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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W05 |
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管理番号 | 1319254 |
審判番号 | 不服2014-18030 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-09-10 |
確定日 | 2016-08-18 |
事件の表示 | 商願2013-80944拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ピタバ」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成25年10月17日に登録出願されたものである。 2 原査定における拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、『ピタバ』の文字を標準文字で表示してなるところ、該文字は、指定商品を取り扱う業界において、『ピタバスタチンカルシウム』又は『ピタバスタチン』の略称として使用されているものであるから、これを、その指定商品中、『ピタバスタチンカルシウムを有効成分とする薬剤』に使用したときは、単に商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について ア 本願商標は、「ピタバ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、単語として辞書等には掲載されていないものの、原審における平成25年12月9日付け(以下「刊行物A」という。)、平成26年2月7日付け(以下「刊行物B」という。)及び同年3月25日付け(以下「刊行物C」という。)の刊行物等提出書によれば、以下の事実がある。 (ア)世界保健機関(WHO)は、「Pitavastatin」を医薬品の国際一般名(INN)と定め(刊行物B第2号証、刊行物C(01))、また、厚生労働省は、「ピタバスタチンカルシウム」及び「Pitavastatin Calcium」を日本医薬品一般名称(JAN)と定めている(刊行物B第1号証、刊行物C(02))。 (イ)厚生労働省医薬食品局審査課長が平成17年9月22日に各都道府県衛生主管部(局)長に宛てた「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」(薬食審査発0922001号)に、「今後新たに承認申請される医療用後発医薬品の販売名について、原則として、含有する有効成分に係る一般的名称を基本として含有する有効成分に係る一般的名称に剤型、含量及び会社名を付すこと、有効成分の一般的名称については、その一般的名称の全てを記載することを原則とするが、当該有効成分が塩、エステル及び水和物等の場合にあっては、これらに関する記載を元素記号等を用いた略号等で記載して差し支えないこと、また、他の製剤との混同を招かないと判断される場合にあっては、塩、エステル及び水和物等に関する記載を省略することが可能であること」が記載されている(刊行物B第13号証、刊行物C(04))。 (ウ)「ピタバスタチンカルシウム」を有効成分とする薬剤(錠剤)に「ピタバ」の文字が表記されている(刊行物A刊行物等3ないし6、刊行物B第12号証、刊行物C(12))。 (エ)医療、医薬に関して国内の大学に所属する研究者等による学会での発表や論文、ピタバスタチンカルシウムに関する特許公開公報等において、「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称として「ピタバ」や「Pitava」の文字が使用されている(刊行物B第4号証ないし第9号証、刊行物C(05)ないし(07))。 (オ)「ピタバスタチンカルシウム」以外の「スタチン系」と称される薬剤においても、「スタチン」の部分を省略して表記されることがあり(刊行物C(08)ないし(11))、また、当該錠剤においても「スタチン」を省略した略称が表記されている(刊行物B第14号証)。 イ 以上によれば、「ピタバスタチンカルシウム」及び「ピタバスタチン」は、医薬品の一般名称であり、そして、医療用後発医薬品の販売名においては、有効成分の一般的名称について、塩、エステル及び水和物等に関する記載を省略することが可能とされているところ、「ピタバスタチンカルシウム」を有効成分とする薬剤(錠剤)に「ピタバ」の文字が表記されていることや、医療、医薬に関する論文等において「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称として「ピタバ」の文字が使用されていること、さらに、「ピタバスタチンカルシウム」以外の「スタチン系」と称される薬剤においても、「スタチン」の部分を省略して表記されていることが認められる。 そうすると、「ピタバ」の文字からなる本願商標は、その指定商品との関係において、医薬品の一般名称である「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称であることを需要者に認識、理解させるものであるから、これをその指定商品中、「ピタバスタチンカルシウムを有効成分とする薬剤」に使用しても、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標「ピタバ」の文字は、「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称として普通に用いられていない旨、及び、医学を含む医薬品関連分野における研究者等がピタバスタチンカルシウムについて略記する場合には、「PITAVA」や「ピタバ」の文字ではなく、「Pitavastatin」や「ピタバスタチン」の文字が用いられる旨主張する(甲1?甲22及び甲27?甲112)。 しかしながら、「ピタバスタチンカルシウム」について、「Pitavastatin」や「ピタバスタチン」と略記することがあるとしても、それをもって、上記(1)のとおり、「ピタバ」の文字が、「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称と取引者、需要者が認識する場合があることを否定されるものではないから、請求人による上記主張を採用することはできない。 イ 請求人は、最終消費者たる一般患者を含む取引者、需要者は、本願商標「ピタバ」の文字から、医薬品としてのピタバスタチンカルシウムを認識しない旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、論文等で「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称として「ピタバ」の文字が使用され、かつ、他の「スタチン系」と呼ばれる薬剤においても同様に「スタチン」部分を除いて略称されていることからすれば、医療従事者において、「ピタバ」の文字は、「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称と認識するのが自然であり、さらに、指定商品を取り扱う業界においても、複数の企業から製造、販売されている、「ピタバスタチンカルシウム」を有効成分とする錠剤のPTP包装シートには、「ピタバスタチンCa」や「PITAVASTATIN Ca」等、医薬品の一般的名称が記載された上で、錠剤に「ピタバ」の文字が表記されている実情があることからすれば、これに接した最終消費者たる一般患者であっても「ピタバ」の文字を、「ピタバスタチンカルシウム」又は「ピタバスタチン」の略称であると認識し、当該錠剤に含有される医薬品、すなわち、商品の品質を表示するものと理解するというのが相当である。 ウ したがって、上記ア及びイのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-06-14 |
結審通知日 | 2016-06-20 |
審決日 | 2016-07-01 |
出願番号 | 商願2013-80944(T2013-80944) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W05)
T 1 8・ 272- Z (W05) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
豊泉 弘貴 酒井 福造 |
商標の称呼 | ピタバ |
代理人 | 山本 博人 |
代理人 | 高野 登志雄 |
代理人 | 特許業務法人アルガ特許事務所 |
代理人 | 村田 正樹 |
代理人 | 中嶋 俊夫 |