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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W09 |
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管理番号 | 1317229 |
審判番号 | 不服2016-2377 |
総通号数 | 200 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-02-17 |
確定日 | 2016-08-08 |
事件の表示 | 商願2015-26753拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「let it go」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,ダウンロード可能なコンピュータ用又は携帯電話機用セキュリティソフトウェア,電子メールのセキュリティ用コンピュータ用又は携帯電話機用ソフトウェア,受信した電子メールを一定時間経過後に消去するダウンロード可能なコンピュータ用又は携帯電話機用ソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成27年3月24日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『let it go』の文字を標準文字で書してなるところ、該文字は、全世界で大ヒットを記録したウォルト・ディズニー・カンパニー(以下『ディズニー社』という。)のアニメ映画『アナと雪の女王』の英語版主題歌のタイトル『let it go』(以下『引用標章』という。)と同一のものと認める。そうすると、本願商標は、構成文字全体から、ディズニー社のアニメ映画『アナと雪の女王』の主題歌を容易に想起・連想させることから、該文字をその主題歌の作詞者、作曲者、実演者、関係者及び、前記映画の制作者等と何らの関係を有さない出願人が自己の商標として採択し、使用することは、同楽曲の著名性に便乗する行為であり、しかも、同楽曲の著名性を希釈化するおそれもあるといわざるを得ないから、本願商標をその指定商品について使用をした場合には、同楽曲及び映画の制作者等と経済的・組織的に何らの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」 旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、前記1のとおり、「let it go」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「let」、「it」及び「go」の文字は、それぞれ平易な英単語であって、各語に相応する読み及び意味を有するものであり、また、これら英単語を一連とした「let it go」は、「それでよいとする。(何もしないで)放っておく。」等の意味を有する熟語として辞書にも掲載されているものである。 (2)引用標章の著名性について 引用標章は、2013年11月にアメリカで公開、我が国では、2014年3月に公開され、日本国内での興行収入は、254億円を超え、歴代3位になるなど、大ヒットしたディズニー社のアニメ映画「アナと雪の女王」(原題「Frozen」)の英語版主題歌のタイトル「let it go」(日本語版主題歌のタイトルは、「レット・イット・ゴー?ありのままで?」)であり、この主題歌は、2014年iTunesダウンロードランキングにおいて、「レット・イット・ゴー?ありのままで?」が第1位、「let it go」が第4位になるなど大ヒットし、また、JOYSOUNDカラオケ年間ランキング(カラオケ総合ランキング)においては、「レット・イット・ゴー?ありのままで?」が、2014年第1位、2015年第5位、2016年上期第20位であり現在でも人気があることから、本願商標の登録出願時及び本件審決時において引用標章が、アニメ映画、音楽との関係においては、ディズニー社の業務に係るアニメ映画「アナと雪の女王」(原題「Frozen」)の英語版主題歌のタイトルとして需要者の間に広く認識されていたものといえる。 (3)商標法第4条第1項第15号の該当性について 本願商標と引用標章とは、上記1及び2のとおり、「let it go」の欧文字を表してなるものであるから、両者は同一又は類似するものといえるが、該構成文字は、上記(1)のとおり、辞書にも掲載される平易な英単語からなる一般的な熟語であって、創造標章といえるものではなく、ディズニー社のハウスマークでもないことからすれば、引用標章は、映画や音楽の分野において、ディズニー社のアニメ映画の主題歌を表すものとして周知性を有しているにすぎないものである。 また、本願商標の指定商品は、いずれも電気通信機械器具及び電子応用機械器具に属する商品であるから、引用標章が使用される映画や音楽関連の商品及び役務(例えば、録音済みのコンパクトディスク,録画済みビデオディスク,映画の上映・制作又は配給等)とは、その製造者、販売場所、流通経路及び用途等の共通性も低いものである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が、引用標章を連想・想起するような事情はなく、昨今の企業における事業の多角経営化の進展を考慮しても、ディズニー社又は同者と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標をその指定商品に使用しても、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-07-21 |
出願番号 | 商願2015-26753(T2015-26753) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(W09)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池田 光治 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
豊泉 弘貴 酒井 福造 |
商標の称呼 | レットイットゴー |
代理人 | 澤木 紀一 |
代理人 | 小山 輝晃 |