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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W21 |
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管理番号 | 1315896 |
異議申立番号 | 異議2015-900362 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-11-27 |
確定日 | 2016-05-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5787557号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5787557号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5787557号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成27年3月31日に登録出願,第21類「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),食器類,皿,木皿,使い捨ての皿,使い捨ての木皿」を指定商品として,同年8月3日に登録査定,同月21日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりである。 (1)国際登録第750570号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,2000年5月3日にスペイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年10月24日に国際商標登録出願,第4類,第8類,第11類,第16類,第21類,第26類,第28類及び第34類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成13年10月26日に我が国において設定登録され,その後,指定商品中の第28類「fishing tackle; fishing rods」についての商標権は,同23年6月23日付けの審決により取り消され,同審決は同年10月25日に確定し,その登録が同年12月22日になされたものである。 (2)国際登録第834842号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲(3)のとおりの構成からなり,2003年3月17日にスペイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,同年9月17日に国際商標登録出願,第3類ないし第6類,第8類,第9類,第11類,第12類,第14類,第16類,第18類,第20類ないし第22類,第24類ないし第28類,第34類及び第35類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成19年7月6日に我が国において設定登録されたものである。 (3)登録第5215667号商標(以下「引用商標3」という。)は,「ZARA HOME」の文字を標準文字で表してなり,平成19年7月2日に登録出願,第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として,同21年3月19日に設定登録されたものである。 (引用商標1?3をまとめていうときは,以下,単に「引用商標」という。) 3 登録異議申立ての理由 (1)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は,申立人の商標として世界各国の需要者に広く認識されている引用商標における「ZARA」の文字をその構成中に含んでいる。また,本件商標に係る指定商品は,引用商標に係る指定商品又は指定役務と類似のものを有している。 してみれば,本件商標がその指定商品に使用された場合,商品の出所について混同を生ずるおそれがある(甲1?甲17)。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知・著名性 ア 証拠(各項の括弧内に掲記)によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア)「ZARA」(引用商標1)について スペインのアパレルメーカーである「INDETEX(インディテクス)社」(申立人)は,1975年(昭和50年)に,その業務に係る婦人用・紳士用・子供用の被服について,自社ブランドとして「ZARA(ザラ)」を立ち上げ,スペインに第1号店をオープンした。その後,申立人は,ヨーロッパ・アメリカ・アジアに進出し,「ZARA」は,申立人の基幹ブランドとなった。申立人は,1997年(平成9年)に,日本企業のビギグループとの合弁で,日本法人である株式会社ザラ・ジャパン(ZARA JAPAN CORP.)を設立し,翌1998年(平成10年)に,東京渋谷に,日本における第1号店「ZARA渋谷店」を開店した。2012年(平成24年)の時点において,申立人は,世界85か国に約1800店舗を展開し,申立人のグループ全体の売上高は約1兆4000億円であった。その売上高のうち,ZARAブランドの売上げは3分の2を占めた。また,「ZARA」の店舗は,日本に80店舗以上が出店している(以上,甲9,甲10)。 さらに,「Best Global Brands 2013」によれば,「ZARA」(引用商標1)は,2013年(平成25年)に,世界第36位のブランドとしてランクされた(甲11)。 (イ)「ZARA HOME」(引用商標2及び3)について 申立人は,2003年(平成15年)に,インテリアブランドとして,「ZARA HOME(ザラホーム)」を立ち上げ,2015年(平成27年)5月現在,世界60カ国に440店舗以上を展開している。申立人は,日本においては,2013年(平成25年)4月に横浜市都筑区と大阪市北区に店舗を展開した。同店舗における取扱い商品は,ベッドリネン,バス用品等の織物製品が7割以上を占め,その他,カトラリー(ナイフ・フォーク・スプーンなど),ベビー・キッズを含むルームウェア,ギフトアイテム等である(以上,甲12?甲14)。 イ 前記アで認定した事実によれば,「ZARA」の文字よりなる商標(引用商標1)は,申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして,本件商標の登録出願日(平成27年3月31日)までには,我が国の被服を取り扱う分野の取引者・需要者の間において,一定程度の周知性を獲得していたものと認めることができ,その周知性は,本件商標の登録査定日(平成27年8月3日)においても継続していたと認めることができる。 一方,「ZARA HOME」の文字よりなる商標(引用商標2及び3)を付した商品に関し,我が国において,本件商標の登録出願時までに,どの程度の宣伝広告をし,どの程度の売上げがあったのかなどについては明らかではなく,申立人が提出した証拠をもってしては,引用商標2及び3が,申立人の業務に係る商品「ベッドリネン,バス用品等の織物製品」等を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,その主たる需要者である一般の消費者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標との類否性 ア 本件商標 本件商標は,別掲(1)のとおり,樹木の年輪を思わせる同心円状の図形と,「A」の文字部分をやや図案化した「KIZARA」の文字とを,いずれも緑色系統の色彩をもって上下に組み合わせた構成からなるものであるところ,その構成中の図形部分は,これより直ちに特定の称呼及び観念が生ずるものではないから,本件商標に接する取引者・需要者は,比較的読みやすい文字部分を捉えて,これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。そして,本件商標中の「KIZARA」の文字部分は,同一の書体をもって,同一の大きさ・間隔・色彩で外観上まとまりよく一体的に表されているばかりでなく,これより生ずると認められる「キザラ」の称呼もわずか3音からなる簡潔なものである。 そうすると,本件商標中の「KIZARA」の文字部分は,その外観及び称呼の点からみて,構成文字全体をもって一体不可分の商標を表したと認識されるとみるのが相当であって,その構成中の「ZARA」の文字部分のみが独立して把握,認識されるものではないから,これを「KI」の文字部分と「ZARA」の文字部分とに分離して,「ZARA」の文字部分のみを抽出して観察すべきではない。 してみれば,本件商標は,その構成中の「KIZARA」の文字部分から生ずる自然の称呼は,「キザラ」のみであるといわなければならない。また,「KIZARA」の文字部分より生ずる観念については,その指定商品である「台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),食器類,皿,木皿,使い捨ての皿,使い捨ての木皿」との関係からみれば,「木皿」を想起させる場合がないとはいえないが,欧文字で表記されていることから,一義的に上記観念のみが生ずるとまではいえない。したがって,本件商標中の文字部分は,造語を表したと理解されるとみるのが相当である。 以上のとおり,本件商標は,「キザラ」とのみ称呼される特段の観念を有しない商標と認めることができる。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は,別掲(2)のとおり,「ZARA」の文字を横書きしてなるものであるから,これより「ザラ」の称呼を生ずるものである。 (イ)引用商標2及び3は,別掲(3)及び前記2のとおり,「ZARA HOME」の文字を横書きしてなるものであるところ,該文字は,「ZARA」の文字部分と「HOME」の文字部分との間に1文字程度の間隔を有するものであるとしても,同一の書体をもって,同一の大きさで外観上まとまりよく一体的に表されているものであり,また,これより生ずると認められる「ザラホーム」の称呼もよどみなく称呼し得るものであるから,構成文字全体をもって1つの商標を表したと把握,認識されるとみるのが相当である。したがって,引用商標2及び3は,その構成文字に相応して,「ザラホーム」の称呼を生ずるものである。 (ウ)また,引用商標は,いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認める。 ウ 本件商標と引用商標との対比 (ア)外観 本件商標と引用商標は,それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから,本件商標と引用商標1はもとより,本件商標と引用商標2及び3についても,外観上明らかに相違するものである。 (イ)称呼 本件商標より生ずる「キザラ」の称呼と引用商標1より生ずる「ザラ」の称呼は,称呼における識別上重要な要素を占める語頭において,「キ」の音の有無の差異を有するものであるから,該差異音が極めて短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく,それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても,その語調,語感が相違したものとなり,互いに紛れるおそれはない。 また,本件商標より生ずる「キザラ」の称呼と引用商標2及び3より生ずる「ザラホーム」の称呼は,構成する音数の相違等により,それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても,その語調,語感が著しく相違するものであるから,明瞭に聴別し得るものである。 (ウ)観念 本件商標は,特段の観念を有しない商標よりなるものであるから,引用商標とは観念上比較することができず,観念上類似するものともいえない。 エ 以上のとおり,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 (3)出所の混同 前記(1)認定のとおり,引用商標1は,申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の被服を取り扱う分野の取引者・需要者の間において,一定程度の周知性を獲得していたものと認めることができる。 しかし,本件商標と引用商標1とは,前記(2)認定のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。さらに,本件商標の指定商品と引用商標1が使用される被服とは,商品の用途,品質,原材料等において明確に異なるばかりか,生産者,流通系統,販売場所等も異なる関連性の薄い商品といえる。 また,引用商標2及び3は,申立人の業務に係る商品「ベッドリネン,バス用品等の織物製品」を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の一般の消費者の間で広く認識されていたものと認めることができないことに加え,本件商標とは,商標それ自体全く異なる非類似の商標である。 そうすると,本件商標に接する取引者・需要者が,引用商標を連想又は想起することはないというべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,その取引者・需要者をして,該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることができない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標(登録第5787557号商標) (色彩については,原本参照。) (2)引用商標1(国際登録第750570号商標) (3)引用商標2(国際登録第834842号商標) |
異議決定日 | 2016-05-19 |
出願番号 | 商願2015-29600(T2015-29600) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W21)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
堀内 仁子 田村 正明 |
登録日 | 2015-08-21 |
登録番号 | 商標登録第5787557号(T5787557) |
権利者 | 株式会社フォレストフィーリング |
商標の称呼 | キザラ |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 吉田 親司 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |