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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W30
管理番号 1317247 
異議申立番号 異議2015-900201 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-06-19 
確定日 2016-06-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5751124号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5751124号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5751124号商標(以下「本件商標」という。)は、「スパムボール」の文字を標準文字で表してなり、平成26年11月19日に登録出願、第30類「たこ焼き,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,弁当,ラビオリ」を指定商品として、同27年2月19日に登録査定、同年3月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)。
1 登録第456387号(以下「引用商標1」という。)は、「SPAM」の文字を横書きしてなり、昭和28年12月21日に登録出願、第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同29年11月27日に設定登録され、その後、平成17年7月20日に指定商品を第29類「肉の缶詰」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第1361691号(以下「引用商標2」という。)は、「スパム」の文字を横書きしてなり、昭和47年6月9日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同53年11月30日に設定登録され、その後、平成21年10月14日に指定商品を第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍果実,冷凍野菜,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー・スープ又は吸い物のもと,調理済みのカレー,調理済みのシチュー,調理済みのスープ,調理済みの吸い物,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,コンビーフとジャガイモの缶詰,肉と野菜の缶詰,肉の煮物,肉・豆及び野菜を主材とする惣菜,豆・肉及びトマトの洋風煮物の缶詰」とする指定商品の書換登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第116号証を提出している。
1 申立人は、商標「SPAM」、「スパム」(以下「申立人商標」という場合がある。国内では引用商標1及び2)を使用して、長年にわたりランチョンミート(以下「申立人商品」という場合がある。)を販売してきた。 その結果、食品の分野において、申立人商標は、本件商標の出願・登録時には国内外で著名となっていた。
申立人商標は、造語商標であり、申立人固有の商標であると認識されている。
本件商標の指定商品の分野を含む食品分野において、「ボール」の語は識別力を有しない。
本件商標の権利者は、食品関係の事業に従事する者であり、申立人商標が不動の著名性を獲得しているハワイの食品関連業務にも従事していること等から、申立人商標の著名性を当然認識していたはずである。
これらの事情から、本件商標は、次のとおり、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に違反して登録されたもので、その登録を取り消されるべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「スパムボール」の語からなるところ、引用商標は、申立人商標として著名であり(甲12、甲13、甲15?甲21、甲24?甲78)、申立人固有の造語商標であると認識されており(甲12、甲47、甲72、甲8、甲11)、「ボール」の語は指定商品につき識別力を有しない(甲80?甲92、甲43、甲77、甲78、甲93)。
したがって、本件商標は、引用商標と類似し、指定商品も類似のものを含むから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
「SPAM」、「スパム」は、本件商標の出願前に申立人商標として国内外(ハワイを含む)で周知著名となっていた(甲4?甲78)。本件商標の権利者及びその代表者は、食品の企画・開発・製造・販売等、食品関係の事業に従事する者であり、本件商標の権利者は、申立人商標が不動の著名性を獲得しているハワイの食品関連業務にも従事していることから(甲1、甲94?甲102、甲113?甲116)、申立人商標の著名性を当然知っていたはずである。
本件商標の権利者は、8件の登録商標及び2件の出願商標を保有し(甲103?甲112)、著名人が考案した自己ピーアールのフレーズであって、これにアクセスしなければ到底想到し得ないようなオリジナリティーのある商標についても商標登録出願をしており、商標法第4条第1項第15号に該当する旨の拒絶理由通知を受けている(甲111)。このことからも、本件商標における不正の目的は十分推認される。
したがって、本件商標は、申立人商標と類似する本件商標を不正の目的で使用すべく登録したもので、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
「SPAM」、「スパム」は、申立人商標として著名であり(甲12、甲15?甲21、甲24?甲69)、申立人固有の造語商標であると認識されている(甲12、甲47、甲72、甲8、甲11)。申立人商品の人気から、申立人商品を使用したハンバーガーやおむすび等も「製造元公認」等とうたって販売されている(甲71?甲76)。
本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
仮に類似しないとしても、申立人商標「スパム」は造語であり、本件商標はこれを構成中に取り込んだものと容易に認識されるから、本件商標は申立人の業務に係る商品であるかのような混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第7号について
「SPAM」、「スパム」は、申立人商標として著名であり(甲12、甲13、甲15?甲21、甲24?甲78)、申立人固有の造語商標であると認識されている(甲12、甲47、甲72、甲8、甲11)。本件商標は、申立人の著名商標「スパム」を剽窃的にその構成中に取り込んだものである。
また、申立人商品を使用した食品が既に販売され(甲71?甲75)、販売される可能性があることも併せ考えれば(甲17?甲21、甲50?甲62)、剽窃者の登録した本件商標が障害となる可能性が生じてくる。
したがって、本件商標は、国際信義に反し公序良俗を害するおそれがあり、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 本件商標に対する取消理由
審判長が商標権者に対し、平成28年2月26日付けで通知した取消理由の内容は、次のとおりである。
1 引用商標の周知・著名性について
(1)申立人の提出に係る証拠、同人の主張及び当審における職権調査によれば、次の事実が認められる。
ア 引用商標1の来歴及び外国における販売状況の紹介等(日本語の雑誌、ウェブサイト等によるもの)
(ア)申立人は、過去9年間続けてフォーブス誌(米国)による「アメリカの大企業ベスト400」に選出されている企業であり、1937年より商標「SPAM」を使用してランチョンミートの缶詰を販売している(甲4、甲7等)旨紹介されている。
(イ)「メイド・イン・U・S・A」(平成9年11月20日第1刷発行 モノ・マガジン編集部著)には、「スパム/Spam」と題して、「第二次大戦中、GIの背のうに必ず入っていた缶詰ランチョンミート、スパム。1937年に誕生して以来60年、アメリカ人お気に入りのランチメニューとしてさまざまな料理に姿を変えて食卓を彩っている。時代を越えて愛されるポップカルチャーのアイコン、それがスパムの缶詰だ。」と記載されている。その下には、更に詳細な解説がされており、「スパム」が1937年の発売以来アメリカを代表する食品の一つとして世界中で親しまれていること、第二次大戦中には米軍、ソ連やヨーロッパの軍隊にも支給されたこと、レシピコンテストも世界各地で開かれていること、イギリスのサッチャー元首相も「スパム」を食べたこと、「スパム」は歴史が古い確かな食品であり、用途が広くおいしいから好かれること、色々な種類の「スパム」が発売され、「スパム」ファンのためにロゴ入りTシャツ他の各種グッズも売られていること、1996年にはアメリカで1億缶売れ、アメリカ人の食卓には欠かせないミラクルミートであることなどが紹介されている(甲7)。
(ウ)ネクタイ、帽子、ボール、ぬいぐるみなど、申立人のランチョンミートとはかかわりのない分野においてまで「SPAM」商標を使用した商品が販売されている(甲8)。
(エ)申立人の開設する「SPAM(R)BRAND」(「(R)」は、「R」の文字を丸で囲んだものである。以下同じ。)の見出しの日本語のウェブページには、「毎年1億2,000万個を超えるSPAM(R)製品が世界各地で消費され、2009年には累計数が70億缶に到達する見込みである」旨、「世界40カ国以上に輸出され、日本を含めたアメリカ以外の4カ国で製造され、6大陸の100カ国以上でSPAM(R)ブランドが商標登録されている」旨、「アメリカでは99パーセントを超える飲食料店で販売されている」旨紹介されている(甲10、甲11)。
(オ)ハワイではSPAMの人気が特に高いため、「SPAMむすび」というおにぎりの一種をはじめとするSPAMを使った料理が食されている(甲13、甲15)。
(カ)ハワイでは一人当たりの消費量は全米一高く、毎年約700万缶ものスパムが食べられており(甲16)、SPAM人気が高いことから、ワイキキにおいて「ワイキキ・スパム・ジャム(Waikiki Spam Jam)」というイベントが毎年5月に開催されている(甲15、甲16?甲21)。このイベントは2013年で11回目となる(甲18)。ワイキキ・スパム・ジャムは、ハワイでもっとも人気のあるフードイベントのひとつで、家族向けのイベントには、おいしいスパム料理やエンターテインメントが盛りだくさんで、毎年約2万5千人という多くの地元住民や旅行者が訪れており、SPAMのロゴグッズの販売ブースもある(甲16?甲19)旨紹介されている。
(キ)甲第23号証は、アメリカ、カナダ、イギリスのマーケットシェアについてまとめた資料であり、それによれば、米国では、ポークランチョンミート類の販売数で見ると80%強、売上高で見ると90%弱のシェアであり、缶詰ポーク、ビール、ラム全体での米国内のシェアは、45%前後である。また、カナダでは売上ベースで毎年30%前後のシェア、イギリスでは、コンビーフ、缶詰ハム等を含む缶詰コールドミート分野でのシェアが15%強、チョップト・ポーク・ハムの分野におけるシェアは50?65%弱となっている(甲23)。
イ 引用商標の我が国における使用状況、申立人の広告等
(ア)申立人商品は、我が国においては、「SPAM」の文字、「スパム」の文字又は「SPAM」の文字と「スパム」の文字を併記した表示とともに、ソニープラザ(甲13)、コストコ(甲24)、輸入食料品店やスーパーマーケット(甲12)、ネット通販等(甲25?甲42)により販売されている。
(イ)申立人商品は、申立人が2008年に伊藤忠商事と輸入販売店契約を締結する以前は、申立人グループの一員である株式会社沖縄ホーメルによって販売されていた。それ以降は、沖縄を除く日本全国では伊藤忠グループが持つ流通網を中心に販売されている(甲43?甲46)。
(ウ)申立人商品は、書籍、雑誌、新聞、ウェブ等で紹介され(甲12、甲15?甲21、甲24、甲47?甲49)、これを利用した料理のレシピ等も書籍、雑誌、インターネット上等で多数紹介されている(甲50?甲54)。
(エ)申立人自身も、申立人商品の市場拡大のため、自己が開設する「SPAM(R)BRAND」の見出しの日本語のウェブペーの店頭配布物、日本語サイト、Facebook、新聞広告等で、申立人商品を使用した数多くの料理やそのレシピを本件商標の出願前から数年来にわたり紹介してきている(甲55?甲62。甲55?甲57が配布物、甲58?甲61が日本語サイト及びFacebookの記事、甲62が新聞広告)。
(オ)申立人は、2010年及び2011年には一般人を対象に「スパム(R)レシピコンテスト」を開催した(甲43)。さらに、「スパム」ブランドの公式携帯サイト「スパム(R)モバイル」を開設したり(甲43)、新聞広告を行ったり(甲62等)、テレビCMを放映したりし(甲43、甲63ないし甲65)、この他にも各種のキャンペーンやコンテストを行ってきた(甲66?甲68)。
(カ)甲第69号証は、申立人の我が国における過去数年間の「SPAM」ランチョンミートの売上及びマーケットシェアを株式会社インテージがまとめた資料一式であり、2007年から2011年にかけて缶詰(ポーク)における市場占有率が45%から71%にアップし、2013年から2015年2月(本件商標の査定時は2015年2月24日)までの「缶詰肉製品(セグメント別)」の「ポークにおけるスパムのシェア」(豚肉の缶詰製品におけるスパムのシェア)が全国(沖縄を除く)で90%台となっており、ポーク缶詰の中でも大きなシェアを占めていることがわかる。
(キ)申立人の「スパム」ランチョンミートの人気を反映して、これを使用したハンバーガー、おにぎり等の商品も、2007年頃からフレッシュネスバーガー、新鮮組(2008年頃ローソンに変更)、ローソン等の店舗で全国販売されてきた(甲71?甲75)。
(ク)2006年にはユニクロとのコラボTシャツも発売された。これは、ユニクロと有名企業100社とのコラボTシャツの一つとして販売されたもので、これを報ずるネット記事(甲76)には、SPAMのTシャツの写真が掲載されている(甲76)。
(ケ)「スパム(R)レシピコンテスト2011」の部門賞(シェフ部門)はボール状に丸めた「コロコロスパム(R)ボール」であり(甲43)、この受賞についてはマイナビニュースでも報じられ(甲77)、申立人の日本語サイトでもそのレシピが紹介されている(甲78)。
ウ 引用商標は造語であり、食品分野において「SPAM」及び「スパム」は申立人固有の商標であると認識されていること
(ア)第三者によって、「SPAM」は「Spiced Ham」を縮めてできた商標である等と紹介されることが多い(例えば甲12、甲47、甲72。甲8にも類似の説明がされている。)。
(イ)外国のみならず我が国でも「(R)」は登録商標であることを示す符号として使用され、認識されているところ、申立人のランチョンミートが掲載された第三者の雑誌や申立人のウェブページ、ちらしその他には、「SPAM(R)」や「スパム(R)」のように、「SPAM」及び「スパム」が登録商標である旨を示す表示がされていることが多い(外国につき甲9、国内につき甲52、甲53、甲55?甲64、甲66?甲68、甲76、甲78等)。
(ウ)「SPAM」及び「スパム」が商標であることを認識させるべく、我が国では鉤括弧を用いて「SPAM」、「スパム」と表記するものもある(甲65、甲71)。
(エ)職権調査による英語辞典の記載
a 英和商品名辞典(株式会社研究社発行)の「Spam」の項に、「米国 Minnesota州のGeorge A.Hormel&Co.(1928年創業)製の豚肉を主原料とするランチョンミートの缶詰め。1937年に商標登録」の記載がある。
b 研究社新英和大辞典第5版の「Spam」の項に、「《商標》スパーム《かん詰肉の商品名》」の記載がある。
c 小学館ランダムハウス英和大辞典第二版の「Spam」の項に、「《商標》スパム:米国と英国の主に豚肉製の缶入りランチョンミート」の記載がある。
(2)小括
上記(1)によれば、申立人は、1937年より長年にわたり引用商標を使用した申立人商品を販売し、市場拡大のため広告やプロモーション活動を積極的に行ってきたものであり、また、申立人商品のシェアは非常に高く、さらに、「SPAM」の文字が、英語の辞典にも申立人の商標である旨記載されていることなどからすれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表すものとして、我が国の食品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということができる。
2 本件商標の指定商品と申立人商品との関連性、需要者等
本件商標の指定商品は、「たこ焼き、菓子、パン、サンドイッチ、中華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ、ぎょうざ、しゅうまい、すし、弁当、ラビオリ」であって、その具材として様々な食材が使用されている実情があり、現実に、申立人商品が、「ホットドッグ、弁当、サンドイッチ、ハンバーガー、おにぎり、たこ焼き、中華まんじゅう、ピザ、ぎょうざ、」等の具材として利用されていること(甲52?63、甲71?甲73、甲80)からすれば、本件商標の指定商品と申立人商品とは、原材料と加工品等の関係にあり、密接な関係を有し、それらの需要者も共通にする場合が多いといえる。
3 本件商標と引用商標との類似性
(1)本件商標
本件商標は、「スパムボール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ボール」の文字は、「球。また、球状のもの。」等を意味するものとして親しまれている語であり、また、本件商標の指定商品の分野において、形状の丸い「ボール状」の商品が多数存在し、該文字がその商品が球状のものであることを意味するものとして、一般に広く使用されていること(甲80?甲92、甲97?甲100)からすると、本件商標の構成中の「ボール」の文字部分は、商品が「球状のもの」であることを認識させるにすぎないものであり、自他商品の識別機能を有しないか、あるいは、有するとしても極めて弱いものである。
また、本件商標の構成中の「スパム」の文字部分は、上記1の認定のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における食品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認め得る「スパム」の表示と同一の綴り文字よりなるものである。
さらに、上記2の認定のとおり、本件商標の指定商品と申立人商品とは密接な関係を有し、それらの需要者も共通にする場合が多いといえるものである。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「スパム」の文字部分に着目し、強く印象付けられるといえ、本件商標は、構成文字全体から生じる「スパムボール」の称呼のほか、「スパム」の文字部分より、単に「スパム」の称呼をも生じるものであって、申立人の業務に係る「豚肉製の缶入りランチョンミート」(申立人商品)を連想、想起し、申立人のスパムブランドの観念を生じるものとみるのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、引用商標1は、「SPAM」の文字からなり、引用商標2は、「スパム」の文字からなるものであるから、これより「スパム」の称呼を生じるものであって、上記(1)と同様に、申立人のスパムブランドの観念を生じるものとみるのが相当である。
(3)以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観において相違するものの、「スパム」の称呼及び「申立人のスパムブランド」の観念を共通にするものであるから、相紛らわしい類似の商標というべきである。
4 出所の混同のおそれ
以上を総合すると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表すものとして、我が国の食品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、かつ、本件商標は引用商標と類似するものである。そして、本件商標の指定商品と申立人商品が密接な関係を有し、それらの需要者も共通にすることなどを合わせ考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

第5 商標権者の意見
商標権者は、前記第4の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

第6 当審の判断
本件商標についてした前記第4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、その他の登録異議の申立ての理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-05-09 
出願番号 商願2014-97653(T2014-97653) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2015-03-20 
登録番号 商標登録第5751124号(T5751124) 
権利者 株式会社ごほり
商標の称呼 スパムボール 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 鈴木 薫 
代理人 中田 和博 

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