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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1321394 
審判番号 不服2015-13533 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-16 
確定日 2016-10-28 
事件の表示 商願2014-86622拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「バウムクーヘン」を指定商品として、平成26年10月15日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同27年3月12日付けの手続補正書により、第30類「鉾田市産のバウムクーヘン」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は『HOKOTABAUM』の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであり、その指定商品を『鉾田市産のバウムクーヘン』とするものであるところ、本願商標の構成中『HOKOTA』の部分は、その指定商品との関係からして、「(茨城県)鉾田市」を容易に理解させ、『BAUM』の文字は、『バウムクーヘン』を容易に理解させる語であるから、本願商標は、その指定商品に使用された場合、全体として『鉾田市のバウムクーヘン』ほどの意味合いを取引者、需要者に認識させるものといえる。そうすると、本願商標を指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、鉾田市で生産又は販売されるバウムクーヘンであることを認識するにとどまるものと認められる。したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、「HOKOTABAUM」の欧文字をややデザイン化した書体で横書きしてなるものであるところ、その構成は全体として格別特殊な態様とはいえず、いまだ普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示してなるものである。
そして、別掲2によれば、「鉾田市」を表すものとして「HOKOTA」の欧文字が使用されている事実があり、別掲3によれば、「バウムクーヘン」を表すものとして「BAUM」の欧文字が使用されている事実がある。
また、別掲4からは、ある地域で生産又は販売されるバウムクーヘンについて、地域名を認識させる語と「BAUM」に通じる「バウム」とを組み合わせた「○○バウム」(○○は地域名を認識させる語)の構成からなる語が用いられている実情がうかがえる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「HOKOTA」の文字部分は「鉾田市」を、「BAUM」の文字部分は「バウムクーヘン」を表したものと認識し、その全体を「鉾田市のバウムクーヘン」、「鉾田市産のバウムクーヘン」であること、すなわち、鉾田市を産地又は販売地とするバウムクーヘンであることを表わしたものと認識するにとどまるといえる。
したがって、本願商標は、その指定商品の産地、販売地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「HOKOTA」と「BAUM」の間にスペースが存在せず、一体不可分であるから、「HOKOTA」と「BAUM」に分離して、本願商標に識別力があるか否かを判断している手法は穏当ではない旨主張している。
しかしながら、本願商標が指定商品の「鉾田市産のバウムクーヘン」に使用された場合、少なくとも「BAUM」の部分は「バウムクーヘン」の意味を有するために指定商品の「バウムクーヘン」を表したものと理解されるものであるから、本願商標は、「HOKOTA」の文字と「BAUM」の文字とを組み合わせた構成からなるものと容易に認識される。そして、「HOKOTA」の文字が茨城県にある鉾田市を意味するものとして使用されていることは、上記(1)のとおりである。なお、請求人は、「HOKOTA」の文字が鉾田市を表しているとする事実としては、該文字が菓子であるバウムクーヘンに使用されている事実が必要であって、ゴルフや観光事業に使用されている事実をもって判断することは妥当ではないとも述べているが、「HOKOTA」の文字が鉾田市を表すものと認識されるとの判断にあたっては、該文字がその指定商品について使用されているとの事実が必ずしも要求されるものではない。
そして、地域名を認識させる語と「BAUM」に通じる「バウム」とを組み合わせた「○○バウム」の構成からなる語が用いられている実情があることを併せ考慮すると、本願商標は、「鉾田市のバウムクーヘン」、「鉾田市産のバウムクーヘン」であることを表わしたものと認識されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たさないといわざるを得ない。
イ 請求人は、本願商標は、普通に用いられる商標ではないとして、「鉾田市はバウムクーヘンの産地、販売地として知られていないし、本願商標は、取引上普通に使用されているものではなく、出願人のみが使用しているものであるから、普通に使用されている商標とは認識されない」旨、主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、その表示態様が商品の品質等を表すものとして必ず使用されているものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の摘要において必ずしも要求されない。
また、請求人は、本願商標は、全体としてやや太字であり、ゴシック体調の文字であり極めて特徴のある書体であるとも主張している。
しかしながら、指定商品に係る業界において、この程度のデザイン化は、商品の包装袋などにおいては普通に採択、使用されており、決して特殊な態様からなるものということはできない。
したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標

別掲2 「鉾田市」を表すものとして「HOKOTA」の欧文字が使用されている事実
ア 「鉾田市立図書館」のウェブサイトにおいて、「Hokota Public Library」の記載がある。
(http://www.lib-hokota.jp/index.html)
イ 「鉾田市商工会」のウェブサイトにおいて、「Hokota Societies of Commerce and Industry」の記載がある。
(http://www.hokota-shoko.jp/)
ウ 「鉾田市」のウェブサイトにおいて、トップページに「鉾田市観光協会 Welcome to Hokota」の記載がある。
(http://www.city.hokota.lg.jp/)
エ 「鉾田市」のウェブサイトにおいて紹介している、「くらしのガイドブック」の表紙の「鉾田市」に「HOKOTA」が併記されている。
(http://www.city.hokota.lg.jp/uploads/guidebook.pdf)
オ 2015年5月18日付け朝日新聞において、「メロンのコンテスト /茨城県」の見出しの下、「鉾田市で17日、『HOKOTA合併10周年記念 メロンコンテスト&フェス』が開かれた。」の記載がある。

別掲3 「バウムクーヘン」を表すものとして「BAUM」の欧文字が使用されている事実
ア 「株式会社ヌベール」のウェブサイトにおいて、「潤いばうむ」の項において、「潤いばうむ」の右肩に「URUOIBAUM」の記載があり、これらの見出しの下、「しっとりを極めて『潤っている』食感のバウムクーヘンです」の記載がある。
(http://uruoi-sweets.com/)
イ 「Tops」のウェブサイトにおいて、「HITOTSUGI BAUM (ヒトツギ バウム)」の見出しの下、「トップスオリジナルミルクチョコレートを使用してしっとりと焼き上げたチョコレートバウムクーヘンです。」の記載がある。
(http://www.akasaka-tops.co.jp/itemlist/item/hitotsugi/baum.shtml)
ウ 「石屋製菓」のウェブサイトにおいて、「PREMIUM BAUM TSUMUGI」の見出しの下、「円熟の味わい。『プレミアムバウム』。」、「バターに、小麦粉、卵、砂糖。バウムクーヘンの基本材料は、じつにシンプル。」の記載がある。
(http://www.ishiya.co.jp/item/premium_baum/details/)
エ 「洋菓子の店クランツ」のウェブサイトにおいて、「Baum-バウムクーヘン」の記載がある。
(http://kk-kranz.jp/lesgateaux.php?type=5)
オ 「レマンの森」のウェブサイトにおいて、「This IZU BAUM」の見出しの下、「これぞ伊豆のバウムクーヘン!!」、「伊豆の大地の恵みをふんだんに使用した最先端バウム」の記載がある。
(http://www.leman-mori.jp/baum.php)

別掲4 ある地域で生産又は販売されるバウムクーヘンについて、地域名を認識させる語と「BAUM」に通じる「バウム」とを組み合わせた「○○バウム」(○○は地域名を認識させる語)の構成からなる語が用いられている実情
ア 「OIDE SHOP」のウェブサイトにおいて、「岩手県遠野市で生まれた遠野バウム」の見出しの下、「上品な甘さとふんわりした食感がたまらなくおいしいバームクーヘンに仕上がっています。」の記載がある。
(https://www.oideshop.com/html/tono_ba.html)
イ 「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「クローバー 広島バウム クローバーリング」の見出しの下、「こだわりの広島バウム ほろ苦く表面をキャラメリゼした大人気商品です。」、「日本でのバウムクーヘンの発祥の地 広島から幸せをお届けします!!」の記載がある。
(http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%98%E3%83%B3%E5%B0%82%E9%96%80%E5%BA%97cloveer-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-%E5%BA%83%E5%B3%B6%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%A0-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/B0063OYNW8)
ウ 「東京・多摩のおみやげ」のウェブサイトにおいて、「国立ばうむ(大)」の見出しの下、「厳選された材料を使い、こくのある美味しいバウムクーヘンが誕生しました。」、「【販売場所】レ・アントルメ国立 キッチンバウム」「【お問い合わせ】レ・アントルメ国立 キッチンバウム・・・国立市東1-17-・・・」の記載がある。
(http://www.tamanoomiyage.jp/cgi-bin/item.cgi?item=001000000248)


審理終結日 2016-01-06 
結審通知日 2016-01-07 
審決日 2016-03-29 
出願番号 商願2014-86622(T2014-86622) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 松浦 裕紀子
田中 亨子
商標の称呼 ホコタバウム、ホコタバーム、ホコタ、バーム 
代理人 中川 邦雄 

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