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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W43
管理番号 1317132 
審判番号 不服2015-21672 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-07 
確定日 2016-06-22 
事件の表示 商願2015-28896拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成26年10月22日に登録出願された商願2014-88851に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同27年3月30日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同28年1月20日付けの手続補正書により、第43類「飲食物の提供(但し、「焼き鳥を主とする飲食物の提供」を除く。)」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶の理由に引用した登録第5679015号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成26年2月12日に登録出願、第43類「焼き鳥を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同26年6月20日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり「RAKUGAKI」の文字を、それぞれが違う色の手書き風の縁取り文字で横書きしてなるところ、該文字は、「門・壁など、書いてはいけない場所にいたずら書きをすること。」等の意味(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)を有する「落書、楽書」の文字の欧文字表記と容易に理解されるというのが相当であるから、該文字に相応して、「ラクガキ」の称呼を生じ、「落書、楽書」の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、「楽がき」の文字を筆書き風に書してなり、その右上方に「やきとり処」の文字を小さく書し、そして「が」の文字の下方に、黒色の矩形の中に、「RAKUGAKI」の欧文字を白抜きで書した構成からなるものである。
そして、その構成中「やきとり処」の文字は、本願の指定役務に係る業界においては、焼き鳥を提供する店舗を表す語として、使用されているものであり、役務の提供の場所を表すものであるから、自他役務を識別する標識としては機能し得ないものであり、これらの事実については、別掲3に示すインターネット情報からも裏付けられるところである。
そうすると、引用商標の構成においては、自他役務の識別標識として、「楽がき」及び「RAKUGAKI」の文字が、看者の注意をひく要部となるものである。
そして、下段に小さく表された「RAKUGAKI」の欧文字は、その上段に書された「楽がき」の文字の読みを表したものと無理なく認識できるものであり、これらの文字は、「楽書」の文字を表示したものとして理解されるというのが相当である。
してみれば、引用商標は、その構成の全体に相応して「ヤキトリドコロラクガキ」の称呼を生じるほか、「楽がき」及び「RAKUGAKI」の文字部分に相応して、「ラクガキ」の称呼をも生じるものであり、「楽書」は「門・壁など、書いてはいけない場所にいたずら書きをすること。」の意味を有する語であるから、「楽書」の観念を生じるというのが相当である。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本願商標と引用商標は、その構成全体を比較すれば、構成を異にするものであるから、外観において相違するものである。
そして、称呼においては、本願商標と引用商標からは、共に「ラクガキ」の称呼を生じるものであり、両者は、その称呼を同一にするものである。
また、観念においては、本願商標と引用商標からは、共に「楽書」の観念を生じるものであり、その観念を同一にするものである。
そうすれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は、類似の商標というべきである。
エ 本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願の指定役務、第43類「飲食物の提供(但し、「焼き鳥を主とする飲食物の提供」を除く。)」と、引用商標の指定役務、第43類「焼き鳥を主とする飲食物の提供」とは、「主として提供する飲食物」が、相違するとしても、いずれも「飲食物の提供」を指定役務とするものであるから、共に、提供の場所は飲食店であり、需要者の範囲は飲食を求める者であり、業種は飲食業である等、それらを総合的に考慮すれば、本願の指定役務と引用商標の指定役務は、類似するものであることは明らかである。
オ 小括
以上のことから、本願商標は、引用商標に類似する商標であって、引用商標に係る指定役務に類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審決例及び判決例を挙げて、以下の(ア)及び(イ)の理由により、本願商標が商標第4条第1項第11号に該当しない旨主張する。
(ア)引用商標のような結合商標は、一連の称呼が生ずるものとして、商標の一部を抽出することは原則として許されないものである。
まず、外観についてみるに、本願商標の指定役務のような「飲食物の提供」については、商標の外観が最も重要であり、過去の審判決例からも、外観において著しい相違がある場合には、両商標は類似しないと判断しているから、本願商標についても登録されるべきである。
また、観念についてみると、本願商標「RAKUGAKI」からは、「落書き」の観念が生ずることは明らかであるが、引用商標からは、上記(1)アのとおりの意味を有する日本語としての「落書」の観念を直感しないことは、インターネット情報や、一般に使用されている国語辞典の記載からも明らかである。
そして、「楽がき」の語からなる飲食店が多数存在しており、「楽がき」だけではお店の区別がつかない取引の実情があるため、「ヤキトリドコロラクガキ」なる一連の称呼が生ずることは明らかである。
(イ)請求人は平成28年1月20日付けの手続補正書により、本願の指定役務を、「飲食物の提供(但し、「やきとりを主とする飲食物の提供」を除く。)」に補正した。これにより、本願の指定役務から引用商標と抵触する役務は削除された。商標法第4条第1項第11号の解釈においては、商標の類似性、役務の類似性を個別に判断するのではなく、これを全体に考察して判断するのが妥当な解釈であるから、本願商標と引用商標とは、商標の非類似性、役務の抵触がないことより、役務の出所の混同の可能性はないから、本願商標が同号に該当しないことは明らかである。
イ 上記請求人の主張については、以下のとおり判断する。
(ア)引用商標は、その構成中「やきとり処」の文字は、本願の指定役務に係る業界においては、役務の提供の場所を表すものであり、自他役務を識別する標識としては機能し得ないものであるから、「楽がき」及び「RAKUGAKI」の文字部分に着目し、取引に資されるものであり、該部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、許されるものである。
してみれば、引用商標からは、その全体より「ヤキトリドコロラクガキ」の称呼を生じるほか、「ラクガキ」の称呼をも生じるものであり、また、「門・壁など、書いてはいけない場所にいたずら書きをすること。」の意味を有する「らくがき」の漢字表記は、一般的な辞書である「株式会社岩波書店『広辞苑第六版』」の「らくがき」の項の掲載(「らくがき【落書・楽書】」)からすれば、「落書」と「楽書」の二通りあり、引用商標中の「楽がき」の文字は、後者の「書」の部分を平仮名表記したものと容易に理解できるものであって、かつ、「ラクガキ」の称呼から、上記した以外の意味合いを、連想又は想起するとはいえないから、引用商標からは、上記の観念が、ごく自然に生じるというのが相当である。
したがって、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は、類似の商標である。
また、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであって、他の事例等の判断に拘束されることなく検討されるものであるばかりでなく、請求人が挙げる審判決例は、本願商標とその構成態様が相違するものであり、本件とは事案を異にするものである。
(イ)商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関連する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、比較する2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものであるところ、本願の指定役務「飲食物の提供(但し、「焼き鳥を主とする飲食物の提供」を除く。)」と、引用商標の指定役務「焼き鳥を主とする飲食物の提供」とは、「主として提供する飲食物」が、相違するとしても、いずれも「飲食物の提供」を指定役務とするものであるから、共に、提供の場所は飲食店であり、需要者の範囲は飲食を求める者であり、業種は飲食業である等の共通点があり、それらを総合的に考慮すれば、本願の指定役務と引用商標の指定役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、両役務は、類似の役務である。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本願商標

(本願商標の色彩については、原本を参照。)

2 引用商標


3 インターネット情報
(1)「ヒトサラ」のウェブサイトにおいて、「やきとり処 Katsu」の見出しの下、「人気の吉祥寺エリアで老舗の焼き鳥を堪能 若者からファミリーまで楽しめる焼き鳥店」の記載がある。
(http://hitosara.com/0006037261/)
(2)「食べログ」のウェブサイトにおいて、「やきとり処い志井 東口店」の見出しの下、「新鮮な鶏肉を熟練の技でさばいて串打ちし、長い修行を積んだ焼き手が、炭火で焼き上げます。」の記載がある。
(http://tabelog.com/tokyo/A1326/A132601/13058923/)
(3)「ホットペッパー」のウェブサイトにおいて、「やきとり処 じんや」の見出しの下、「このお店をオススメする、3つのポイント」として、「朝締めの豚や新鮮な鶏使用/焼き鳥一筋20年の店主が食材にこだわり、新鮮な鶏や朝締めの豚を使い丁寧に一本一本串打ちをして焼き上げます。」の記載がある。
(http://www.hotpepper.jp/strJ000024061/)


審理終結日 2016-04-21 
結審通知日 2016-04-25 
審決日 2016-05-09 
出願番号 商願2015-28896(T2015-28896) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 264- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
大井手 正雄
商標の称呼 ラクガキ 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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