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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W42
管理番号 1320395 
審判番号 不服2015-16830 
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-14 
確定日 2016-10-05 
事件の表示 商願2014-27601拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「パッシブリノベーション」の片仮名を標準文字で表してなり、第42類「暖かい空気が上昇する煙突効果を応用した自然換気システムを活用した建築物の設計,建築物の設計,建築物のリフォーム設計,建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,測量,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,デザインの考案,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,地質の調査」を指定役務として、平成26年4月9日に商標登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『パッシブ』と『リノベーション』の片仮名を一連にして『パッシブリノベーション』と標準文字で表してなるものである。ところで、本願指定役務に係る建築業界においては、『パッシブ』の文字は、『建築設計の工夫によって、太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを建物内に取り入れようとすること。』程の意味を表す語として一般に使用されている。また、『リノベーション』の文字は、『建物の更新のための工事。通常の修理より大掛かりな化粧直しのことで、外壁の補修、建具や窓枠の取替え、設備の更新を含む』の意味を有する語であることから、これらの文字を一連に表した『パッシブリノベーション』の文字は『建築設計の工夫によって、太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを建物内に取り入れるための大掛かりな工事』程の意味合いを認識させるものである。そうとすると、本願商標をその指定役務中、例えば、『暖かい空気が上昇する煙突効果を応用した自然換気システムを活用した建築物の設計,建築物の設計,建築物のリフォーム設計,建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,測量,デザインの考案』に使用しても、その商標に接した取引者・需要者は、『建築設計の工夫によって、太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを建物内に取り入れるための大掛かりな工事を目的とする役務』程の意味合いを理解・認識するにとどまり、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応する役務以外の『暖かい空気が上昇する煙突効果を応用した自然換気システムを活用した建築物の設計,建築物の設計,建築物のリフォーム設計,建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,測量,デザインの考案』に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、別掲のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の証拠調べ通知で示した証拠(別掲1ないし3)に対して、次の(1)ないし(3)の理由により、本願商標は、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されるものとみるのが相当であるから、これをその指定役務について使用しても、役務の質を表示したものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであると述べている。
(1)「パッシブ」の語は形容詞であり、国語辞書には、先ず「受身、受動的な、受動態、従順な、不活性な、言いなり、活動的ではない」の意味合いが記載されているのみで、「自然の力(風、熱等)を利用すること」は、「利用すること」が名詞であるので形容詞と名詞が等しいと認定するものであり、事実認定を誤ったものである。
また、「パッシブデザイン」は、大辞林第三版に「建築の設計手法の一。特別な機械装置を使わずに,建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れを制御し,快適な室内環境をつくりだす手法」と記載があるものの、「パッシブハウス」の省エネ基準を満足すれば足りるのかどうか具体的意味合いが定着しているとはいえず、「パッシブデザイン」の意味合いにバラツキがあるので、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものである。
(2)「リノベーション」の語は、「刷新。改革。」の意味に比較して、「修理。改造。修復。」及び「既存建物を大規模に改装し,用途変更や機能の高度化を図り,建築物に新しい価値を加えること。」の意味としては、左程親しまれているとはいえず、むしろ、後者を意味する語としては、「リフォーム」の語の方が親しみのある語といえる。別掲の情報では、「リフォーム」も「リノベーション」も同じ意味だとするものもあり、大規模な「リフォーム」が「リノベーション」であるとするものや、価値を高める修理が「リノベーション」であるとしているので、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものである。
(3)「パッシブリノベーション」の語が記載されている情報は膨大なインターネット情報中僅か5件しかなく、残りは、「パッシブデザイン」の語を記載した情報であり、「パッシブリノベーション」の意味合いを抽出するためには、「パッシブリノベーション」の語が記載された情報によるべきであって、「パッシブデザイン」の語しか記載されていない情報によるべきではないから、「パッシブリノベーション」の語は、漠然とした意味合いに留まっているというべきであり、役務の質を具体的かつ直接的に表したものと認識、理解させるとまではいい難いものである。また、請求人が調査するも、本願の指定役務を取り扱う業界において、「パッシブリノベーション」の文字が、役務の具体的な質を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実を発見することができなかった。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「パッシブリノベーション」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成は、「受け身であるさま。」の意味を有する「パッシブ」の語及び「既存建物を大規模に改装し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加えること。」の意味を有する「リノベーション」の語からなるものである。
そして、別掲のとおり、建築大辞典第2版には、「パッシブ」の語と「太陽光を利用した」の意味を表す「ソーラー」の語を組み合わせた「パッシブ ソーラー」の語が、「ソーラーパネルや蓄熱槽等、具体的な機械設備を備えた太陽熱利用に対して、建物自体が自然換気や自然な蓄熱をして太陽熱利用をすること」として、また、上記「パッシブ ソーラー」の語に「ハウス」の語を組み合わせた「パッシブ ソーラー ハウス」の語が、「太陽光を機械設備のエネルギー源として用いるソーラーハウスに対し、太陽光をそのまま熱として利用するもの」をいうと解説されている(別掲1(4))。
さらに、建築に関するウェブサイトにおいて、「パッシブ」の語の使用についてみると、「パッシブ」の語と、材質や機能も含む建築や構築の際に行われる造形計画を表す「デザイン」の語とを組み合わせた「パッシブデザイン」の文字が、「機械(アクティブ)に頼らず、光や風など自然(パッシブ)の力によって、四季を通じて快適な住まいをつくる設計手法」として(別掲1(10))、「パッシブ」の語と「建築」の語とを組み合わせた「パッシブ建築」の文字が、「特別な動力機器を使わず、建築設計の工夫によって太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを利用して、暖房や冷房(室内気候調節)を行うもの」として(別掲1(11))、また、「パッシブ手法」の文字が、「自然の力を極力利用して省エネを実現しようと言う手法で、太陽の熱や光、風を利用することが最たるもの」として説明されている(別掲1(12))。
そうしてみると、「パッシブ」の語は、これと建築に関わる語とを組み合わせた表示の使用の実情に照らすと、住宅などについて、積極的に冷房暖房装置等の特別な措置を用いずに太陽光や風などの自然エネルギーの利用、建築物の構造の工夫などにより、快適な室内環境を設計することを説明する場合に使用されているものといえる。
また、建築に関するウェブサイトにおける「パッシブ」の語が、それ自体で、「自然の力を受けとり、自然と共存することを指します。」や「直訳すると『活気のない』とか『受身的』とかですが、そうではなく『受け入れる』とか『自然利用を促進する』という意味で使われています。」(別掲1(6)(7))と説明されている。
以上によれば、建築の分野において、「パッシブ」の語は、「設計の工夫等により、自然エネルギーを建物内に取り入れる」程の意味合いを表す語として用いられているものと認められる。
そして、本願商標を構成する「リノベーション」の語は、建築の分野において、別掲2及び3における該語の使用の実情からすると、「改修」程の意味を表すものとして一般に認識されているものといえる。
そうすると、建築の分野における上記意味合いを表す、「パッシブ」及び「リノベーション」の語からなる「パッシブリノベーション」の文字は、全体として「設計の工夫により、自然エネルギーを建物内に取り入れる改修」の意味合いを理解させるものであるというのが相当である。
なお、「パッシブリノベーション」の文字は、実際に、自然素材や自然エネルギーを活用し、それを取り入れた住宅の改修について記述する際に使用されていることが認められる(別掲3)。
したがって、本願商標は、これをその指定役務中、「暖かい空気が上昇する煙突効果を応用した自然換気システムを活用した建築物の設計,建築物の設計,建築物のリフォーム設計,建築物の設計に関する助言・指導・コンサルティング及び情報の提供,測量,デザインの考案」について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、「建物設計の工夫により、自然エネルギーを取り入れる建築物の改修(リノベーション)」に関する役務であると理解し、上記指定役務の質を表したものとして認識するというべきであるから、単に、役務の質を普通に用いられる方法で表示した標章のみからなるものであるといえる。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、別掲により示された証拠によって、「パッシブ」の語から、「自然の力(風、熱等)を利用すること」の意味合いを想起することはないこと、「パッシブデザイン」及び「リノべーション」については、各証拠に記載された意味合いにばらつきがあり、いまだ漠然とした意味合いを想起させるに止まること及び「パッシブリノべーション」の実際の使用の証左は、わずか5件であることから、本願商標は、その構成全体として一体の造語である旨主張する。
しかしながら、「パッシブハウス」、「パッシブデザイン」等の「パッシブ」の語に係る各ウェブサイトにおけるそれぞれの表現・説明が確実に一致していなくても、「パッシブ」の語は、建築・構築に係る分野において、機械的、強制的に住環境を作り出すのではなく、「設計の工夫等により、自然エネルギーを取り入れる」程の一定の意味合いを理解させる語として用いられているといえることは上記のとおりである。そして、「パッシブ」の語が「(ソーラー)ハウス」、「デザイン」と同様に建築・構築に係る分野において一般的に用いられている「リノべーション」の語と結合した本願商標は、「設計の工夫により、自然エネルギーを取り入れる建築物の改修」を理解させるものであって、建築物に係る役務の質を表すものとして認識させるというべきであり、自他役務の識別標識としての機能を有するものということはできない。
そして、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年9月4日判決〔平成12年(行ケ)第76号〕参照)から、たとえ、「パッシブリノベーション」の文字が、その指定役務を取り扱う業界において、役務の質等を表示するものとして、広く使用されているとまでいえないとしても、取引者、需要者によって、当該役務の質等を一般に認識されるものといえることは、上記のとおりであるから、本願商標が役務の質等を表示するものであると判断することの妨げにはならない。
以上のとおりであるから、本願商標が、外観上一体に構成されているとしても、何らの意味合いを生じない造語として認識されるとする請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

証拠調べ通知で示した取引の実情
1 「パッシブ」及び「パッシブ〇〇」の語について
なお、(11)は、原審においても示した証拠である。
(1)広辞苑第六版(株式会社岩波書店)において、「パッシブ【passive】」の項に、「受身のさま。受動的。受身」の記載がある。
(2)大辞林第三版(株式会社三省堂)において、「パッシブ【passive】」の項に「受け身であるさま。」の記載があり、また、同項中に、「パッシブソーラーシステム」について、「太陽熱を利用するのに特別な措置を用いず、間取りなどの工夫により室内換気や蓄熱を行う方式。」及び「パッシブデザイン」について、「建築の設計手法の一。特別な機械装置を使わずに、建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れを制御し、快適な室内環境をつくりだす手法。」の記載がある。
(3)現代用語の基礎知識2016(自由国民社)において、「パッシブデザイン[passive design]」の項に、「自然の風や樹木が生む涼しさ・防風性を積極的に活用し、エネルギー使用量を減らす工夫を指す。例えば、マンションのバルコニー側から取り入れた風が玄関の小窓から出ていくようにする。すると、住戸内を風が抜け、夏でもエアコン無しでしのげるようになり、光熱費が抑えられるといった工夫だ。建物の南側に落葉樹を植え、夏は葉が日差しを遮り、冬は落葉することで日差しが家の中に入りやすい、という設計もパッシブデザイン。マンションでも一戸建てでも採用例が増えている。」の記載がある。
(4)建築大辞典第2版(株式会社彰国社 1993年6月10日発行)において、「パッシブ ソーラー passive solar」の項に、「ソーラーパネルや蓄熱槽等,具体的な機械設備を備えた太陽熱利用に対して,建物自体が自然換気や自然な蓄熱をして太陽熱利用をすることをいう。」の記載があり、また、「パッシブ ソーラー ハウス passive solar house」の項に、「太陽光を機械設備のエネルギー源として用いるソーラーハウスに対し,太陽光をそのまま熱として利用するものを,特にパッシブソーラーハウスという。」の記載がある。
(5)「株式会社 大喜」のウェブサイトにおいて、「性能UPリフォーム」の見出しの下、「性能向上 パッシブ」の項に、「パッシブとは太陽の光や熱、風といった自然の恵みを上手に採り入れることで、エアコンなどの機器をなるべく使わず快適に暮らすことを目指した設計 技術の進歩にともない、人々は科学の力で自然を壊し、快適さを手に入れようとしてきました。しかし、国際的に環境問題が叫ばれるようになり、ここにきて機械やエネルギーに頼り切ることが正解とはいえなくなってきております。パッシブは、そんな時代の呼び声に応える設計手法ともいえるでしょう。」の記載がある。
http://seinou-up-reform.com/concept
(6)「Studio PRANA」のウェブサイトにおいて、「パッシブな考え方について」の項に、「自然に逆らわず、恩恵を受けとる。機械に頼らない パッシブとは『受動的』と訳されますが、自然の力を受けとり、自然と共存することを指します。ジェット機がアクティブだとするとグライダーはパッシブということになります。建築では、『できるだけ化石燃料などを使わずに自然エネルギーを使う、自然の風や熱を環境負荷のないように利用する』ということになります。その意味からすると、日本の民家は実に『パッシブ』でした。今から、茅葺きの家に戻れなくても、日差しを遮る、自然の風を取り入れる、太陽熱を利用する等、出来るだけのことはしたいものです。」の記載がある。
http://www.prana-trees.com/philosophy/index.html
(7)「青山建設株式会社」のウェブサイトにおいて、「パッシブとは何ですか?」の見出しの下、「建築では、『パッシブ』というのは『アクティブ』との反意語で使われます。自然的・・・という感じでしょうか?直訳すると『活気のない』とか『受身的』とかですが、そうではなく『受け入れる』とか『自然利用を促進する』という意味で使われています。反対に『アクティブ』は、機械的に強制的に住環境を作り出すイメージで使われています。ただ『パッシブ』というのは『自然の風』や『太陽熱』、『水力』などを使うわけですので、私は極々当たりまえの設計手法であると思っております。その『パッシブ』を住宅設計に取り入れて、且つ『アクティブ』な換気設備や暖房設備で劣悪環境を回避する・・・このような『併用』という考え方が一番いいのではと思っております。」の記載がある。
http://www.aoyama-fp.com/faq/faq082.htm
(8)「伝家の宝刀!住宅関連ブログ」のウェブサイトにおいて、「パッシブとは?パッシブ住宅で重要なのは換気と太陽熱!」の見出しの下、「パッシブとは?」の項に、「最近、よく目にするようになった『パッシブ住宅』や『パッシブ換気』などの『パッシブ(passive)』とはいったいどういう意味でしょうか? 英単語的にお伝えすると『受身、受動的な、受動態、従順な、不活性な、言いなり、活動的ではない』などを意味しております。 では、『パッシブハウス(住宅)』とはどういう意味でしょう? 『パッシブハウス(住宅)』とは、建物の性能もさることながら、高性能の熱交換式換気扇による換気設備だけで、積極的に冷暖房器が設置しないという意味合いから『パッシブ(passive:受身の)』と名付けれらた住宅。一般的には、『暖房器具の無い住宅』や『自然な空気を取り入れた換気を行う住宅』と思われがちだが、冷暖房が必要な住宅は日本に存在しないと私は思いますし、もちろん『無暖房(無冷房)な住宅』という意味でもないです。」の記載がある。
http://lastresort-ie.com/onnetu/445
(9)「PASSIVE HOUSE JAPAN」のウェブサイトにおいて、「CONCEPT パッシブハウスとは」の見出しの下、「パッシブハウスとは、つまり。」の項に、「地球のために、住む人のために、持続可能な家のことです。以下のポイントを技術で叶え、世界基準の認定をうけた家です。 床も壁も天井も高断熱と高気密。魔法瓶のような家は、冬は暖気を、夏は冷気を逃しません。 高性能な複層窓。南向きの大きな窓は、冬は太陽熱を取り込む優秀な暖房がわり。北側の高い窓は、夏の熱気を逃がす道。景色良好、家を明るく保ちます。 計算されつくした庇(ひさし)。冬の低い太陽は、庇をくぐり抜けて、家を暖めます。 熱交換換気システム 空気はいつもきれいなのに、熱だけリサイクル。これで吸気口から冷たい外気が入ってくることもありません。 →燃費がいい、環境にいい、デザインもいい、長持ちする、ハイブリッドな家。 エアコン一台でも家全体が暖かい。それがパッシブハウスです。」の記載がある。
http://passivehouse-japan.org/concept/
(10)「アイレストホーム株式会社」のウェブサイトにおいて、「夏涼しくて、冬暖かい、地球に優しい家づくり パッシブ設計」の見出しの下、「冷房や暖房に頼らなくても、夏は涼しく、冬は暖かい『木の家』に住みたい。そう考える人たちが増えています。環境に負荷をかけず、太陽の光や風をうまく取り入れながら、自然と仲良く暮らしたい。それを実現するのが、パッシブデザインです。パッシブデザインとは、機械(アクティブ)に頼らず、光や風など自然(パッシブ)の力によって、四季を通じて快適な住まいをつくる設計手法です。」の記載がある。
http://www.irest.jp/products/planning/passive/
(11)「BAU bio HOUSE」のウェブサイトにおいて、「パッシブ建築とは 特別な動力機器を使わず、建築設計の工夫によって太陽や自然の風、気温の変化、大地の熱といった自然エネルギーを利用して、暖房や冷房(室内気候調節)を行おうとするものです。つまり、人工的強制的に、室内気候調節をするのではなく、自然エネルギーを利用するので、環境にやさしく、赤ちゃんから御年寄りまで、体にあまり負担をかけずに室内気候調節をしようとするものであります。」の記載がある。
http://www.baubio.com/pasibu.html
(12)「住宅の評判ナビ」のウェブサイトにおいて、「住宅の省エネ性(光熱費)について」の見出しの下、「主な省エネの手法は大きく2つ!」の項に、「・・・省エネの方法には大きく2つの手法があります。その2つの手法は ・アクティブ手法 ・パッシブ手法 と、言われているものです。・・・次に挙げられる手法が、パッシブ手法。これは、自然の力を極力利用して省エネを実現しようと言う手法です。太陽の熱や光、風を利用することがパッシブ手法の最たるものですが、断熱材を利用して、住宅の保温効果を高める方法も、パッシブ手法の1つとして挙げられます。パッシブ手法は、アクティブ手法とは対照的に、一度キチンと利用できるように計画が出来れば、その建物が存在する間は、効果を永続させる事も可能です。」の記載がある。
http://www.towntv.co.jp/2014/02/syoene-kounetuhi.php

2 「リノベーション」の語について
なお、(4)ないし(6)は、原審においても示した証拠である。
(1)広辞苑第六版(株式会社岩波書店)において、「リノベーション【renovation】」の項に、「修理・修復すること。また、改善すること。」の記載がある。
(2)大辞林第三版(株式会社三省堂)において、「リノベーション【renovation】」の項に、「既存建物を大規模に改装し、用途変更や機能の高度化を図り、建築物に新しい価値を加えること。」の記載がある。
(3)現代用語の基礎知識2016(自由国民社)において、「リノベーション[renovation]」の項に、「建物の更新のための工事。通常の修理より大掛かりな化粧直しのことで、外壁の補修、建具や窓枠の取り換え、設備の更新を含む。リニューアル、リファイン建築ともいう。建築を長寿命化させ、地球環境に貢献する。」の記載がある。
(4)「リノベーション住宅推進協議会」のウェブサイトにおいて、「リノベーションとは」の見出しの下、「リノベーションとは、中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと。例えば、水・電気・ガスなどのライフラインや構造躯体の性能を必要に応じて更新・改修したり、ライフスタイルに合わせて間取りや内外装を刷新することで、快適な暮らしを実現する現代的な住まいに再生していきます。」の記載がある。
http://www.renovation.or.jp/renovationabout/about.html
(5)「LOHAS studio」のウェブサイトにおいて、「リノベーションとリフォームの違い」の見出しの下、「リノベーションとは」の項に、「一方、『リノベーション』とは、既存の建物に大規模な工事を行うことで、性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりすることを言います。英語で『renovation』は『革新、刷新、修復』を意味し、リフォームがマイナスの状態のものをゼロの状態に戻すための機能の回復という意味合いに対して、リノベーションはプラスαで新たな機能や価値を向上させることを意味します。よりデザイン性の高いものに改良したり、住環境を現代的なスタイルに合わせて間取りや内外装などを変更したりすることなどが含まれます。例えば、耐久性や耐震性を高めるために壁の補修を行ったり、家族が増えたので、仕切りの壁をなくして、広々としたリビングダイニングキッチンにしたりすることなどが『リノベーション』に該当します。」の記載があり、また、「リフォームとリノベーションの違い」の項に、「現在、『リノベーション』と『リフォーム』の言葉の使い分けは非常に曖昧になりつつあり、明確な線引きはされにくくなってきています。しかし、2つの言葉の間には、主に『工事の規模』と『住まいの性能』の2つの違いがあります。」の記載がある。
http://www.okuta.com/renovation/difference.html
(6)「HOME’S リノベーション」のウェブサイトにおいて、「リノベーションとリフォームの違いとは?」の見出しの下、「『住まいの改修』として最もよく使われる『リフォーム』」の項に、「実は、両者の厳密な定義や線引きはありません。『リフォーム』は、古くなった設備や内装を新しくしたり、間取りを変えたりすることを指し、『住まいの改修』全般を表す言葉として最もよく使われています。ちょっとしたクロスの張り替えや、古くなった設備の取替えから大がかりな改修や増築まで何でも『リフォーム』と呼ばれていますが、どちらかというと、老朽化したものを新築の状態に戻すというニュアンスで使われることが多いようです。」の記載があり、また、「中古住宅に、新たな価値を生み出す『リノベーション』」の項に、「それに対し『リノベーション』は、古い建物のよさを活かしながら、給排水・電気・ガスの配管なども全面的に刷新し、新築時以上に性能を向上させたり、住まい手の好みのデザインや間取りに変えたりすることにより、中古住宅に『新たな付加価値』を生み出す手法としてよく使われます。最近では、住宅購入の新しい手法として、中古マンションや一戸建てを購入し、大がかりな改修を行うことを総称して『リノベーション』と呼ぶことも多くなっています。ちなみに、reformという言葉は和製英語であり、英語圏で『住まいの改修』には、renovationあるいはremodelが使われます。」の記載がある。
https://www.homes.co.jp/renovation/column/knowledge/about/post-16478.html

3 「パッシブリノベーション」の語及びパッシブデザイン等を採用したリノベーションについて
なお、(2)ないし(4)は、原審においても示した証拠である。
(1)「houzz」のウェブサイトにおいて、「Houzzツアー:2つの賞を受賞した、サステナブルなパッシブリノベーションの家『KIP』」の見出しの下、「日本が昔から大切にしてきた自然エネルギーをとり入れるパッシブデザインと、現代の技術、専門家の知識と工夫、職人の知恵、施主の熱意。築40年の木造住宅が、家づくり関連のダブル受賞を果たすほど注目される省エネ住宅に生まれ変わりました。」及び「リノベーションプランは、エアコンなどの機械にたよらず、できるだけ日射や風などの自然のエネルギーを活用して快適に過ごせるよう考えられたパッシブデザイン。昔の日本の住まいのように、建具でフレキシブルに空間を仕切ったり、オープンにしたりできる可変性を持たせ、住まいの中を空気が自然に流れて、木の住まいを長持ちさせる工夫が随所にみられる。」の記載がある。
http://www.houzz.jp/ideabooks/48419562/list
(2)「SPROUT」のウェブサイトにおいて、一級建築士事務所のPRとして、「森の中の様な心地良い暮らしをリ・デザイン提案する設計事務所です。その土地の素材や自然素材、太陽の光や風という自然の力を暮らしにどう活かすのか、心地良さをキーワードに既存住宅のパッシブリノベーションご提案をさせて頂きます。既存のものを活かしながら、自然に寄り添い、そして新しい技術と暮らしを楽しむエッセンスを加えることで、これからの心地良い暮らしをつくる事ができます。 省エネで、快適、安全なこれからの住まいを一緒にリノベーションで実現しませんか?」の記載がある。
http://sprout.gr.jp/member/%E6%B8%A1%E9%82%8A%E7%BE%8E%E6%81%B5/
(3)「オンリーワンハウス昭和建設」のウェブサイトにおいて、「松前町パッシブリノベーション!電磁波対策の家」の見出しの下、「愛媛県松前町の和風住宅が 自然素材、地熱活用したパッシブリノベーションで生まれ変わります! 外部は外断熱で家を包みこみ 自然素材の漆喰の外壁へ! 地熱を活用した全館空調、床下から家じゅうあったかです! 内部もオール自然素材で電磁波対策をしたオールアース仕様の家です!」の記載がある。
http://onlyone.blog.jp/archives/3886210.html
(4)「株式会社プレゼンス」のウェブサイトにおいて、「集合住宅/マンションディベロッパーさま向けパッシブリノベーション」の見出しの下、「一級建築士が設計からトータルでリノベーションをコーディネートします。『パッシブリノベーション』をキーワードに健康的でお客様にご満足いただけるスタイリッシュな仕上がりをご提供します。100%自然素材を使い、いわゆるパッシブハウスの数値管理だけではなく、ひとの感覚による『快適さ』を追求します。集合住宅のヴァリューアップをお約束します。」の記載がある。
http://www.presence-home.jp/category/1898493.html
(5)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「passiv design 単行本 - 2014/7/18 サスティナブル建築研究所」の書籍の紹介として、「光や風など自然のエネルギーを住まいに取り入れ、断熱・気密性能を確保した住まいの設計手法『パッシブデザイン』に注目が集まっています。・・・本書では、サスティナブル建築研究所の協力の元、最新の超断熱・高性能住宅『日本型パッシブデザイン、パッシブハウス、パッシブリノベーション』の実例を紹介。ドイツ発祥の超省エネ住宅『パッシブハウス』の基準を満たした住宅や3階建ての中古住宅のリノベーションプロジェクトなどを紹介しています。」の記載がある。
http://www.amazon.co.jp/passiv-design-%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%AB%E5%BB%BA%E7%AF%89%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80/dp/4862502784
(6)「棟晶株式会社」のウェブサイトにおいて、「ドイツ生まれの世界共通の省エネ建築基準 パッシブハウス」の見出しの下、「パッシブハウスは1979年にドイツの物理学者ヴォルフガング・ファイスト博士が確立した省エネ基準です。・・・建物の性能(躯体性能)を向上させることで、暖房設備は最小限となり、経済性を維持しながら居住性の高い省エネ住宅をつくるのがパッシブハウスの目的です。・・・日本では、最初のパッシブハウスは2009年8月に神奈川県鎌倉市にて建築され、北海道では2011年12月にリノベーションによるパッシブハウス基準(EnerPHit)をクリアした住宅が江別市に建築されました。」の記載がある。
http://t-syou.com/passive/?utm_source=Googleutm_medium=Adwordsutm_content=%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9utm_campaign=%E6%A3%9F%E6%99%B6gclid=CI6egOHRmcwCFQsjvQodWd4C_A
(7)「LOHAS studio」のウェブサイトにおいて、「Design デザインリフォームQ&A」の見出しの下、「Q.パッシブデザインというのは何ですか? A.光と風、断熱、省エネ、自然素材をデザインし、ドイツパッシブハウス基準相当の住宅性能と北欧のデザインを兼ね備えたリフォーム・リノベーションを提供します。」の記載があり、また、「WEB-NILE」のウェブサイトにおいて、「Living 光と風をデザインするリノベーション」の見出しの下、「パッシブデザインは、光や風を取り入れ、自然のエネルギーを住環境に生かす建築手法。ロハススタジオが提案するのは、パッシブデザインを採用したリノベーションである。再生された住まいにさらなる価値をプラスして、真の豊かさを享受するオンリーワンのマイホーム。・・・光と風を最大限に取り入れるパッシブデザインを生かしたリノベーション。光が降り注ぎ、風が吹き抜ける心地良い空間は、計算し尽くされたものである。パッシブデザインは、ドイツなど環境先進国から始まった建築概念。ロハススタジオでは、新築はもちろん、リノベーションにもパッシブデザインを取り入れ、新たな価値がプラスされた住まいを提案している。・・・光と風を取り入れながら断熱効果を高めることで、快適な住環境を実現している。また気密性が高いので、エアコン一台でも夏涼しく冬は暖かい。人にも地球にも優しい理想の住まいに再生された。『心地良い』という言葉は感覚的なものだが、パッシブデザインを採用すると、住宅の性能や快適性を数値化することができる。しかも、住宅性能そのものがアップするので、省エネにもつながる。」の記載がある。
http://www.okuta.com/design/qa/q2.html
http://www.web-nile.com/article/article.php?category=10article=000267
(8)「OKUTA不動産」のウェブサイトにおいて、「passiv haus(パッシブハウス)へのリノベーション」の見出しの下、「ビフォー・アフター」の項に、「LEDによる省エネライティング計画、無垢フロアや珪藻土など自然素材を多様した空気環境の改善卓越風向シミュレーションによる通風計画など、住み良い住環境にするため、パッシブデザインをご提案。・・・『3方建物に囲まれた小さな家ですが、風を感じることができ、特に1Fはクーラーをあまり使用しなくても快適に過ごすことができます。なかでも、脱衣スペースがお気に入り。』とご満足いただけるリフォームとなりました。」の記載がある。
http://www.okuta.biz/contents/reform/%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/
(9)「株式会社鈴木工務店」のウェブサイトにおいて、「もうひとつの選択 リノベーション」の見出しの下、「鈴木工務店のリノベーション」の項に、「私たちが『リノベーション』と呼んでいるのは、プランの変更や耐震補強、断熱・気密の向上などによって、住まいの性能を向上させることです。住宅の性能を高めるうえではパッシブデザインの手法を大切にしています。パッシブデザインの家は明るく、温かく、オープンで健康な住まいをつくることができます。・・・鈴木工務店はデザインと機能を融合させる『設計事務所』として、リノベーションでは懐かしさを残しながら、現代性と機能性、居心地のよさのある住まいづくりをしています。」の記載がある。
http://www.suzuki-koumuten.co.jp/renoprocess
(10)「リノベーションスープ」のウェブサイトにおいて、「パッシブデザインがもたらす、絶大なメリット」の見出しの下、「まとめ」の項に、「パッシブデザインとは一言で言えば『省エネで快適な住まいづくり』のこと。パッシブデザインを住宅に取り入れて、設備機器にできるだけ頼らないようにすれば、災害で設備が故障したり、エネルギーの供給がストップした場合でも、ある程度の暮らしをキープできるでしょう。リフォームやリノベーションをお考えの方は、ぜひこの機会にパッシブデザインを採り入れてみてはいかがでしょうか?」の記載がある。
http://renovation-soup.com/renovation/2679/


審理終結日 2016-08-05 
結審通知日 2016-08-08 
審決日 2016-08-24 
出願番号 商願2014-27601(T2014-27601) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊瀬 京太郎榎本 政実 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 根岸 克弘
小松 里美
商標の称呼 パッシブリノベーション 
代理人 佐藤 富徳 

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