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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W1825 |
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管理番号 | 1320418 |
異議申立番号 | 異議2015-900335 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-10-19 |
確定日 | 2016-09-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5778852号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5778852号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5778852号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年11月21日に登録出願、平成27年4月9日に登録査定され、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成27年7月17日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人商標について 申立人は、後足で立ち上がった馬(跳ね馬)の図形を含む商標について、日本のみならず、広く世界において使用、及び登録を所有し、この跳ね馬図形の商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を象徴するものとして、日本国内外において広く認識されている。 また、当該跳ね馬図形は、「Cavallino Rampante(カヴァッリーノ(キャバリーノ/カバリーノ)・ランパンテ」との愛称で知られ、この愛称は、関連する需要者、とりわけモータースポーツやスポーツカーに関する業界において広く認識されている事情が存在する。 さらに、申立人は、当該跳ね馬図形をあしらった商品に、「カヴァリーノ(キャバリーノ/カバリーノ)・ランパンテ」ないし「Cavallino Rampante」の文字からなる商標(以下「申立人商標」という。)を表示している。 その結果、遅くとも本件商標の登録出願日には、申立人商標は、関連する需要者及び取引者の間で、申立人の業係に係る商品を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知・著名性は、現在に至るまで維持されている。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について 上述のとおり、申立人商標は、関連する需要者及び取引者の間で、申立人の業務に係る商品を示す表示として、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知・著名性は、現在に至るまで維持されている。本件商標に係る指定商品はそれぞれ、申立人の業務に係る商品と同一であり、密接に関連する。申立人商標は、歴史的な経緯で独自に採択された創造商標であり、かつ申立人の著名な跳ね馬図形を示す愛称として広く使用されているものである。 本件商標は、斜め上前方に立ち上がった馬のシルエットと思しき図形と、該図形の下方に手書き調で「Cavallino Rampanti」の英文字を横一行に書してなるものである。特に、下段の欧文字部分は、申立人商標と文字構成がほぼ一致し、「カヴァリーノ(キャバリーノ/カバリーノ)・ランパンティ」と称呼し得ることから、称呼上も相紛らわしく、高い類似性を有する。 よって、本件商標を指定商品に使用した場合、これに接する需要者及び取引者は、申立人、又は同人と資本関係または業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかのような印象を受け、その出所について誤認混同を生ずるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるというべきである。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内または外国における需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一または類似する。また、商標権者は、日本において靴類を販売する業者であり、申立人商標は、モータースポーツやスポーツカーに関する業界において広く認識されていることに加え、被服類についても広く使用されてきたことに鑑みれば、申立人商標が申立人によって採択され、使用されているものであることを、本件商標の出願時点において認識していたことは明らかであるから、本件商標に係る出願は、不正の目的をもって行われたものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるというべきである。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 商標権者は、申立人商標が申立人によって採択され、使用されているものであることを知りながら、申立人商標と紛らわしい本件商標を、申立人の承諾を得ることなく、登録出願したものである。かかる出願は、その経緯に社会的相当性を欠くものであって、また、指定商品に関する本件商標の使用は、社会公共の利益に反する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるというべきである。 3 取消理由通知 当審において、商標権者に対し、平成28年5月31日付けで通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。 (1)申立人商標について 申立人の公式シンボルである跳ね馬図形は、「Cavallino Rampante(カヴァッリーノ・ランパンテ)」と称され、申立人の業務に係る自動車に表示される商標としても、本件商標の登録出願日前より、自動車を取り扱う分野において世界的に著名な商標といえるばかりか、我が国の自動車関連の商品を取り扱う分野の取引者・需要者やスポーツカー等自動車の愛好家の間においても広く認識されていたものと認めることができる。 また、本件商標の登録出願日前に、申立人の営業の本拠地であるイタリア国において、申立人商標の採択の歴史的経緯等に関するウェブサイトの解説記事ばかりでなく、イタリア国で発行された新聞に、申立人の業務に係る商品の模倣品捜査プロジェクトの名称として「Operazione Cavallino Rampante(オペレーション・カヴァッリーノ・ランパンテ)」が用いられたことの記事が掲載された。さらに、申立人が提起した模倣品業者への仮処分申立て事件においても、イタリア国の裁判所は、「フェラーリ社が、同社製の全ての車及び全ての製品、並びに公式又は公認の販売場所において使用される『Ferrari』の名称に関連して、鮮黄色の背景に対して黒色を特徴とするカヴァリーノ・ランパンテ(Cavallino Rampante)の国際登録及びCTM登録の唯一所有者であることを考慮して、請求された命令を認める理由が存在することを認定する。」との判決をした。また、イタリア国の新聞は、申立人のシンボルである跳ね馬図形(Cavallino Rampante(カヴァッリーノ・ランパンテ))が高い著名性を獲得していることに関しての記事を掲載した。(以上、甲3、甲5?甲9) このようなイタリア国の状況からすると、「Cavallino Rampante(カヴァッリーノ・ランパンテ)」がイタリア語であることも相まって、申立人商標は、申立人の公式シンボルとして著名な跳ね馬図形を指称するものとして、本件商標の登録出願日前より、イタリア国の一般の需要者の間においても広く認識されていたものと認めるのが相当であって、その周知性は、本件商標の登録査定日(平成27年4月9日)においても継続していたものと認めることができる。 したがって、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、少なくともイタリア国内の取引者・需要者の間に広く認識されていた商標というべきである。 (2)本件商標と申立人商標との類否 ア 外観 本件商標中の「CavallinoLampanti」の文字部分と申立人商標は、「Cavallino」の文字部分を同じくし、これに続く本件商標中の「Lampanti」及び申立人商標中の「Rampante」において、第1文字の「L」と「R」及び末尾の「e」と「i」の文字の相違を有するものであるところ、いずれも全体が17文字と冗長な構成からなるうちの後半部において、上記差異を有するにすぎないものであるから、両者を時と所を異にして離隔的に観察した場合には、外観上相紛れるおそれがある。 イ 称呼 本件商標中の「CavallinoLampanti」の文字部分から生ずる「カヴァリーノランパンティ」の称呼と申立人商標から生ずる「カヴァッリーノランパンテ」の称呼は、第2音の「ヴァ」に促音を有するか否かの差異及び末尾における「ティ」と「テ」の音の差異にすぎないものであるから、比較的冗長といえる両称呼における上記差異は、称呼全体に及ぼす影響は大きいものとはいえず、それぞれの称呼を全体として称呼した場合には、称呼上相紛れるおそれがある。 ウ 観念 本件商標の文字部分は造語と理解されるものであるから、申立人商標とは、観念上比較することはできない。また、本件商標中の図形部分は、「跳躍する馬」の観念を生ずるものといえるから、「跳ね馬」の観念を生ずる申立人商標とは、観念上同一のものとはいえないまでも、かなり似通ったものといえる。 エ 小括 以上によれば、本件商標中、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる「CavallinoLampanti」の文字部分は、申立人商標と外観及び称呼において極めて類似するものであって、また、本件商標中の馬の図形部分は、申立人商標と観念上かなり似通ったものといわなければならない。 (3)不正の目的 申立人は、本件商標の登録出願日前より、我が国において、別掲2又は3の商標が付されたぬいぐるみ、タオル、被服、バッグ等を「キャバリーノ・ランパンテ」の表示のもとに雑誌を介して販売、あるいは、跳ね馬図形が付された財布、ブリーフケース、バッグ、傘、Tシャツ・スラックス等の被服、ベルト、ネクタイ、帽子、靴類など様々な商品を「フェラーリ カヴァリーノ・ランパンテ」、「フェラーリ キャバリーノ・ランパンテ」、「カバリーノ・ランパンテ」等の表示のもとにインターネットを介して販売していたこと(甲12、甲21の1?甲22の21)、商標権者は、靴類のデザイン、販売等を手掛ける企業であり(甲23)、日本国内外のファッション関連商品の動向には精通していたと推認されること、本件商標は、これを全体的に観察すれば、申立人の公式シンボルである著名な「跳ね馬図形」を想起・連想させる馬の図形と、当該著名な「跳ね馬図形」を指称する申立人商標と外観及び称呼において類似する「CavallinoLampanti」の文字部分とを結合した商標であり、商標権者が独自に創作した商標であるとは考え難いこと、などを総合すると、商標権者は、本件商標の登録出願時にはすでに、申立人商標について、申立人の公式シンボルである著名な「跳ね馬図形」を指称するものとして申立人が使用している商標と十分知り得ていたものであり、その上で、申立人商標が本件商標の指定商品の区分において登録されていないことを奇貨として、本件商標を先取り的に出願し、自己の利益のために使用する不正の目的をもって、その登録を得たものと推認せざるを得ない。 したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標というべきである。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、その登録出願日(平成26年11月21日)及び登録査定日(平成27年4月9日)の時点において、少なくともイタリア国の取引者、需要者の間に広く認識されていた申立人商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものと認めることができるから、商標法第4条第1項第19号に該当する商標というべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものと認める。 4 商標権者の意見 上記3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。 5 当審の判断 本件商標についてした上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるといわざるを得ないから、その他の申立て理由を検討するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 別掲2 別掲3 |
異議決定日 | 2016-08-04 |
出願番号 | 商願2014-103056(T2014-103056) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Z
(W1825)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 酒井 福造 |
登録日 | 2015-07-17 |
登録番号 | 商標登録第5778852号(T5778852) |
権利者 | 有限会社ティーアンドケーデザインアソシエイション |
商標の称呼 | キャラリーノランパンティ、カラリーノランパンティ、キャバリーノランパンティ、カバリーノランパンティ |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 勝見 元博 |