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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
管理番号 1323621 
審判番号 不服2015-9917 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-27 
確定日 2016-12-15 
事件の表示 商願2014-23465拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ZOE」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年3月27日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、原審における平成26年10月24日付け手続補正書により補正された結果、第9類「携帯電話機・スマートフォン・セルラー式電話機・携帯用コンピュータ・タブレット型コンピュータ・携帯型情報端末装置に結合した一部としてのデジタルスティルカメラ及びビデオカメラ,画像・写真・映像を記録・送信・加工・操作・編集・保存・閲覧するための、携帯電話機・スマートフォン・セルラー式電話機・携帯用コンピュータ・タブレット型コンピュータ・携帯型情報端末装置用コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,携帯電話機・スマートフォン・セルラー式電話機・携帯用コンピュータ・タブレット型コンピュータ・携帯型情報端末装置に結合した一部としてのスティルカメラ及びビデオカメラ用のコンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」となったものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第4469875号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成12年3月13日に登録出願、同13年2月14日に登録査定され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年4月27日に設定登録されたものであり、その後、放棄による本権の登録の一部抹消及び商標権の存続期間の更新登録がされ、第9類「電気通信機械器具,パーソナルコンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ,その他の電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「ZOE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、欧文字3文字のみを組み合わせた商標において、それが特定の意味合いを有する親しまれた語と認識されるものでない場合、該文字はローマ字読み又は我が国で普及している外国語である英語に倣い発音されるほか、これを構成する欧文字の1文字1文字を区切って発音される場合も少なくない。
してみると、本願商標は、これを構成する「ZOE」の欧文字から、ローマ字読みで発音した「ゾエ」の称呼のほかに、「Z」、「O」及び「E」の各欧文字の読みに照らし、「ゼットオーイー」の称呼を生じるものと認められる。そして、「ZOE」の文字は、親しまれた意味合いを理解させるとはいえないから、特定の語義を有しない造語とみるのが相当である。
したがって、本願商標は、「ゾエ」の称呼のほかに、「ゼットオーイー」の称呼をも生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、上記2のとおり、「ゼットオーイー」の片仮名と「Z.O.E」の欧文字を上下に書してなるところ、その構成中の上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定したと理解されるものであるから、その構成文字に相応して「ゼットオーイー」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。
そこで、本願商標と引用商標との類否についてみるに、称呼において、本願商標から「ゾエ」の称呼が生じる場合、「ゼットオーイー」の称呼が生じる引用商標とは、その音構成及び構成音数が著しく異なり、称呼上聴取し得るものである。そして、本願商標から「ゼットオーイー」の称呼が生じる場合には、両商標は、称呼「ゼットオーイー」を同一にするものである。
また、本願商標と引用商標とは、欧文字部分の読みを表した片仮名の有無及びピリオド(「.」)の有無に差異があるが、「Z」、「O」及び「E」の同一の欧文字からなるものであるから、両商標は、外観上近似した印象を与えるものである。
さらに、本願商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、観念において比較し得ない。
そうとすると、本願商標と引用商標とは、「ゼットオーイー」の称呼を共通にし、外観上近似したものであり、観念において比較することができないものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
そして、本願の指定商品は、引用商標の指定商品中の「電気通信機械器具,パーソナルコンピュータ用ゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ,その他の電子応用機械器具及びその部品」と同一又は類似の商品である。
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人(出願人)は、請求人は台湾を拠点とするスマートフォンや携帯情報端末を製造販売する世界的な企業であり、本願商標は、2013年5月より請求人の主力商品であるスマートフォン(HTC J One)に搭載しているカメラ用アプリケーションソフトウェア及びそれを搭載したカメラの名称として使用され、「ゾエ」と発音されているものであるから、本願商標からは「ゾエ」以外の称呼は生じないし、また、請求人を知る取引者や需要者であれば、本願商標からは、請求人の取り扱いに係る上記ソフトウェア及びそれが搭載されたカメラとの観念を生じ、引用商標の権利者を知る取引者や需要者であれば、引用商標からは,引用商標の権利者の取り扱いに係るゲーム用アプリケーションソフトウェアを容易に認識し得るから、両商標は、観念上、明らかに異なっている旨主張し、甲第10号証ないし甲第22号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出によれば、請求人の取り扱いに係るスマートフォンである「HTC J ONE」を紹介するウェブサイトの記事中に、「HTC Zoe(ゾエ)」のように記載されて括弧内に読み方が表示されているにすぎず(甲10?甲20)、スマートフォン及びアプリケーションソフトウェアの取引者、需要者の間に、本願商標及び「Zoe」の欧文字の称呼が「ゾエ」であることが広く浸透しているとはいい難い。
また、本願商標が使用されているのは、請求人の取り扱いに係るスマートフォン(HTC J ONE)のカメラ機能又はそのアプリケーションソフトウェアの名称に限られているのであるから、これをもって、本願と引用商標の指定商品において互いに同一又は類似の関係にある電気通信機械器具並びに電子応用機械器具に照応する全ての商品について、その取引者、需要者の間に、本願商標が広く知られているものとも認められない。
さらに、引用商標についても、引用商標を使用するゲーム用アプリケーションソフトウェアが、上記抵触商品の取引者、需要者の間に広く知られていると認めるに足る実情は見いだせない。
イ 請求人は、請求人と引用商標の権利者とは、業界・業態のみならず事業目的自体が異なる企業であり、本願商標は、スマートフォンや携帯情報端末関連の商品に限定されて使用されており、引用商標は、コンピュータゲームソフトウェアに使用されているから、それぞれの使用商品は、用途、流通経路、販売経路、取引者が異なるものであって、両商標から生ずる称呼も異なっていることからすれば、商品の出所について混同が生ずるおそれはなく、また、実際に本願商標及び引用商標が使用されている現時点で何ら市場に混乱が生じていない旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号は、先願に係る他人の登録商標と同一又は類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似する商品若しくは役務について使用をするものの登録を認めないとするものであるところ、本願商標と引用商標とが類似する商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであることは、上記(1)において認定、判断したとおりである。
そして、請求人が主張する本願商標と引用商標の使用に係る実情を認めることができるとしても、それらは、単にそれぞれの商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なものであり、本願と引用商標の指定商品において抵触する商品全般についての一般的、恒常的な取引の実情とはいえないものであるから、本願商標の商標法第4条第1項第11号の判断において考慮することは妥当ではない。
ウ 請求人は、5件の審決例・登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、請求人の挙げる審決例等は、本願商標とは、商標の構成態様等において相違し、事案を異にするものであって、そのような例が存することをもって、本願商標と引用商標の類否についてした上記(1)の認定、判断が左右されるべきではない。
エ 以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
なお、請求人は、当審における平成27年11月17日付け上申書において、引用商標の商標権者と引用商標の譲渡交渉中であるとして審理の猶予を主張したが、その後、その譲渡交渉の状況を確認する平成28年2月22日付け審尋に対し、当該通知で指定した期間内に回答書及び譲渡交渉の事実が確認できる書面の提出はなく、また、上記手続補正書の提出から相当の期間が経過するも、本願について名義変更手続や引用商標について移転や取消審判の請求の手続がされていることなどは確認できず、その他、先の拒絶理由が解消したと認めるに足る事実も見いだせないものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標


審理終結日 2016-06-21 
結審通知日 2016-06-24 
審決日 2016-07-27 
出願番号 商願2014-23465(T2014-23465) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小松 里美
根岸 克弘
商標の称呼 ゾーイ、ゾエ、ゼットオオイイ 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 

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