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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W2932
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W2932
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W2932
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W2932
管理番号 1321440 
異議申立番号 異議2013-900143 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-05-14 
確定日 2016-10-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5560072号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5560072号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5560072号商標(以下「本件商標」という。)は、「アップルポパイ」の片仮名を横書きしてなり、平成24年3月30日に登録出願、第29類「りんごを加味した食用油脂,冷凍したりんご,りんごを含んだ加工果実,りんごを加味した油揚げ,りんごを加味した凍り豆腐,りんごを加味したこんにゃく,りんごを加味した豆乳,りんごを加味した豆腐,りんごを加味した納豆,りんごを含んだカレー・シチュー又はスープのもと,りんごを含んだお茶漬けのり,りんごを含んだふりかけ,りんごを含んだなめ物」及び第32類「りんごを加味したビール,りんごを加味した清涼飲料,りんごを加味した果実飲料,りんごを加味した飲料用野菜ジュース,りんごを加味したビール製造用ホップエキス,りんごを加味した乳清飲料」を指定商品として、平成25年1月11日に登録査定、同年2月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録第4790441号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、「POPEYE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年7月30日に登録出願され、第5類「乳児用粉乳」、第29類「冷凍果実,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」、第31類「ホップ,果実」、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料(「トマトジュース」を除く。),乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」及び第33類「洋酒,果実酒」(以下「11号対象抵触商品」という。)を含む第1類ないし第8類、第10類ないし第15類、第17類ないし第27類、第29類ないし第40類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成16年7月30日に設定登録されたものである。
(2)登録第4790442号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、「ポパイ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成9年7月30日に登録出願され、「11号対象抵触商品」を含む第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成16年7月30日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
申立人の使用する商標(以下「申立人使用商標」という。)「POPEYE」(ポパイ)は、全世界的に極めて著名な漫画キャラクターの名称であり、これはアメリカ合衆国の代表的な漫画であって、アメリカ合衆国の大衆文化を象徴する偉大な文化遺産であり、本件商標の商標権者は、当該キャラクター及びその名称の文化的・商業的価値の維持に何ら関わってきたものではないから、本件商標権者に本件商標の利用の独占を許すことは相当ではなく、本件商標の登録を認めることは国際信義に反し、また、上記キャラクター名称及び商標の著名性に依拠しようとするものであって、本件商標の登録は、公正な取引秩序を乱すものであるから、本件商標は、公序良俗に反する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は「アップルポパイ」の文字からなり、引用商標は「POPEYE」の文字からなるところ、本件商標の要部は「ポパイ」の文字部分にあり、引用商標と同一の称呼「ポパイ」が生じる上、著名な漫画キャラクターとしての「POPEYE(ポパイ)」の観念も生じる。したがって、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、引用商標に後れて出願及び登録されたものであって、これらの指定商品は同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、著名な申立人使用商標「POPEYE」と社会通念上同一の「ポパイ」の文字を含み、取引者及び需要者に対し、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生じさせるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
申立人使用商標「POPEYE」は、漫画キャラクター名として我が国を含む全世界で広く知られており、本件商標は、その名声にただ乗りし、申立人使用商標のもつ識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化するものであって、不正の目的をもって使用するものであることが明らかであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して、平成28年5月23日付けで通知した本件商標の取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)申立人使用商標「POPEYE(ポパイ)」の著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、世界的に著名な雑誌・新聞等の発行及びテレビ局の運営等を手掛ける情報・出版企業「ハーストコーポレーション」(甲5)グループの傘下の企業であり、「POPEYE(ポパイ)」に係る登録商標を多数所有している(甲11)。
そして、「POPEYE(ポパイ)」は、米国の漫画家E.C.Segarが1929年に創作した漫画に登場する主人公の名前であり(甲6ないし甲9)、当該漫画は米国で発表された同国の代表的な漫画といえ、さらに、その主人公「POPEYE(ポパイ)」は「ミッキーマウス」等に並ぶ有名キャラクターの一つである(甲10)。
また、「POPEYE(ポパイ)」は、広辞苑によると、「アメリカの漫画・アニメーション映画の主人公。船乗りで、ホウレンソウを食べると怪力が出る。恋人のオリーヴをめぐりブルートと争う。原作はシーガー。」とあり(甲8)、ランダムハウス英和大辞典にも「米国の漫画家E.C.Segarが描いた新聞漫画の主人公の船乗り;ホウレンソウを食べると怪力が出る。」と記載されている(甲9)。
加えて、「ポパイ」が、人気のキャラクターであることが、多数の新聞記事に掲載されている(甲18の3、13、23、26、45、50及び56)。
さらに、「POPEYE(ポパイ)」は、ユニバーサルスタジオジャパンにも登場し(甲19)、ゴルフ用品(甲22)、Tシャツ等の衣料品(甲23)、パチスロ機(甲24)、コンピュータソフトウエア(甲25)、ほうれん草の栽培キット(甲26)、テレビゲーム(甲27)、サウンドトラック(甲28)等にも使用され、アニメDVDも発売されている(甲31)。
以上のとおり、申立人使用商標「POPEYE(ポパイ)」は、長年にわたり広範囲の商品及び役務に使用された結果、キャラクター名のみならず、申立人の業務を表す商標としても周知・著名となったものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり、「アップルポパイ」の片仮名を横書きしてなるところ、該語は、全体として特定の意味合いを有する成語ないしは熟語とは認められないものである。
そして、本件商標構成中の「アップル」の文字部分は、指定商品との関係では、商品の原材料、品質を表示したものとして認識、把握されるとみるのが自然であるから、それ自体は自他商品の識別力がないか極めて弱いものというべきである。
また、本件商標構成中の「ポパイ」の文字部分は、上記(1)のとおり、我が国においても広く知られている申立人使用商標の一つである「ポパイ」と同一の構成からなるものであるから、本件商標がその指定商品について使用されたときには、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「ポパイ」の文字部分に強い印象を受け、これに注目するであろうことは容易に想像し得るところである。
してみれば、本件商標は、その構成中の「ポパイ」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められ、該文字に相応して「ポパイ」の称呼を生じ、米国の漫画の主人公の名前「POPEYE(ポパイ)」の観念を生ずるものと認められる。
他方、前記2のとおり、引用商標1は、「POPEYE」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標2は、「ポパイ」の片仮名を標準文字で表してなるものであるから、該構成文字に相応して、いずれも「ポパイ」の称呼を生じ、米国の漫画の主人公の名前「POPEYE(ポパイ)」の観念を生ずる。
そうとすれば、本件商標と引用商標1及び2とは、「ポパイ」の称呼及び米国の漫画の主人公の名前「POPEYE(ポパイ)」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本件商標と引用商標2とは、外観においても紛らわしい類似の商標というべきである。
そして、本件商標の指定商品中の第29類「冷凍したりんご,りんごを加味した油揚げ,りんごを加味した凍り豆腐,りんごを加味したこんにゃく,りんごを加味した豆乳,りんごを加味した豆腐,りんごを加味した納豆,りんごを含んだカレー・シチュー又はスープのもと,りんごを含んだお茶漬けのり,りんごを含んだふりかけ,りんごを含んだなめ物」及び第32類「りんごを加味したビール,りんごを加味した清涼飲料,りんごを加味した果実飲料,りんごを加味した飲料用野菜ジュース,りんごを加味したビール製造用ホップエキス,りんごを加味した乳清飲料」(以下「11号抵触商品」という。)は、引用商標1及び引用商標2の指定商品中の「11号対象抵触商品」と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の指定商品中、「11号抵触商品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と申立人使用商標とは、上記(2)において、本件商標と引用商標1及び2とが類似するものであると認定したことと同様に、類似する商標である。
また、申立人は、「POPEYE(ポパイ)」に係る商標登録を多数有している者であること、そして、申立人使用商標は、ポパイを主人公とする漫画のキャラクター名であり、我が国において、申立人の商標許諾の下、雑誌、衣料品、テレビゲーム等の各種商品について使用された結果、本件商標の出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、周知・著名な商標となっていたことが認められる。
さらに、申立人は、上記(1)のとおり、種々の商品について使用許諾を行い、申立人使用商標は、種々の商品について広く使用されており、これら商品の多くは、雑誌、おもちゃ、被服等であって、主に個人を対象とするものである。加えて、本件商標の指定商品でもある食料品類は、販売促進のために漫画等がタイアップし、当該漫画の登場人物などを当該食料品類の商標や宣伝用のイメージキャラクターとして使用することも一般に行われている。
そうすると、本件商標の指定商品中、上記(2)において商標法第4条第1項第11号に該当すると認定した「11号抵触商品」以外の第29類「りんごを加味した食用油脂,りんごを含んだ加工果実」と申立人使用商標の使用に係る商品は、いずれも日常生活において消費される商品であり、需要者等を共通にするものであるから、少なからぬ関連性を有するものというべきであり、また、申立人使用商標は、我が国においても広く認識されている商標であり、上述のように食料品類と漫画のキャラクターがタイアップし、販売促進のために使用されている実情があることから、商標権者が本件商標を、第29類「りんごを加味した食用油脂,りんごを含んだ加工果実」について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、著名な申立人使用商標を連想・想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、第29類「りんごを加味した食用油脂,りんごを含んだ加工果実」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから取消しを免れない。

5 商標権者の意見
商標権者は、前記4の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-08-26 
出願番号 商願2012-25261(T2012-25261) 
審決分類 T 1 651・ 261- Z (W2932)
T 1 651・ 262- Z (W2932)
T 1 651・ 263- Z (W2932)
T 1 651・ 271- Z (W2932)
最終処分 取消  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
小松 里美
登録日 2013-02-22 
登録番号 商標登録第5560072号(T5560072) 
権利者 有限会社 アトリエハッピー
商標の称呼 アップルポパイ、アップル、ポパイ 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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