• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1322473 
審判番号 取消2016-300178 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-11 
確定日 2016-11-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4853874号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4853874号商標(以下「本件商標」という。)は,「Kent」の欧文字を標準文字で表してなり,平成12年8月31日に登録出願,第25類「履物」を指定商品として,同17年4月8日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録(予告登録)は,平成28年3月30日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
以下,甲各号証及び乙各号証については,「甲1」,「乙1」のように略して記載する。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品である第25類「履物」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人の答弁書には,以下の不明点があり,乙各号証は,全て信憑性が低いものであるから,本件商標が平成25年(2013年)3月30日から平成28年(2015年)3月29日まで(以下「要証期間」という。)に,実際に使用されていたとは思われない。
(1)被請求人は,スニーカーに本件商標を付して販売していると主張するが,当該スニーカーは誰によって,どのように製造されたか不明である。
(2)被請求人は,答弁書において,乙8について,唐突に,2016年3月から5月の株式会社シューマート(以下「シューマート」という。)における販売実績を示すものであると主張している。
他方,乙7は,シューマートの2015年2月16日付けの納期確認依頼書であり,その下に商標権者がシューマートに対し,110足不足で2015年2月18日に納品する旨の連絡書を記載したものである。また,乙9は,シューマートの商標権者に対する2015年2月20日付けの返品伝票である。
すなわち,乙4ないし乙7及び乙9は,商標権者とシューマートとの2015年2月の販売の流れを示しているにもかかわらず,乙8では,この販売から1年以上もたった期間のシューマートの販売実績を表示しており,さらに,乙5のシューマートの2015年2月17日付けの発注明細書には,販売期間が2015年2月11日から2016年2月11日までと記載されている。
したがって,乙8は,他の号証と辻褄が合わないものであり,しかも,乙8の販売実績表は,誰が,いつ,作成したかが不明である。
(3)乙1から乙11までの書証は,全て第三者に頼らず,被請求人自身が作成できるものであるから,客観的な証明とはいえない。
また,乙12及び乙13だけが,被請求人以外の者の証明であるが,これらの証明書の文面は共通の文書で予め印刷されているものであり,仕入日だけが空欄となっているものであって,証明者は,住所,名称,代表者名及び証明日を記入し,押印するようになっている。すなわち,被請求人が証明書を作成し,各証明者は提示された証明書に,未記載事項を記入し,容易に証明出来る形態となっているから,このような証明書は,一般に信憑性が低いといわれている。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙1ないし乙13(乙12及び乙13に添付の資料を含む。)を提出した。
1 理由の要旨
本件商標は,本件商標の指定商品について,日本国内において,要証期間内に,商標権者により使用された。
2 具体的な理由
以下とおり,乙1ないし乙13によって,商標権者は,要証期間内に商標「KENT」を指定商品に使用していたことを証明する。
(1)乙1は,商標権者が過去に販売し,現在も販売している商品のための長方形のタグであり,表面は紺色,裏面は白色である。タグの表面の中央部に白色で二重の長方形が描かれ,長方形の中に「KENT(R)」(本件審決において「(R)」は,「R」を丸で囲った記号を表す。)が白抜きで記載されている。タグの裏面は文字が記載されている上部,中部及び下部の3部から構成されている。上部は横書きで太字の「KENT(R)」,その下には普通のフォントで「商標登録第4853874号 第25類 履物」及び小さなフォントで「CERTIFICATE OF TRADEMARK REGISTRATION NUMBER」と3段で併記されている。さらにスペースを開けて下部では,破線で表した長方形の内に「発売元:株式会社ハーベスト」,「HARVEST INC.」が2段で併記されている。
(2)乙2は,商標権者が販売し,現在も販売している商品に乙1のタグが実際に付されている写真である。商品は布製の靴にゴム底が取り付けられており,左右に複数設けられたハトメに紐を通して紐の端を結ぶことでしっかりと足に固定させることができるいわゆるスニーカーである。
乙2には,3種類のスニーカーの写真が掲載されている。以下,かかと側を正面,爪先側を背面として説明する。
3種類のスニーカーは全体が白い布地で構成されており,正面から側面にかけて着色された部分があり,該着色された色がそれぞれネイビー,赤,緑と異なっている。ネイビーと白からなる商品は「KENT 2601 White/Navy」,赤と白からなる商品は「KENT 2601 White/Red」,緑と白からなる商品は「KENT 2601 White/Green」という品名となっている。乙2の表の左の縦一列は「KENT 2601 White/Navy」,中央の縦一列は「KENT 2601 White/Red」,右の縦一列は「KENT 2601 White/Green」の写真である。それぞれのスニーカーの側面のハトメ部分にプラスチック製のリングを介して,乙1のタグが取り付けられ,中敷き及び舌には二重の長方形の中に「KENT」の文字が記載されている。また,靴底には,長方形中に「KENT」の文字が記載されている。
(3)乙3は,商標権者が過去に販売し,現在も販売しているスニーカーを収納するための紺色のシューズボックスの写真である。蓋と身からなり,蓋の上部には二重の長方形が描かれ,長方形の内部に「KENT(R)」が記載されている。身の正面には「KENT(R)」が付されており,その下には「ITEM NO.」,「COLOR」及び「SIZE」が記載されている。写真では「KT-2601」,「WHITE/RED」及び「26.5」と記載されている。
(4)乙4は,2014年9月12日に商標権者の取引先であるシューマートが商標権者に商品を発注した際の発注書である。左上の宛先は,商標権者である「株式会社ハーベスト」が記載されている。宛先の下には表が上下に2つ記載されており,上の表には,発注日「2014/9/12」,ブランド「KENT」と記載されている。下の表には,縦の欄に商品名&カラー,横の欄にサイズが記載されており,スタンスミスタイプのWH/GRの24.5の靴を60足・・・等,総計3,280足発注された。
(5)乙5は,取引先であるシューマートが2015年2月17日付で発注した発注明細書である。
商品コード,品名,カラー,サイズが記載されており,販売期間は,2015年2月11日から2016年2月11日,納入期間は2015年2月10日である。
1行目は,品名「KT-2601 WH/GR」について,24.5の靴を「60」足,25.0の靴を「100」足,25.5の靴を「140」足,26.0の靴を「180」足,26.5の靴を「220」足,27.0の靴を「220」足,27.5の靴を「100」足及び28.0の靴を「180」足の計1,200足,2行目は,品名「KT-2601 WH/NV」について,24.5の靴を「40」足,25.0の靴を「80」足,25.5の靴を「120」足,26.0の靴を「160」足,26.5の靴を「200」足,27.0の靴を「200」足,27.5の靴を「80」足及び28.0の靴を「160」足の計1,040足,3行目は,品名「KT-2601 WH/RD」について,24.5の靴を「40」足,25.0の靴を「80」足,25.5の靴を「120」足,26.0の靴を「160」足,26.5の靴を「200」足,27.0の靴を「200」足,27.5の靴を「80」足及び28.0の靴を「160」足の計1,040足,総計3,280足発注したことが記載されている。
(6)乙6は,平成27年2月18日付で商標権者が取引先であるシューマート宛てに出荷した商品の納品伝票であり,商品コード・品名番号,カラー,サイズ,数量が記載されている。
1行目及び2行目は,品名「KT-2601 WH/GR」について,24.5の靴を「60」足,25.0の靴を「90」足,25.5の靴を「130」足,26.0の靴を「180」足,26.5の靴を「220」足,27.0の靴を「220」足,27.5の靴を「90」足及び28.0の靴を「170」足の計1,160足,3行目及び4行目は,品名「KT-2601 WH/NAV」について,24.5の靴を「40」足,25.0の靴を「80」足,25.5の靴を「120」足,26.0の靴を「160」足,26.5の靴を「190」足,27.0の靴を「200」足,27.5の靴を「80」足及び28.0の靴を「150」足の計1,020足,5行目及び6行目は,品名「KT-2601 WH/RED」について,24.5の靴を「40」足,25.0の靴を「70」足,25.5の靴を「110」足,26.0の靴を「160」足,26.5の靴を「200」足,27.0の靴を「190」足,27.5の靴を「70」足及び28.0の靴を「150」足の計990足,総計3,170を発注したことが記載されている。
(7)乙7は,取引先であるシューマートの2015年2月16日付の納品確認依頼(入荷予定日2015年2月18日)に対し,2015年2月17日付で110足を不足で納品し,3,170足(White/Greenを1,160足,White/Navyを1,020足,及びWhite/Redを990足)は,明日(2015年2月18日)の午前9時到着で手配したことを商標権者が折り返し連絡したことを示す資料である。
(8)乙8は,取引先であるシューマートの2016年3月から5月の「KENT」の販売実績を示す。
4つの表が記載されており,一番上は各商品の販売個数,2番目の表は各商品のサイズごとの販売個数,4番目の表はシューマートの各店舗の販売数を示す表であり,合計37店舗で,「KT-2601 WH/GR」を「93」足,「KT-2601 WH/NV」を「81」足,及び「KT-2601 WH/NV」を「49」足の総計「223」足が販売されたことを示す。
(9)乙9は,取引先であるシューマートから商標権者への2015年2月20日付の納品伝票であり,「KT-2601 WH/GR」を計「50」足,「KT-2601 WH/NV」を計「50」足及び「KT-2601 WH/RD」を計「50」足の総計「150」足返品したことが記載されている。
(10)乙10は,商標権者が取引先である株式会社まつや(以下「まつや」という。)に,2015年3月27日付で商品を納品した納品書である。
商品名,サイズ数量,合計数量が記載されており,「KENT KT-2601」について,「WHT/GRN」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「10」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足,「27.0」を「10」足及び「28.0」を「2」足の計52足,「WHT/NVY」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「10」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足及び「27.0」を「10」足の計50足,「WHT/RED」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「15」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足及び「27.0」を「15」足の計60足,総計「162」足納品したことが記載されている。
(11)乙11は,2015年3月27日に商標権者が取引先のまつやに,乙10に示した商品を販売したことを示す売上表である。
売上日付,納品先名,商品名が記載されており,「KENT KT-2601」について,「WHT/GR」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「10」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足,「27.0」を「10」足及び「28.0」を「2」足の計「52」足,「WHT/NV」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「10」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足及び「27.0」を「10」足の計「50」足,「WHT/RE」のサイズ「25.0」を「10」足,「25.5」を「15」足,「26.0」を「10」足,「26.5」を「10」足及び「27.0」を「15」足の計「60」足,総計「162」足販売したことを示す。
(12)乙12は,シューマートの代表取締役が,添付資料(写真)の商標「KENT」を付したスニーカーを,平成27年2月に商標権者から仕入れ,販売したことを証明する証明書である。
(13)乙13は,まつやの代表取締役が,添付資料(写真)の商標「KENT」を付したスニーカーを,平成27年3月28日に商標権者から仕入れ,販売したことを証明する証明書である。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)使用商品について
乙2は,被請求人が販売している商品(スニーカー)の写真の写しであり,品番として「KENT 2601 White/Navy」,「KENT 2601 White/Red」及び「KENT 2601 White/Green」の記載があり,それぞれの品番の下に,品番中に記載された色彩で彩色(デザイン)されたスニーカーを多方面から撮影した写真や包装箱と一緒に撮影した写真が掲載されている。そして,スニーカーの舌(タン),かかと,インソール,靴底,タグ及び包装箱に「KENT」(以下「本件使用商標」という。)の文字が表示されている。また,包装箱の側面(乙2の3葉目)には,「ITEM.NO.」として「KT-2601」の記載がある。
(2)商標権者とまつやとの取引について
ア 乙10は,2015年3月27日を発行日とする,まつやに宛てた被請求人の「納品書(控)」であり,その1行目において,区分欄に「売上」,商品名欄の左側に「KENT KT-2601」,同右側に「WHT/GRN」,サイズ/数量欄に,「25.0」/「10」,「25.5」/「10」,「26.0」/「10」,「26.5」/「10」,「27.0」/「10」の記載があり,2行目において,サイズ/数量欄に「28.0」/「2」の記載がある。
同3行目において,商品名欄の右側に「WHT/NVY」,サイズ/数量欄に,「25.0」/「10」,「25.5」/「10」,「26.0」/「10」,「26.5」/「10」,「27.0」/「10」の記載がある。
同4行目において,商品名欄の右側に「WHT/RED」,サイズ/数量欄に,「25.0」/「10」,「25.5」/「15」,「26.0」/「10」,「26.5」/「10」,「27.0」/「15」,合計数量欄に「162」の記載がある。
イ 乙11は,2015年3月27日を売上日付とする,まつやへ商品を販売した被請求人の売上リストであり,商品名欄に「KENT KT-2601」,売上数量欄に「162」,単位欄に「足」の記載がある。
その下の「WHT/GR」の行において,「25.0」の欄に「10」,「25.5」の欄に「10」,「26.0」の欄に「10」,「26.5」の欄に「10」,「27.0」の欄に「10」,「28.0」の欄に「2」,計の欄に「52」の記載がある。
同「WHT/NV」の行において,「25.0」の欄に「10」,「25.5」の欄に「10」,「26.0」の欄に「10」,「26.5」の欄に「10」,「27.0」の欄に「10」,計の欄に「50」の記載がある。
同「WHT/RE」の行において,「25.0」の欄に「10」,「25.5」の欄に「15」,「26.0」の欄に「10」,「26.5」の欄に「10」,「27.0」の欄に「15」,計の欄に「60」の記載がある。
同「サイズ計」の行において,「25.0」の欄に「30」,「25.5」の欄に「35」,「26.0」の欄に「30」,「26.5」の欄に「30」,「27.0」の欄に「35」,「28.0」の欄に「2」,計の欄に「162」の記載がある。
ウ 乙13は,まつやの代表取締役による平成28年5月31日付けの証明書であり,資料1ないし資料5として,スニーカー,タグ及び包装箱の写真が添付されている。
当該証明書には,「当社は,商標『KENT』を付した下記KENT 2601 White/Blue(資料1),KENT 2601 White/Red(資料2),KENT 2601 White/Green(資料3)にタグ(資料4)を付した商品を平成27年3月28日付で株式会社ハーベストより仕入れ,販売を行ったことを証明いたします。」の記載がある。
(3)商標権者とシューマートとの取引について
ア 乙5は,「2015年2月17日」を発注年月日,発注コード(納品伝票番号)を「00-363313」,発注先の店舗コードを「976」とし,シューマートの担当者として「青柳」と「和田」の捺印がされた被請求人宛てのシューマートの「発注明細書」である。
その1行目(1つ目の表)には,商品コード欄に「575」,単品コード欄に「522」,品名欄に「KT-2601 WH/GR」,カラー欄に「WH/GR」,サイズ範囲欄に「245」ないし「280」,販売期間欄に「2015/02/11」ないし「2016/02/11」,納入期間欄に「2015/02/10」の記載があり,サイズ別基準在庫数欄に,「245」が「10」,「250」が「100」,「255」が「140」,「260」が「180」,「265」が「220」,「270」が「220」,「275」が「100」,「280」が「180」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は1,200である。
同2行目(2つ目の表)には,商品コード欄に「575」,単品コード欄に「523」,品名欄に「KT-2601 WH/NV」,カラー欄に「WH/NV」,サイズ範囲欄に「245」ないし「280」,販売期間欄に「2015/02/11」ないし「2016/02/11」,納入期間欄に「2015/02/10」の記載があり,サイズ別基準在庫数欄に,「245」が「40」,「250」が「80」,「255」が「1200」,「260」が「160」,「265」が「200」,「270」が「200」,「275」が「80」,「280」が「160」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は1,040である。
同3行目(3つ目の表)には,商品コード欄に「575」,単品コード欄に「524」,品名欄に「KT-2601 WH/RD」,カラー欄に「WH/RD」,サイズ範囲欄に「245」ないし「280」,販売期間欄に「2015/02/11」ないし「2016/02/11」,納入期間欄に「2015/02/10」の記載があり,サイズ別基準在庫数欄に,「245」が「40」,「250」が「80」,「255」が「1200」,「260」が「160」,「265」が「200」,「270」が「200」,「275」が「80」,「280」が「160」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は1,040である。
そして,当該発注明細書で発注された商品(1行目ないし3行目に記載された商品の合計数)は,合計3,280である。
イ 乙6は,平成27年(2015年)2月18日を出荷年月日とする,伝票番号を「00-363313」,納品先の店舗コードを「976」とする,被請求人からシューマートに宛てた「納品伝票」である。
発注書の行番号1に関する記載箇所には,商品コード・品名品番欄に「575522 KT-2601」,カラー欄に「WH/GR」,サイズと個数の記載欄に,「24.5」が「60」,「25.0」が「90」,「25.5」が「130」,「26.0」が「180」,「26.5」が「220」,「27.0」が「220」,「27.5」が「90」,「28.0」が「170」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は1,160である。
発注書の行番号2に関する記載箇所には,商品コード・品名品番欄に「575523 KT-2601」,カラー欄に「WH/NAV」,サイズと個数の記載欄に,「24.5」が「40」,「25.0」が「80」,「25.5」が「120」,「26.0」が「160」,「26.5」が「190」,「27.0」が「200」,「27.5」が「80」,「28.0」が「150」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は1,020である。
発注書の行番号3に関する記載箇所には,商品コード・品名品番欄に「575524 KT-2601」,カラー欄に「WH/RED」,サイズと個数の記載欄に,「24.5」が「40」,「25.0」が「70」,「25.5」が「110」,「26.0」が「160」,「26.5」が「200」,「27.0」が「190」,「27.5」が「70」,「28.0」が「150」との記載がある。なお,当該欄の商品の合計は990である。
そして,当該納品伝票で出荷された商品(発注書の行番号1ないし3の商品の合計数)は,3,170である。
ウ 乙7は,2015年2月16日にシューマートが被請求人宛にFAXで送付し,折り返しFAXでの回答を求めた「納期確認依頼書」に対し,被請求人がその依頼書の書面を流用して回答を作成したものである。
当該書面は,シューマートが被請求人の「スニーカー担当者」宛てに,入荷予定日「20150218」,発注伝票番号「00」及び「363313」に係る,行番号「01」のアイテムが「575522 KT-2601 WH/GR」で入荷待数が「1,200」の商品,行番号「02」のアイテムが「575523 KT-2601 WH/NV」で入荷待数が「1,040」の商品,行番号「03」のアイテムが「575524 KT-2601 WH/RD」で入荷待数が「1,040」の商品について,シューマートの物流センターへの到着日の確認を依頼したFAXに対し,被請求人の担当者「百瀬」が,そのFAXに修正及び追記して,シューマートの「スニーカーバイヤー 青柳様/笠井様」宛てに作成した「2015/2/17」付け回答書であって,納入足数の内訳が「White/Green:1,160足」,「White/Navy:1,020足」及び「White/Red:990足」であり,入荷待数より110足不足の「合計3,170足」を翌日(2015年2月18日)に上記物流センターに到着するよう手配したことが記載されている。
エ 乙12は,シューマートの代表取締役による平成28年5月30日付けの証明書であり,資料1ないし資料5として,スニーカー,タグ及び包装箱の写真が添付されている。
当該証明書には,「当社は,商標『KENT』を付した下記KENT 2601 White/Blue(資料1),KENT 2601 White/Red(資料2),KENT 2601 White/Green(資料3)にタグ(資料4)を付した商品を平成27年2月日付で株式会社ハーベストより仕入れ,販売を行ったことを証明いたします。」の記載がある。
2 上記1によれば,次のように認めることができる。
上記(3)によれば,商標権者及びシューマート間でやり取りされている発注明細書(乙5),納品伝票(乙6)及び納期確認依頼書(乙7)は,伝票番号「00-363313」が一致し,取引に係る商品の数についても,シューマートは2015年(平成27年)2月17日に3,280足を発注し(乙5),商標権者は同月17日にシューマートに対して110足不足すると通知した上で(乙7),同月18日に3,170足を納品し(乙6),取引に係る商品数が一致することから,商標権者は,品名品番「KT-2601」の商品を,シューマートに譲渡又は引き渡したことが認められる(審決注:発注明細書(乙5)及び納品伝票(乙6)中には商品の数量の単位について記載はないが,後記のとおり,当該発注明細書及び納品伝票の商品は「履物」であると推認できることから,商品数の単位として「足」を用いた。)。
しかも,発注明細書(乙5)及び納品伝票(乙6)には,商品の種別として「カラー」のほかに,「24.5」,「25.0」等に分けて数量が記載されるとともに,納期確認依頼書(乙7)には,商品の数量の単位として「足」が用いられていることから,品名品番「KT-2601」に係る商品が「履物」であることは,優に推認できるというべきである。
また,上記(2)によれば,商標権者及びまつやとの間においても商標権者とシューマートの間と同様に,商標権者は,2015年(平成27年)3月27日に,商品名「KENT KT-2601」の商品162足を,譲渡又は引き渡したことが認められる。
さらに,上記(1)ないし(3)によれば,商標権者とまつやとの間では,商品名として「KENT KT?2601」のように「KENT」の文字が含まれるものが用いられていること(乙10,乙11),商標権者が販売している商品「スニーカー」の写真には,スニーカーの舌(タン),かかと,インソール,靴底,タグ及び包装箱に本件使用商標が付されているとともに,当該包装箱には「ITEM NO.」として「KT?2601」の記載があること(乙2),まつやの代表取締役による平成28年5月31日付けの証明書(乙13)及びシューマートの代表取締役による平成28年5月30日付けの証明書(乙12)において,両者ともに本件使用商標を付した商品「スニーカー」を商標権者から仕入れ,販売を行ったことを証明していること,を総合的に判断すれば,品名品番「KT-2601」(乙5,乙6)及び商品名「KENT KT-2601」(乙10,乙11)に該当する商品は,「スニーカー」(以下「本件使用商品」という。)であって,本件使用商品及びその包装箱には本件使用商標が付されていたことが推認できる。
そこで,以上を前提に,以下のとおり判断する。
(1)本件使用商標の使用者及び本件使用商品について
本件使用商標の使用者は,本件商標の商標権者である。
本件使用商品は,「スニーカー」であり,商品「スニーカー」は,本件審判の請求に係る指定商品「履物」の範ちゅうに含まれるものである。
(2)本件使用商標の使用時期及び使用場所について
商標権者は,2015年(平成27年)2月及び3月に,日本国内において,本件使用商品を譲渡又は引き渡したことが認められる。そして,当該月は,要証期間内に当たる。
(3)本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は,「Kent」の欧文字を標準文字で表してなるものであり,他方,本件使用商標は,「KENT」の欧文字からなるものであるところ,両文字は,大文字と小文字の差異はあるとしても,同じ綴りの欧文字よりなるものであるから,本件商標と本件使用商標とは,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる社会通念上同一の商標と認められる。
(4)小括
以上のとおり,商標権者は,要証期間内に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品「履物」に含まれる商品「スニーカー」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号)と認められる。
3 請求人の主張について
請求人は,被請求人の主張に係る「KENT」の文字からなる商標を付したスニーカーが誰によって,どのように製造されたか不明であること,乙1から乙11までの書証は,全て第三者に頼らず,被請求人自身が作成できるものであること,乙12及び乙13は,被請求人が証明書を作成し,各証明者は提示された証明書に,未記載事項を記入し,容易に証明出来る形態となっていることをもって,乙各号証は,全て信憑性が低いものであると主張する。
しかしながら,乙各号証において,本件使用商品の製造者,製造工程等に係る立証がされていないとしても,そのことをもって,上記で認めた本件使用商品に係る取引の事実が否定されるものではなく,その事実は,納品先の代表取締役の署名捺印を有する証明書(乙12及び乙13)によって裏付けられているものである。しかも,上記2の本件使用商品の取引は,被請求人以外のシューマートによる取引書類(乙5,乙7)も含まれることからすれば,上記認定に係る乙各号証を信憑性に欠けるものとはいえず,請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者がその請求に係る指定商品「履物」に含まれる「スニーカー」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したと認めることができる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2016-09-20 
結審通知日 2016-09-27 
審決日 2016-10-18 
出願番号 商願2000-95921(T2000-95921) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 根岸 克弘
平澤 芳行
登録日 2005-04-08 
登録番号 商標登録第4853874号(T4853874) 
商標の称呼 ケント 
代理人 藤沢 則昭 
代理人 清原 義博 
代理人 藤沢 昭太郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ