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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W293032
審判 一部申立て  登録を維持 W293032
審判 一部申立て  登録を維持 W293032
審判 一部申立て  登録を維持 W293032
審判 一部申立て  登録を維持 W293032
管理番号 1322509 
異議申立番号 異議2016-900097 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-19 
確定日 2016-12-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5820445号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5820445号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5820445号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりからなり,平成27年6月19日に登録出願,同年12月15日に登録査定,第29類「マーガリン,その他の食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,ジャム,その他の加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,レトルトパウチされたカレー,レトルトパウチされたシチュー,レトルトパウチされたスープ,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」,第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーンフレーク,その他の穀物の加工品,調理済み冷凍オムライス,調理済み冷凍グラタン,調理済み冷凍パスタ,調理済み冷凍ピラフ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと」,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」並びに第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類,第25類,第28類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同28年1月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)は,「MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり,平成22年7月8日に登録出願,第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品として,同年12月24日に設定登録されたものである。
2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成18年6月9日に登録出願,第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」を指定商品として,同19年6月22日に設定登録されたものである。
3 登録第5757485号商標(以下「引用商標15」という。)は,「COFFEE MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年7月29日に登録出願,第29類「乳飲料,コーヒー入り乳飲料,その他の乳製品」,第30類「コーヒー飲料,ミルク入りコーヒー飲料,その他のコーヒー,コーヒー・コーヒーの抽出物もしくはオイル又は合成コーヒー香料を含有する、あるいは、これらで香り付けされたココア,コーヒー・コーヒーの抽出物もしくはオイル又は合成コーヒー香料を含有する、あるいは、これらで香り付けされた茶,コーヒー・コーヒーの抽出物もしくはオイル又は合成コーヒー香料を含有する、あるいは、これらで香り付けされた氷,コーヒー・コーヒーの抽出物もしくはオイル又は合成コーヒー香料を含有する、あるいは、これらで香り付けされた食品香料(精油のものを除く。)」,第32類「ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味しコーヒーで香りづけしたエネルギー補給用清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味しコーヒーで香りづけしたエネルギー補給用果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,コーヒーで香りづけしたエネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,清涼飲料,果実飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」及び第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同27年4月10日に設定登録されたものである。
なお,引用商標1,2及び15を「11号引用商標」という場合がある。
4 上記1ないし3のほか,以下のとおりの登録商標である(以下(1)ないし(12)までを順次「引用商標3」ないし「引用商標14」といい,(13)ないし(42)までを「引用商標16」ないし「引用商標45」という場合がある。)。
(1)国際登録第1048069号商標:別掲2のとおり
(2)登録第5689430号商標:別掲2のとおり
(3)登録第5730813号商標:別掲3のとおり
(4)登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY
(5)登録第5431413号商標:別掲4のとおり
(6)登録第5788675号商標:別掲4のとおり
(7)登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY
(8)登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY
(9)登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY
(10)登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE
(11)登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO
(12)登録第5419513号商標:別掲5のとおり
(13)登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA
(14)登録第5844163号商標:別掲6のとおり
(15)登録第5394526号商標:別掲7のとおり
(16)登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK
(17)登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE
(18)登録第5527566号商標:MONSTER DETOX
(19)登録第5476620号商標:MONSTER REHAB
(20)登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY(21)登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED(22)登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED
(23)登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED
(24)登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE
(25)登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB
(26)登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER
(27)登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER
(28)登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER
(29)登録第5409582号商標:MONSTER BLACK
(30)登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK
(31)登録第5409583号商標:MONSTER GIRL
(32)登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA
(33)登録第5043703号商標:JAVA MONSTER
(34)登録第5431412号商標:JAVA MONSTER
(35)登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
(36)登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL
(37)登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER
(38)登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER
(39)登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED
(40)登録第5562023号商標:JAVA MONSTER GREEN BEANS
(41)登録第5613400号商標:MONSTER THRILLER
(42)登録第5644852号商標:KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,第29類,第30類及び第32類の全指定商品について,同法第43条の2第1項第1号によりその登録は取り消されるものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第277号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る「MONSTER」の著名性
(1)会社沿革及び取り扱い商品
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,アルコールを含有しない飲料等の企画,開発,製造,マーケティング,販売の事業に従事していたが,2015年6月からは,エナジードリンクの事業に注力している(甲2,甲58の宣誓供述書の段落3)。
(2)「MONSTER ENERGY」ブランド創設と「MONSTER」ファミリー商標
申立人は,2002年(平成14年)にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で,同年4月から製造販売を開始した(甲4,甲7,甲18,甲58の宣誓供述書の段落8ないし12及び同証拠物件RCS-2)。
この「MONSTER ENERGY」のオリジナル版のエナジードリンク製品は,黒色ベースのボトル缶にモンスターの爪痕を象った「M」のロゴマークと「MONSTER」の文字を太字で表示した野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56,甲57及び甲58の宣誓供述書の証拠物件RCS-2),男性若者層を中心に,たちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランド(以下「MEブランド」という。)の各種エナジードリンクには,2002年(平成14年)の発売開始以降,現在まで継続して,「MONSTER ENERGY」をはじめ,「MONSTER」と他の語又は文字を組み合わせてなる構成を共通点とする多数の商標(以下「『MONSTER』ファミリー商標」という。)が個別商品名として使用されている(甲11ないし甲16並びに甲58の宣誓供述書の段落11及び同証拠物件RCS-2及び3)。
(3)広告・マーケティング・販売促進活動
申立人は,2002年(平成14年)から現在まで,全世界におけるMEブランドのエナジードリンクに関する広告,マーケティング及び販売促進活動費として総額30億米ドルを超える費用を支出し,その販売促進活動の内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)及び販売店用什器及び備品の供給である(甲34ないし甲45,甲52,甲53,甲56,甲57並びに甲58の宣誓供述書及び同証拠物件)。
(4)国内における販売及び販売促進活動
日本国内では,MEブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて行われ,「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の販売が,2012年(平成14年)5月8日から開始された(甲5ないし甲7,甲12,甲14,甲58の宣誓供述書の段落13)。
当該商品は,その発売後,同年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲8),その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲9,甲97ないし甲99)。
さらに,2013年(平成25年)5月7日からは「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」が(甲10,甲13,甲15),2014年8月19日からは「MONSTER ENERGY M3」が(甲91,甲93),2014年10月7日からは「MONSTER COFFEE」が(甲92,甲94),2015年7月21日からは「MONSTER ENERGY ULTRA」が(甲147ないし甲149,甲164)発売されている。
これら6種のMEブランドのエナジードリンクは,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等の販売小売店のほか(甲58の宣誓供述書の段落18),アサヒ飲料の通販サイト(甲11ないし甲17)から販売され,また,アマゾンジャパンなどでは日本未発売の輸入品も取り扱われている(甲33,甲172)。
日本におけるMEブランドのエナジードリンクは,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶が販売され,販売総額は,1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58の宣誓供述書の段落18)。
また,2012年(平成24年)5月の国内発売直後から,継続的にテレビコマーシャル放映,日本開催の多数のスポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布などを含む広告・販売促進活動を実施している(甲58の宣誓供述書の段落22,23,30ないし34及び同証拠物件RCS-5ないし8)。
(5)全世界の販売国・地域及び販売額
申立人は,現在までに全世界100以上の国及び地域で,1種類以上の「MONSTER」ファミリー商標を使用したエナジードリンクを販売し,又は販売中である。当該エナジードリンクは,2002年(平成14年)に米国で販売開始以来,130億缶以上販売し,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,世界中で合計240億米ドルを超える収益を上げており,全世界での小売販売額は毎年60億米ドルを超える。2014年度(12月31日締め)の申立人の年間販売額は,2013年度(12月31日締め)の25.9億米ドル及び2012年度(12月31日締め)の23.7億米ドルから28.3億米ドルに増加した(甲58の宣誓供述書の段落14ないし18)。
(6)アパレル製品,ビデオゲーム製品等の販売
申立人は,2002年から現在まで,MEブランドマークを付したアパレル製品等の製造販売をライセンスして世界各地で販売中であり(甲58の宣誓供述書の段落124ないし126及び同証拠物件RCS-36),MEブランドマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,インターネットの通信販売業者により,日本国内でも輸入販売されており(甲47及び甲48),一般消費者の人気も高い。
また,申立人は,ビデオゲーム制作販売会社とも提携し,申立人がスポンサーを務めるカーレーサー等がMEブランドマークを付したウェア等を着用し,レーシングカーを使用して登場する複数のビデオゲーム製品なども商品化しており,日本でも購入可能である(甲58の宣誓供述書の段落137及び138,同証拠物件RCS-46)。
(7)その他
ア 申立人の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの商品情報,スポンサー契約のイベント等に関する情報,MEブランドを付した商品情報等が,申立人が開設運営する複数のウェブサイト及びソーシャルメディアサイトを介して日本を含む全世界の需要者に対して発信されている(甲58の宣誓供述書の段落118ないし123,同証拠物件RCS-32ないし35)。
イ MEブランドのエナジードリンクの開発,導入の成功に急成長を遂げた申立人の業績は,経済界でも高く評価され,数々の表彰を受けている(甲58の宣誓供述書の段落4及び129,同証拠物件RCS-37)。
ウ 「MONSTER」ファミリー商標は,世界115以上の国及び地域で商標登録・出願済みである(甲58の宣誓供述書の段落7)。
エ 申立人の商標権を侵害するアパレル製品,バッグ類,ステッカー等の模倣品が海外で製造され,申立人の商標権侵害物品として,日本の税関で輸入が差止められる案件も増加している(甲59ないし甲90,甲105ないし甲118,甲173ないし甲182)。
(8)以上の事実に照らせば,申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は,本件商標の登録出願日のはるか以前より,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,日本国内の需要者の間においても,申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する理由
(1)本件商標の異議申立てに係る指定商品は,引用商標1,2,6,7,9及び12ないし45の登録に係る第29類,第30類及び第32類の指定商品と同一又は類似の商品を含み,引用商標11の登録に係る第35類の小売役務と類似する。加えて,本件の異議申立てに係る指定商品は,インスタント食品,菓子,スナック類,弁当類などの加工食品を含む。これらは,申立人の取扱いに係るエナジードリンク製品その他の飲料製品と同一店内で販売されることが一般的に行われており,需要者が同時に購入し,一緒に消費することが多い。
したがって,本件の異議申立てに係る指定商品は,申立人の取扱いに係る商品及び役務と同一又は類似のものであり,また,当該商品と用途,効能,販売場所,需要者の範囲が一致しないし重複し,これらと極めて密接な関連性を有する商品であることが明らかである。
(2)本件商標は,図形部分と「パティシエ」「の」及び「モンスター」の各文字を三段に書した文字部分から構成され,該図形部分と文字部分のそれぞれが独立の出所識別標識として機能し得るものである。
本件商標の文字部分を構成する「パティシエ」,「の」及び「モンスター」の各文字は,外観上,上・中・下段に分離しており,全体から生じる称呼「パティシエノモンスター」も冗長であることに加え,辞書等に掲載されている既成語ではなく,観念的にも不可分一体のものでないから,本件商標の図形部分の中央に横一直線に表示され,外来語としても親しまれている「モンスター」の文字部分が外観及び観念の双方において看者の注意,関心を最も強く惹きつけ,出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
したがって,本件商標は,「モンスター」の文字部分に基づいて「モンスター」の称呼及び観念を生じる。
引用商標1は,「MONSTER」の標準文字からなり,「モンスター」の称呼及び観念を生じる。
引用商標2及び引用商標15も,「MONSTER」の文字部分が独立して商品出所識別標識として認識,理解されるから,該文字部分に基づいて「モンスター」の称呼及び観念を生じる。
したがって,本件商標は,11号引用商標と称呼及び観念を共通にする類似の商標であって,11号引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標の登録出願時には,申立人の使用に係る「MONSTER」及びその音訳の「モンスター」の文字は,日本国内及び米国を含む多数の外国において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者,需要者の間で広く認識されていた。
こうした事情の下で,本件商標がエナジードリンク又はこれに類似する商品に使用されたときには,これに接した需要者は,申立人の使用に係る「MONSTER」ファミリー商標と申立人を直ちに想起,連想し,当該商品が,申立人の製造,販売に係るエナジードリンクの姉妹製品,あるいは,申立人との共同開発によって誕生した新製品などのように,申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
申立人と何ら経済的又は組織的関係を有しない本件商標権者によって,本件商標がエナジードリンク又はこれに類似する商品に使用されたときには,2002年(平成14年)から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品,役務の出所識別標識として広く認識されるに至った「MONSTER」の文字,当該文字を包含するブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の強力な出所表示力が希釈化することが明らかである。
また,本件商標権者による本件商標の使用は,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の文字,当該文字を包含するブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の出所表示力が希釈されるおそれが極めて高いものであり,本件商標の使用は,申立人が「MONSTER」ファミリー商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的および精神的損害を与える。
したがって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり,公の秩序を害するおそれがあるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)米国又は世界における「MONSTER」ファミリー商標の使用等の状況について
ア 申立人は,2002年(平成14年)に,エナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」の販売を決定し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲7並びに甲58の宣誓供述書の段落9及び10)。
その商品には,黒色ベースのボトル缶に,別掲4に示す,モンスターの爪痕を象ったとするMの字状の図形を大きく表し,その下部に,図案化した「MONSTER」の文字と小さな「ENERGY」の文字を表示した構成からなる商標(MONSTERエナジードリンクのオリジナル版。甲58の宣誓供述書の段落10ないし12及び同証拠物件(RCS-2)。商標の構成全体として別掲2と同一と認められるもの(以下「使用商標」という。))が表示されている。
イ 上記ボトル缶には,使用商標,使用商標に加えて,あるいは,使用商標の構成中の「ENERGY」の文字部分に代えて,「KHAOS」,「ABSOLUTELY ZERO」,「EXTRA STRENGTH」,「BLACK ICE」,「Rehab」,「Baller’s Blend」,「Mad Dog」,「MUSCLE」,「M-80」等の文字を表示したものもある(甲6ないし甲8,甲10,甲11,甲13ないし甲17,甲19ないし甲33並びに甲58の宣誓供述書の段落11及び同証拠物件RCS-2及び3)。
ウ 申立人は,2002年(平成14年)から現在まで,MEブランドを使用したエナジードリンク製品に関し,全世界での広告,マーケティング及び販売促進活動費として,総額30億米ドル以上を支出した(甲58の宣誓供述書の段落24)。
販売促進活動の主な内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,スケートボーダー等のアマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,並びに米国ラスベガスの公共機関モノレール等に対する支援活動(スポンサー提供),販売店用什器・備品の供給等であり,スポーツ分野では,スケートボーダー,モトクロスライダー,オートバイライダー,カーレーサー,カワサキオートバイのレーシングチーム等に対する支援活動(スポンサー提供)である。
上記支援活動は,スポンサー提供を受けるアスリートのホームページやブログ,経済ビジネス誌,報道ニュース,スポーツファンのホームページ等を通じて,日本国内の一般消費者にも発信され紹介された。
また,ラスベガスの公共交通機関モノレール支援活動では,車両に使用商標を付したモンスター列車が走行し,多くの人々が乗車したことがマスメディア等で報道された(甲34ないし甲45,甲49,甲52,甲53,甲56,甲57及び甲58の宣誓供述書の段落25ないし29)。
エ 申立人は,使用商標を付したアパレル製品の製造販売をライセンスして世界各地で販売しており,インターネットの通信販売業者により日本国内でも輸入販売された(甲47,甲48及び甲58の宣誓供述書の段落124ないし126)。
オ MEブランドのエナジードリンクの申立人の業績は,経済界でも注目され,本件商標の登録出願前に,「Forbes」,「FORTUNE」,「BusinessWeek」,「Newsweek」,「TIME」,「BeverageWorld」等の経済ビジネス誌において紹介された(甲49,甲51ないし甲57)。
(2)日本国内における「MONSTER」ファミリー商標の使用等の状況について
ア 日本国内では,アサヒ飲料がMEブランドのエナジードリンクの独占販売権を取得し,同社は,2012年(平成24年)5月8日から,使用商標及び使用商標に「KHAOS」の文字を加えた商標を表示した2種類のエナジードリンクを発売,その販売は,同年の9月には100万箱を突破し(甲7及び甲8),その後,157万箱の売上を記録した(甲9)。
イ アサヒ飲料は,2013年(平成25年)5月7日に「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」を(甲10,甲13,甲15),2014年8月19日に「MONSTER ENERGY M3」を(甲91,甲93),2014年10月7日に「MONSTER COFFEE」を(甲92,甲94),2015年7月21日に「MONSTER ENERGY ULTRA」を(甲147ないし甲149,甲164)発売し,上記6種類のエナジードリンクは,日本全国のコンビニエンスストアをはじめ,アサヒ飲料の通販サイト(甲11ないし甲17)等で購入することができる。
ウ 申立人は,2012年5月の日本国内における販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶,170億円以上のMEブランドのエナジードリンクを販売した(甲58の宣誓供述書の段落18)。
エ 申立人は,上記飲料の日本国内販売の開始直後から本件商標の登録出願の前まで,発売を記念するイベントを行ったほか,各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行った。
例えば,2012年(平成24年)5月17日から2カ月間にわたり50万缶のサンプルを路上配布したほか,渋谷における路上発表会で4万缶のサンプルを配布,東京晴海埠頭におけるパンクロックイベントで5,500缶のサンプルの配布,愛知県田原海岸におけるサーフィン大会で4,500缶のサンプルの配布,各地で行われたスケートボード競技会のスポンサー提供などを行った(甲58の宣誓供述書の段落22)。
(3)まとめ
上記(1)及び(2)によれば,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標を付した申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」(以下「申立人商品」という。)は,米国で2002年に発売して以来,米国を中心に販売され,販売開始以来130億缶以上販売し,相当程度の売上があるから,米国の取引者,需要者の間において,一定程度知られているものと推認できる。
他方,我が国においては,アサヒ飲料から2012年5月に2種類の申立人の業務に係る「エナジードリンク」が発売され,現在では,6種類の商品が,日本全国のコンビニエンスストアをはじめ,アサヒ飲料の通販サイト等で販売されている。
申立人は,日本における販売額について,2012年5月の国内における販売開始から2015年6月30日までに,約2億3,600万缶,170億円以上のMEブランドのエナジードリンクを販売した旨主張している。
しかしながら,約3年間における170億円という販売額は,我が国における「清涼飲料」の商品の取引全体の売上としては決して高いものということができず,また,申立人商品の市場シェア等を把握できる証拠は提出されていない。
そして,申立人は,日本における宣伝広告について,2012年(平成24年)5月の発売開始にあたり,サンプルを路上配布したほか,ロックイベント,サーフィン大会等でサンプルの配布,スケートボード競技会のスポンサー提供をし,その後も各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行ったものであるが,これらの広告宣伝は限られた範囲のものであって,また,申立人商品の発売等に係るニュースリリース(甲7ないし甲10,甲91,甲92,甲95及び甲96)を行ったとしても,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標を付した申立人商品が,新聞,雑誌等を介して継続して広告された事実を見いだすことはできない。
そうすると,申立人が提出した証拠からは,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
さらに,「MONSTER」の欧文字及び「モンスター」の片仮名が,単独で申立人の業務に係る商品に使用されていた事実を確認することができず,これらの文字が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることもできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,複数の色彩を用いて,架空の動物と思しき図形と,その胸部に当たる部分に,「パティシエ」,「の」及び「モンスター」の文字を3段に書した構成からなるものである。
そして,その構成態様においては,該図形部分と,文字部分とは,それぞれ独立して自他商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。
そうすると,本件商標は,これを構成する「パティシエ」,「の」及び「モンスター」の文字部分から,「パティシエノモンスター」の称呼を生じるものであり,「パティシエ」の文字は,「洋菓子職人」の意味を有する仏語の「patissier」の読みを表したものということができ,「モンスター」の文字は「怪物,化け物」の意味を有する英語の「monster」の読みであるから,その図形部分とも相まって,「洋菓子職人の怪物」程の観念を生じるものとみるのが自然であって,他に,本件商標の構成にあって,ことさら「モンスター」の文字部分のみが独立して識別標識として着目されるとすべき特段の事情は見あたらない。
(2)11号引用商標について
ア 引用商標1は,「MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり,これからは「モンスター」の称呼を生じ,「怪物」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2は,爪痕と思しき図形と,デザイン化して表した「MONSTER」及び「ENERGY」の欧文字を表してなり,これを構成する文字部分から「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物,化け物のエネルギー」の観念を生じ,また,大きく表された「MONSTER」の文字部分から「モンスター」の称呼及び「怪物」の観念をも生じるものである。
ウ 引用商標15は,「COFFEE MONSTER」の欧文字を表してなり,これからは「コーヒーモンスター」の称呼を生じ,「コーヒーの怪物」程の観念を生じるものである。
(3)本件商標と11号引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否を検討すると,外観においては,上述のとおり,両商標は,その構成文字及び態様において顕著な差異を有するものであり,また,本件商標の構成中「モンスター」の文字と11号引用商標の構成中「MONSTER」の文字とを比較しても,構成文字及び片仮名と欧文字という明らな差異があるから,両者は,判然と区別できるものであり,本件商標と11号引用商標は,外観において,互いに相紛れるおそれはない。
次に,称呼においては,本件商標の「パティシエのモンスター」の文字部分から生ずる「パティシエノモンスター」の称呼と,引用商標1及び2から生ずる「モンスター」の称呼とは,語頭における「パティシエノ」の音の有無の差異を有し,引用商標2から生ずる「モンスターエナジー」及び引用商標3から生ずる「コーヒーモンスター」とを比較しても,その構成音及び構成音数において明確な差異を有するものであるから,本件商標と11号引用商標は,称呼において,互いに聞き誤るおそれはない。
そして,観念においては,本件商標は「洋菓子職人の怪物」の観念を生じるものであるところ,本件商標から,「怪物」の観念を有する引用商標1及び2,「怪物のエネルギー」の観念を有する引用商標2,及び「コーヒーの怪物」の観念を有する引用商標3を連想,想起するということなく,本件商標と11号引用商標は,観念において,互いに相紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と11号引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他,本件商標と11号引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は,「本件商標の登録出願時には,申立人の使用に係る『MONSTER』及びその音訳の『モンスター』の文字は,日本国内において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者,需要者の間で広く認識されていた。こうした事情の下で,本件商標がエナジードリンク又はこれに類似する商品に使用されたときには,これに接した需要者は,申立人の使用に係る『MONSTER』ファミリー商標の構成と申立人を直ちに想起,連想し,申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。」旨主張している。
しかしながら,前記1(3)のとおり,申立人が提出した証拠からは,使用商標又はこれを含む「MONSTER」ファミリー商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,米国の取引者,需要者の間において一定程度知られているものと推認できるものの,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
そして,本件商標の構成は,別掲1のとおりであって,これより,ことさら「モンスター」の文字部分が識別標識として着目されるとすべき特段の事情も見あたらないことは,前記2(1)のとおりである。
そうすると,本件商標は,たとえ,その構成中に「モンスター」の片仮名を含んでいるとしても,これを,本件商標権者がその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者が,使用商標及びMEブランドを始めとする「MONSTER」ファミリー商標や申立人を連想,想起するとは考え難く,該商品が申立人又は申立人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,「本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている『MONSTER』ファミリー商標の出所表示力が希釈されるおそれが極めて高いものであり,本件商標の使用は,申立人が『MONSTER』ファミリー商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的および精神的損害を与える。」旨主張している。
しかしながら,前記1(3)のとおり,「MONSTER」ファミリー商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず,申立人提出の証拠からは,本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用をした場合,申立人の「MONSTER」ファミリー商標との関係において,その獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするなどの社会的妥当性を欠く事情を具体的に示す証拠はなく,他に,本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが,社会一般道徳及び公正な取引秩序を乱し,国際信義に反するものものとすべき事情も見あたらない。
また,本件商標は,その構成態様が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字よりなるものでもない。
したがって,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ということができず,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件登録異議の申立てに係る第29類,第30類及び第32類の全指定商品について,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標,色彩の詳細は原本参照。)





別掲2(引用商標2,3及び4)





別掲3(引用商標5)





別掲4(引用商標7及び8)






別掲5(引用商標14)





別掲6(引用商標17,色彩の詳細は原本参照。)





別掲7(引用商標18)






異議決定日 2016-11-25 
出願番号 商願2015-58314(T2015-58314) 
審決分類 T 1 652・ 22- Y (W293032)
T 1 652・ 262- Y (W293032)
T 1 652・ 271- Y (W293032)
T 1 652・ 263- Y (W293032)
T 1 652・ 261- Y (W293032)
最終処分 維持 
前審関与審査官 宗像 早穂 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 田中 亨子
板谷 玲子
登録日 2016-01-22 
登録番号 商標登録第5820445号(T5820445) 
権利者 株式会社マガジンハウス
商標の称呼 パティシエノモンスター、パティシエノ、パティシエ、モンスター 
代理人 福田 伸一 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 
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