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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W10
管理番号 1322505 
異議申立番号 異議2015-900238 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-13 
確定日 2016-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5756797号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5756797号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5756797号商標(以下「本件商標」という。)は、「SHUTTLE LEXUS」の欧文字からなり、平成26年9月18日に登録出願され、第10類「医療用機械器具,医療用運動機能回復機械器具,治療用身体訓練装置,物理療法用機械器具,細胞の活性化や新陳代謝向上等のために高地の気圧環境を平地で実現する減圧装置を用いた医療用機械器具」を指定商品として平成27年3月25日に登録査定、同年4月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立ての理由に引用する登録第5525042号商標(以下「引用商標」という。)は、「LEXUS」の欧文字を標準文字により表してなり、平成24年1月20日に登録出願され、第1類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年8月24日に登録査定、同年9月28日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、乗物のシャトル便を意味する「SHUTTLE」と世界的に著名な引用商標「LEXUS」との結合商標であるから、本件商標からは、申立人の著名商標である「LEXUS(レクサス)」という称呼、観念を生ずる。したがって、本件商標は、引用商標との関係において出所を誤認混同するおそれがあり、類似するものといえるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標の独創性(甲2?7、47、48)及び周知著名性(甲9?24、26?30等)、本件商標と引用商標の類似性、本件商標の指定商品と申立人の提供する業務及び商品との一致(甲31?33、54)並びに取引者、需要者の共通性から、本件商標がその指定商品に使用された場合、当該商品が申立人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがあり、または、申立人との間にいわゆる親子関係や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
著名、かつ、独創性の高い引用商標と同一又は類似する本件商標を出願し、登録することは、引用商標の著名性、名声、顧客吸引力にただ乗りし、また、希釈化するものであり、不正の目的があったことは明らかであり、本件商標を偶然に採択したものとは考えられないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号に該当するから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

第4 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して、平成28年6月22日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。
1 申立人及び引用商標について
申立人は、1937年8月に設立された自動車メーカーであり、世界首位級の企業とされ、国内登録車のシェアは5割弱を占めること(甲1)、引用商標を構成する語は、造語であると認められるものであり、一部の英和辞書には申立人の高級車の商標とされていること(甲3?8)、引用商標が使用された自動車は、1989年に米国で販売され、その後、欧州、アジア、中東、中南米、アフリカ、オセアニアでも展開し、我が国においては、2005年8月に販売が開始され、2005年から2014年までの我が国における売上高は合計約2兆5千億円以上に達し、その販売台数は約34万台であること(甲9、10、13、16、29、34、47、48)、引用商標を使用した自動車について米国及び我が国における旺盛な宣伝活動が行われたこと(甲14、15、17、23?25、27?29、41、43)、引用商標を使用した自動車の評価及び顧客満足度は、極めて高いこと(甲18?21、35、51)が認められる。
また、引用商標は、自動車だけでなく、被服、運動用具、日用品等、日常生活一般で用いられる商品にも広く使用されていることが認められる(甲22、47、49)。
さらに、2011年11月頃から、申立人は、本件商標の指定商品である医療機械器具の範疇の商品といえる「介護・医療用ロボット」を開発し、その導入を推進しているものであり(甲31?33)、また、申立人のメディカルサポート部が事業主となって、1987年9月15日から「トヨタ記念病院」を経営している(甲56)。
以上によれば、引用商標は、申立人が創造した語であり、独創性の程度が高いものであって、本件商標の登録出願の日及び登録査定時において、申立人の業務に係る自動車を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において極めて広く認識されているものと判断するのが相当である。
2 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、上記第1のとおり、「SHUTTLE LEXUS」の文字からなるものであるところ、その構成は「SHUTTLE」と「LEXUS」の文字との間に一文字分程度の間隔があることから、外観上、分離して看取し得るものであり、その構成前半部の「SHUTTLE」の文字は、「近距離を往復して運行する交通機関」などを意味し、一般的に使用されている語である一方、構成後半部の「LEXUS」の文字は、上記1のとおり、申立人が創造した語であって、申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名な商標である引用商標と同一の文字から構成されていることから、本件商標に接する取引者、需要者が、その構成中の「LEXUS」の文字部分に着目し、該文字から申立人を連想、想起することが少なくないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、その構成全体としての外観及び称呼において区別し得るものの、本件商標は、その構成中、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「LEXUS」の文字部分が、引用商標と同一の構成文字によるものであるから、引用商標との類似性は高いものである。
3 本件商標の指定商品と引用商標に係る商品の需要者
本件商標は、上記第1のとおり、「医療用機械器具」全般を指定商品とするものであり、引用商標は、申立人の業務に係る自動車に使用されて、我が国の取引者、需要者の間において極めて広く認識されているものであるところ、我が国における自動車の普及の程度及び「医療用機械器具」には病院関係者以外の一般需要者が使用する商品も含まれていることを考慮すると、両者の取引者、需要者が共通する場合も少なくない。
4 その他、取引の実情
上記1のとおり、引用商標は、一般需要者が日常、使用する各種商品にも使用されているものであり、また、申立人は、永年、病院経営を行い、さらに、「介護・医療用ロボット」を開発し、各医療機関への導入の推進を行っているものであって、これらの装置は、本件商標の指定商品中「医療用運動機能回復機械器具,治療用身体訓練装置,物理療法用機械器具」と極めて密接に関連する商品である。
5 出所の混同のおそれについて
以上のとおり、本件商標と引用商標の類似性、引用商標の著名性の程度、需要者の共通性、医療分野における申立人事業及び新製品開発並びに引用商標の各種商品への展開の実情等を総合的に勘案すれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
6 結語
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められる。

第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
本件商標についてした上記第4の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-09-16 
出願番号 商願2014-78691(T2014-78691) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W10)
最終処分 取消  
前審関与審査官 青野 紀子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 堀内 仁子
小松 里美
登録日 2015-04-10 
登録番号 商標登録第5756797号(T5756797) 
権利者 株式会社三貴
商標の称呼 シャトルレクサス、シャトルレキサス、シャトル、レクサス、レキサス 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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