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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W44
審判 全部無効  無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W44
管理番号 1317147 
審判番号 無効2015-890086 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-10-23 
確定日 2016-06-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5782119号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5782119号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5782119号商標(以下「本件商標」という。)は、「包丁マッサージ」の文字を標準文字で表してなり、平成27年2月4日に登録出願、第44類「あん摩・マッサージ及び指圧,あん摩・マッサージ及び指圧に関する指導・助言,あん摩・マッサージ及び指圧に関する情報の提供」を指定役務として、平成27年7月13日登録査定、同年7月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第39号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標の登録は、以下の理由により、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号及び同第10号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
ア 本件商標は識別力がないことについて
(ア)近年、整体やあん摩の利用者が増加している傾向がある中で、通常のいわゆるマッサージのほか、オイル、アロマを使用したオイルマッサージやアロママッサージ、短時間マッサージを売りとするクイックマッサージ、足裏のツボや耳のツボ、頭皮や顔を刺激する足ツボマッサージ、耳ツボマッサージ、頭皮マッサージ等、多種多様なマッサージが普及している(甲1、甲2)。さらに、サボテンを使ったサボテンマッサージ、炎を使った炎マッサージ、カタツムリを用いたカタツムリ・フェイシャル、蛇を用いたスネークマッサージ、ハンマーを使ったハンマーマッサージ等も知られている(甲3?甲5)。
このようにマッサージ業界では、マッサージの特徴や部位、マッサージに用いるもの(手段)を、「マッサージ」の文字の冒頭に配置することで、需要者がどのようなマッサージかを認識できる態様で表記されることが多く、いずれも役務の質等を説明する記述的な表記であり、提供されるマッサージとの関係で識別力を発揮するものではない。
(イ)本件商標は、「包丁」と「マッサージ」との2つの単語で構成される標準文字からなり、冒頭の「包丁」部分は、包丁を使用したマッサージにおいては、役務の提供の用に供するもの(手段)を表し、「マッサージ」部分は、役務そのものを表す。そして、本件商標からは、包丁を使用したマッサージを想起するのが自然であり、その役務の質等を直観させる。また、後記イのとおり、実際に包丁を使用したマッサージが本件商標の査定前に、我が国の需要者に多数紹介されている。
イ 「包丁マッサージ」が「包丁を使ったマッサージ」の意味で用いられていること
前記アに加え、本件商標の指定役務を取り扱う業界においては、本件商標の査定前から「包丁を使ったマッサージ」が普通に知られており、需要者・取引者の間で、当該マッサージの意味として「包丁マッサージ」の語が普通に使用されている。
すなわち、「包丁を使用したマッサージ」は、包丁で全身を叩いて行う中国や台湾の伝統的な民間療法であり、現地では、「刀療」と呼ばれることもあるが、以下のとおり、日本人向けには、「包丁マッサージ」の語で多数紹介され、同語は、本件商標の指定役務の分野の我が国の取引者・需要者に、本件商標の出願前から(査定時に至るまで)、中国や台湾の伝統的な民間療法である包丁を使用したマッサージのことであるとして知れわたっている。
地上波テレビでは、2011年4月2日?16日頃放送の「マヨブラジオ」(よみうりテレビ:甲6)、2012年1月14日放送の「世界若返りツアーin台湾」(よみうりテレビ、福岡放送他全国各地の放送局:甲7)、2012年5月28日放送の「このへん!!トラベラー」(北海道テレビ、東北放送、テレビ東京、中京テレビ、福岡放送、朝日放送等:甲8)、2013年5月24日放送の「アナザースカイ」(日本テレビ等:甲9)等で、包丁を使用したマッサージのことを「包丁マッサージ」と紹介した。その他、2014年9月頃に、上記「このへん!!トラベラー」で出演した芸能人がラジオ(アッパレやってまーす!:MBSラジオ)等でも包丁を使用したマッサージのことを、やはり「包丁マッサージ」と紹介した事実もある(甲11)。
また、2010年1月19日付け東京読売新聞夕刊や、2012年1月13日付け中国新聞夕刊で、台湾において「包丁マッサージ」と呼ばれるマッサージが女性を中心に人気を集めていることが紹介されている(甲12、甲13)。
さらに、台湾の観光ガイドブック・雑誌においても、台湾政府から認証を受け包丁を使用したマッサージとして有名な「先天世界刀療協会」が紹介され、同協会における当該施術のことを「包丁マッサージ」と紹介している(甲14?甲18)。
その他インターネット上の記事でも、包丁を使用したマッサージのことを「包丁マッサージ」と紹介し各種記事において多数取り上げられている(甲20?甲23)。加えて、個人のブログ等においても、台湾に行き、包丁を使用した伝統的な民間療法を受けた者は、かかるサービスを「包丁マッサージ」と紹介している(甲24?甲38)。
このように実際の利用者が当該マッサージの内容を示す用語として、「包丁を使ったマッサージ」を自然と「包丁マッサージ」とネーミングしている事実からしても、本件商標は、取引者・需要者をして単に役務の質等を表示したものと認識しているにすぎないことは明白である。
ウ 以上のとおり、本件商標は、包丁を使ったマッサージ等に使用すると、単に役務の質等を表示したにすぎないものであるが、他方で、本件商標を、包丁を使ったマッサージ等以外の役務に使用すれば、役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 仮に本件商標に識別力が認められる場合には、以下のとおり、「包丁マッサージ」は、台湾の「先天世界刀療協会」(以下「本件協会」という。)又は本件協会に属するシャオ・メイファン(以下「シャオ」という。)が提供する包丁を使用したマッサージを表すものとして、我が国における需要者の間で周知となっていると考えるべきである。
イ 本件協会又はシャオによる使用と周知性
本件協会は、台湾政府より許可を得て包丁を使用したマッサージを行っており、基本的には本件協会の加盟店以外では、包丁を使用したマッサージを施術することが台湾では認められていない。それ故、本件協会は包丁を使用したマッサージを提供する台湾唯一の団体である。
本件協会は、台湾国内に約40店舗存在し、各店舗において、従前は、「刀療」又は「刀療マッサージ」と称して、40年ほど前から台湾各地において営業を開始した。その後、2010年?2011年頃に、本件協会に属するシャオの店舗が日本人観光客向けに分かりやすくするために、「刀療」又は「刀療マッサージ」を「包丁マッサージ」と称して宣伝をしはじめ、その後、現在に至るまで、日本人向けに「包丁マッサージ」として役務を提供し続けている。
当該店舗は、ガイドブックにも掲載され(甲14?甲19)、我が国の地上波テレビでも紹介されるなどし(甲8、甲10)、多くの日本人観光客が訪れた。そして、これらの観光客は、当該店舗で「包丁マッサージ」の施術を受け、帰国後、その内容をブログや記事を掲載した(甲33?甲38)。そのようなこともあり、我が国の多くの需要者は、「包丁マッサージ」として有名な本件協会やシャオの施術を求めて足を運んでおり、本件商標の出願前から現在に至るまで、「包丁マッサージ」は本件協会又はシャオの提供する施術であると認識するに至っている。
ウ 本件商標との関係
本件商標は、本件協会又はシャオが使用し我が国で周知となっている「包丁マッサージ」と同一の商標であり、その提供に係る包丁を使用したマッサージは、本件商標の指定役務の「マッサージ」に含まれるものであるから、その他の本件商標の指定役務とも類似する関係にある。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって、その役務又はこれに類似する役務について使用するものである。
エ 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 請求人適格性について
(1)請求人の有する利害関係について
被請求人の調査では、請求人は、本件商標と同一又は類似の商標の使用を行っていない。商標登録の無効の審判は利害関係人のみが請求し得るところ、請求人は、本件商標の商標権者である被請求人との間で利害関係を有さない。利害関係を有するのであればそれを審判請求書に記載すべきところ審判請求書には記載されておらず、被請求人が調査しても利害関係が発見できないので、利害関係を有さないと解することが相当である。
したがって、請求人による本件審判の請求は、不適法な審判の請求であり、その補正をすることができないから、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条に従い、本件審判の請求は却下されるべきである。
(2)請求人の主張について
前記(1)について、請求人は、登丸は、本件協会でマッサージに関する指導を受けた経験があるだけであり、本件協会は我が国で「包丁マッサージ」について商標登録すること等一切許可していないとし、本件協会の日本における代理人的立場にある請求人が本件審判の請求を行うこととなった旨を主張する。
しかし、請求人は、「代理人的立場にある」と主張するのみであり、代理人であることを立証していない。以下のとおり、本件協会は、本件商標を無効とする意思を有していないと、また、請求人は、本件協会を代理する立場にないと推認される。請求人は、本件協会の意図しない審判請求をしており、本件協会の存在を利用し、「代理人的立場にある」との不明瞭な表現をもって自己の審判請求を正当化しようとしているにすぎない。
登丸は、本件協会に属するシャオとメールにて連絡を取り合う関係にあり、シャオが登丸の提案(メールでは「要求」と表記)に基づいて本件協会の上位者と相談している(乙1)。登丸は、本件協会と良好な協力関係にある。
また、2015年12月9日に、登丸から本件協会に、本件商標に係る相談のメールが発信され(乙2)、当該メールには、「包丁マッサージの言葉を使っても良い」と表現されており、発信前に本件協会が本件商標について知っていたことを示している(なお、審判請求書受領前で無効審判請求人について登丸に勘違いがあったので、氏名を塗りつぶした。)。実際、登丸は記録の消去されるLINEメールで、本件協会に商標登録を報告した(乙2は、登丸が本件協会に報告した直接証拠がないので状況証拠として提出するものである。)。かかる状況であるにもかかわらず、本件協会から登丸に向けて本件商標についての苦言はされておらず、良好な協力関係に基づくとも解される。すなわち、本件協会は、商標権者が商標登録を受けたことを問題視していなかったし、本件商標を無効とする意思を有していない。
(3)華(月)庵(「(月)」は、王偏に月と書されていることを表す。以下同じ。)(田中華(月)が経営)のホームページ(乙3)に、「先天世界易経協会 日本支部」と記載され、「刀療マッサージ」が提供されている。ここで、「先天世界易経協会」は、甲第36号証において包丁マッサージを提供する場所の写真として表示され、「先天世界刀療協会」と同一の経営母体によるものと推認される。この推認を裏付けるものとして、個人のブログであるが、シャオの占いを受け、その後に刀療のマッサージを受けたことが記載されている(乙4)。してみれば、華(月)庵(田中華(月))が、先天世界易経協会と合わせて先天世界刀療協会の日本支部として活動していると推認される。日本において先天世界刀療協会を代理する者が存在するとすれば、それは華(月)庵(田中華(月))であり、請求人ではない。
(4)以上のとおり、本件協会が本件商標を無効とする意思を有していないこと、請求人は本件協会を代理する立場にないことが推認される。請求人が利害関係を有する本件協会を代理して審判請求を行ったのであれば、「協会が本件商標を無効とする意思を有しており、請求人が本件協会を代理していること」につき、証拠を提出して立証すべきである。
2 本件審判の請求が成り立たない理由
前記1のとおり、本件審判の請求は却下されるべきものであるが、予備的主張として、審判請求が成り立たない理由を記載する。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、審査段階において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶理由通知がされ、出願人(商標権者)は意見書において、以下を述べた。
ア 「包丁マッサージ」の語は、台湾において行われている「刀療」の訳語として用いられていること。すなわち、日本人客を勧誘するために、台湾において使用されていること、又はその使用に基づいて日本で紹介されていること。日本において取引者・需要者が単に役務の質を表すものと把握するものではないこと。
イ 日本において「包丁マッサージ」として周知のものは登丸のもののみであること。
請求人の提出した証拠(甲1?甲39)は、「台湾において」使用されていること、又はその使用に基づいて日本で紹介されていること、を立証しているのみである。してみれば、出願人(商標権者)が審査段階で提出した意見書の論理が覆されるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
「包丁マッサージ」は、本件協会又はシャオの業務の係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものではない。
本件協会又はシャオのいずれか一方が日本国内において役務の提供を行っているとは認められない。本件協会において指導を受けた者が日本で活動することは、本件協会又はシャオによる役務の提供ではない。本件協会又はシャオの使用する「包丁マッサージ」は、商標法第4条第1項第10号の「他人の業務に係る役務を表示するもの」ではない。また、「需要者」とは、日本国内のマッサージを受ける者である。台湾に旅行をする日本人ではない。日本国内のあんま等のマッサージの需要者を考えれば、「包丁マッサージ」が需要者の間に広く認識されているといえないことは自明である。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
なお、請求人は、本件協会は、包丁マッサージ(刀療)を提供する台湾で唯一の団体であるとして周知性を主張するが、台湾において他の団体、例えば、RUENS緑菌子有限公司(旧中華刀療養生協会:甲7の2、甲9の1)、鳳翔刀療工作室(甲8の2、4)、外星人博物館(甲28、甲30)も刀療を提供しており、本件協会は包丁マッサージ(刀療)を提供する台湾で唯一の団体ではない。

第4 当審の判断
1 利害関係の有無について
被請求人は、商標登録の無効の審判は利害関係人のみが請求し得るところ、請求人は、本件商標又はこれに類似する商標の使用を行っていないし、また、審判請求書に利害関係を有することについて何ら記載していないから、本件審判を請求するにつき利害関係を有していない。したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである旨主張するので、以下検討する。
商標法第46条(商標登録の無効の審判)の立法趣旨は、過誤による商標登録を存続させておくことは、本来権利として存在することができないものに排他独占的な権利を認める結果となり妥当ではない、という点にある。そして、本件審判請求において、商標法第3条第1項第3号該当を無効理由の一つとして挙げているところ、商標法第3条第1項は、自他商品・自他役務の識別力という商標の本質的機能を問題にした、いわば商標登録にあたっての商標としての一般的、普遍的な適格性を問題とする条項であり、この条項の各号に該当し本来登録がなされるべきものでないものが登録商標として存在し、これをもって商標権の行使をするときには、直接かつ具体的な不利益を受ける者が存在するといわなければならないから、このような場合、請求人を本件審判の請求をなすについて法律上の利益を有する者と認め、本件商標が前記の登録無効理由に該当するか否かの実体判断をするのが、商標法の定める商標登録の無効の審判制度の趣旨に合致するものというべきである。
したがって、請求人は、本件審判を請求するにつき法律上の利益を有する者と認めることができる。
被請求人は、請求人が本件審判を請求するにつき法律上の利益を有する者でないとして、請求人が本件協会を代理する立場にないなど縷々述べるが、上記のとおり、請求人が本件審判を請求するにつき法律上の利益を有する者である以上、被請求人の主張はいずれも理由がない。
したがって、本件審判の請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきではない。
2 「包丁マッサージ」の語の識別力について
(1)請求人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア マッサージの名称について
マッサージには、様々な形態のものあり、その名称も「耳つぼマッサージ」や「頭皮マッサージ」などのように、人体の部位とマッサージの語を結合したもの、あるいは、「オイルマッサージ」、「アロママッサージ」などのように、マッサージに使用する道具にマッサージの語を結合したものなど、その形態を端的に表示するものが多く採用されているのが実情である(甲1?甲4)。この道具を使用するマッサージは、例えば、主に海外で行われるマッサージについても、日本語の表記として、「包丁マッサージ(台湾)」、「炎マッサージ(中国)」、「カタツムリ・フェイシャル(ロシア、イギリス、日本)」、「スネーク・マッサージ(イスラエル)」、「エレファント・マッサージ(タイ)」のように用いられて、我が国に紹介されている(甲4)。
イ 「包丁マッサージ」の使用例
(ア)テレビ番組「マヨブラジオ」(2011年(平成23年)4月2日?16日に読売テレビで放送)には、「包丁マッサージ/包丁の刃の先から出る磁気で神経や筋肉に刺激を与え気の流れを整える台湾式のマッサージ」として、「包丁マッサージ」が紹介された(甲6)。
(イ)テレビ番組「世界若返りツアーin台湾」(2012年(平成24年)1月14日によみうりテレビで37都道府県で放送)には、「顔に包丁をあてて循環促進・新陳代謝を高める『包丁マッサージ』を体験することに!」として、「包丁マッサージ」が紹介された(甲7)。
(ウ)テレビ番組「このへん!!トラベラー」(2012年(平成24年)5月28日に北海道テレビ、東北放送、テレビ東京、中京テレビ等で放送)には、「包丁マッサージ/指よりも短時間で広範囲を刺激する 血行がよくなり全身がほぐれる」、「台湾式 包丁マッサージイチオシ」などとして、「包丁マッサージ」が紹介された(甲8)。
(エ)テレビ番組「アナザースカイ」(2013年(平成25年)5月24日に日本テレビで放送)で「包丁マッサージ」が紹介され、また、「地球感動配達人 走れ!ポストマン」(2009年(平成21年)5月10日にTBSで放送)において、「包丁マッサージ(台湾)/2人のポストマンが台湾で体験していた、包丁を使ったマッサージ。」と紹介された(甲9)。
(オ)テレビ番組「日立 世界・ふしぎ発見」(2014年(平成26年)2月15日にTBSで放送)において、「マッサージに使う中国的な道具とは?」、「包丁でツボをピンポイントで叩くことで凝りがほぐれるんです。」などと放送された(甲10)。
(カ)ラジオ番組「アッパレやってまーす。」(2014年(平成26年)9月2日にMBSラジオで放送)において、「ケンドーコバヤシは、台湾で包丁マッサージを受けて背中が血だらけになった話をしていました。」などと「包丁マッサージ」が紹介された(甲11)。
(キ)2010年(平成22年)1月19日付け夕刊読売新聞には、「包丁で背筋もシャキッ/台北で最近目立つ『包丁マッサージ』の店。『気の流れを活発にして代謝を促進する』などと言われていて、若い女性を中心に人気を集めている。」などと「包丁マッサージ」が紹介された(甲12)。
(ク)2012年(平成24年)1月13日付け中國新聞(夕刊)のテレビ番組紹介欄には、前記(イ)の「世界若返りツアーin台湾」に関し、「太極拳や包丁マッサージ、足つぼマッサージにも挑戦するなど、盛りだくさんなラインアップ。」として紹介された(甲13)。
(ケ)書籍「LOCAL NAVI/Taipei」(2013年(平成25年)8月10日、株式会社エイ(「エイ」」は木偏に世と書されていることを表す。以下同じ。)出版社発行)の「SPOT LIST」の項目(60頁)には、「先天世界刀療協会」の表示のもと、「柳月刀という包丁の重みを生かし、全身のコリをほぐす包丁マッサージ。」と記載されている(甲14)。
(コ)書籍「台北本」(2012年(平成24年)5月10日、株式会社エイ出版社発行)の「全身マッサージ」の項目(119頁)には、「包丁マッサージ」、「先天世界刀療協会」の表示のもと、「包丁でほぐします」として「包丁マッサージ」が紹介された(甲15)。
(サ)書籍「タビトモ/台北」(2014年(平成26年)11月1日、JTBパブリッシング発行)の「ユニーク療法にチャレンジ!」の項目(73頁)には、「刀療/包丁マッサージ」を「先天世界刀療協會」で受けることができる旨の記載がある(甲16)。
(シ)書籍「るるぶ 台北」(2015年(平成27年)6月1日、JTBパブリッシング発行)の「マッサージ!」の項目(103頁)には、「包丁マッサージ/先天世界刀療協會」、「摩訶不思議な包丁マッサージ/包丁を使う不思議なマッサージには5000年の歴史がある。」などと記載されている(甲17)。
(ス)書籍「地球の歩き方 aruco 台北」(2014年(平成26年)9月19日、株式会社ダイヤモンド・ビッグ社発行)の「伝統的民間療法でデトックス!!」の項目(137頁)には、「刀療/包丁マッサージ」として「包丁マッサージ」が紹介された(甲18)。
(セ)書籍「台湾開運旅行」(2011年(平成23年)1月15日、株式会社TOKIMEKIパブリッシング発行)の「刀マッサージ/刀で魂の浄化をするスピリチュアル療法」の項目(88頁)には、「2本の出刃包丁を使った『刀療』。・・刀療は中国伝統の民間療法のひとつなのだが、『先天世界刀療協會』が行うのはかなりスピリチュアル寄り。」などと記載されている(甲19)。
(ソ)2011年(平成23年)11月15日付けライブドアニュースには、「ゴリゴリの肩コリに効果抜群!鋭い刃がギラリと光る『包丁マッサージ』を試してみた!」の見出しのもと、「中国の伝統療法『包丁マッサージ』」、「包丁マッサージの本場、台湾へ!」などと記載されている(甲20)。
(タ)その他、本件商標の登録査定日(平成27年7月13日)前である2008年(平成20年)頃から2015年(平成27年)1月頃にかけて、インターネット上の記事で「包丁マッサージ」が紹介されたり、日本人が台湾の観光旅行において、包丁を使ったマッサージを見たり、実際に施術の経験をした人のブログ等が多数存在し、当該ブログ等において、上記包丁を使ったマッサージについて、「包丁マッサージ」として紹介している事例が多数存在する(甲21?甲39)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、マッサージを提供する業界においては、マッサージの名称の一つとして、マッサージに使用する道具を表す語にマッサージの語を結合したものなどが普通に採択され使用されていること、伝統的な民間療法として、主として台湾で行われている包丁を使用したマッサージ「刀療」は、我が国において、2009年(平成21年)頃から、「包丁マッサージ」としてテレビ番組で紹介され、その後、2011年(平成23年)4月頃から2014年(平成26年)頃までに、台湾で行われる「包丁を使ったマッサージ」を「包丁マッサージ」として、他の4つのテレビ番組及び1つのラジオ番組で紹介されたこと、2010年(平成22年)には全国紙である読売新聞に、2012年(平成24年)には地方紙である中國新聞に、それぞれ「包丁を使ったマッサージ」を「包丁マッサージ」として紹介されたこと、さらに、2011年(平成23年)から2015年(平成27年)6月にかけて、我が国で発行された台湾又は台北に関する5種類の観光案内書に、台湾の観光スポットの一つとして、「包丁を使ったマッサージ」について「包丁マッサージ」として紹介されたこと、その他、本件商標の登録査定日前までに、インターネット上の記事やブログにおいても「包丁を使ったマッサージ」を「包丁マッサージ」として多数掲載されたこと、などを認めることができ、「包丁マッサージ」の語は、本件商標の登録査定時には、主として台湾で行われる包丁を使用したマッサージを指称するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたことを認めることができる。
(3)本件商標について
ア 本件商標の構成
本件商標は、前記第1のとおり、「包丁マッサージ」の文字を標準文字で表してなるものである。
イ 商標法第3条第1項第3号該当性
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決)。
そして、前記(2)認定のとおり、本件商標を構成する「包丁マッサージ」は、我が国のマッサージを提供する業界の取引の実情からすると、「(マッサージを施術する道具として)包丁を使用したマッサージ」の意味合いをごく自然に想起させるものであり、加えて、本件商標の登録査定時である平成27年7月の時点において、台湾で民間療法として行われている包丁を使用したマッサージである「刀療」が、日本人(観光客)向けに「包丁マッサージ」として、我が国で放送又は発行されたテレビ番組、新聞、観光案内書や我が国の一般の需要者が普通に閲覧し得るインターネットなどで多数紹介されていた事実を考慮すると、本件商標に接する需要者は、上記意味合いをもって、提供されるマッサージの質(内容)を表したと直ちに認識するというべきである。
したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、単に役務の質(内容)、提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、請求人の提出した証拠(甲1?甲39)によれば、「包丁マッサージ」の語は、台湾において使用されているものであること、又はその使用に基づいて日本で紹介されていることを立証しているのみであるから、日本の取引者・需要者が、該語を単に役務の質を表すものと把握するものではない旨を主張する。
しかし、前記(2)認定のとおり、伝統的な民間療法として、主として台湾で行われている包丁を使用したマッサージである「刀療」は、日本人観光客向けに「包丁マッサージ」と表示されて日本人観光客の観光スポットとなっており、その名称の奇抜さも相まって、我が国において、2009年(平成21年)頃から、多数のメディアを介して「包丁マッサージ」として紹介され、本件商標の登録査定日(平成27年7月13日)の時点までに、台湾において、包丁を使用したマッサージの施術を受けた人たち等によるブログなどにおいて、当該マッサージについて「包丁マッサージ」と表記され、インターネット上で多数掲載された事実に加え、インターネットが極めて普及し、かつ、台湾等アジアへの海外旅行が盛んに行われている今日の状況、マッサージの名称の一つとして、マッサージを行う道具を表す語と「マッサージ」の語を結合したものが普通に採択され使用されているマッサージを提供する業界の取引の実情などを考慮すれば、包丁を使用したマッサージが台湾において行われるマッサージであるとしても、我が国のマッサージの役務に係る需要者が「包丁マッサージ」の文字よりなる本件商標に接した場合は、単に役務の質、提供の方法を表示したものと認識するにとどまるというべきである。
したがって、上記に関する被請求人の主張は理由がなく失当というべきである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものというべきであるから、その余の請求の理由について検討するまでもなく、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-04-14 
結審通知日 2016-04-20 
審決日 2016-05-17 
出願番号 商願2015-10081(T2015-10081) 
審決分類 T 1 11・ 02- Z (W44)
T 1 11・ 13- Z (W44)
最終処分 成立 
前審関与審査官 豊田 緋呂子 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 小松 里美
今田 三男
登録日 2015-07-31 
登録番号 商標登録第5782119号(T5782119) 
商標の称呼 ホーチョーマッサージ、ホーチョー 
代理人 木村 貴司 
代理人 廣田 恵梨奈 
代理人 金子 宏 
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