸透膜(RO膜)と電気透析器(EDIモジュール)で、イオン交換樹脂の交換、再生を不要にした。」、「自動純水装置は耐候試験や腐食試験など環境試験に用いる高純度の水を供給する。」等と記載されている。
(エ)1999年3月5日付日経産業新聞(甲第65号証)
「超純水製造装置に参入」、「旭硝子 カナダ企業と開発」の見出し下に、「旭硝子は超純水製造装置分野に参入する。カナダのベンチャー企業と連続電気再生(EDI)方式の超純水製造装置を共同開発、日本国内とアジアで発売した。超純水は医薬品や半導体の製造などに使う不純物の少ない水。」等と記載されている。
(オ)2003年10月29日付化学工業日報(甲第67号証)
「日本錬水、医薬用水製造機の低コスト型を投入、独社EDI技術を採用」の見出し下に、「日本錬水は、パッケージ型医薬用水製造ユニットの本格的な受注活動を開始した。独クリストが開発した最新のEDI(電気脱塩装置)技術を採用したもので、高品質な医薬品向け精製水やプロセス洗浄水を低コストで供給できる。」、「日本錬水では、十月一日付けでEDI推進部を発足、重点事業部門に位置付けて、事業育成に取り組んでいる。」等と記載されている。
(カ)2004年6月17日付化学工業日報(甲第68号証)
「日本ガイシ、医療向けに販売攻勢、耐熱EDI搭載純水製造システム」の見出し下に、「日本ガイシは、耐熱EDI(電気脱塩装置)を組み込んだ純水製造システムを医薬品・食品分野に向け本格的な拡販に乗り出す。」、「EDIは、イオン交換樹脂をイオン交換膜で挟み込んで電圧印加して、原水中の不純物イオンを除去する仕組み。樹脂を電気再生しながら連続処理でき、再生薬品が不要で、ランニングコストの低減を図れる。エレクトロニクスや研究開発関連、医薬・バイオ関連などと幅広い分野で普及しつつあり、オルガノや栗田工業、日本錬水、日本ミリポアなど名乗りをあげる。」等と記載されている。
(キ)2013年8月23日付化学工業日報(甲第70号証)
「ザルトリウス・ジャパン、超純水・純水製造システム、国内2機種投入」の見出し下に、「ラボ製品の大手企業であるザルトリウス・ジャパン(東京都品川区)は、新型のEDI(電気的連続イオン交換システム)を搭載した超純水・純水製造システム『アリウム コンフォート2,』と、純水製造システム『アリウム アドバンスEDI』を日本市場に投入した。主に医薬品・バイオ・食品業界から、半導体など電子材料業界、大学の研究室などのR&D用途を主要ターゲットに販売する。」等と記載されている。
(2)上記(1)によれば、「EDI」の文字は、「Electro Deionization」又は「Electric Deionization」の略称であって、「電気再生式イオン交換装置」、「電気脱イオン装置」、「電気再生式脱塩装置」、「電気再生純水装置」等、表現に若干の違いが見られるものの、純水・超純水の製造装置の一種を指称する語として、本件商標の登録査定時前より、純水・超純水を取り扱う業界において普通に使用されているものと認められる。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「EDI」の文字を標準文字により表してなるところ、「EDI」の文字は、前記1(2)のとおり、純水・超純水の製造装置の一種を指称する語として、本件商標の登録査定時前より、純水・超純水を取り扱う業界において普通に使用されているものと認められる。
そうすると、「EDI」の文字を普通に用いられる方法で表してなる本件商標は、これをその指定商品中の第9類「EDIを搭載した実験用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」及び第10類「EDIを搭載した医療用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識し理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
また、本件商標をその登録異議の申立てに係る指定商品中、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、その指定商品中、本件申立に係る第9類「実験用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」及び第10類「医療用の純水・超純水製造装置並びにその部品及び附属品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-08-26 
出願番号 商願2014-30423(T2014-30423) 
審決分類 T 1 652・ 13- Z (W0910)
T 1 652・ 272- Z (W0910)
最終処分 取消  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
小松 里美
登録日 2014-11-21 
登録番号 商標登録第5720829号(T5720829) 
権利者 メルク コマンデイトゲゼルシャフト アウフ アクチェン
商標の称呼 イイデイアイ、エディ 
代理人 藤倉 大作 
代理人 辻居 幸一 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ