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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z18
管理番号 1321412 
審判番号 取消2014-300526 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-07-16 
確定日 2016-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4412662号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4412662号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成11年6月30日に登録出願,第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として,同12年9月1日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判請求の登録日は,平成26年8月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書,平成27年5月14日付けの口頭審理陳述要領書及び同年7月3日付けの上申書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙3号証の「イメージカタログ」が年2回(春・夏と秋・冬)作成し,配布しているものだとしても,それが,本件審判請求の予告登録日である平成26年8月1日前3年の期間(以下「要証期間内」という。)に発行されたことが客観的に明らかとなる日付等の記載は見当たらず,本件商標の使用を何ら立証するものではない。
また,イメージカタログの表紙には,「Lois CRAYON」の商標が表示され,また,同裏表紙には同様に「Lois CRAYON」が一番上部に大きなフォントにて表示されている。かかる態様から,イメージカタログにおいて商品の広告として付されている自他商品識別機能を果たす部分は,「Lois CRAYON」にほかならず,これは,本件商標と同一ではなく,また社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
被請求人は,イメージカタログの裏表紙に表されている「CRAYON INC.」の文字が商品に関するカタログにおいて自他商品識別機能を果たすものであり,「商標の使用」に該当するものである旨を主張するが,「CRAYON INC.」の表示は,「Lois CRAYON」より小さい文字で,裏表紙の下部に表されており,「INC.」の表示は,一般に「会社」,あるいは「法人組織」を意味する「Incorporated」の略であることを意味するため,イメージカタログの裏表紙に表されている「CRAYON INC.」の表示は,単に自己の名称(の英語表記)を普通に用いられる方法で表示しているにすぎず,自他商品識別機能を果たすものとはいえず,「商標の使用」に該当するものとはいえない。
さらに,被請求人は,乙第2号証で示すカタログ中の,第10頁から第13頁にかけてバッグが掲載されている旨を主張するが,本件商標が付されたバッグの商品写真等もないため,バッグ等の商品に本件商標が使用されていたか否かは明らかでない。
また,被請求人は,乙第2号証で示されているバッグは,「被請求人の店舗で販売されたバッグ」である旨を主張するが,もし実際に販売されたのであるならば,売上票,商品発注票,仕入れ伝票等の取引書類が存在するはずであるが,被請求人からは,取引書類などの証拠は一切提出されていない。
以上より,被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証をもってしては,被請求人が本件商標を指定商品について使用していたとは到底いえない。
(2)乙第4号証について
乙第4号証は,被請求人が,カタログ等を発送する際に使用する封筒であり,そこに付された「CRAYON INC.」の表示は,単に被請求人が自己の名称(の英語表記)を普通に用いられる方法で表示しているにすぎず,「商標の使用」に該当するものとはいえない。
(3)乙第5号証ないし乙第8号証について
被請求人は,本件商標が「クレヨン/CRAYON/CRAYON」の3段並記からなるのに対して,実際に使用している商標は,「CRAYON INC.」であり,かかる使用商標が,本件商標と社会通念上同一の商標の使用である旨を主張する。
しかし,被請求人が,自他商品出所識別標識として使用している商標は,「Lois CRAYON」からなる態様の商標であり,「CRAYON INC.」を使用しているものではない。
被請求人は,実際に使用している商標は,「CRAYON INC.」であると主張しているが,乙第1号証ないし乙第4号証によると,かかる使用態様は,単に被請求人が自己の名称(の英語表記)を普通に用いられる方法で表示しているにすぎず,自他商品識別機能を果たすものとはいえず,「商標の使用」に該当するものとはいえない。また,被請求人が実際に使用していると主張する「CRAYON INC.」の使用態様に鑑みると,かかる使用標章が,本件商標「クレヨン/CRAYON/CRAYON」と社会通念上同一の商標の使用であるとすることも認められない。
(4)むすび
以上より,乙第1号証ないし乙第8号証によっては,本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に日本国内における使用が証明されていないから,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,取消しを免れないものである。
3 平成27年5月14日付け口頭審理陳述要領書における陳述
(1)乙第11号証ないし乙第15号証は,被請求人が,ファッション業界で以前から「クレヨン」の名称で一般的に呼ばれていることを証するものとして提出されたものである。しかし,被請求人が,ファッション業界で「クレヨン」の名称で一般的に呼ばれているとしても,その事実は,被請求人の使用商標「CRAYON INC.」が本件商標と社会通念上同一であることを証するものとはならない。
請求人は,商標法第50条第1項の「社会通念上同一」の判断に当たって,事案に応じて使用商標の構成中に自他商品識別機能を有している部分を認定して,これを判断する場合があることについて異論を唱えるものではないが,乙第16号証ないし乙第21号証に係る審決の内容は,本取消請求事件と全く事案を異にするものであり,本件商標と被請求人の使用商標が社会通念上同一である旨を裏付ける審決例とはなり得ない。
本件の場合の使用態様をみると,会社を意味する「INC.」を伴った表示は,そもそも全体として商品等の出所識別標識として機能しておらず,別途,商品等の出所を表す別の商標を目立つ態様で使用していることから,同列には論じられず,事案を異にするものである。
(2)被請求人は,年に2回ファッションショーを主催していること(乙15-2及び乙15-3),さらには,このファッションショーで,新作の「バッグ」や「リュックサック」類も発表していること(乙22),そして,当該ファッションショーの招待状に,主催として「(株)クレヨン」の表記があることを主張し,これら新たな証拠をもって,請求人が本件商標と社会通念上同一の商標を,その指定商品「かばん類,袋物」に使用している旨を主張する。
しかし,乙第22号証は,ファッションショーの写真であることが認められるものの,開催日が,被請求人が主張するとおり,2014年2月7日であることを客観的に示すものではない。また,「バッグ」や「リュックサック」類の写真が認められるものの,かかる商品に本件商標が付されていることは見てとれない。また,乙第22号証に示す最初の写真に「Lois CRAYON」の文字が薄っすらと見てとれるが,かかる表示は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものではない。
(3)乙第23号証は,被請求人が開催したファッションショーの招待状であり,被請求人が主張するとおり,招待状の下部に「(株)クレヨン」の文字が認められる。しかし,かかる表記は,単に被請求人の商号を表示したものと理解されるに止まるものであり,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用とはいえない。
したがって,被請求人が新たな証拠として追加した乙第22号証及び乙第23号証をもってしては,被請求人が,本件商標と社会通念上同一の商標を,その指定商品「かばん類,袋物」に使用していたとはいえない。
4 平成27年7月3日付け上申書
(1)乙第2号証のイメージカタログ(2014年春・夏号)の追加書面の乙第30号証-1の上部に大きく,カタログのタイトルを示す「Lois CRAYON 2014 SS」の表示があり,撮影の依頼主たる会社等を示すと考えられる「■Client」の項目の下に,「株式会社クレヨン」の記載があり,乙第30号証-2の「件名」の項目に,「Lois CRAYON 2014 SSストーリーブック・DM」の記載があるが,イメージカタログのタイトルは「Lois CRAYON」であり,これこそが,被請求人の製造・販売する商品に係るブランド名(商標)であり,自他商品識別機能を果たす部分であるといえる。そして,この「Lois CRAYON」は,本件商標と同一ではなく,また,社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
乙第31号証は,カタログの制作日程表であるところ,日程表の最上部にも「Lois CRAYON 2014 Spring & Summer Collection」の表示がある。これも上記と同様に,「Lois CRAYON」が,被請求人の製造・販売する商品に係るブランド名(商標)であって,自他商品識別機能を果たす部分であるといえる。
乙第32号証は,印刷会社からの見積書であるが,見積書の一番上段には,「株式会社クレヨン」,すなわち被請求人の商号あるいは会社名が記載されており,見積書の項目を示す表の一番上部には,「Lois CRAYON STORY BOOK 2014SS」との記載がある。これについても上記と同様,「Lois CRAYON」が,被請求人の製造・販売する商品に係るブランド名(商標)であり,自他商品識別機能を果たす部分であることが示されており,「株式会社クレヨン」は単に被請求人の商号あるいは会社名と認識されるものであって,本件商標と同一ではなく,また社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
(2)乙第3号証の被請求人のイメージカタログ(2014年春・夏号)」(審決注:2012年-13年秋・冬号の誤記と認められる。)の追加書面の乙第35号証-1,乙第35号証-2及び乙第37号証についても,上記と同様に,「Lois CRAYON」が,被請求人の製造・販売する商品に係るブランド名(商標)であり,自他商品識別機能を果たす部分であることが示されており,「株式会社クレヨン」は単に被請求人の商号あるいは会社名と認識されるものであって,本件商標と同一ではなく,また社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
以上より,乙第29号証ないし乙第38号証によって,被請求人が既に提出しているイメージカタログ(乙第1号証ないし乙第3号証)の作成者・作成日・作成数等が明らかになったとしても,それによって本件商標が取消請求に係る指定商品に使用しているものであることが証されるものではない。また,前記各証拠において記載されている「株式会社クレヨン」の表示は,出所識別力を生じさせる態様での使用とはいえず,出所識別標識として機能しているのは,被請求人のイメージカタログのタイトルの一部を構成する「Lois CRAYON」の部分である。そして,かかる「Lois CRAYON」は,本件商標と同一ではなく,また社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
(3)被請求人は,「乙第22号証及び乙第23号証に関する追加書面」において,被請求人主催のファッションショーの利用概算書(乙39)及びファッションショーに出演したモデルのブログ(乙40)を証拠として提出し,これらの証拠により,乙第22号証の写真が,被請求人主催のファッションショーを撮影したものであることを証明しようとしている。
乙第39号証ないし乙第41号証のいずれについても被請求人の製造・販売する商品に係るブランド名(商標)として「Lois CRAYON」ないし「ロイスクレヨン」が表示されており,かかる部分について出所識別機能を果たすものであることがいえる。そして,かかる表示は,本件商標と同一ではなく,また,社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
被請求人は,乙第23号証の招待状の下部に表示された「(株)クレヨン」には,住所・電話番号・FAX番号・URLなどを伴う記載は一切ないため,請求人が例示する審決例(甲4,甲5)は妥当せず,「(株)クレヨン」を商標でないとする判断は請求人のこれまでの主張と矛盾するものだと主張する。
しかし,請求人は,単に,商号・会社名が記載された下部に住所・電話番号等の記載があるか否かが,ある商号・会社名の記載が商標として使用されているか否かの基準となると主張しているものではない。仮に商号であっても,それが特定の商品・サービスの出所識別機能を果たす態様で使用されている場合には,商標として機能することがあるといえる一方,単に自己の名称を普通に用いられる方法で表示されているにすぎない表示については,特定の会社を識別するための表示として使用されているにすぎず,商標として機能しているとはいえないということを述べているものであり,請求人の主張に何ら矛盾するところはない。
この点について,乙第23号証の招待状について再度検討すると,招待状は,カラー印刷されたカード状の面,中央真ん中に,目立つ態様で「Lois CRAYON」との記載があり,被請求人商品の出所識別機能を果たす態様で表示されているのに対し,「(株)クレヨン」の表示は,「主催」の文字の下方に「(株)クレヨンハイスタイル研究所」と併記する態様で表示されており,また,別の箇所では「Staff」の文字の下方に「(株)クレヨンハイスタイル研究所」と併記する態様で表示されている。そのため,この表示に接する需要者等は,「(株)クレヨン」の表示は,「Lois CRAYON」というブランド等のファッションショーの主催者が(株)クレヨンであると認識するというのが自然なので,乙第23号証の招待状において表示する「(株)クレヨン」は,その使用態様からみて,商標として使用されていると考えられるものではない。そして,「Lois CRAYON」は,本件商標と同一ではなく,また社会通念上同一と認められる商標ともいえない。
(4)被請求人は,復刻版の商品に付されたとするタグの仕様書(乙42),被請求人の商品の復刻版に付されたタグの印刷見積書(乙43-1),被請求人の商品の復刻版に付されたタグの印刷請求書(乙43-2),インターネットブログの抜粋(乙44)を提出している。
しかし,上記証拠のみで,本件商標が,被請求人が主張する「かばん類,袋物」に使用していたことを証明することはできない。乙第42号証は,タグの仕様書であって,これが実際に「かばん類,袋物」といった商品に付され使用されていたことを証する証拠は被請求人によって提出されてない。また,乙第43号証-1は,タグの印刷見積書であるが,かかる見積書に記載の「タグ」が乙第42号証の仕様書と同じタグであることを証明する証拠は提出されてない。ここで,乙第42号証に示す仕様書には,タグの<穴空け位置>として「■2.5mm直径」と表示されているが,乙第43号証-1の印刷見積書の表においては,「穴あけ(直径3mm)」とあることから,乙第42号証に示すタグと,乙第43号証?1で表示されているタグが同じ商品であるとするには著しい疑義が生じるものといえる。
(5)さらに,乙第43号証?2の印刷請求書の伝票中には,「注文No./受注No.」の欄があり,かかる場所には受注No.等と思われる数字が記載されているところ,乙第43号証-1の印刷見積書(得意先元帳)の最下部では「受注No.」の欄が空欄になっており,また,両者は枚数がタグ1000枚とされている点が共通するものである以外に,両者の対応関係を明確に示す記載はなく,印刷見積書と印刷請求書についてもその対応関係が不明である。また,仮にこのタグが存在していたとした場合であっても,これが「かばん類,袋物」に使用されていたことは何ら示されていない。
したがって,被請求人が主張するところのタグ(乙42)が要証期間内に「かばん類,袋物」に使用していたものと証明できるものではない。
(6)被請求人は,復刻版の商品に乙第42号証で示すタグが付され,このタグが存在したことを証するべく,乙第44号証でインターネットブログ"えりかの「日々のこと」"を提出している。しかし,かかるブログにおいて,タグについての言及がされたことをもって,これが取消請求に係る「かばん類,袋物」に使用していたものと証明できるものではない。
なお,乙第44号証で示されたブログの記載中には,以下の各記載が見受けられる。
・「ロイスクレヨンのファッションショー!当たりました。びっくり?」(乙44の1頁2行目)
・「やっぱり全身ロイスで行くべきなんだよね。」(乙44の1頁最終行)
・「ロイスのお洋服でしたら,新旧どちらでもよいと思いますよ♪お気に入りのロイス服で楽しんできてください?♪」(乙44の2頁最終行から9行目ないし10行目)
・「『全身ロイス』珍しくないのに意識すると何だか」(乙44の3頁10行目)
この中で,「ロイス」とは,「ロイスクレヨン」の略称であると考えるのが自然であり,「ロイスクレヨン」は,被請求人が商標として使用している「Lois CRAYON」の称呼を片仮名で表記したものであるといえる。このことからも,被請求人商品の出所識別機能を果たすのは「ロイスクレヨン」と称呼される「Lois CRAYON」の部分であり,「(株)クレヨン」ないし「クレヨン」ではないといえる。
以上より,被請求人が新たな証拠として提出した乙第24号証ないし乙第44号証をもってしても,被請求人が,本件商標と社会通念上同一の商標を,その指定商品「かばん類,袋物」に使用(商標法第2条第3項各号)していたとはいえない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論と同旨の審決を求める,と答弁し,審判事件答弁書,平成27年4月23日付けの口頭審理陳述要領書及び同年6月17日付けの上申書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第44号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証は,被請求人が年2回(春・夏と秋・冬)作成し,配布している「イメージカタログ」である。カタログ中に商品名(例えば,「コート」「セーター」など)や価格は表示されていないが,カタログの写真に写っている商品は,そのシーズンの新作であり,被請求人の店舗(カタログの裏表紙に店舗が掲載されている)で実際に販売されているものであり,一般的な商品カタログと何ら変わるものではない。
乙第2号証の「イメージカタログ(2014年春・夏号)」には,第10頁から第13頁にかけてバッグが掲載されており,これらは全て被請求人の店舗で販売されたバッグであり,本件商標の指定商品「かばん類」に該当する商品である。
そして,このイメージカタログの裏表紙には,「CRAYON INC.」の文字があり,これは商品に関する広告に付されて自他商品識別機能を果たすものであるため,「商標の使用」に該当する。
(2)乙第4号証について
乙第4号証は,被請求人が乙第1号証ないし乙第3号証のイメージカタログ等を発送する際に使用する封筒であり,封筒の表面左下と裏面中央上には,「CRAYON INC.」の文字がある。これも,封筒の中に当該イメージカタログを入れて顧客や取引先に対して発送すれば,上記イメージカタログと同様に,商品に関する広告に付されて自他商品識別機能を果たすものであるため,「商標の使用」に該当する。
2 平成27年4月23日付け口頭審理陳述要領書における陳述
イメージカタログや封筒に表示されている商標は「CRAYON INC.」であるが,このうち「INC.」は会社を意味するincorporatedの略語にすぎないので,実質的に「CRAYON」の部分が自他商品識別機能を果たし得る。
そうすると,使用商標は「CRAYON INC.」であり,本件商標と物理的に同一ではないが,本件商標が被請求人の商号に由来するとともに,ファッション業界では以前から「クレヨン」の名称で一般的に呼ばれていることからすれば(乙11?乙15),本件商標と使用商標は正に社会通念上同一であるといえる。
被請求人(商標権者)は,年に2回ファッションショーを主催している(乙15-2及び乙15-3)。このファッションショーでは,新作の「バッグ」や「リュックサック」類も発表されている(乙22)。そして,ファッションショーの招待状には,主催として「(株)クレヨン」の表記がある(乙23)。
これは,本件商標と社会通念上同一の商標を,その指定商品「かばん類,袋物」に使用(商標法第2条第3項第8号)しているものである。
3 平成27年6月17日付け上申書
(1)乙第2号証の「被請求人のイメージカタログ(2014年春・夏号」については,1.作成者(作製責任者):株式会社フェイス 〒541-0048 大阪府大阪市(以下省略),2.作成日(配布開始日) 2014年2月20日,3.作成数(発行部数)40000部,4.配布先(頒布先)・直営店全店・全ディベロッパー担当者・採用先学校担当者及び所属学生・商品部取引先会社担当者・スタイリスト・雑誌社・その他であり,乙第29号証は,上記全般についての被請求人担当者の証明書である。
(2)乙第3号証「被請求人のイメージカタログ(2012-13年秋・冬号)」については,1.作成者(作製責任者)株式会社フェイス 〒541-0048 大阪府大阪市(以下省略),2.作成日(配布開始日) 2012年8月24日,3.作成数(発行部数)50000部,4.配布先(頒布先) ・直営店全店・全ディベロッパー担当者・採用先学校担当者及び所属学生・商品部取引先会社担当者・スタイリスト・雑誌社・その他であり,乙第34号証は,上記全般についての被請求人担当者の証明書である。
(3)乙第39号証は,被請求人主催のファッションショー(開催日:2014年2月7日)について,会場となった「スパイラルホール」(東京都港区)の利用概算書である。また,このファッションショーに出ていたモデルA(乙22の13枚目左上写真の人物)が自身のブログで,当該ファッションショーのことを写真付き(乙22の13枚目左上写真と同じ服装で同じバッグを持っている)で報告している(乙40)。これらにより,乙第22号証の写真が,被請求人主催のファッションショー(開催日:2014年2月7日)を撮影したものであることを証明できると考える。
(4)乙第23号証のファッションショーの招待状については,被請求人が手作りで作成したもので,配布先(頒布先)は,お客様・取引先・関係先となる。お客様に関しては各店舗に観覧応募用紙(乙41)を置き,来店されたお客様にこの観覧応募用紙で応募してもらうようにしている。観覧応募用紙には,「ペア50組100名様を抽選でご招待」となっているが,キャンセルやお一人で来場されるお客様もいらっしゃるために,実際は約「ペア80組160名様」程度に招待券を配布している。また,関係先には,各店舗の店長も含まれるから,招待状は,全部で350部程度作成し,配布している。
(5)被請求人は,設立40周年を記念して,2011年11月より過去に販売された商品の復刻版(The Classic)を販売した。復刻版の商品に付されたタグに「CRAYON」の文字が表示されている(乙42)。乙第43号証-1,乙第43号証-2は,そのタグを作成した業者の見積書と請求書(得意先元帳)である。なお,このタグの存在については,インターネットブログ"えりかの「日々のこと」"で「(略)最近はクラシックシリーズとか言ってリメイク商品はクラシックタグが付いてたし(略) so_ko 2012-01-19 11:38:56」というコメントがある(乙44)。これは,本件商標と社会通念上同一の商標を,その指定商品「かばん類,袋物」に使用(商標法第2条第3項第8号)しているものである。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証は,「VINTAGE RESORT Spring & Summer Collection 2014」と題する被請求人のイメージカタログ(2014年春・夏号)の写しであり,その表紙には,下部に「Lois CRAYON」(以下,色彩のみを異にするものを含めて「本件使用商標」という。なお,本件使用商標における「CRAYON」の表示態様は,本件商標の3段目の欧文字表記と同じである。)の記載があり,また,裏表紙には,上部に本件使用商標,下部に「CRAYON INC.」及び中程に国内の取扱店34店舗及び直営店12店舗の記載があり,さらに,カタログの10頁ないし13頁には,婦人服とともにバッグが掲載されている。
(2)乙第11号証は,「マネジメントレポート Vol.381 1999年10月号」(平成11年10月1日発行 第一勧銀総合研究所)であるところ,50頁の右下には,「梅田・HIP FIVEの3階にあるロイスクレヨンの店」の記載と被請求人の店舗の店頭に婦人服とともにバッグが展示されている写真が掲載されている。
(3)乙第22号証は,2014年2月7日に開催された被請求人主催のファッションショーの様子を写した写真であるところ,1葉目の左上の写真には,ファッションショーのステージの背景に,末尾の「N」の部分が背景との関係で読み取れないものの,本件使用商標と思しき文字が写っており,2葉目の右下,3葉目の右上,左下及び右下,4葉目の右上及び右下,5葉目の左下及び右下,6葉目の右上及び左下,7葉目の右下,8葉目の右下,9葉目の左上及び右下,10葉目の左上及び右下,13葉目の左上,右上及び右下,14葉目の右上,15葉目の左上の写真には,モデルとともにバッグが写っている。
(4)乙第23号証は,2014年2月7日に開催された被請求人主催のファッションショーの招待状の写しであり,1葉目には,「2014 Spring & Summer Collection」の記載があり,2葉目には,本件使用商標の記載があり,3葉目には,「Fashion Show」,「SPRING & SUMMER COLLECTION 2014」,「2014.2.7(FRI)」,「OPEN 15:30/START 16:00」,「スパイラルホール3F」,「東京都港区(以下省略)」及び「主催 (株)クレヨンハイスタイル研究所 (株)クレヨン」の記載がある。
(5)乙第39号証は,2013年12月9日を発行日とする,株式会社クレヨンに宛てた,株式会社ワコールアートセンターが発行元の「スパイラルホールの利用概算書」であり,件名の欄に,「Lois CRAYON 2014 S/S Fashion Show」,開催日の欄に,「2014年2月7日(金)仕込・本番・撤去」の記載がある。
(6)乙第40号証は,被請求人の開催したファッションショーに出演したモデルAの2014年2月8日付けインターネットブログ(抜粋)であり,「ロイスクレヨン 2014 S/S ファッションショー」の見出しの下,同モデルが写っている写真とともに「前回,秋冬でも出させていただきましたロイスクレヨンさんの春夏コレクションでした」の記載がある。そして,この写真のモデルは,乙第22号証の13葉目の左上の写真のモデルと同じ服装で同じバッグを持っている。
2 以上の事実を総合すれば,以下のとおり判断することができる。
(1)使用者及び使用時期について
上記1(1)によれば,本件商標権者は,要証期間内に,新作の「婦人服」や「バッグ」に関して,本件使用商標を付した「VINTAGE RESORT Spring & Summer Collection 2014」と題する被請求人のイメージカタログ(2014年春・夏号)を少なくとも国内の取扱店34店舗及び直営店12店舗に頒布したものと推認できる。
また,上記1(3)ないし(6)によれば,本件商標権者は,要証期間内である2014年2月7日(金)に東京都港区に所在する「スパイラルホール」において,ファッションショー(2014 Spring & Summer Collection)を開催し,新作の「婦人服」や「バッグ」に関する広告において本件使用商標を使用したものと認められる。
(2)使用商品について
上記1(1)ないし(3)によれば,被請求人は,婦人服とともにバッグを取り扱っているものと優に推認できる。
そして,本件商標権者は,商品「バッグ」に関する広告に本件使用商標を表示したものであるところ,該商品は,本件審判の請求に係る指定商品中の「かばん類」の範ちゅうに含まれるものと認められる。
(3)本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は,別掲のとおり,「クレヨン」の片仮名,「CRAYON」の欧文字及び「CRAYON」の欧文字(両欧文字の「RAYON」部分は,それぞれの「C」部分に比べ,一回り小さく表示されており,また,3段目の「C」部分は,弧の左側部分が三日月のような特徴的なデザインが施されている。)をやや広めに行間を空けて3段に横書きしてなるものである。本件商標からは,「クレヨン」の称呼及び観念が生じる。
他方,本件使用商標は,「Lois CRAYON」の欧文字からなるところ,その構成中,後半の「CRAYON」部分は,本件商標の3段目の欧文字と同一の表示態様,すなわち,「C」部分は,弧の左側部分が三日月のような特徴的なデザインが施され,かつ,「RAYON」部分は「C」部分に比べ,一回り小さく表示されており,前半の「Lois」部分と比べ,看者の注意を引く表示態様となっているものであるから,当該「CRAYON」部分も独立して自他商品の識別力を発揮するものであるといえる。そして,当該「CRAYON」部分からは,「クレヨン」の称呼及び観念が生じるものである。
そうすると,本件使用商標の要部たり得る「CRAYON」部分は,本件商標の3段目と外観を共通にし,かつ,本件商標とは称呼及び観念が同一であるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(4)小活
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内に,日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品中の「かばん類」に含まれる「バッグ」に関する広告(イメージカタログ,ファッションショー)において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布又は展示したものと認められ,これは,商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布又は展示する行為」にいう使用行為をしたということができる。
(5)まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に,日本国内において,本件商標権者がその請求に係る指定商品中の「かばん類」に含まれる「バッグ」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2016-06-14 
結審通知日 2016-06-17 
審決日 2016-06-29 
出願番号 商願平11-57636 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z18)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 高橋 幸志 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2000-09-01 
登録番号 商標登録第4412662号(T4412662) 
商標の称呼 クレヨン 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 
復代理人 五十嵐 敦 
代理人 岩田 敏 
復代理人 森本 久実 
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