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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W29 |
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管理番号 | 1323706 |
異議申立番号 | 異議2015-900325 |
総通号数 | 206 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-10-16 |
確定日 | 2016-12-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5779401号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5779401号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5779401商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年2月12日に登録出願、第29類「食用油脂,加工野菜及び加工果実」を指定商品として、同年5月22日に登録査定され、同年7月17日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなるものである。 第3 登録異議の申立ての理由(要点) 本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。 第4 本件商標の取消理由 審判長は、商標権者に対し、理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は、次のとおりである。 1 申立人及び引用商標並びに商標権者について 申立人の主張及び申立人が提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。 (1)申立人は、ココナッツオイル、特にコールドプレス製法のココナッツオイルを使用した製品の開発・製造・販売を行うタイ国企業であり、「TROPICANA VIRGIN COCONUT OIL」のブランド名で、コールドプレス製法のココナッツオイルに係る製品を開発、製造、販売している旨主張している(甲2?甲5)。 (2)申立人は、商品「コールドプレス製法の食用ココナッツオイル、コールドプレス製法のココナッツオイルを含む化粧品・健康食品」(以下「申立人商品」という場合がある。)について、遅くとも2012年には、ほとんど全ての製品にココナッツの実を表した引用商標を使用している旨及び2014年半ばから、「有機シリーズ」の製品ラベルとして、ラベルの上部に茶色のココナッツの皮のイメージの茶色の帯状部分を施したラベル(別掲3。以下「申立人商品ラベル」という。)を採用した製品を販売してきた(甲4、甲33、甲38)旨、主張している。さらに、引用商標及び申立人商品ラベルが使用されていることがわかる製品仕様(甲33、甲38)を提出している。さらに、引用商標及び申立人商品ラベルが使用されていることがわかる製品仕様(甲33、甲38)を提出している。 (3)引用商標及び申立人商品ラベルが使用された申立人商品は、商標権者及びその他の複数の輸入代理業者を通じて2013年ごろから我が国にも輸出され、販売されている旨主張し、日本の主な取引先との取引額一覧(甲27)及び当該一覧の記載内容に対応する注文書等(甲29、甲30?甲32、甲34?甲37)を提出している。 また、主な取引先3社(商標権者(Youki Trading Co.,Ltd)、Import Promotion And Sales Ltd、Kaldi(Thailand)Co.,Ltd)の日本への輸出売上は、合計は、2013年は、商標権者との取引開始により176,316.75パーツ(約56万円)であったが、2014年には、15,137,970.09バーツ(約4,935万円)、2015年1月ないし9月の間では、117,510,152.78バーツ(約3億9,250万円)である(甲27、甲28)。 (4)申立人と商標権者は、2013年6月25日、タイ政府と日本の主催の中小企業を対象としたビジネスマッチングプログラムで知り合い、申立人は、商標権者に引用商標が表示された申立人商品を紹介した(甲44?甲49)。商標権者は、2013年11月5日付けの注文(甲29)から、2015年1月9日付けの注文(甲32)まで継続的に申立人のココナッツオイルを輸入し(甲27、甲30?甲32)、2014年8月11日ないし15日に申立人の幹部らが日本を訪れ、同年8月12日に商標権者の会社を訪問し(甲50、甲51)、継続的な取引関係にあった。 (5)商標権者は、2015年1月26日付けの電子メールで、申立人に対し、独占的代理店契約の締結を要求し、翌日付けで契約書を送付した(甲52、甲53)。これに対し、申立人は、署名をしなかった旨主張している。 その後、商標権者は、2015年2月2日付け電子メールで、申立人がカルディに輸出していることを知った旨(甲54)及び2015年2月11日及び同12日付け電子メールで、注文品の供給をカルディから商標権者へ切り替えることを要求し、カルディへの輸出を遅らせて欲しい旨(甲55)送信している。そして、2015年9月24日付け電子メールで、商標権者は、申立人への注文をキャンセルし、2015年9月28日付けの申立人からの電子メールで商標権者と申立人の取引関係は終了した(甲56)。 (6)商標権者は、平成2年(1990年)3月設立の主に加工食品の輸入販売を業務とする会社と認められ、アジア等世界各国の加工商品を輸入しており、引用商標が付されたココナッツオイルを輸入し、販売している(甲43)。 (7)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年(2015年)2月12日出願されたものである(甲1)。 (8)申立人は、引用商標について、我が国に平成27年(2015年)5月20日に商標登録出願を行ったが(商願2015-47228)、同年9月4日付けで本件商標を引用し、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由が申立人に対して通知された(甲16)。 2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について 商標法第4条第1項第7号は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標は、商標登録を受けることができない旨規定しているところ、同規定の趣旨からすれば、(a)当該商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形である場合など、その商標を使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合、(b)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(c)当該商標ないしその使用が特定の国若しくはその国民を侮辱し又は一般に国際信義に反するものである場合がこの規定に該当することは明らかであるが、それ以外にも、(d)特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である(東京高等裁判所平成16年(行ケ)第7号、平成16年12月21日判決参照)。 そこで、本件についてみると、本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであり、また、引用商標は、別掲2のとおりの構成からなるものであるところ、本件商標の構成中のココナッツの実を表した図形と引用商標のココナッツの実を表した図形は、ほぼ同一である。 また、本件商標と申立人商品ラベルを比較すると、「TROPICANA Viegin Coconut Oil」の文字部分の有無に差異を有するとしても、両者の図形部分において、色彩、模様及び形状の構成の軌を一にするものであって、極めて近似するものと認められる。 そして、上記1によれば、引用商標は、商品「コールドプレス製法の食用ココナッツオイル、コールドプレス製法のココナッツオイルを含む化粧品・健康食品」について、申立人によって遅くとも、本件商標の登録出願前から使用されていたものである。 他方、商標権者は、加工食品の輸入販売を業務とする会社であり(甲43)、申立人とは上記1(4)及び(5)のとおり、本件商標の出願前から取引関係が認められ、申立人のココナッツオイルを2013年11月5日から2015年1月9日の注文分まで輸入していたものであるから、引用商標の存在を認知していたことは明らかである。 さらに、商標権者は、申立人に独占的代理店契約の締結を申し込み、カルディへの輸出を遅らせて欲しい旨を内容とする電子メールを送信した日(2015年2月12日)に本件商標を登録出願していたことが認められる。 してみると、商標権者は、本件商標の登録出願前から、引用商標が申立人によって「コールドプレス製法の食用ココナッツオイル、コールドプレス製法のココナッツオイルを含む化粧品・健康食品」に使用されていたことを認知していながら、引用商標が商標登録されていないことを奇貨として、引用商標と同一といえるココナッツの実を表した図形を含むものであって、また、申立人商品ラベルの図形部分と近似した本件商標を申立人の承諾を得ずに登録出願をし、登録を得たものであるから、商標権者は、引用商標を剽窃したものといわざるを得ない。 以上のとおり、本件商標の登録出願の経緯には著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。 第5 商標権者の意見 審判長は、上記第4の取消理由を通知し、商標権者に対して、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、何ら意見を述べていない。 第6 当審の判断 上記第4のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標)(色彩は、原本参照) 別掲2(引用商標)(色彩は、原本参照) 別掲3(申立人商品ラベル)(色彩は、原本参照) |
異議決定日 | 2016-10-31 |
出願番号 | 商願2015-12619(T2015-12619) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Z
(W29)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 平澤 芳行 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 原田 信彦 |
登録日 | 2015-07-17 |
登録番号 | 商標登録第5779401号(T5779401) |
権利者 | ユーキトレーディング株式会社 |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |