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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1321353 
審判番号 取消2014-670046 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-10-28 
確定日 2016-07-20 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第814258号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第814258号商標(以下「本件商標」という。)は、「LIM」の欧文字を横書きしてなり、2003年(平成15年)7月2日に国際商標登録出願、第25類「Shirts;blouses;skirts;suits;short jackets;trousers;shorts;undershirts;pyjamas;knitted underwear;corsages;briefs and pants;brassieres;coveralls;hats;overcoats;coats;swimming costumes;ski trousers;dressing gowns;footwear in general,including:slippers;sports shoes;boots and sandals.」を指定商品として、平成17年4月8日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同26年11月6日にされている。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
そして、請求人は、その理由として、本件商標がその指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものであると主張している。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対しては、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、以下のとおり、日本国内において予告登録前三年以内に、被請求人によって指定商品について使用されていた。
(1)「Trend Select」紙への掲載
株式会社ディノス・セシールが発行しているDINOSの通販カタログ「Trend Select」へ本件商標を付された商品が掲載されている(乙1ないし乙3)。
すなわち、乙第1号証ないし乙第3号証の表紙の右側中段には、本件商標が記載されており、また本件商標に係る商品の掲載頁においては、本件商標と社会通念上同一である「LIM」、「lim」又は「リム」と記載されており、ページ下部左側又は右側に本件商標の商品、商品コード及び値段が掲載されており、少なくとも本件商標に係る指定商品中の「スカート」及び「ショートパンツ」について掲載されている。
以上のことから、被請求人は、日本国内において本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標について商標法第2条第3項第8号に規定されている使用をしていることは明らかである。
(2)DINOSウェブページへの掲載
本件商標について、DINOSのオンラインショッピングに係るウェブページに本件商標を付した商品を掲載している(乙4)。
DINOSのウェブページにおける本件商標の検索結果において、本件商標に係る指定商品中の「スカート」が掲載されている。
以上のことから、被請求人は、日本国内において本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標について商標法第2条第3項第8号に規定されている使用をしていることは明らかである。
(3)本件商標の日本企業を通じた使用
被請求人は、日本の企業である蝶理株式会社を通じて日本において本件商標を付した商品を販売している。
被請求人は、当該事実を立証するために、被請求人である「STEFANO MORTARI S.R.L.」から蝶理株式会社宛ての請求書を提出する(乙5)。
本インボイスには、本件商標である「LIM」が記載されており、また、本件商標の指定商品中の「スカート」が記載されている。このことから、本件商標に係る商品に登録商標を付して販売していたことは明らかである。
また、被請求人は蝶理株式会社を通じて(蝶理株式会社を問屋として)本件商標が使用されている商品を我が国で販売していたことから、同人が本件商標を使用していたといえる。仮に、被請求人が使用されていないとされたとしても、蝶理株式会社に上記商品を販売させたことによって黙示の使用許諾をしていたと解される。したがって、本件商標は被請求人である商標権者自身ないしは使用権者によって使用されていたといえる。
以上のとおり、乙第5号証から、商標法第2条第3項第8号に規定されている使用をしていることは明らかである。
(4)本件審判の予告登録前3年以内による本件商標の使用
本件審判は平成26年11月6日に予告登録されたが、本答弁書において提出した証拠から遅くとも2013年には本件商標が使用されていたことは容易に推測可能である。
2 まとめ
以上のことから、本件商標が本件審判の取消請求に係る商品について予告登録前3年以内に被請求人によって使用されていたことが客観的に証明された。したがって、本件商標の登録は取消を免れることができる。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証は、「dinos」が発行するカタログ「Trend Select of the World 2013/Winter collection」の写しであるところ、1枚目の表紙と思しき頁には、右中央部に「Lim」「リム」の記載があり、また、当該カタログの40頁と思しき4枚目には、中央上部に「Lim」及び「リム」の文字が記載され、その下には、「“テイストの伝達人”が手掛ける洗練ニット」の見出しの下、「Less is More(レス・イズ・モア)。建築の巨匠、ミース・ファンデル・ローエの名言から名付けられた『リム』。イタリアが生んだニット&カットソーの名匠のひとり、ステファノ・モルタリ氏が手掛けるブランドです。」の記載がある。
そして、当該カタログの抜粋と認められる5枚目から9枚目には、「lim」の文字及び「カーディガン」「プルオーバー」「スカート」等の商品名が掲載され、それぞれの商品番号、価格等が記載されている。
さらに、最後の頁には「カタログ有効期限2014年3月31日(月)まで」の表示がある。
(2)乙第2号証は、「dinos」が発行するカタログ「Trend Select of the World 2014/Summer collection」の写しであるところ、1枚目の表紙と思しき頁には、右中央部に「Lim」「リム」の記載があり、当該カタログの抜粋と認められる2枚目から5枚目には、「カーディガン」「プルオーバー」「スカート」等の商品名が掲載され、それぞれの商品番号、価格等が記載されている。また、その2枚目の右中央部には、大きく「lim」の文字とその下に「潮風と目映い太陽に魅せられて-。天才的感性でミニマルなデザインをソフィスティケイトすることに長けたステファノ・モルタリ氏が手掛けるイタリアンブランド『リム』。」の記載がある。
(3)乙第3号証は、「dinos」が発行するカタログ「Trend Select of the World 2014/Winter collection」の写しであるところ、1枚目の表紙と思しき頁には、左中央部に「Lim」「リム」の記載があり、当該カタログの抜粋と認められる2枚目から4枚目には、「リム」「lim」の文字及び「カーディガン」「プルオーバー」「スカート」等の商品名が掲載され、それぞれの商品番号、価格等が記載されている。
(4)乙第4号証は、カタログ通販サイト「ディノスオンラインショップ」において、商品検索により「LIM」を検索した結果が表示された写しであるところ、これは、その右下に記載された「2015/01/19」の表示から、2015年1月19日に印刷されたものということができる。そして、商品の写真の下に、それぞれ「lim/リム」の文字及び「ウールジャージージャガードワンピース」「チェックプリントタートルプルオーバー」「ウールジャージージャガードタイトスカート」等の商品名と価格が記載されている。
(5)乙第5号証の1、2及び4は、「PROFORMA INVOICE」(見積もり送り状)であるところ、それぞれの「DATE」(日付)の欄には、乙第5号証の1は「15/03/2013」、乙第5号証の2は「28/10/2013」、乙第5号証の4は「08/04/2014」の表示があり、いずれも左上部に「STEFANO MORTARI S.R.L.con unico socio」「37121 VERONA-Via Oberdan,6-ITALY」の記載、また、「SPETT.LE」(御中)の表示の下に「CHORI.CO.,LTD.」及び「2-3-4 HORIDOME CHO NIHONBASHI,CHUO-KU TOKYO」の記載がある。さらに、中央には「SKIRT」「CARDIGAN」等の商品名、数量、価格の記載があり、「SALE TERMS AND NOTES」(販売条件及び注)の欄に「LABEL:LIM」と記載されている。
2 事実認定及び判断
(1)使用時期について
乙第1号証ないし乙第3号証のカタログ雑誌は、発行日は明らかではないが当該雑誌に記載された「2013/Winter」及び「カタログ有効期限2014年3月31日(月)まで」、「2014/Summer」並びに「2014/Winter」の表示から、2013年(平成25年)の冬から2014年(平成26年)の冬にかけて頒布されたものと推認し得る。
また、乙第5号証の1、2及び4のインボイスにおいては、乙第5号証の1は、2013年3月15日、乙第5号証の2は、2013年10月28日、乙第5号証の4は、2014年4月8日に作成されたものである。
そして、当該時期は本件審判の請求の登録(登録日は平成26年11月6日)前3年以内である。
(2)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり「LIM」の文字からなるものである。また、乙第1号証ないし乙第3号証のカタログ雑誌及び乙第4号証のカタログ通販サイトにおける使用商標は、「Lim」「リム」「lim」の文字からなるものであり、また、乙第5号証の1、2及び4のインボイスに記載されている使用商標は「LIM」の文字であり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(3)使用商品について
第1号証ないし乙第3号証のカタログ雑誌に掲載されている「スカート」(以下「使用商品」という。)、また、乙第5号証の1、2及び4のインボイスに記載されている商品「SKIRT」は、取消請求に係る指定商品中の「skirts」と同一の商品とみることができる。
(4)商標権者の「使用」について
乙第1号証及び乙第2号証のカタログ雑誌は、株式会社ディノス・セシールが発行するものであるところ、当該カタログには、「イタリアが生んだニット&カットソーの名匠のひとり、ステファノ・モルタリ氏が手掛けるブランドです。」「・・・ステファノ・モルタリ氏が手掛けるイタリアンブランド『リム』。」の記載があったことが認められ、この事実に照らしてみれば、商標権者は、少なくとも、本件審判の請求の登録前3年以内に、当該カタログを通じて、使用商品について株式会社ディノス・セシールと取引があったものと推認することができる。
また、乙第5号証の1、2及び4のインボイスによれば、商標権者は、我が国における商社と認められる蝶理株式会社に対し、本件審判の請求の登録前3年以内に、「LIM」のラベルを付したスカート等を輸出したことが認められる。
ところで、商標法第2条第3項が同法上の標章の「使用」の定義を規定した趣旨は、商品に標章が表示される場合において、それが何人の使用と認められるものであるかについては社会通念にゆだねるとともに、同法の目的との関係を考慮し、特に商品の識別標識として機能すると認められる事実についてのみ、これを「使用」であると定義することにより、同法上の「使用」としての法的効果を認めるべき行為の範囲を限定したものであると解される。そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるから、その商品が実際に何人によって所有、占有されているとを問わず、同法第2条第3項に該当する行為が行われる限り、その行為は、当初、商品に商標を付した者による商標の「使用」行為であるというべきである。これを本件のような我が国で商標登録を有する外国法人との関係についてみれば、商標権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、属地主義の原則に支配され、その効力は当該国の領域内においてのみ認められるところから、当該外国法人が商標を付した商品が我が国外において流通している限りは、我が国の商標法の効力は及ばない結果、我が国の商標法上の「使用」として認めることはできないものの、その商品がいったん日本に輸入された場合には、当該輸入行為をとらえ、当該外国法人による同法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に当たる「使用」行為として、同法上の「使用」としての法的効果を認めるのが相当である。(東京高裁 平成15年6月2日判決言渡 平成14年(行ケ)第346号)
そうとすれば、本件においては、上記のとおり、本件商標の商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品について、取引先の株式会社ディノス・セシールがこれをカタログに掲載した事実及び取引があったことが推認でき、また、取引先の蝶理株式会社がこれを輸入したとの事実を認定できるから、上記株式会社ディノス・セシールの広告及び販売行為並びに蝶理株式会社の輸入行為をもって、同法第50条に規定する商標権者による本件商標の「使用」があったものと認めることができるというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品中、第25類「skirts」について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-02-24 
結審通知日 2016-02-29 
審決日 2016-03-16 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 孝子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
小松 里美
登録日 2003-07-02 
商標の称呼 リム、ライム、エルアイエム 
代理人 恩田 誠 
代理人 青木 篤 
代理人 恩田 博宣 
代理人 田島 壽 

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