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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y0911
管理番号 1322434 
審判番号 取消2015-300596 
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-08-12 
確定日 2016-08-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第689354号の1商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第689354号の1商標の指定商品中,第9類「オゾン発生器,電解槽,検卵器,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット」及び第11類「乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,飼料乾燥装置,暖冷房装置,業務用衣類乾燥機,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第689354号の1商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりからなり,昭和38年7月11日に登録出願,同40年11月11日に設定登録された登録第689354号商標について,平成8年3月25日に商標権の分割移転の登録がされたものであり,その後,商標権一部取消し審判により,指定商品の一部について取り消すべき旨の審決がされ,同14年7月31日にその確定審決の登録がなされ,さらに,同18年6月21日に,指定商品を,第9類「オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター」及び第11類「乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,汚水浄化槽,し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓」とする指定商品の書換登録がされたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年8月25日である。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び審判事件弁駁書において,その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第9類「オゾン発生器,電解槽,検卵器,火災報知器,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット」及び第11類「乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,飼料乾燥装置,暖冷房装置,業務用衣類乾燥機,業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓」(以下,これらを「取消請求商品」という。)について,継続して3年以上日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していた事実がなく,かつ,その不使用について正当な理由が存するものでもないから,商標法第50条第1項の規定によって取り消すべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用の事実(その1)について
被請求人は,「本件商標権者は,三菱電機製暖冷房装置『スリム』(型番PUZ-ERP63KA)等を三菱電機冷熱機器販売株式会社(以下「三菱電機冷熱機器販売」という。)より仕入れ,」,「株式会社OKIプロサーブ(以下「OKIプロサーブ」という。)からの注文書及び計上明細書に基づき,当該商品に本件商標を付して注文者所定の場所に納入するとともに販売し,一切の工事を施工した。」と主張している。
ア 乙第2号証は,関東地方整備局長による「特定建設業の許可について(通知)」であり,これには「建設業の種類」として「冷暖房設備工事」との記載があるが,取消請求商品に含まれる「暖冷房装置」の生産・譲渡に関する記載はない。また,この通知は,「商品に関する広告」ではなく,「商品の取引書類」でもないから,商標法第2条第3項第1号,第2号及び第8号にいう商標の使用の定義のいずれにも該当しない。さらに,本件商標の表示もない。
イ 乙第3号証及び乙第4号証は,被請求人からOKIプロサーブ宛ての見積書であるが,商品名の「三菱スリム」及びその型番が記載されているのみであり,本件商標の記載がされていないから,取消請求商品についての本件商標の使用を証明するものではない。
ウ 乙第5号証は,三菱電機株式会社(以下「三菱電機」という。)製に係る型番「PUZ-ERP63KA8」の暖冷房装置が,三菱電機冷熱機器販売から被請求人に納品されたことを示す納品書である。これは,暖冷房装置の販売元が,被請求人の求めに応じて被請求人に販売した暖冷房装置について,被請求人に宛てた納品書であるから,暖冷房装置の販売元と購入者である被請求人の間の取引書類である。
したがって,これをもって被請求人が本件商標を暖冷房装置に使用していたことの証明にはならない。
エ 乙第6号証は,OKIプロサーブから被請求人への「空調機設置,移設工事」の注文書であるから,取消請求商品に含まれる「暖冷房装置」についての本件商標の使用を証明するものではない。
オ 乙第7号証は,OKIプロサーブから被請求人への「仕入高計上明細表」であり,乙第6号証の注文書に係る注文番号「L0041080001」の「製品品番/品名」の欄には,「5号館5F・6F・11F空調機設置,移設工事」と記載されているが,被請求人により本件商標が付された暖冷房装置がOKIプロサーブに販売された事実を示す記載は一切見当たらない。
したがって,乙第7号証は,取消請求商品についての本件商標の使用を証明するものではない。
カ 乙第8号証は,三菱電機の製造に係る暖冷房装置の正面外観全体を写した写真であり,乙第9号証及び乙第10号証は,その部分的な拡大写真である。
乙第8号証及び乙第9号証の写真において撮影されている暖冷房装置には,正面右下に,本件商標と同一の商標,及び色違い商標が付されている。また,乙第10号証によれば,当該暖冷房装置の型番は「PUZ-ERP63KA8」である。
しかし,乙第8号証ないし乙第10号証の写真は,その撮影日,撮影場所,撮影者等は一切不明であるから,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に本件商標が使用された事実を立証するものではない。
また,被請求人は,「当該商品に本件商標を付して注文者所定の場所に納入するとともに販売し,一切の工事を施工した。」と主張しているが,乙第8号証及び乙第9号証の写真における本件商標が,いつの時点で当該暖冷房装置に付されたのか,被請求人が提出した他の証拠資料のいずれによっても明らかではない。
したがって,乙第8号証ないし乙第10号証は,要証期間における取消請求商品についての本件商標の使用を証明するものではない。
キ 発注者であるOKIプロサーブが発行した「注文書(工事)」(乙6)及び「仕入高計上明細表」(乙7)には,「5号館5F・6F・11F空調機設置,移設工事」と記載されているにすぎず,暖冷房装置の商品名,仕様,型番等は一切記載されていない。これらが記載されているのは,被請求人が発行した見積書(乙3及び乙4)のみである。そして,該見積書において,被請求人は,「機器設備工事」の一部として,暖冷房装置の仕入れ代金を計上している。
これらの記載から,OKIプロサーブと被請求人との間で行われた取引は,「暖冷房装置の設置等工事」を対象とするものであり,暖冷房装置が独立して取引の対象とされていたものではないことは明らかである。
したがって,被請求人が仕入れた三菱電機製の暖冷房装置に本件商標を付してOKIプロサーブに販売したという主張は,被請求人が提出した証拠資料が示す客観的事実と整合しない。
(2)本件商標の使用の事実(その2)について
被請求人は,「商標権者は,ダイキン工業株式会社(以下「ダイキン工業」という。)製『暖冷房装置』である『パッケージエアコン FVVP1120M床置形』等をダイキンHVACソリューション東京株式会社(以下「ダイキンHVACソリューション東京」という。)より仕入れるとともに,当該商品に本件商標を付して発注部署の曙ブレーキ岩槻製造株式会社(以下「曙ブレーキ岩槻製造」という。)に販売し,設備し,設定工事等ともに施工し,(以下略)」と主張している。
ア 乙第11号証は,曙ブレーキ工業株式会社(以下「曙ブレーキ」という。)から被請求人への注文書の写しであるが,「空調機更新」と記載され,空調機の商品名,仕様,型番等は一切記載されていない。
また,「設置事業所 曙ブレーキ岩槻製造(株)」との記載がある。こうした内容に鑑みれば,乙第11号証は,曙ブレーキ工業から被請求人への「空調機の設置を含むリニューアル工事」の注文書であることは明らかであり,被請求人が本件商標を暖冷房装置に使用していたことの証明にはならない。
イ 乙第12号証は,ダイキンHVACソリューション東京から被請求人への請求書であり,ダイキン工業製に係る暖冷房装置の販売元が,被請求人の求めに応じて被請求人に販売した暖冷房装置について,被請求人に宛てた請求書であるから,暖冷房装置の販売元と購入者である被請求人の間の取引書類である。
したがって,これをもって被請求人が本件商標を暖冷房装置に使用していたことの証明にはならない。
ウ 乙第13号証は,ダイキン工業製の暖冷房装置「パッケージエアコン」の一部を写したと思しき写真であり,本件商標と同一の商標,及び色違い商標が付されている。
しかし,乙第13号証の写真は,その撮影日,撮影場所,撮影者等は一切不明であるから,要証期間に本件商標が使用された事実を立証するものではない。
また,被請求人は,「当該商品に本件商標を付して発注部署の曙ブレーキ岩槻製造に販売し,」と主張しているが,乙第13号証の写真における本件商標が,いつの時点で当該暖冷房装置に付されたのか,被請求人が提出した他の証拠資料のいずれによっても明らかではない。
さらに,暖冷房装置の型番と思しき部分が丸で囲まれているが,不鮮明であり,これを「FVVP1120M」と判読することはできない。
したがって,乙第13号証は,要証期間における取消請求商品についての本件商標の使用を証明するものではない。
エ 乙第14号証は,曙ブレーキ岩槻製造により被請求人宛てに,乙第11号証に記載の「空調機更新」,すなわち「空調機の設置を含むリニューアル工事」に係る費用が振り込まれたことを示すものであり,これをもって被請求人が本件商標を暖冷房装置に使用していたことの証明にはならない。
オ したがって,被請求人が仕入れたダイキン工業製の暖冷房装置に本件商標を付して曙ブレーキ岩槻製造に販売したという主張は,被請求人が提出した証拠資料が示す客観的事実と整合しない。
(3)被請求人による本件商標の使用行為について
乙第8号証及び乙第9号証において撮影された暖冷房装置には,本件商標のほか,被請求人の名称及び連絡先電話番号並びに「2015.05施工」の文字が表示されている。また,製造者の商標である「スリーダイヤ図形」,「MITSUBISHI ELECTRIC」,「Mr.SLIM」,「スリムER」の各文字も表示されている。
乙第13号証においても,本件商標のほか,被請求人の名称及び連絡先電話番号が表示されており,製造者の名称「ダイキン工業株式会社」及び商標「パッケージエアコン」も表示されている。
上述のとおり,本件商標がいつの時点でこれらの暖冷房装置に付されたのか,被請求人が提出した証拠資料からは明らかになっていない。
そして,機械設置工事を行う業界において,施工が完了した際に,施工者の標章,施工日,保守等のアフターサービスのための連絡先等の情報を設置した機器に表示することが一般的に行われている。
したがって,乙第8号証,乙第9号証及び乙第13号証における本件商標は,被請求人が,当該暖冷房装置の設置工事を完了した際に,施工者として被請求人を表示する目的で付したものであることが容易に推測される。
当該行為は,「暖冷房装置の設置工事」という役務についての商標法第2条第3項第4号の「使用」に該当する行為であり,「暖冷房装置」についての商標法第2条第3項第1号,第2号及び第8号に掲げられた「使用」の定義のいずれにも該当しない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を答弁書において要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標権者は,要証期間に我が国において取消請求商品中「暖冷房装置」について,本件商標を使用している。
(1)本件商標の使用の事実(その1)
ア 商標の使用者
乙第2号証の「特定建設業の許可について(通知)」,乙第3号証の「御見積書(平成27年4月10日)」,乙第4号証の「御見積書(平成27年4月24日)」,乙第5号証の「納品書(兼請求明細書)」,乙第6号証の「注文書」及び乙第7号証の「仕入高計上明細表」には,本件商標権者の住所及び名称がそれぞれ記載されている。
イ 使用に係る商品
乙第2号証には,取消請求商品に含まれる「冷暖房設備(装置)」が,乙第3号証及び乙第4号証には,「暖冷房装置」の商品名(三菱スリム)及び型番(PUZ-ERP63KA8)等が記載され,乙第5号証には,乙第3号証に記載された当該商品の型番(PUZ-ERP63KA8)等が記載され,さらに,乙第6号証及び乙第7号証には,乙第3号証及び乙第4号証に記載された当該商品(注文番号L0041080001)を含む一切の設備・工事費(¥2,740,000+¥1,790,000)の合価(¥4,530,000)が注文され,かつ,計上されていることが記載されている。
そして,乙第8号証ないし乙第10号証には,乙第3号証に記載された暖冷房装置の商品名とその型番(PUZ-ERP63KA8)が,また,乙第5号証に記載された型番(PUZ-ERP63KA8)も記載されている。
ウ 使用に係る商標
乙第8号証及び乙第9号証には,色違いではあるが本件商標が表示されている。
エ 使用時期
乙第3号証には平成27年4月10日,乙第4号証には平成27年4月24日と記載され,乙第5号証には2015-04-28と記載され,また,乙第6号証には,「発行日(注文日)2015-05-19」と記載され,乙第7号証には「納入日15/05/28」と記載があり,乙第8号証及び乙第9号証には「2015.05施工」と表示されている。
オ 使用の経緯
本件商標権者は,暖冷房装置等の販売に伴って生じる管工事・電気工事等について,特定建設業の許可を受けている(乙2)。
そして,本件商標権者は,OKIプロサーブに「御見積書」(乙3及び乙4)を提出している。
これらの「御見積書」は,暖冷房装置とその設置・設備・移設・改修等の工事や部品・付属品等が一括・一式として記載されている。
本件商標権者は,三菱電機製暖冷房装置「スリム」(型番PUZ-ERP63KA)等を三菱電機冷熱機器販売より仕入れ,本件商標権者専用の商品・機器保管場所に搬入した(乙5)。
本件商標権者は,OKIプロサーブからの注文書(乙6)及び計上明細表(乙7)に基づき,当該商品に本件商標を付して(乙8及び乙9)注文者所定の場所に納入するとともに販売し,一切の工事を施工(2015.05)した。
(2)本件商標の使用の事実(その2)
ア 商標の使用者
乙第11号証の「注文書」,乙第12号証の「請求書」,乙第14号証の「当座勘定照合表」には,本件商標権者の住所及び名称が記載され,また,乙第13号証には,本件商標権者の名称が表示されている。
イ 使用に係る商品
乙第11号証には,取消請求商品に含まれる「暖冷房装置」である品名「空調機更新」と記載され,乙第12号証には,「暖冷房装置」である「パッケージエアコン」の品名コード「FVVP1120M」と品名仕様「床置形」が記載され,また,乙第13号証には,「暖冷房装置」として「パッケージエアコン」とその機種名「FVVP1120M」が表示されている。
ウ 使用に係る商標
乙第13号証には,色違いではあるが本件商標が表示されている。
エ 使用時期
乙第11号証には,「注文日2014年10月20日」及び「納期14年12月6日」とそれぞれ記載され,乙第12号証には「平成26年11月20日締切」と記載され,乙第14号証には「平成27年2月27日振込1 アケボノブレーキイワツキセイゾウ」と記載されている。
オ 使用の経緯
本件商標権者は,2014年9月26日付けで,曙ブレーキ岩槻製造に見積書を発行し,2014年10月20日付けで,当該会社から「空調機更新」について発注された(乙11)。
そして,本件商標権者は,ダイキン工業製「暖冷房装置」である「パッケージエアコン FVVP1120M 床置形」等をダイキンHVACソリューション東京より仕入れる(乙12)とともに,当該商品に本件商標を付して(乙13)発注部署の曙ブレーキ岩槻製造に販売し,設備し,設定工事等とともに施工し,一切の費用が27年2月27日振込1として「アケボノブレーキイワツキセイゾウ」から入金され,商取引が成立したものである(乙14)。
(3)むすび
以上のとおり,列挙した年月日はいずれもが平成27年8月12日前3年以内の日付であり,本件商標は,要証期間に日本国内において,本件商標権者により取消請求商品中の「暖冷房装置」について使用していることが明らかである。
第4 手続の経緯
当審において,口頭審理に際し,両当事者に送付した平成28年4月7日付けの審理事項通知書の内容は,要旨別掲2のとおりであり,これには,合議体の暫定的見解を示し,被請求人に対し,合議体の暫定的見解及び請求人の弁駁に対する意見を求め,本件商標の使用をしていることについて補足の証拠及び新たな証拠の提出を求めたところ,被請求人は,平成28年4月26日付けの上申書において,新たな証拠はなく,答弁書により主張立証を尽くした旨を述べた。これにより,口頭審理は行われなかった。
第5 当審の判断
被請求人は,本件商標権者が,要証期間に我が国において取消請求商品中の「暖冷房装置」について,本件商標を使用している旨主張している。
そして,被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)本件商標の使用の事実(その1)について
ア 乙第3号証は,本件商標権者からOKIプロサーブに宛てた平成27年4月10日付けの「御見積書」(写し)であり「名称仕様」には「OKIビジネスセンター5号館 5F?6F会議室空調設置,移設工事」の記載があり,2葉目には「5F」と「三菱スリム PUZ-ERP63KA8」,「数量」には「1台」の記載がある。
イ 乙第5号証は,三菱電機冷熱機器販売から本件商標権者に宛てた2015年(平成27年)4月28日付けの「納品書(兼請求明細書)」(写し)であり,「形名」には「PUZ-ERP63KA8」,「数量」には「1」の記載がある。
ウ 乙第6号証は,OKIプロサーブから本件商標権者に宛てた2015年5月19日付けの「注文書(工事)」(写し)であり,「工事名(発注名)」には「5号館5F・6F・11F空調機設置,移設工事」の記載がある。
エ 乙第7号証は,OKIプロサーブから本件商標権者に宛てた2015年5月分の「仕入高計上明細表(工事)」(写し)であり,「製品品番 品名」には「5号館5F・6F・11F空調機設置,移設工事」,「納入日」には「15/5/28」の記載がある。
オ 乙第8号証ないし乙第10号証は,「パッケージエアコンディショナ」の室外機及びこれに貼付されている品名などの表示(一部)の拡大写真であり,乙第8号証には,「Mr.SLIM」及び「スリムER」等の表示があり,乙第9号証には,三菱の図形及び「MITSUBISHI ELECTRIC」の欧文字が表示され,その右には,本件商標と社会通念上同一と認められる図形商標,「日本エアーコンジショナース株式会社」及び「2015.05施工」の表示がある。
また,乙第10号証には,三菱の図形及び「MITSUBISHI ELECTRIC」の表示と,該「パッケージエアコンディショナ」の形名として「PUZ-ERP63KA8」の表示がある。
カ 上記アないしオによれば,本件商標権者は,OKIプロサーブとの間で「OKIビジネスセンター5号館5F?6F会議室空調設置,移設工事」について「御見積書」及び「注文書(工事)」を交わし,その見積において該工事に使用する,取消請求商品に含まれる暖冷房装置「三菱スリム PUZ-ERP63KA8」について,要証期間である2015年(平成27年)4月28日に,三菱電機冷熱機器販売から納品を受けたものである(乙5)。
被請求人は,本件商標権者が,三菱電機製暖冷房装置「スリム」(型番PUZ-ERP63KA8)等を三菱電機冷熱機器販売より仕入れ,本件商標権者専用の商品・機器保管場所に搬入し(乙5),OKIプロサーブからの注文書(乙6)及び計上明細表(乙7)に基づき,当該商品に本件商標を付して(乙8及び乙9)注文者所定の場所に納入するとともに販売し,一切の工事を施工(2015.05)した旨主張している。
しかしながら,「Mr.SLIM」及び「スリムER」と表示された「MITSUBISHI ELECTRIC」の「PUZ-ERP63KA8」を型名とする「パッケージエアコンディショナ」(乙8ないし乙10)は,三菱電機冷熱機器販売から本件商標権者に納品されたものであり,該商品は,本件商標権者がOKIプロサーブの「OKIビジネスセンター5号館」の5F会議室の空調設置,移設工事に先立ち,三菱電機冷熱機器販売から購入した商品というべきである。
そうすると,該「パッケージエアコンディショナ」は,「MITSUBISHI ELECTRIC(三菱電機)」の商品というのが相当であって,本件商標権者の商品というべき証拠は見あたらない。
そして,乙第3号証,乙第5号証ないし乙第7号証からすれば,本件商標権者によるOKIプロサーブへのパッケージエアコンディショナ「三菱スリム PUZ-ERP63KA8」の販売は,「機器設置工事」に付随して行われたものというべきであるから,該商品が,本件商標権者により,独立して商取引の対象として販売された商品ということができない。
さらに,該「パッケージエアコンディショナ」の室外機には,その商品の出所を表すものとして「MITSUBISHI ELECTRIC」の表示があり,本件商標と社会通念上同一と認められる図形商標,「日本エアーコンジショナース株式会社」及び「2015.05施工」の表示は,これを設置した者の表示とみるのが自然であるから,該図形商標及び「日本エアーコンジショナース株式会社」の表示が,商品「パッケージエアコンディショナ」の室外機の出所を表示するものということもできない。
(2)使用の事実その2について
ア 乙第11号証は,注文日を2014年10月20日とする曙ブレーキ工業から本件商標権者(文字が掠れ,明確ではない。)に宛てたものといえる「注文書」(写し)であり,「品名(品番・ライン名)」には「空調機更新(GC-414)」の記載があり,「設置事業所」の欄の「曙ブレーキ岩槻製造」に○が付されている。
イ 乙第12号証は,平成26年11月20日締切とするダイキンHVACソリューション東京から本件商標権者に宛てた書面(写し)であり,「当月分,下記の通りご請求申し上げます。」の記載があり,「受注No.」には「曙ブレーキ」,「品名コード」には「FVVP1120M」,「品名仕様」には「床置型」,「数量」には「1」の記載がある。
ウ 乙第13号証には,本件商標と社会通念上同一と認められる図形商標,「日本エアーコンジショナース株式会社」の表示がある。そして,その下には,「パッケージエアコン」,「機種名」として「FVVP1120M」及び「ダイキン工業株式会社」の表示がある。そうとすれば,乙第13号証は,「パッケージエアコン」ということができる。
エ 乙第14号証は,株式会社三菱東京UFJ銀行が本件商標権者宛てに発行した平成27年2月24日から同月27日までの「当座勘定照合表」であり,2月27日の欄には,「振込1」として「アケボノブレーキイワツキセイゾウ」の記載がある。
オ 上記アないしエによれば,本件商標権者は,曙ブレーキ工業から「曙ブレーキ岩槻製造」の「空調機更新」についての「注文書」を受け,該工事に使用する,「FVVP1120M」について,要証期間である平成26年11月12日に,ダイキンHVACソリューション東京に注文したものである(乙12)。
被請求人は,(a)本件商標権者は,2014年9月26日付で,曙ブレーキ岩槻製造に見積書を発行し,2014年10月20日付で,該会社から「空調機更新」について発注され(乙11),(b)本件商標権者は,ダイキン工業製「暖冷房装置」である「パッケージエアコン FVVP1120M床置形」等をダイキンHVACソリューション東京より仕入れる(乙12)とともに,当該商品に本件商標を付して(乙13)発注部署の曙ブレーキ岩槻製造に販売し,設備し,設定工事等とともに施工した旨主張している。
しかしながら,「機種名」を「FVVP1120M」とする「パッケージエアコン」は,ダイキンHVACソリューション東京から本件商標権者に販売されたものであって,該商品は,本件商標権者が曙ブレーキ岩槻製造の「空調機更新工事」に先立ち,ダイキンHVACソリューション東京から購入した商品というべきである。
そうすると,該「パッケージエアコン」は,ダイキン工業の商品というのが相当であって,本件商標権者の商品というべき証拠は見あたらない。
そして,乙第11号証及び乙第12号証からすれば,本件商標権者による曙ブレーキ岩槻製造へのパッケージエアコン「FVVP1120M」の販売は,「空調機更新工事」に付随して行われたものというべきであるから,該商品が,本件商標権者により,独立して商取引の対象として販売された商品ということができない。
さらに,該「パッケージエアコン」には,その商品の出所を表すものとして「ダイキン工業株式会社」の表示があり,本件商標と社会通念上同一と認められる図形商標及び「日本エアーコンジショナース株式会社」の表示は,これを設置した者の表示とみるのが自然であるから,該図形商標及び「日本エアーコンジショナース株式会社」の表示が,商品「パッケージエアコン」の出所を表示するものということもできない。
(3)その他,本件商標が,本件商標権者等によって,取消請求商品について,商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を示す証拠はない。
(4)まとめ
以上からすれば,被請求人が提出した証拠からは,要証期間に日本国内において,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求商品のいずれかについて,本件商標を使用していることを証明したものということができず,かつ,被請求人は,取消請求商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
2 むすび
したがって,本件商標の登録は,取消請求商品について,商標法第50条第1項の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

別掲2 (審理事項通知書)
1 合議体の暫定的見解
被請求人は,本件商標を,「暖冷房装置」について使用している旨主張し,その証拠として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。
(1)本件商標の使用の事実1について
乙第8号証ないし乙第10号証は,「パッケージエアコンディショナ」の室外機及びこれに貼付されているシール(一部)の拡大写真であり,乙第9号証には,図形と「AIR」の欧文字からなる商標が表示され,「日本エアーコンジショナース株式会社」及び「2015.05施工」の記載がある。
また,乙第10号証には,三菱の図形及び「MITSUBISHI ELECTRIC」の表示と,該「パッケージエアコンディショナ」の形名として「PUZ-ERP63KA8」の記載がある。
被請求人は,本件商標権者が,三菱電機製暖冷房装置「スリム」(型番PUZ-ERP63KA)等を三菱電機冷熱機器販売株式会社より仕入れ,本件商標権者専用の商品・機器保管場所に搬入し(乙5),OKIプロサーブからの注文書(乙6)及び計上明細表(乙7)に基づき,当該商品に本件商標を付して(乙8及び乙9)注文者所定の場所に納入するとともに販売し,一切の工事を施工(2015.05)した旨主張している。
しかしながら,商標法第50条における商品とは,市場において独立して商取引の対象として流通に供される物と解されるところ,乙第3号証ないし乙第7号証からすれば,本件商標権者によるOKIプロサーブへの暖冷房装置(「三菱スリム」(型番:PUZ-ERP63KA8))の販売は,「暖冷房装置の設置工事」と共に行われたというべきであるから,当該装置が,市場において独立して商取引の対象として流通に供された物であるとまでは確認することができない。
また,「パッケージエアコンディショナ」の室外機に貼付されたシールには,その商品の出所を表すものとして「MITSUBISHI ELECTRIC」の記載があり,これを設置した者として「日本エアーコンジショナース株式会社」の記載があるので,かかる「日本エアーコンジショナース株式会社」の表示は,商品「パッケージエアコンディショナ」の室外機の出所を表示するものということもできない。
(2)使用の事実その2について
乙第13号証には,図形と「AIR」の欧文字からなる商標が表示され,「日本エアーコンジショナース株式会社」と記載され,その下に貼付されたシールと思しきものには,「パッケージエアコン」,「機種名」として「FVYP1120M」及び「ダイキン工業株式会社」の記載がある。
しかしながら,乙第13号証の「機種名」を「FVYP1120M」とする「パッケージエアコン」は,乙第12号証のダイキンHVACソリューション東京から被請求人に宛てた「請求書」の「品名コード」の欄に「FVYP1120M」の記載があることからすれば,曙ブレーキ工業から「空調機更新」として注文を受けた(乙11)被請求人が,「曙ブレーキ」を納入先として,ダイキンHVACソリューション東京から購入したもの(乙12)であるとしても,商品「空調機」が,被請求人により販売されたものということまでを証明するものがない。
また,該「パッケージエアコン」に貼付されたシールには,その商品の出所を表すものとして「ダイキン工業株式会社」の記載があるが,該シールの上に表示された図形と「AIR」の欧文字からなる商標及び「日本エアーコンジショナース株式会社」は,商品「パッケージエアコン」についてのいかなる表示であり,具体的に取引に当たってどの段階で当該表示を付しているかを確認することができない。
2 口頭審理陳述要領書について
(1)被請求人
被請求人は,上記1の合議体の暫定的見解,及び請求人提出の平成27年12月1日付けの審判事件弁駁書の主張に対し,意見があれば述べられたい。
また,本件商標の使用をしていることについて,既に提出している乙各号証のほかに,補足の証拠及び新たな証拠があれば提出されたい。
(2)請求人
請求人は,被請求人が提出する口頭審理陳述要領書について,意見があれば述べられたい。
審理終結日 2016-07-12 
結審通知日 2016-07-22 
審決日 2016-07-12 
出願番号 商願昭38-29243 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y0911)
最終処分 成立 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 1965-11-11 
登録番号 商標登録第689354号の1(T689354-1) 
商標の称呼 エアー、エイアイアアル 
代理人 須田 元也 
代理人 伊東 忠重 
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