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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 W12
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W12
管理番号 1317123 
審判番号 不服2015-22698 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-25 
確定日 2016-07-19 
事件の表示 商願2014-82872拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおり,「S660」の文字を横書きしてなり,第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,陸上の乗り物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗り物用の機械要素,陸上の乗り物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」を指定商品として,平成26年10月1日に登録出願され,その後,指定商品については,審判請求書と同時に提出された同27年12月25日受付の手続補正書により,第12類「自動車」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は「S660」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ,ローマ字1字と数字3桁を組み合わせた標章は,商品の種別,型式又は規格等を表示する記号又は符号として類型的に取引上普通に採択使用されているものであって,自動車等を取り扱う業界においては,ローマ字1字又は2字と,当該商品の規格や排気量を表す数字とを結合した文字が,取引上多数採択・使用されているのが実情であるから,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であると判断するのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。また,出願人が提出した各種資料は,商標の周知性を客観的に示す証拠として十分なものと認められるに足りるものでなく,本願商標をその指定商品について使用された結果,出願人の業務に係る商品であることが,需要者間で全国的に広く認識されるに至ったものであるとは認めることができない。したがって,本願商標は,同法第3条第2項の要件を具備しない。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は,別掲のとおりの態様により,「S660」の文字を横書きしてなるところ,近時,商品の広告,宣伝等において,ローマ字や数字を装飾的に図案化して表現する手法が広く採用されており,一方,このような広告,宣伝等に接する需要者も,それらについて文字や数字を表したものと認識,把握している実情にあるといい得るものであるから,本願商標の構成各文字はややデザイン化されているものの,未だ普通に用いられる方法で表示する域を脱しない程度に表してなるものとみるのが相当である。
また,自動車を取り扱う業界においては,ローマ字1字又は2字と,当該商品の排気量,開発順,形式等に由来する数字とを結合した文字が,取引上類型的に採択・使用されているのが実情である。
してみれば,本願商標は,ローマ字1字と数字を組み合わせたものであって,その表現方法も上記のとおり,「S660」の文字を未だ普通に用いられる方法で表示する域を脱しない程度の態様で表したものであるから,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなるものと判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
ア 請求人は,本願商標は,使用をされた結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから,商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張しているところ,請求人の主張及び提出した証拠方法(甲第1号証ないし甲第143号証)によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人による使用
a 請求人は,平成25年(2013年)11月22日から12月1日まで開催された東京モーターショー2013において,「S660 CONCEPT」と称する自動車を出展し,本願商標とほぼ同一の態様の標章を当該商品に付し,ないしは同一文字列の文字を商品紹介に使用した(甲57,110)。
b 請求人は,平成27年(2015年)3月30日に青山で行われた「新型オープンスポーツ『S660』発表会」で,東京モーターショー2013において出展した「S660 CONCEPT」とほぼ同型の自動車について,車名を「S660」とした商品「自動車」(以下「本件商品」という。)として展示すると共に,本願商標と同一の態様の標章を,本件商品のナンバープレート部分及び壁面に掲示し,その様子はフジテレビ等のニュース番組でも放映された(甲111)。
c 請求人は,平成27年(2015年)4月2日に,本件商品の販売を開始し(甲76),請求人のウェブサイト(甲13,104,105),カタログ(甲109),動画広告(甲122?124)において,本件商品に本願商標と同一の態様の標章を掲示した。
d 請求人は,本件商品の展示・試乗等を内容とするイベント「Enjoy Honda」を開催するため,平成27年(2015年)4月1日から同年11月13日までの間に,ウェブサイトで20回にわたり告知又は報告をした(甲120)。また,請求人は,平成27年(2015年)12月6日に,ツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing Thanks Day 2015」に,本件商品を展示した(甲121)。これらイベントにおいては,本件商品の展示の際に本願商標と同一の態様の標章が掲示されていたことがうかがえる。
(イ)販売実績,販売場所等
a 請求人は,本件請求時点において,平成28年(2016年)7月8日までの本件商品の受注枠15,956台分の注文を受けていた。
b 請求人は,その正規ディーラーであるホンダカーズの全国2,000以上の店舗において,本件商品のカタログの頒布,本件商品の販売をしており(http://shopsearch.honda.co.jp/auto/area/),そのうち509店舗(ホンダウェルカムプラザ青山を含む。)において,本件商品を展示し,試乗させている(甲107)。
(ウ)第三者による本件商品の紹介等
a 本件商品の発売前の平成25年(2013年)10月頃から発売前まで,雑誌(甲44?56),インターネット(甲58?84),ウェブ版も含めた新聞(甲14?38,41?43)において,本件商品(コンセプトカーを含む。)を紹介する記事等が掲載された。
b 本件商品の発売以後,平成27年(2015年)8月頃までに,インターネットにおいて,本件商品を紹介する記事が掲載され(甲112,115?119),また,本件商品の受注が好調であることを伝える記事が掲載された(甲128?137)。
c 本件商品は,2015-2016日本カーオブザイヤーの第一次選考対象車に選出され(甲138),最終的に1位と僅差の2位に選出された(甲139)。
(エ)第三者による商標の使用
本件審決時において,本願商標を構成する「S660」の文字を,商品「自動車」について使用する者は,請求人以外見いだせない。
イ 小活
以上からすれば,請求人は,2013年11月頃から継続して,本願商標と同一の態様の標章を,本件商品に付し,同社発行のカタログに記載し,あるいは,ショールーム,展示会等において看板等に掲示した。また,本件商品は,その話題性の高さから,発売前から継続して新聞・雑誌等のメディアで紹介され,本件商品の発売後は,半年以上先の生産分まで受注を獲得し,その販売の好調ぶりも,インターネット等を通じて紹介された。さらに,本件商品は,2015-2016日本カーオブザイヤーにおいて2位を獲得していることからすれば,自動車専門家及び一般消費者を含め,本願商標の指定商品の取引者,需要者からの注目度も高いということができる。加えて,本願商標と同一の構成からなる商標を,商品「自動車」について使用する者は,請求人以外見いだせない。
そうすると,本願商標は,その指定商品に使用をされた結果,需要者が請
求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当するとしても,同条第2項の要件を具備するものである。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)




審決日 2016-07-04 
出願番号 商願2014-82872(T2014-82872) 
審決分類 T 1 8・ 15- WY (W12)
T 1 8・ 17- WY (W12)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 百宇堀内 真一 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
冨澤 武志
商標の称呼 エスロクロクゼロ、エスロッピャクロクジュー 
代理人 小田 治親 
代理人 齊藤 誠一 

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