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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X10
管理番号 1318162 
審判番号 取消2014-300065 
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-01-30 
確定日 2016-07-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5154052号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5154052号商標(以下「本件商標」という。)は、「INTEGO」の文字を標準文字で表してなり、2007年10月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成20年4月25日に登録出願、第10類「患者へ放射性医療品を投与するための医療用流体供給装置,患者へ放射性医療品を投与するための医療用流体供給装置に用いられる使い捨て医療用器具,その他の医療用機械器具」を指定商品として、平成20年7月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人は、「meDRaD Intego」なる商標(以下「使用商標」という。)が付された「患者へ放射性医薬品を投与するための医療用流体供給装置」(以下「本件装置」という。)が平成23年10月15日に通常使用権者である日本メドラッド株式会社(以下「日本メドラッド」という。)によって日本国内へ輸入された事実を主張し、証拠方法として、乙第1号証の1ないし乙第3号証を提出し、上記事実をもって、本件商標は、本件審判の請求の登録(平成26年2月19日)前3年以内に、その指定商品について使用されていた旨答弁する。
イ 商標法第50条第1項における登録商標の「使用」について
商標法第50条第1項に規定する取消審判は、登録されている商標であっても、実際には使用されず、あるいは使用されていないに等しい商標は、商標使用者の業務上の信用が化体されていないから、財産的価値がないか極めて少なく、このような登録商標を商標法で保護する価値はないのみならず、このような登録商標を放置することは、商標の使用を欲する者の商標選択の範囲を狭める結果ともなり、国民一般の利益を損なうこととなるから、請求によりこのような商標登録を取り消そうとするのが、その制度の趣旨と解される。これに鑑みると、同項における登録商標の「使用」というためは、単に商標法第2条第3項各号に形式的に該当するというだけでは足らず、実質的にその商標の本質的機能を発揮する態様で使用されることが必要であると解される。
ウ 被請求人が主張する「使用」について
被請求人が主張する事実は、使用商標が付された本件装置が、本件審判の請求の登録前3年の間にただ一度、米国所在の商標権者から、我が国所在の通常使用権者により輸入されたという一連の行為のみである。本件装置は、商標権者から通常使用権者へと無償で提供されていることから(乙1の2)、一般的な売買による商取引の結果としてではなく、単なる関連会社間における製品の移動の結果として我が国に輸入されたものといえる。また、我が国に輸入された本件装置はわずかに1台のみであり、輸入の目的についても、「展示用」との記載があることから(乙1の3)、本件装置は、取引者・需要者に対する商取引の対象として国内における流通に供することを目的として輸入されたのではないことが明らかである。
取消2001-30706号審決(甲2)に照らして、本件を考察すると、通常使用権者による本件装置の輸入が形式的には商標法第2条第3項第2号に規定される標章の使用に該当するとしても、3年の間にわずか1回、1台のみの装置を、展示目的で輸入するという行為をもって、反復・継続してなされる通常の商品取引の形態とみることはできず、したがって、上記事実をもってしても、本件商標をその指定商品について使用したとはいえない。
エ 本件装置について
取消2004-30725号審決(甲3)を参照すると、商標法第2条第1項第1号は、標章のうち「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」を商標と定義し、同第5項は、「商標登録を受けている商標」を登録商標と定義している。そうすると、商標法上、登録商標の使用とは、業として生産し、証明し、又は譲渡する対象となる商品についてなされるものと解するのが相当であって、これは、同法第50条における登録商標の使用の対象となる商品についても同様に解すべきである。
そこで、これを本件についてみるに、本件装置は、前記のとおり、「展示用」として輸入されたものであるところ(乙1の3)、これが単なる展示の対象に留まる限りでは、業として生産し、証明し、又は譲渡の対象となる物とはいえず、商標法上の商品ということはできない。
したがって、被請求人が主張する輸入行為をもって、本件商標がその指定商品について使用されたと認めることはできない。
そして、乙各号証によっては、本件装置が日本国内において、取引者・需要者に対する商取引の対象として流通に供された事実は認められないことから、本件装置は、商標法第50条の使用の対象となる商標法上の商品としての要件を具備しないものというべきである。
オ むすび
以上のとおり、被請求人が本件商標の使用として主張する事実は、外形的には商標法第2条第3項第2号に該当するとしても、実質的に登録商標が使用されたことを証明するものではないため、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した(なお、被請求人の主張する「乙第1号証の4」の提出はない。)。
(1)使用の事実
商標権者(被請求人)は、本件商標を付した本件装置を2011年4月10日(審決注:「2011年10月4日」の誤記と認める(乙1の2)。)に米国から出荷し、本件装置は、平成23年10月15日に、通常使用権者である日本メドラッドによって、日本国内へ輸入された(乙1の2及び3、乙2の2)。
商品の「輸入」は標章の使用の態様であるから(商標法第2条第3項第2号)、本件商標は本件装置について使用されたことは明らかである。以下詳述する。
ア 商標権者及び日本メドラッドについて
商標権者は、CT画像診断のために造影剤を患者の身体に注入するインジェクター装置及びその付属品を製造し、輸出及び販売する会社である(なお、商標権者は、2013年12月31日に旧社名「メドラッドインコーポレーテッド」から、現在の「バイエル メディカル ケア インコーポレーテッド」に名称変更し、それに伴い、住所も「アメリカ合衆国15051ペンシルベニア、インディアノーラ、ワンメドラッドドライブ」から、現在の「アメリカ合衆国15051ペンシルベニア、インディアノーラ、ワン バイエル ドライブ」に表示変更した。)。
日本メドラッドは、商標権者がその株式100%を所有する商標権者の子会社であり、日本国内において商標権者の商品販売を主たる業務とし、販売のために本件商標を本件装置について使用することが許諾されている通常使用権者である。
イ 本件装置
陳述書(乙2の1)に添付された写真“A”(乙2の2)及び“B”(乙2の4)の装置と同型機の本件装置は、MRI画像診断を行うために患者の血管へ造影剤を注入する際、撮像装置と同期して造影剤の注入速度と注入量を制御して注入を行う装置である。本件装置は、医療用機械器具の中の診断用機械器具に分類されるから、本件商標の指定商品に含まれる。
ウ 使用商標
陳述書(乙2の1)に添付された写真“A”(乙2の2)及び“B”(乙2の4)の装置は、それぞれ2007年、2008年に撮影されたものである。前記のとおり、これらの装置は、本件装置と同型であるから、写真“A”及び“B”の装置に本件商標が表示されていることが確認できれば、本件装置には同じ商標が表示されていたことになる。写真“A”(乙2の2)の装置には、使用商標が表示されている(乙2の3)。使用商標の前半部「meDRaD」は、商標権者の旧社名「メドラッド インコーポレーテッド」を表す文字であり、また、後半部「Intego」は、本件商標を使用するものである。本件商標は、標準文字で大文字の「INTEGO」であるのに対し、使用商標中の「Intego」は、1番目の文字が大文字、その他の文字は小文字の違いがあるが、これら商標は、社会通念上同一と認められる。商標法第50条第1項の規定により、使用商標中の「Intego」は登録商標と同一であるから、本件装置には、本件商標が表示されていた。
エ 商標権者による本件装置の販売
本件装置は、1台の価格が120万円以上もする高価な医療装置である。商標権者は、従来は本件装置をアメリカ国内、カナダ、欧州連合、オーストラリア、ラテンアメリカ諸国へ販売していた。
オ 商標権者による本件装置の日本への輸出及び通常使用権者による本件装置の輸入
商標権者は、本件装置を日本国内で販売及び展示することを予定し、インボイス(乙1の2)の荷物説明欄に「INTEGO」と記載されているとおり、2011年4月10日(審決注:「2011年10月4日」の誤記と認める(乙1の2)。)に本件装置1台を米国から、日本メドラッドへ輸出した。
日本メドラッドが平成23年10月19日に厚生労働大臣に提出した医療機器輸入報告書(乙1の3)の品名欄の「放射線薬剤投与装置(INTEGO)」の記載及び日本メドラッドのロジスティックス代表者である田畑真の陳述書(乙3)によれば、本件装置は、平成23年10月15日に日本国内に輸入され、大阪府茨木市藤の里2-15-8三菱倉庫株式会社内の日本メドラッド商品保管所に搬入されたことが確認できる。
カ 使用時期
通常使用権者である日本メドラッドが、本件装置を輸入した平成23年10月15日が商標の使用開始日である(乙1の4(審決注:「乙第1号証の4」は提出されていない。))。この使用時期は、本件審判の請求の登録日前3年以内の使用であるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定「継続して3年以上・・使用していないとき」には該当しない。
(2)むすび
よって、本件商標を表示した本件装置は、本件審判の請求の登録日の3年以内に、通常使用権者である日本メドラッドによって日本国内に輸入されていたから、本件商標は商標法第50条第1項の規定には該当しない。

4 当審の判断
(1)使用の事実について
ア 乙第1号証の1ないし乙第3号証並びに本件商標の商標登録原簿及び答弁の理由によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)本件商標の商標権者は、米国ペンシルベニア州に所在し、CT画像診断のために造影剤を患者の身体に注入するインジェクター装置及びその付属品を製造、輸出、販売する会社であり、2013年(平成25年)12月31日に「メドラッド インコーポレーテッド」から名称変更した(当事者間に争いのない事実)。
日本メドラッドは、商標権者がその株式100%を所有する商標権者の子会社であり、日本国内において商標権者の商品販売を主たる業務とし、販売のために本件商標を本件装置について使用することが許諾されている通常使用権者である(当事者間に争いのない事実)。
(イ)乙第1号証の1は、2014年(平成26年)7月18日付けの日本メドラッドのロジスティックス代表者の田畑真の陳述書である。その陳述内容は、インボイス(乙1の2)及び2011年(平成23年)10月19日付け厚生労働省宛の輸入報告書(乙1の3)の原本を複写し、当該複写したものを同陳述書に添付した、というものである。
(ウ)商標権者から日本メドラッド(荷受人)に宛てた2011年(平成23年)10月4日付けインボイス(乙1の2)には、おおむね以下の記載がある。
a.「荷物全数量」として「1ケース」
b.「詳しい荷物説明」として「荷物1号 INTEGO HTSコード:9018.19.4000」、「見本商品 無償提供」、「生産国:米国」など。
c.「全重量(kg)/約1030ポンド」、「大きさ/46インチ×32インチ×62インチ」
d.「数量/1台当たり」、「ユニット価格/12000米ドル」、「価格/通関用12000米ドル」
(エ)日本メドラッドが厚生労働大臣に宛てた平成23年10月19日付けの「医療機器輸入報告書」(乙1の3)には、おおむね以下の記載がある。
a.「品名/放射線薬剤投与装置(INTEGO)」、「数量/1」、「製造販売(製造)業許可、登録番号、有効期間/※医療機器 第27B1X00019号 平成22年3月31日?27年3月30日」、「許可または登録のない場合、輸入の目的/展示用」、「製造業者名及び国名/MEDRAD,INC. U.S.A.」、「輸入年月日/2011年10月15日」
b.「厚生省確認欄」には、平成23年10月19日に厚生労働省近畿厚生局が確認した旨の丸判が押印されている。
(オ)乙第2号証の1は、2014年(平成26年)7月18日付けの商標権者のMRI装置及びIntegoグローバルブランド管理部長のDr.Marcella Scarpa(マーセラ スカーパ)の陳述書である。その陳述内容は、同陳述書に添付された写真“A”(乙2の2)は、2007年(平成19年)に商標権者の社内で撮影されたものであり、また、“B”(乙2の4)は2008年(平成20年)米国ルイジアナ州ニューオリンズで開催された核医学分子像学会2008年年次大会で撮影されたものであり、いずれも2011年(平成23年)10月4日(前記3(1)認定のとおり、同陳述書に記載の「2011年4月10日」は、「2011年10月4日」の誤記と認める。)に日本メドラッドに輸出された本件装置と同型機である、というものである。
(カ)Dr.Marcella Scarpa(マーセラ スカーパ)の陳述書(乙2の1)に添付された写真“A”(乙2の2及び3)及び写真“B”(乙2の4)は、本件装置と同型機と認められる装置の写真である(当事者間に争いのない事実)ところ、写真“A”に写された装置には、その正面に、赤色で表された「meDRaD」の文字が表示され、同側面には、「meDRaD」の文字と、その右に、1文字程度の間隔をあけて、黒色で表された「Intego」の文字が横書きに表示されている(使用商標)。
また、本件装置は、MRI画像診断を行うために患者の血管へ造影剤を注入する際、撮像装置と同期して造影剤の注入速度と注入量を制御して注入を行う装置である(当事者間に争いのない事実)。
(キ)乙第3号証は、2014年(平成26年)7月30日付けの日本メドラッドのロジスティックス代表者の田畑真の陳述書である。その陳述内容は、日本メドラッドは、2011年(平成23年)10月15日に商標権者から本件装置を輸入した、というものである。
イ 前記アで認定した事実によれば、商標権者は、CT画像診断のために造影剤を患者の身体に注入するインジェクター装置及びその付属品を製造し、輸出及び販売する米国の企業であり、2011年(平成23年)10月4日に、使用商標を付した本件装置1台(1ドル=100円で換算した場合、120万円)を、日本における販売活動の一環として、展示する目的で日本に無償で出荷し、本件装置は、商標権者の日本における子会社であり、本件商標の通常使用権者である日本メドラッドにより、2011年(平成23年)10月15日に日本に輸入されたことを優に推認することができる。
そして、本件装置は、診断用機械器具の一つと認められるから、請求に係る指定商品に含まれるものである(当事者間に争いのない事実)。
また、本件装置に付された使用商標は、その構成中の「meDRaD」の文字部分と「Intego」の文字とは、文字の表記方法、色彩、大きさ等が異なること、また、構成全体として、親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではなく、ハウスマークとして認識される「meDRaD」の文字部分に対して「Intego」の文字部分がサブブランドとして認識されることなどから、「Intego」の文字部分をもって一つの商標の使用としても認め得るものである。
そして、使用商標中の「Intego」の文字部分は、本件商標とは、同一の綴り字よりなるものであるから、少なくとも同一の称呼が生ずるものであり、社会通念上同一と認められる商標ということができる(当事者間に争いのない事実)。
以上によれば、通常使用権者(商標権者の100%子会社である日本メドラッド)は、本件審判の請求の登録(平成26年2月19日)前3年以内である2011年(平成23年)10月15日に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した診断用機械器具を、日本の顧客を対象とした販売促進活動のために、展示をする目的で日本に輸入したことが認められ、当該通常使用権者の行為は、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」(商標法第2条第3項第2項)に該当するものということができる。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、本件装置は、商標権者から通常使用権者へと無償で提供されていることから、一般的な売買による商取引の結果としてではなく、単なる関連会社間における製品の移動の結果として我が国に輸入されたものである旨主張する。
しかし、商標権者は、CT画像診断のために造影剤を患者の身体に注入するインジェクター装置及びその付属品を製造し、輸出及び販売する米国の企業であり、また、日本メドラッドは、商標権者の100%子会社であり、日本国内において商標権者の商品販売を主たる業務とし、販売のために本件商標を本件装置について使用することが許諾されている通常使用権者である(当事者間に争いのない事実)ことからすれば、本件装置が商標権者から日本メドラッドにより無償で日本に輸入されたとしても、何ら不自然な取引ということはできない。
したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(イ)請求人は、3年の間にわずか1回、1台のみの装置を、展示目的で輸入するという行為をもって、反復・継続してなされる通常の商品取引の形態とみることはできず、本件商標をその指定商品について使用したとはいえない旨主張する。
しかし、本件装置は、前記認定のとおり、1台12000米ドル(1ドル=100円で換算した場合、120万円)の高額な医療機械器具であり、日常的に使用される安価な商品と異なり、大量に、かつ、頻繁に輸入することは、一般的には考え難く、まずは、日本における医療機械器具の取引者、需要者を対象として展示をして、販売促進活動を行うことを目的としたものであると推認することができる。してみると、本件装置の輸入が1回であり、その台数も1台であったとしても、本件装置の特殊性にかんがみれば、使用商標が付された本件装置が、商標法第2条第3項第2項に規定する「展示」の目的で輸入された以上、商標法第50条にいう登録商標の使用があったとの前記認定を覆すことはできない。
したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(ウ)請求人は、本件装置は、「展示用」として輸入されたものであり、これが単なる展示の対象に留まる限りでは、業として生産し、証明し、又は譲渡の対象となる物とはいえず、商標法上の商品ということはできないから、被請求人が主張する輸入行為をもって、本件商標がその指定商品について使用されたと認めることはできず、したがって、被請求人が主張する輸入行為をもって、本件商標がその指定商品について使用されたと認めることはできない旨主張し、さらに、乙各号証によっては、本件装置が日本国内において、商取引の対象として流通に供された事実は認められない旨主張する。
商標法によって保護される「商品」とは、譲渡、引渡し、展示又は輸入の対象となるもの、すなわち、市場において流通に供されることを予定して生産され、又は市場において取引される有体物であり、これに標章が付されることによってその出所が表示されるという性質を有するものをいうと解されるところ、本件装置は、前記認定のとおり、日本における販売促進活動を行うことを目的として輸入され、不特定多数の医療機械器具の取引者、需要者に対し、譲渡する対象物として展示をしていたものと推認することができる。
してみると、本件装置は、商標法上の商品ということができ、使用商標は、本件請求に係る指定商品中の診断用機械器具について使用されていたものと認められるから、その後の流通の有無を問題にする請求人の主張は失当である。
(2)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品中の「診断用機械器具」について、登録商標の使用をしていたことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-02-24 
結審通知日 2016-03-01 
審決日 2016-03-16 
出願番号 商願2008-32748(T2008-32748) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
小松 里美
登録日 2008-07-25 
登録番号 商標登録第5154052号(T5154052) 
商標の称呼 インテゴ 
代理人 高岡 亮一 
代理人 會田 悠介 
代理人 特許業務法人 丸山国際特許事務所 

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