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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 審判 全部申立て 登録を維持 W10 |
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管理番号 | 1318253 |
異議申立番号 | 異議2015-900317 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-10-13 |
確定日 | 2016-08-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5777240号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5777240号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5777240号商標(以下「本件商標」という。)は、「Pioneer Plus」の欧文字を横書きしてなり、2014年4月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成26年10月23日に登録出願、第10類「カテーテル、医療用機械器具」を指定商品として平成27年6月1日に登録査定、同年7月10日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。 (1)登録第806270号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和35年12月20日に登録出願、昭和44年1月27日に設定登録されたものであり、その商標権は、第9類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。 (2)登録第4482310号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成10年6月5日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年6月15日に設定登録されたものである。なお、引用商標2には、防護標章登録第1号及び第2号が登録されている。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、「Pioneer」と「Plus」の欧文字を若干の間隔をおいて横書きしてなる。本件商標中の「Pioneer」の部分は、「開拓者、先駆者」の観念を有し、「パイオニア」の称呼を生じるもので、商品の出所識別標識として強い印象を与えることにより、極めて強い出所識別機能を有するものである。一方、本件商標中の「Plus」の部分は、「既存の商品に新たな機能などを加えたもの」という意味合いを有することから、従来の商標に付加して使用されることが多いものである。そして、一般的に、ある語に「Plus」の語を結合した場合の「Plus」は、単に「付加える」程度の意味を想起させるにすぎず、極めて弱い識別機能しか有しないものである(甲6)。このため、「Plus」の語が結合した「Pioneer」が、極めて強い出所識別機能を有するのであるから、取引者及び需要者は、「Pioneer」が自他商品の識別標識と認識して取引に当たるのが通常といえる。したがって、本件商標は、「Pioneer」の部分から「開拓者、先駆者」の観念及び「パイオニア」の称呼が生じるものである。 他方、引用商標1からは、「PIONEER」の欧文字から「開拓者、先駆者」の観念及び「パイオニア」の称呼が生じるものである。 したがって、本件商標と引用商標1は、ともに「開拓者、先駆者」の観念及び「パイオニア」の称呼を共通にするものであるから、その観念及び称呼において類似の商標である。 また、本件商標と引用商標1の指定商品は、同一又は類似であること明らかである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について ア 引用商標2並びにその著名性及びその他の事情について 引用商標2は、パイオニア株式会社が、永年にわたり商品「カーオーディオ、カーナビゲーション」等について使用して、本件商標の登録出願前に需要者の間に広く認識されて、著名性を獲得し、本件商標の登録査定時においても著名性を維持していたものである。この著名性については、引用商標2に関し多数の指定商品について防護標章登録がなされており(甲3の2)、また、本件商標の拒絶理由通知の記載内容(甲7)からみて、特許庁において顕著な事実であると思料する。 また、甲第2号証の2で明らかなように、パイオニア株式会社は、引用商標1について「医療用機械器具(解剖用医療機器、医療用インプラント、整形外科用装置及びインプラント、脊椎固定装置及び脊椎安定化装置、脊髄手術用及び遺体解剖以外の整形手術用手術器具を除く)」を内容とする通常使用権を有し、引用商標2について「医療用機械器具」を指定商品として防護標章登録を受けており(甲3の2)、また、引用商標2を前記通常使用権に基づいて医療用機械器具である商品「補聴器」に使用している(甲8)。 イ 本件商標をその指定商品に使用した場合の商品の出所混同について 本件商標における「Pioneer」の部分は、「開拓者、先駆者」の観念を有し、「パイオニア」の称呼を生じるもので、商品の出所識別標識として強い印象を与えることにより、極めて強い出所識別機能を有するものである。一方、本件商標における「Plus」の部分は、「既存の商品に新たな機能などを加えたもの」という意味合いを有することから、従来の商標に付加して使用されることが多く、一般的に、ある語に「Plus」の語を結合した場合の「Plus」は、単に「付加する」程度の意味を想起させるにすぎず、極めて弱い識別機能しか有しないものである(甲6)。このため、「Plus」の語が結合した「Pioneer」が、極めて強い出所識別機能を有するので、本件商標に接した需要者は、「Pioneer」が自他商品の識別標識と認識して取引に当たるのが通常といえる。 そして、引用商標2が本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたことを考慮すると、本件商標に接した需要者は、その構成中の引用商標2と同じ綴りである「Pioneer」の部分に注目し、印象付けられ、引用商標2を想起、連想するものである(甲6)。また、パイオニア株式会社が医療用機械器具に係る業務に携わっており、当該業務に関する商品あるいは宣伝広告に引用商標2を使用していることは、需要者に認識されており、少なくとも、同社が医療用機械器具に係る業務に携わっていることは、需要者に広く認識されているものである(甲8、9)。 このため、本件商標をその指定商品について使用した場合には、その需要者をして、当該商品がパイオニア株式会社の業務に係る商品であると、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。 (3)むすび 以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「Pioneer Plus」の欧文字を横書きしてなり、「Pioneer」と「Plus」との文字には半角程度の間隔があるとしても、その構成各文字は同じ書体で同じ大きさにより表されているものであって、外観上、いずれかの語が強く印象に残る構成であるとは認められない。 また、本件商標を構成する「pioneer」の語は、平易な英語であり、その外来語が製品の研究、開発、製造等の分野においても「・・・のパイオニア」のように使用されて「開拓者、先駆者」の意味を容易に理解させるものとして一般に使用されていることからすると、本件商標構成中の「Pioneer」の文字の自他商品の識別力は強いものとはいえない。 一方、「plus」の語は、「加える」程の意味を有する平易な英語であって、当該意味合いを暗示させるものとして使用される場合があるものの、それが指定商品との関係で識別機能を果たし得ないとする事情は見いだすことはできない。 そうとすれば、本件商標は、その構成中の「Plus」の文字が捨象され、「Pioneer」の文字が要部であるとすべき理由があるということはできないから、構成全体をもって一体のものとして認識されるものであって、特定の意味を理解させることはないから、一種の造語とみるのが相当であり、その構成文字全体に相応して「パイオニアプラス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。 一方、引用商標1は、別掲1のとおり、「Pioneer」の文字を横書きしてなり、その構成文字に相応して、「パイオニア」の称呼、「開拓者、先駆者」の観念を生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標1とを比較するに、両者は、外観において、語頭の「Pioneer」の構成文字を共通にするが、構成後半の「Plus」の文字の有無における明らかな差異を有するものであり、本件商標から生じる「パイオニアプラス」の称呼と引用商標1から生じる「パイオニア」の称呼は、その後半における「プラス」の音の有無により十分聴別し得るものであって、本件商標からは特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標は、引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではないから、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について 申立人は、引用商標2が医療用機械器具を指定商品として防護標章登録を受けており、パイオニア株式会社が引用商標2を「補聴器」に使用していること及び同社が医療用機械器具に係る業務に携わっていることは需要者に広く認識されている旨主張しているところ、申立人の提出に係る証拠によれば、パイオニア株式会社が、平成26年頃から医療・健康機器の事業に参入したこと及び平成27年10月9日及び11日現在、引用商標2がパイオニア株式会社の業務に係る「補聴器」に使用されていることを認め得るにとどまるものであり(甲8、9)、引用商標2が、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において「補聴器」に使用されて、その業務に係る商標として需要者に広く知られているものと認めることはできない。 また、引用商標2が防護標章として登録され、あるいはその商標権者の業務に係る商品「カーオーディオ、カーナビゲーション」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとしても、別掲2のとおりの構成からなる引用商標2は、「Pioneer Plus」の欧文字を普通に書してなる本件商標とは、上記(1)のとおり、商標自体が異なるばかりでなく、「pioneer」の語は、広く知られた一般的な語であることから、引用商標2がその業務に係る商品を表示するものとして需要者に広く知られていることを踏まえても、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、別掲2のとおりの構成からなる引用商標2を連想又は想起するものとは認めがたく、その商品がパイオニア株式会社又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) 別掲2(引用商標2) |
異議決定日 | 2016-07-28 |
出願番号 | 商願2014-89371(T2014-89371) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W10)
T 1 651・ 263- Y (W10) T 1 651・ 261- Y (W10) T 1 651・ 271- Y (W10) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老名 友子、岩崎 安子 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
小松 里美 堀内 仁子 |
登録日 | 2015-07-10 |
登録番号 | 商標登録第5777240号(T5777240) |
権利者 | ボルカーノ コーポレーション |
商標の称呼 | パイオニアプラス |
代理人 | 外川 奈美 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 田島 壽 |
代理人 | 千葉 太一 |