• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W09
管理番号 1323669 
審判番号 不服2015-16951 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-15 
確定日 2017-01-04 
事件の表示 商願2014-95132拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Super Wide Sound」の欧文字を横書きしてなり、第9類「タブレット型コンピュータ,携帯電話機,ICチップ,電子チップ,セットトップボックス,スピーカー,ヘッドホン,拡声器,テレビジョン受信機」を指定商品として、平成26年11月12日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『Super Wide Sound』の文字を書してなるところ、その構成中の各語の有する意味及び本願の指定商品を取り扱う業界に係るインターネット記事や取引の実情からすると、全体として、『飛び抜けて幅の広い音』ほどの意味合いを容易に看取させるものであるから、これをその指定商品中、当該文字に照応する商品(例えば『スピーカー,テレビ,携帯電話機』等)に使用するときは、これに接する取引者、需要は、その商品が『飛び抜けて幅の広い音を出すことものであること』を表示したものと理解するにすぎないから、単に商品の品質(内容、機能)、効能を普通に用いられる方法で表示したものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見をしたので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年3月29日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

4 請求人の意見
請求人は、上記証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「Super Wide Sound」の欧文字を横書きしてなるところ、その書体は格別顕著なものではないから、普通に用いられる方法で表示したものといえるものである。
そして、その構成中「Super」の文字は、接頭語で「超」、「上の」、「より優れた」の意味を有する語であり、商取引においては、商品の品質等を誇称するものとして広く採択、使用されているものである。
また、「Wide」の文字は、「広いさま。幅広いさま。」の意味を有する語であり、「Sound」の文字は、「音。音響。」の意味を有する語であり、いずれも我が国において一般に親しまれている平易な英語といえるものである。
そして、別掲に示すとおり、スピーカーやスピーカーを内蔵する商品及びスピーカーを構成要素とする商品のような、音を出力する商品について、「ワイド」の語と「サウンド」の語又は音に関連する語(「音」、「音場感」、「音場」等の語)とを組み合わせて、「(商品から出力される)音(音響、音場)に広がりがある」ことを表すものとして使用されている実情がある。
かかる実情からすれば、本願商標中の「Wide」と「Sound」の文字部分は、「(商品から出力される)音(音響、音場)に広がりがある」ほどの意味合いを容易に認識させるといえ、本願商標をスピーカーやスピーカーを内蔵するなどして音を出す商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「Wide」と「Sound」の語の組合せに、商品の品質を誇称する「Super」の語を付して、「(商品から出力される)音(音響、音場)に広がりがある」ことを強調して表したにすぎないものと理解し、その商品が、「とても広がりのある音を出す商品」であることほどを認識するにとどまるといえる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、スピーカーやスピーカーを内蔵するなどして音を出す商品、すなわち、「タブレット型コンピュータ,携帯電話機,スピーカー,ヘッドホン,拡声器,テレビジョン受信機」に使用しても、商品の性能、品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、上記商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、平成27年9月15日付けの審判請求書において意見を述べているので、以下検討する。
ア 請求人は、「Super Wide Sound」が一連に組み合わせてなる表示方法が、指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、効能を表示するものとして、取引上、一般に使用されている事実はないし、本願商標を構成する各文字(「Super」、「Wide」、「Sound」)は、その指定商品との関係で識別力が強いとは言えず、そのような語同士の結合においては、一体的に認識されるのが通常で、その構成全体をもって特定の意味を持たない一体不可分の一種の造語として認識されるものであるから、出所識別標識として機能しうるものである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解される(最高裁昭和60年(行ツ)第68号昭和61年1月23日第一小法廷判決言渡、東京高裁昭和52年(行ケ)第82号昭和56年5月28日判決言渡、同平成12年(行ケ)第76号平成12年9月4日判決言渡)。
そして本願商標については、これに接する取引者、需要者は、「Wide」と「Sound」の語の組合せに、商品の品質を誇称する「Super」の語を付して、「(商品から出力される)音(音響、音場)に広がりがある」ことを強調して表したにすぎないものと理解し、「とても広がりのある音を出す」商品であることほどを認識するにとどまること、上記(1)のとおりであるから、たとえ「Super Wide Sound」の文字そのものが本願の指定商品に使用されている事実がなかったとしても、そのことが本願商標について商標法第3条第1項第3号該当性の判断に影響を与えるものとはいえない。
イ 請求人は、本願商標は、出願人が独自に開発したサウンド技術の名称についての造語であり、2012年から出願人の製造、販売にかかる商品の宣伝等において、太く、まとまりのある字体により、目立つように表記しており、その略称である「SWS」とともに、出願人の出所にかかる「Super Wide Sound」商品として、指定商品の分野における需要者においても、本願商標を、出願人の製造、販売にかかる商品の出所の識別標識として認識し、他の事業者の出所にかかる商品と区別する機能を有している旨主張する。
しかしながら、請求人の提出に係るタブレット型コンピュータの取扱説明書(甲第5号証)において、請求人が独自開発したサウンドモードを「SWS(Super Wide Sound)」と記載していることは認められるものの、「Super Wide Sound」単独での使用は見受けられず、請求人が主張するように、太く、まとまりのある字体により、目立つように表記されているとも認められない。また、その他の証拠においても、「Super Wide Soun」の表示が請求人の製造、販売に係る商品について商標として使用されているとは認められない(甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証)。
そうすると、本願商標は、請求人の製造、販売にかかるタブレット型コンピュータの出所を表すものとして認識されているものということができない。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成28年3月29日付け証拠調べ通知の内容)
本願商標は、「Super Wide Sound」の欧文字を横書きしてなり、第9類「タブレット型コンピュータ,携帯電話機,ICチップ,電子チップ,セットトップボックス,スピーカー,ヘッドホン,拡声器,テレビジョン受信機」を指定商品とするものであるところ、以下の事実がある。

1 本願の指定商品に係る分野において、「ワイド」の語と「サウンド」の語とを組み合わせ、「音(音響、音場)に広がりがある」ほどの意味合いを把握、認識させるものとして使用している事実
ア 「ONKYO」のウェブサイトにおいて、「2012年10月発売予定
BASE-V50/BASE-SW50/NR-365」のプレスリリース中、「設置環境に合わせて選べるラインナップ」の見出しの下、「スタイリッシュなデザイン&ワイドサウンドで包み込まれる臨場感を楽しめるD-077Eとの組み合わせ。
独自開発のクラストロンドライバーを縦に配列したD-077Eは、180°パノラマ状に音が広がり、ワイドなサウンドを実現します。」の記載がある。
(http://www.jp.onkyo.com/news/newproducts/audio/basev50/base_v50.pdf)
イ 「EIZO」のウェブサイトにおいて、「FORIS FX243TV 地上・BS・110度CSデジタルチューナー搭載 カラー液晶モニター」の取扱説明書の66頁に、「4‐3 音声を調整する・・・● ワイドサウンドの有効/無効を切り換える[ワイドサウンド] スピーカーから出力される音声に広がりを持たせる/持せないの切り換えができます。(1) 設定メニューの[サウンド設定]を選択し、を押します。(2) [サウンド設定]メニューで[ワイドサウンド]を選択し、・・・[ワイドサウンド]設定画面が表示されます。(3) ・・・有効」または「無効」を選択し、・・・設定が完了します。」の記載がある。
(http://www.eizo.co.jp/support/db/files/manuals/em/FX2431TVManual-JA.pdf)
ウ 「ポンパレモール」のウェブサイトにおいて、「idegia-ダイナミックワイドサウンドW (充電機能付) X-109 AXS/アークス DC12V デュアルスピーカー+USB 2ポート」の見出しの下、「音がワイドに広がるデュアルスピーカー!」の記載がある。
(http://store.ponparemall.com/autolandshiraoka/goods/0000001345/)
エ 「週刊アスキー」のウェブサイトにおいて、「ワイドなサウンドが楽しめる2台構成のキューブ型Bluetoothステレオスピーカー」の見出しの下、「『LUXA2 Groovy Duo』は一般的な一体型ステレオスピーカーとは異なり、2台のスピーカーをペアリング再生するのでワイド感のあるサウンドを楽しむことが可能だ。」
(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/267/267013/)
オ 「SONY」のウェブサイトにおいて、「ハイパワーオーディオ MHC-V3」の見出しの下、「部屋いっぱいに豊かに広がるワイドなサウンドエリアを実現しました。」、「スピーカーユニットに独自の角度をつけた配置により、ワイドサウンドエリアを実現」の記載がある。
(http://www.sony.jp/system-stereo/products/MHC-V3/feature_1.html)

2 本願の指定商品に係る分野において、「ワイド」の語と「音」に関連する語(「音質」、「音場感」、「音場」等含む。)とを組み合わせて「音(音響、音場)に広がりがある」ほどの意味合いを把握、認識させるものとして使用している事実
ア 「日立マクセル株式会社」のウェブサイトにおいて、商品ヘッドホンの「カナル型 MXH-RF800」の見出しの下、「新設計のデュアルチャンバーとハイブリッドボディが創るワイドな音場感」、「◎新設計のデュアルチャンバー ドライバの振動を効率良く、かつ緻密にコントロールし、広がりのある音場感を実現」、「よりワイドな音場感を創出するために、ドライバの振動を効率良く、かつ緻密にコントロールした新設計のデュアルチャンバーを採用しました。」の記載がある。
(http://www.maxell.co.jp/consumer/headphone/mxh_rf800/)
イ 「株式会社JVCケンウッド」のウェブサイトにおいて、「2ウェイバスレフ型スピーカーシステムSX-WD200」の見出しの下、「音の広がりを飛躍的に向上させた異方性振動板ウッドコーン・ウーハー。ウッドコーンのナチュラルな音質はそのままに、よりワイドでダイナミックな音の再現をめざして構成された2ウェイウッドコーン。・・・ワイドな音場と解像度の向上を実現しました。」の記載がある。
(http://www3.jvckenwood.com/audio_w/home/sx-wd200/)
ウ 「株式会社JVCケンウッド」のウェブサイトにおいて、「ホームシアターシステム」の見出しの下、「ワイドな音場とリアルな音像定位を両立するDDスピーカーユニットを採用 薄型ながら高音質を実現した当社独自のDDスピーカーユニットを採用。低域から高域まで円形に近い指向性を持つ本ユニットの特性により、壁掛け使用時は全帯域ほぼ均一にバッフル効果が得られ、自然な音のままで音圧レベルが増強され、より豊かなサウンドが楽しめます。」の記載がある。
(https://www3.jvckenwood.com/audio_w/theater/4ch_flont.html)
エ 「株式会社エレクトリ」のウェブサイトにおいて、「C3110-96 パッシブ 2-Way スピーカー」の見出しの下、「高域はスムーズでワイドな音の広がりが特長の1"コンプレッションドライバー/ホーンロード。」の記載がある。
(http://www.rcf-jp.com/s_i_c3110-96.html)
オ 「YAHOO!ニュース」のウェブサイトにおいて、「画質と音質にこだわった防水パーソナルテレビ、東芝『10WP1』登場」の見出しの下、「左右の側面には40ミリ径というポータブル機にしては大きいスピーカーユニットを搭載した。ユニット背後には独立したキャビネット空間も確保し、自然でワイドな音を実現したという。これも『料理や入浴中など、周囲が騒がしい状況でも聞き取りやすい音にするため』(同社)。」の記載がある。
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151117-00000060-zdn_lp-prod)
カ 「BOSE」のウェブサイトにおいて、「わずか30cm のサウンドバーで迫力のホームシアターサウンドが楽しめる、『CineMate15 home theater speaker system』を9月26日(金)発売 2014年9月16日」の見出しの下、「ボーズは、コンパクトなサウンドバーで手軽に臨場感あふれる立体的なサウンドが楽しめるホームシアターシステム『CineMate 15 home theater speaker system』を9月26日(金)より販売することを発表いたします。」、「ボーズ独自の信号処理技術TrueSpace シグナル・プロセッシングによる制御で、部屋いっぱいに広がるワイドな音場を創出。」の記載がある。
(http://www.bose.co.jp/jp_jp?url=/consumer_audio/consumer_audio_news/new_products/20140916_07.jsp)

以上の事実からすれば、「Super Wide Sound」」の欧文字からなる本願商標を、指定商品中「スピーカー,ヘッドホン,スピーカーを内蔵した商品,スピーカーを附属品とする商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者に、「(商品から出力される)音(音響、音場)に広がりがある」ことを表す「Wide Sound」の語に、「すばらしい、最高級の、超」等の意味を有し商品の品質を誇称する「Super」の語を付して、「広がりがある音を聴くことができる」商品であることを強調して表したにすぎないものと認識させるにとどまるから、本願商標は、商品の性能、品質を表示する標章のみからなるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。



審理終結日 2016-07-29 
結審通知日 2016-08-01 
審決日 2016-08-22 
出願番号 商願2014-95132(T2014-95132) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 田中 亨子
松浦 裕紀子
商標の称呼 スーパーワイドサウンド、スーパーワイド、ワイドサウンド、ワイド 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小出 俊實 
代理人 幡 茂良 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ