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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W19
管理番号 1319360 
異議申立番号 異議2015-900296 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-18 
確定日 2016-08-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5771966号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5771966号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5771966号商標(以下、「本件商標」という。)は、上段に「グリッド」の片仮名と下段に「grid」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成27年2月25日に登録出願、第19類「プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,木材」を指定商品として同年6月2日に登録査定、同年6月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
本件商標は、上段に片仮名で「グリッド」、下段に欧文字で「grid」と二段に表してなるところ、「grid」には格子という意味があり、本件の指定商品である建築専用材料においては、格子形状・格子模様の建築専用材料は「グリッド」という表示が付されているものが多数存在しているから、本件商標は指定商品中の格子状の建築専用材料・木材に使用しても商品の品質を表示するにすぎず、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して、平成28年3月31日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。
1 「グリッド」及び「grid」の語の使用状況について
(1)申立人の提出に係る証拠及び職権により調査したところによれば、以下の事実が認められる(下線は、合議体による。)。
ア 一般の用語辞典、国語辞典、英和辞典における掲載
(ア)一般の用語辞典
2007年1月1日株式会社集英社発行の「imidas(イミダス)」1231ページには「グリッド[grid]:格子。格子状の模様。」と記載され、同日朝日新聞社発行の「朝日現代用語 知恵蔵」1097ページには「グリッド[grid]:格子状のもの」と記載されている。
(イ)国語辞典
2006年10月27日株式会社三省堂発行の「大辞林 第三版」744ページには「グリッド〔grid〕:1格子。・・・3建築物の柱の配置などに利用する等間隔に直交する基準線。」と記載されている。
(ウ)英和辞典
2009年4月1日株式会社大修館書店発行の「ベーシック ジーニアス英和辞典 初版第7刷」620ページには「grid:格子」と記載され、2012年2月株式会社研究社発行の「研究社 新英和大辞典 第6版第10刷」1078ページには「grid:(鉄)格子」と記載されている。
(エ)建築分野の辞典
1999年2月25日技報堂出版株式会社発行の「建築用語辞典(第二版)」251ページには「グリッド grid 格子のこと」と記載され、2009年5月10日株式会社彰国社発行の「建築大辞典 第2版〈普及版〉」446ページには「グリッド grid 建築物の柱や壁を規則的に配列するよりどころとなる格子。基準となる寸法で等間隔に引かれるのが普通である。」(甲2)と記載されている。
イ 建築業界における使用状況
(ア)YKK AP株式会社の「ビル用総合カタログ・カーテンウォール編2015」の4ページには、ファサード分類の一として「グリッド」の表示があり、その説明には「水平、垂直ラインをクロスさせ、格子模様を強調したタイプ」と記載され、また5ページには「意匠と工法(構成方式)」として、意匠の欄に「グリッド」が表示されている(甲4)。
(イ)南海プライウッド株式会社の「総合カタログ2015-2016」の248ページには、天井材\天井材ラインナップ一覧表があり、木質天井の製品名の一として「ハーモシリング\グリッド」と記載され、263ページには「木質天井 洋室天井 ハーモシリング\グリッド」の見出しの下、製品仕様等があり、また、その施工参考例として格子模様となっている状態が示され、その横に「木目が交互できれいな仕上がりになるよう、2種類の製品を取り揃えています。」の文言がある。最終ページには、価格と仕様は2015年3月現在のものである旨記載されている(甲5)。
(ウ)大建工業株式会社の商品カタログ「2011\床・壁・ダイライト・住機製品」の279ページには、「’10 11/22発売」の記載、そして、「装飾壁材\シート化粧壁材\モダンスタイルウォール(壁パネル)」の商品説明中に「グリッドタイプは450mm角のスクエアデザインが魅力。」と記載され、280ページには、同商品について「壁材:グリッド(オフブラック)WP1005-MK-P\グリッドボーダー(オフブラック)WP1006-MK-P」とあり、また、「グリッド/グリッドボーダー 仕様」の項には、梱包・入数の欄に「【グリッド】ダンボールケース4枚入り\Aパネル(雌実側が縦木目)が2枚\Bパネル(雌実側が横木目)2枚」とあり、また、「使用上のご注意」の欄には、「グリッドタイプはパネルの木目が市松になっております。そのためAパネル(雌実側が縦木目)Bパネル(雌実側が横木目)の2種類を2枚ずつ同梱しております。」と記載されている。さらに、77ページ及び78ページには「住宅向け\壁材\オトカベ」の商品中に「オトカベL80グリッドタイプ」があり、「シンプルですっきりしたデザインのグリッドタイプ。」と記載され、「オトカベL80グリッドタイプ 仕様」の「使用上のご注意」の欄には、「グリッドタイプはパネルの木目が市松になっております。そのためAパネル(雌実側が縦木目)Bパネル(雌実側が横木目)の2種類を2枚ずつ同梱しております。」と記載されている。加えて、300ページには、「天井材/ダイライト不燃天井材」として「シーリングアート・ロング/グリッド」があり、「2間間口に継ぎ目なしで施工できる長尺タイプと、格子状デザインが特徴のグリッドタイプを用意しています。」と記載されている。なお、最終ページには、本カタログの発行日が2011年2月である旨記載されている(甲7)。
(エ)2015年7月29日にプリントアウトされた株式会社ノザワのウェブサイトには、押出成形セメント板「アスロック」の新商品「グリッドデザインパネル」、表面に幾何学グリッド状の溝を型付けした商品が紹介されている。なお、アスロックのグリッドデザインシリーズは2014年度グッドデザイン賞を受賞している(甲9)。
ウ 新聞記事
(ア)2011年7月26日付け電気新聞(5ページ)において、「エコルミLED開発 消費電力55%減/大林組」の見出しの下、「大林組はNECライティング(東京都港区)と共同で、大幅な省エネルギーを実現した『大林組グリッドシステム天井用照明器具・エコルミLED』を開発したと発表した。・・・近年、オフィスビルでは格子状に組まれた下地に正方形パネルを並べたグリッドシステム天井が多く採用されている。通常、グリッドシステム天井用照明器具の光源にはコンパクト蛍光ランプ2灯が使用されていたが、大林組では2004年に蛍光ランプを1灯に減らして同等の照度を確保した高効率照明器具(エコルミ)を開発。これまで10万台以上を採用してきた。・・・」と記載されている。
(イ)2010年2月10日付け日経産業新聞(16ページ)において、「森ビル常務取締役吉森進氏??究極のオフィス内装探求(創るひと)」の見出しの下、「・・・顧客の要望に応えるだけでなく、新たな提案も打ち出した。格子状の骨組みに天井板や照明などを取り付けたパネルを載せていくグリッド天井を日本に導入したのも吉森だ。レイアウトの自由度や間仕切りの変更工事にもすぐに対応できる利点がある。国内では新たに建設されるオフィスビルのほとんどで採用されるまでに普及した形式も、もとはレイアウトの自由度を高めて、顧客の生産効率改善につなげたいとの思いからだ。・・・」と記載されている。
(ウ)2005年6月23日付け日経産業新聞(15ページ)において、「コクヨE&T??オフィスの天井、高く改装(ストックを活かせ動き出す新ビジネス)」の見出しの下、「・・・KETの進藤一・執行役員によると難点は『二百四十センチメートルという低めの天井』。最近のオフィスビルでは開放感のある二百七十センチ前後が主流だ。一般的に二百五十センチを境に賃料が変わるといわれている。KETは天井高を確保しやすい『グリッド工法』を採用、魅力あるオフィスへの転換を図った。グリッド工法は、天井部分の駆体に格子状のレールをつるし、大きさが縦横六十センチの正方形の天井パネルを取り付ける。従来の工法より駆体とレールをつなぐ金具が短く、天井を大幅に高くできる。・・・」と記載されている。
(エ)1995年10月5日付け日刊工業新聞(18ページ)において、「旭ファイバーグラス、塗装タイプのグラスウール天井板を開発」の見出しの下、「グラスウール最大手の旭ファイバーグラス(東京都千代田区)は塗装タイプのグラスウール天井板「ハイラートンPF」を開発、グリッド工法と組み合わせたシステム天井として十一日に発売する。塗装仕上げのグラスウール天井板はつや消しでデザイン性に優れるほか、格子に組むグリッド工法により工期短縮が図れるのが特徴。価格は直つり工法で一平方メートル当たり四千五百八十五円。ハイラートンPFはグラスウールの表面にガラスペーパーを張り塗装仕上げした不燃天井板。同社はグラスウールに硬質塩ビフィルムを張った製品を販売しているが、つや消しニーズが高いことから新製品を投入する。さらに米USG社と提携、欧米で普及しているグリッド工法と組み合わせることで、大幅な工期短縮が図れるという。これはT(ティー)バーを接合してグリッドを組み、天井板や照明器具などを落とし込むシステム。専用工具やジョイント金具が不要のため、従来工法に比べて大幅に工期短縮できる。オフィスビルやスーパーマーケットを中心に販売、初年度三億円、三年後に二十億円の売り上げを目指す。」と記載されている。
(2)まとめ
以上によれば、本件商標の登録査定時より前から、一般の用語辞典、国語辞典及び英和辞典には「グリッド」及び「grid」の各語が「格子、格子状の模様」を意味するものとして記載され、また建築分野の用語辞典においても「グリッド」及び「grid」の各語が「格子、建築物の柱や壁を規則的に配列するよりどころとなる格子」を意味するものとして記載され、さらに建築材料の製造者、販売者も商品カタログやウェブサイトにおける商品紹介において「グリッド」及び「grid」の文字を格子模様・格子構造の建築部材や建築物を意味するものとして使用している事実が認められる。
2 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、上段に「グリッド」の片仮名文字と下段に「grid」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、該文字は、「格子」等の意味を有する語であって、上記2のとおり、本件指定商品との関係においては、「格子、格子状の模様のもの、建築物の柱や壁を規則的に配列するよりどころとなる格子」などを意味する語として、本件商標の登録査定時には、指定商品を扱う業界において使用されている実情があることから、これをその指定商品に使用するときは、取引者・需要者をしてその商品が格子状の商品又は格子構造の建築物を構築するための商品であることを認識させるものであって、単に商品の品質及び形状を表示するにすぎず、自他商品の識別機能を有しないものである。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-07-14 
出願番号 商願2015-17004(T2015-17004) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W19)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 小松 里美
堀内 仁子
登録日 2015-06-19 
登録番号 商標登録第5771966号(T5771966) 
権利者 朝日ウッドテック株式会社
商標の称呼 グリッド 

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