• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W45
審判 一部申立て  登録を維持 W45
管理番号 1323724 
異議申立番号 異議2016-900206 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-07-29 
確定日 2016-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5843686号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5843686号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5843686号商標(以下「本件商標」という。)は、「STYLER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年9月9日に登録出願、第45類「インターネットを用いたファッション情報の提供,個人の身元又は行動に関する調査,占い,身の上相談,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」を指定役務として、同28年4月4日に登録査定され、同年4月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「STYLER」の欧文字からなり、同人が「インターネットを用いたファッション情報の提供」について、申立人の直訳英称として使用しているとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定役務中、第45類「インターネットを用いたファッション情報の提供」について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 異議申立ての全体像
申立人は、「スタイラー株式会社」であり、その英語直訳名称である「STYLER」を表示し続けてきた。その業態は、ファッション情報を収集する一般消費者と服飾関係者を「つなぐ」ものであり、一般消費者と服飾関係者との間で売買契約が成立したとしても、それに伴う仲介料等は徴収しない。
一方、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、従前から、「マークスタイラー」(MARK STYLER)として活動してきた。その業態は、自社に係るブランド用品を販売するいわば直販ものである。このため、申立人の業態と、商標権者の業態は、ファッションという点では共通しているが、実態上は大きく異なる。
申立人は、ファッションとインターネットテクノロジーを掛け合わせた分野の先駆けとなり、様々なメディアで取り上げられ、急速に知名度を拡大し、遅くとも本件商標の出願日である平成27年9月9日より前には、「STYLER」といえば申立人であることが確立されていた。
そのような申立人の社名英称「STYLER」が広く一般的に認識されたことを受け、商標権者は、突然、昨年平成27年9月9日に、本件商標を出願した。そして、商標権者は、本件商標の登録日である平成28年4月22日の翌月から、申立人に対して、高圧的で理不尽な条件を強要し始めた。これに対して、申立人が代理人弁護士を通じた話し合いを申し入れたにもかかわらず、これを無視し、ついには、東京地方裁判所に対して仮処分命令を申し立てた。申立人としては、努力によってファッションテクノロジー業界のけん引役として轟いた社名そのものが使用できなくなることは、甚大な被害である。
2 本件商標について
本件商標は上記第1のとおりである。商標権者は、平成17年11月に成立し、平成18年8月11日に「MARK-STYLER」を、平成24年12月14日に「M MARK STYLER」を商標登録して、「MARK STYLER」として活動していたところ、商標権者は、申立人及び引用商標が広く認識された後の平成28年4月22日に、本件商標「STYLER」を登録した。
3 引用商標について
引用商標は上記第2のとおりであって(甲2)、本件商標と同一の商標である。
引用商標は、インターネットファッション業界のけん引役とも称され、各種メディアでも取り上げられてきた申立人の急成長とともに、申立人のシンボルとして急速に認識が広まり、「STYLER」といえば申立人のことを指す状態となっている。
4 引用商標は、本件商標の出願日より前に、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた
(1)申立人の業務に係る役務の需要者はインターネットを介してファッション情報を収集する一般消費者(以下「ファッション情報収集消費者」という。)及び服飾関係者である
商標法第4条第1項第10号における「需要者」は、最終消費者だけでなく取引者も含むとされている。
申立人の業務に係る役務の内容は、インターネット上の投稿サイトにて、ファッション情報収集消費者が服に関する要望を投稿すると服飾関係者である店舗から商品の提案を受けることができるというもの(以下「申立人役務」という。)である。当該役務の内容からすれば、ファッション情報収集消費者及び服飾関係者は、当該役務の需要者又は関係者であることから、最終消費者又は取引者であるといえる。
以上のことから、申立人の業務に係る役務の需要者は、ファッション情報収集消費者及び服飾関係者(以下、両者をまとめて「申立人役務需要者」という。)である。
(2)引用商標は申立人役務需要者の間で全国的に広く認識されていた
ア 日本経済新聞全国版及び日経MJでの紹介
申立人は、インターネットテクノロジーを活用したファッション業界のけん引役とも称され、本件商標の出願日より前に、日本経済新聞全国版や日経MJにおいて紹介される等、申立人役務需要者の間でひときわ注目される存在となっていた。
すなわち、申立人は、インターネット上で、ファッションアイテムを購入したいユーザーとアイテムを販売する店舗にマッチングさせることができるスマートフォンアプリ「STYLER」(以下「アプリSTYLER」という。)を展開していたところ、平成27年8月3日に、全国紙である日本経済新聞及び同年8月17日に日経MJにおいて、「スタイラー」の呼称がアプリSTYLERのサービスの説明文とともに掲載されている(甲3?甲6)。
したがって、「スタイラー」という引用商標の呼称及び当該呼称を用いたアプリSTYLERのサービス内容が、当該日本経済新聞又は日経MJの購読者である申立人役務需要者に全国的に幅広く認知されていたといえる。
イ 各種メディアでの紹介
申立人は、平成27年4月13日、申立人役務需要者に向けて、ファッション情報を提供するための「STYLER MAG」というサイトを開設した(甲12)。
この事実は、著名なカリスマファッションブロガーである岩崎氏(甲14?甲17)が平成27年4月15日に自身のブログ「fashionNeet.mag」において記事で公開したこと(甲13)を通して、全国の申立人役務需要者に知られるところとなった。
続けて、申立人は、平成27年6月10日、同年5月29日にサイバーエージェント・ベンチャーズを引受先として第三者割当増資で資金調達を実施したことを発表した。
当該発表については、申立人が、アプリSTYLERを展開する旨が付記され、様々なインターネット上のニュースにて公表され(甲7?甲10)、全国の申立人役務需要者は、当該ニュースをいつでもどこからでもインターネット上で見ることができる状況にあった。当該ニュースの1つは、ファッション情報に特化したオンラインメディアとして最大級の規模(平成25年5月時点で月間ページビューが平均1,100万PV。)を誇るサイト「Fashionsnap.com」上で公表され(甲9)、また、上記岩崎氏も当該発表について、平成27年6月10日、同年5月29日に自身のブログに投稿しているから(甲18)、多くの申立人役務需要者に閲覧されたといえる。
そして、アプリSTYLERについては、平成27年7月6日、インターネット上でサービスの内容を説明するニュースも公表されている(甲11)。
以上のことから、引用商標は、インターネットを用いたファッション情報の提供というサービスを表すものとして、インターネットを介し、申立人役務需要者が全国的に認知できる状況に置かれていたといえる。
ウ ソーシャルネットワークでの紹介
引用商標は、Facebook上の投稿を介して申立人役務需要者に全国的に認知を広めていた。
すなわち、申立人は、本件商標の出願日より前にFacebookに自身のページを設けて、当該ページにて引用商標を使用し、上記(ア)の新聞掲載に係るニュースを投稿していた(甲4、甲6)。
Facebook上の投稿は、当該投稿者のページをフォローしている者だけでなく、当該投稿を閲覧した者が当該投稿をシェアする等によって拡散され、多くのFacebook登録者が閲覧できる仕組みになっている。
したがって、引用商標は、Facebook上の投稿を介して申立人役務需要者に全国的に認知を広めていたといえる。
(3)全国版ニュースでの紹介、経済産業省委員への就任
平成27年10月14日には、地上波TBS「はやドキ!」において、申立人のサービスが紹介されるまでに至った(甲19)。当該放送自体は、本件商標の出願日より後であるものの、全国ネットのテレビで取り上げられる程の認識と評判が、当該出願日より前の時点でもあったことを窺わせる証左である。
そして、申立人の代表取締役小関氏は、ファッションとインターネットテクノロジーに関する経済産業省のファッション産業研究会委員にも就任している。このことも「スタイラー」がファッションとインターネットテクノロジーに関するけん引役として認知されていることの証左である。
(4)著名なグローバル企業との業務提携
申立人は、平成28年8月にトランスコスモス株式会社との間で資本提携及び業務提携に及んでいる(甲20)。平成28年3月期の連結売上高2,246億円、国内外に159拠点を誇るグローバル企業であるトランスコスモス株式会社(甲21?甲23)が申立人と提携することで、アパレル業界向け事業の拡大を図ったことは、申立人がファッションテクノロジー業界のけん引役として轟いてきたことの証左であると同時に、本件商標の出願日には既に引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者である申立人役務需要者に広く認識されていたことを推認させるものである。
(5)小括
以上から、申立人の使用する引用商標は、本件商標の出願日より前に、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者である申立人役務需要者に広く認識されていたといえる。申立人役務需要者の間では、「マークスタイラー」、「MARK STYLER」といえば商標権者であるが、「スタイラー」、「STYLER」といえば、申立人のことを指すという認識が一般的である。
5 商標権者から申立人へ強引な要求がなされている(不正の目的)
商標権者は、遅くとも本件商標の出願日には、「STYLER」といえば、申立人のことを指すことが広く認識されていたにもかかわらず、まして、商標権者は「MARK STYLER株式会社」であり、従前、「MARK-STYLER」や「M MARK STYLER」を商標登録し、「MARK STYLER」として活動してきたにもかかわらず、また、平成27年になってから業態が変更したとは見受けられないにもかかわらず、平成27年9月9日に本件商標を出願した。
そして、商標権者は、本件商標の登録日である平成28年4月22日から間もない平成28年5月に、申立人に対して、高圧的な態度で迫り、申立人が代理人弁護士を通じて話し合いを申し入れたにもかかわらず、ア)話し合いの場における申立人側の代理人弁護士の数を不当にも制限し、イ)数日の内に「STYLER」を冠したウェブサイトの名称変更を確定し、ウ)具体的な変更日を書面にて記載し、スタイラー社の実印を押印、同書面のPDFを必着送付するといった理不尽な条件を強弁し、これらの条件が認められなければ会うことさえしないといい、交渉を準備していた申立人側を無視して、東京地方裁判所に対して仮処分命令を申し立てるに至った。
商標権者はマークスタイラー(MARK STYLER)として活動をしてきている一方、申立人はスタイラー(STYLER)として広く認識されている。そもそも、商標権者は、自社ブランドの販売により利益を上げている業態をとっている。これに対して、申立人は、ファッション情報収集消費者と服飾関係者との情報交換を「つなぐ」にすぎず、両者の間で売買が成立したとしても、利益を上げない業態である。このため、商標権者の業態と申立人の業態とは、ファッションという意味では共通しているものの、実態上は競合しない。
スタイラー(STYLER)として広く認識されている申立人は、マークスタイラー(MARK STYLER)として活動をし、業態も異なるため競合もしない商標権者と自身とは、活躍の場が異なるのであるから、それぞれの場で活躍をすれば良いとの認識である。
一方で、申立人は、「スタイラー株式会社」であり、引用商標「STYLER」は、社名そのものである。設立以来、全国的メディアにも頻繁に取り上げられ、一般的に認識されてきた社名そのものである引用商標「STYLER」の使用を禁止されるのは、あまりに甚大な被害であり、業務に重大な支障が生じる。まして、数日で社名の英語表示を変える決断を迫り、代理人弁護士を通じての交渉も無視する商標権者の態度は、いかにも横暴である。
このように、認識されている名称が異なり、業態も競合せず、また平成27年に業態が変化したわけでもないにもかかわらず、申立人の英称「STYLER」を、平成27年9月になって突然商標登録の出願をし、理不尽な要求を突き付け、申立人の業務に支障を生ぜしめる商標権者には、不正の目的が窺われるといわざるを得ない。
6 本件商標が引用商標の役務について使用されていること
本件商標は、「インターネットを用いたファッション情報の提供」が指定役務とされている。引用商標は、インターネットを用いたファッション情報の提供という役務についても使用されている。
7 結語
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第19号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)引用商標に係る申立人の役務は、インターネット上の投稿サイトにて、ファッション情報収集消費者が服に関する要望を投稿すると服飾関係者である店舗から商品の提案を受けることができるというもの(申立人役務)である(申立人主張、甲3、甲5、甲7等)。
(イ)申立人は、平成27年7月に申立人役務を提供するアプリ「STYLER」を開設し、現在も継続して運営している。そして、当該アプリ「STYLER」の画面には、「STYLER」の文字が表示されている(甲2、甲3)。
(ウ)アプリ「STYLER」については、開設前の平成27年6月から複数のウェブページに、その(内容の)説明等が掲載されている(甲7?甲11、甲18)。
(エ)アプリ「STYLER」について、平成27年8月3日付け日本経済新聞、同年8月17日付け日経MJに掲載され、これらの掲載記事が申立人の開設するFacebookで紹介されている(甲3ないし甲6)。
イ 上記アの事実からすれば、申立人は平成27年7月から申立人役務を提供するアプリの名称等として引用商標「STYLER」を使用していることは認められるものの、アプリ「STYLER」の開設が本件商標の登録出願の日の僅か2か月前であること及び同アプリの利用者数など利用実績(役務提供実績)を示す主張、証左は見いだせないことから、引用商標は、本件商標の登録出願時かつ登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人は、引用商標に係る情報はインターネットを介していつでもどこでも見ることができる状況であったこと、Facebookでは情報が拡散され多くの者が閲覧できる仕組みになっているなどとして、かかる情報が多くの需要者に認知されている旨主張しているが、インターネットやFacebookでは他の無数の情報が掲載、投稿され、それら無数の情報も上記と同様の状況や仕組みに置かれるものであって、引用商標に係る情報のみが特出して閲覧されるというべき状況等とは認められないから、申立人のかかる主張は採用できない。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標及び引用商標は、前記第1及び第2のとおり、共に「STYLER」の欧文字からなるものであるところ、その構成文字に相応して「スタイラー」の称呼を生じるものであり、「(髪をセットする)ヘアースタイラー[ドライヤー]、デザイナー、スタイリスト」(小学館ランダムハウス英和大事典「(株)小学館」)の意味を有する英語であるとしても、該語が我が国においては一般になじみのない語であることから、特定の観念が想起されるとはいえないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるとしても、その綴りを同じくするものであるから外観において同一といえ、かつ、その称呼も共通にする類似の商標というべきものである。
また、本件登録異議の申立てに係る指定役務と、引用商標に係る役務は、共に「インターネットを用いたファッション情報の提供」である。
したがって,本件商標と引用商標とは、外観及び称呼を同じくする類似の商標というべきであり、かつ、本件登録異議の申立てに係る指定役務と引用商標の使用に係る役務とは同一の役務である。
(3)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標が類似し、かつ、本件登録異議の申立てに係る指定役務と引用商標を使用する役務が同一の役務と認められるものであるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間で広く認識されていたということができないことは、前記1(1)で判断したとおりである。
そして、本件で提出された証拠によっては、本件商標が引用商標の周知性などに便乗して不正の利益を得ることを目的にしていたとか、申立人に損害を与えることを目的に登録出願したとの事情は見いだし得ないものである。
なお、申立人は、商標権者が本件商標の登録後、申立人に対して高圧的で理不尽な条件を強要し、また東京地方裁判所に仮処分命令を申し立てるなどしたとして、商標権者には不正の目的が窺える旨を主張しているが、商標権者が高圧的で理不尽な条件を強要した事実、仮処分命令を申し立てた事実を示す証左の提出はなく、他に本件商標が不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる証左も見いだせない。
してみれば、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、「インターネットを用いたファッション情報の提供」について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-12-06 
出願番号 商願2015-87128(T2015-87128) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W45)
T 1 652・ 25- Y (W45)
最終処分 維持 
前審関与審査官 林田 悠子中村 聖藤平 良二 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
山田 正樹
登録日 2016-04-22 
登録番号 商標登録第5843686号(T5843686) 
権利者 MARK STYLER株式会社
商標の称呼 スタイラー 
代理人 兼子 裕 
代理人 塩本 宗義 
代理人 角田 寛人 
代理人 柄澤 愛子 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ