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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1322500 |
異議申立番号 | 異議2016-900186 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-07-13 |
確定日 | 2016-11-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5838598号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5838598号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5838598号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成27年10月27日に登録出願、第33類「ワイン,ワインをベースとしたカクテル」を指定商品として、同28年2月25日に登録査定、同年4月8日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録第5595038号商標(以下「引用商標」という。)は、「WINE STYLE」の文字を横書きしてなり、平成25年2月27日に登録出願、第33類「ぶどう酒」を指定商品として、同年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性 本件商標は、その構成中の「World」の文字部分が、その指定商品との関係から、商品が国産ではなく、「世界各国で製造され輸入された商品」又は「世界各国で製造され輸入された商品を使用したもの」なる意味を表す語であり(甲40?甲46)、自他商品の識別機能が極めて乏しいものであるから、「Wine」及び「Style」の文字部分が要部と認識され、これから「ワインスタイル」の称呼を生じる。また、本件商標は、「ぶどう酒(ワイン)」等について需要者の間に広く認識されているワインブランド「WINE STYLE」(甲3?甲39)と綴りを共通にする文字を含んでいるから、当該部分から「ワインブランドとして取引者、需要者に広く知られている『WINE STYLE』」の観念を生じる。 一方、引用商標は、その構成文字から、「ワインスタイル」の称呼及び「ワインブランドとして取引者、需要者に広く知られている『WINE STYLE』」の観念を生じる。 したがって、本件商標と引用商標は、その称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、指定商品も互いに抵触するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、取引者・需要者に広く知られており(甲3?甲39)、また、上記商品は、本件商標の指定商品と、ターゲット購買層、販売場所、流通ルート等において共通するから、引用商標に類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性 引用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、日本国内の取引者・需要者の間に広く認識されているところ、本件商標は、引用商標と称呼及び観念を共通にする類似するものである。また、本件商標の商標権者は、ワインブランドとして取引者・需要者に広く認識されている引用商標に係る商品の存在を認識した上で、引用商標の周知性にフリーライドしたり、引用商標の出所表示機能を希釈化させたりする等の不正の目的をもって本件商標を出願し、使用するものである(甲3?甲39、甲53)。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標と引用商標との類否 (ア)本件商標 本件商標は、別掲のとおり、「World」、「Wine」及び「Style」の文字を三段に横書きしてなるものであるところ、これらの文字は、その構成中、上段における「W」の文字と中段における「W」の文字の一部が接して幾何図形を形成するように表されており、また、中段における「W」の文字と「i」の文字の一部が上段における「o」の文字の下部に接して表され、当該「W」の文字の下部は、下段における「S」の文字の上部とも一部が接して表されおり、さらに、中段における「n」の文字の右縦線と下段における「l」の文字がつながるように表されているものであって、構成文字の一部がややデザイン化されて、上、中、下段がつながるように表されているものであるから、構成全体が一体感のあるものとして看取されるといえる。 また、本件商標を構成する「World」、「Wine」及び「Style」の文字は、いずれも我が国において広く知られている平易な英単語であるから、本件商標は、構成全体として、「世界のワイン様式」程の意味合いを理解させるものである。 してみると、本件商標は、その外観及び意味合いの点からみて、構成全体の一体不可分性は極めて強いというべきであって、その構成中の「Wine」及び「Style」の文字部分が、その需要者に、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということはできない。また、本件商標の構成全体から生じると認められる「ワールドワインスタイル」の称呼は、やや冗長であるとしても、いずれかの部分で区切って称呼しなければならない程のものではなく、よどみなく称呼し得るものといえるから、本件商標からは、「ワールドワインスタイル」の称呼のみを生じ、「世界のワイン様式」の観念を生じるものである。 上記に関し、申立人は、本件商標中の「World」の文字部分が、その指定商品について自他商品の識別機能を有しない部分であるから、本件商標は、「Wine」及び「Style」の文字部分が要部である旨主張し、「World」の使用例(甲40?甲46)を提出する。 しかし、申立人の挙げる「World」の使用例(例えば、「World wine fair」、「World Gourmet Guide」など)は、フレーズ全体として自他商品の識別機能を有するか否かはともかく、それぞれが構成全体としてまとまりのある熟語的意味合いを形成しているものである。 そうすると、これらの使用例に「World」の語が含まれていることをもって、本件商標中の「World」の文字部分が自他商品の識別機能を有しないと直ちに結論づけることはできないというべきである。 また、申立人は、本件商標は、「ワイン」について、取引者、需要者に広く知られている「WINE STYLE」と綴りを同じくする文字を含んでいるから、当該部分から「ワインブランドとして取引者、需要者に広く知られている『WINE STYLE』」の観念を生じる旨も主張するが、「WINE STYLE」の文字からなる商標がワインのブランドとして周知・著名性を獲得した事実を認めるに足りる証拠の提出はない。 なお、後記(2)アのとおり、「Wine STYLE」及び「ワインスタイル」の文字からなる商標が申立人ないし合同酒精株式会社の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成27年10月27日)及び登録査定日(平成28年2月25日)の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 したがって、上記に関する申立人の主張は、いずれも採用できない。 (イ)引用商標 引用商標は、上記2のとおり、「WINE STYLE」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ワインスタイル」の称呼を生じ、「ワイン様式」の観念を生じるものといえる。 (ウ)本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるものであるから、外観において、明らかに相違し、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「ワールドワインスタイル」の称呼と引用商標から生じる「ワインスタイル」の称呼は、「ワールド」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標から生じる「世界のワイン様式」の観念と引用商標から生じる「ワイン様式」の観念は、相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 イ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 申立人商標の周知、著名性 (ア)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。 a 申立人は、1924年(大正13年)に、北海道内の焼酎製造会社4社が合併して、合同酒精株式会社として設立され、2003年(平成15年)7月に現在の社名に変更し、新たに合同酒精株式会社(以下「合同酒精」という。)を子会社として設立した。 そして、申立人は、酒類事業、酵素医薬品事業、加工用澱粉事業、不動産事業を行う企業グループを形成し、酒類事業において、焼酎、チューハイ、清酒、合成清酒、梅酒、加工用洋酒、ワイン等の製造・販売などを行っている(甲3?甲5)。 b 申立人のグループ会社の一つである合同酒精は、二段に書した「Wine」及び「STYLE」の文字又は「Wine STYLE」の文字の上部に「ワインスタイル」の文字を小さく表示した外国産ワインを100%使用したワイン(赤と白:1,800ml)を、2013年(平成25年)5月28日に発売し、また、上記ワインの720ml入りの商品(赤と白)及び「Wine STYLE」及び「ワインスタイル」の文字を表示したサングリア(720ml)を、2014年(平成26年)9月30日に新発売した(甲6?甲12)。 以下、上記の二段に書した「Wine」及び「STYLE」の文字、「Wine STYLE」の文字並びに「ワインスタイル」の文字からなる商標をまとめていうときは、「申立人商標」という。 c 上記bのワイン及びサングリアの発売に関して、専門紙や業界紙、インターネットで取り上げられた(甲13?甲27)。 d 申立人の主張によれば、「WINE STYLE」シリーズ商品は、発売の翌年の平成26年は、売上金額ベースで前年比の約41%(売上本数ベースで前年比の約42%)、平成27年は、売上金額ベースで前年比の約14%(売上本数ベースで前年比の約18%)と、それぞれ増加した(甲28)。 e 合同酒精の業務に係る上記bのワイン及びサングリアは、楽天市場などのインターネットショッピングサイトにおいて、販売されていることが認められる(甲30?甲39)。 しかし、これらのうち、「【楽天市場】合同酒精 ワインスタイル 赤 1.8Lパック 価格比較-商品価格ナビ」(甲30)、「合同酒精 ワインスタイル 白瓶720mlの口コミ・評価・値段・価格情報【もぐナビ】」(甲35)、「合同酒精 ワインスタイル 赤瓶720mlの口コミ・評価・値段・価格情報【もぐナビ】」(甲36)、「商品のご案内 合同酒精ワインスタイル白1.8L スーパーキタムラ」(甲39)の各サイト以外のものは、その掲載日が明らかではなく、本件商標の登録出願日(平成27年10月27日)以前に掲載されたものであるか明らかではない。 (イ)上記(ア)のとおり、申立人商標は、申立人のグループ会社の一つである合同酒精の業務に係る商品「ワイン」(以下「申立人ワイン」という場合がある。)を表示するものとして、平成25年5月28日の発売開始以来、市場において使用されている事実を認めることができる。 しかし、申立人ワインに関し、申立人ないし合同酒精は、その発売直前にニュースリリースをしたにとどまるものであり、また、専門紙や業界紙、インターネットにおける記事等で取り上げられたといっても、申立人ワインの新発売に関する記事のみであり、申立人ないし合同酒精が自ら宣伝広告活動を行ったというものではない。そして、申立人ないし合同酒精は、申立人商標を付した申立人ワインについて、本件商標の登録出願日前において、その主たる需要者といえる一般の消費者に向け、各種メディアを通じて積極的に広告をしたという事実を明らかにする証拠を何ら提出していない。 さらに、申立人商標を付した申立人ワインの売上金額及び売上数量が前年に比べ増加したといっても、発売した年度の具体的な売上金額及び売上数量が何ら記載されておらず、これらが明らかではない限り、本件商標の登録出願日までにどの程度の売上数量があり、どの程度の売上金額があったかは明らかでないというべきである。また、申立人商標を付した申立人ワインの我が国におけるシェアも明らかではない。 したがって、申立人の提出した証拠をもってしては、申立人商標が申立人ないし合同酒精の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものということはできない。 イ 本件商標と申立人商標との類似性 上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であり、このことは、本件商標と申立人商標の類否判断においても、そのまま当てはまるというべきであるから、本件商標と申立人商標は、非類似の商標ということができる。 ウ 出所の混同 以上ア及びイのとおり、申立人商標が申立人ないし合同酒精の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものということはできず、また、本件商標と申立人商標は、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品とが共通し又は極めて関連性が高く、また、需要者、販売場所等を共通にする場合が多いことを考慮しても、本件商標に接する需要者が、申立人商標を想起又は連想することはなく、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人ないしそのグループ会社の業務に係る商品、あるいは、申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について、混同を生じるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(2)アのとおり、申立人商標は、申立人ないし合同酒精の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。また、申立人商標が外国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。 さらに、上記(2)イのとおり、本件商標は、申立人商標とは、非類似の商標である。 してみれば、本件商標は、申立人商標にフリーライドしたり、申立人商標の出所表示機能を希釈化したりする等、不正の目的をもって使用する商標であるということはできない。その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (本件商標) |
異議決定日 | 2016-10-25 |
出願番号 | 商願2015-103636(T2015-103636) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W33)
T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 222- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) T 1 651・ 262- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
土井 敬子 原田 信彦 |
登録日 | 2016-04-08 |
登録番号 | 商標登録第5838598号(T5838598) |
権利者 | メルシャン株式会社 |
商標の称呼 | ワールドワインスタイル、ワールドワイン、ワールド、ワインスタイル、スタイル |
代理人 | 飯島 紳行 |
代理人 | 和田 光子 |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 鈴木 亜美 |