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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1315890 
審判番号 取消2013-300712 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-08-26 
確定日 2016-06-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2579058号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2579058号商標(以下「本件商標」という。)は、「MFX」の文字を横書きしてなり、平成2年11月15日に登録出願、第11類「電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として平成5年9月30日に設定登録され、その後、平成15年9月16日及び平成25年7月30日の2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、更に、平成16年12月22日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアーカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年9月10日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品のうち第9類「電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由、被請求人の答弁に対する弁駁の理由、口頭審理陳述要領書における陳述及び上申書における陳述を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。

1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記の請求に係る指定商品について、本件審判請求の日前3年間継続して、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

2 弁駁の理由
被請求人は、「本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に日本国内において商標権者である被請求人によって、少なくとも請求に係る指定商品『電子応用機械器具及びその部品』及び『電子計算機用プログラム』に使用されていることは明らかである。」旨述べているが、答弁書における陳述及び乙第2号証ないし乙第9号証からは、その事実を認めることはできない。
(1)本件商標の使用商品(以下、請求人の主張の項において「本件製品」という場合がある。)について
ア 被請求人は、本件製品が「集中管理装置」と命名されるもので、汎用性のある「パーソナルコンピュータ」、「キーボード」、「プリンタ」等その周辺機器、並びに「集中管理機能」を発揮する専用の「コンピュータソフトウェア」であり、本件製品は、各ボイラや水処理装置とLAN等を通じて接続されるものであると述べている。
また、本件製品の機能及び作用は、ボイラ単体やボイラに付随する水処理機器の状態の監視や複数台のボイラの運転状態を最適化する制御(台数制御)を行うものであること、更には、その具体的な監視方法、データの管理方法の説明等についても述べている。
イ これらの陳述及び説明によってわかることは、本件製品は、被請求人が製造販売する「ボイラ、水処理機器」に特化した、これら機器の管理、制御又は監視のために用いられる専用の「パーソナルコンピュータ、キーボード、プリンタ及びコンピュータソフトウェア」のみによって構成されているということである。
近年では、各種機械器具には、多くの電子技術が利用されており、それらの機器を制御し、監視するための専用のコンピュータシステム(パーソナルコンピュータ本体、コンピュータソフトウェア及びこれらの周辺機器)が用いられている。そして、各種機器を操作し、制御し又は監視するためにのみ設置され、組み込まれるパーソナルコンピュータ、コンピュータソフトウェア及びこれらの周辺機器は、各種機器と一体化したものとして取引に供されることが一般的である。
ウ 本件商標が使用される「ボイラ、水処理機器の集中管理装置」は、被請求人の説明によれば、各ボイラや水処理機器とLAN等を通じて接続されるものであり、被請求人の製造販売に係るボイラ、水処理機器のみに使用される専用品であるといえる。即ち、本件製品「集中管理装置」(以下、請求人の主張の項において「本件集中管理装置」という場合がある。)は、被請求人の製造販売に係るボイラ、水処理機器を管理、制御又は監視するためにのみ用いられるコンピュータシステムであり、本件商標は、これらのボイラ、水処理機器と一体化して取引に供される集中管理装置について使用されるものであって、独立して取引の対象とされる商品ということはできない。
エ 被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたとして、コンピュータやそのプログラムのバージョンアップのための商品を列挙しているが、そもそもコンピュータやコンピュータプログラムのバージョンアップ作業や再インストール作業は、被請求人が製造販売するボイラ、水処理機器のメンテナンスの一つであって、これら機器の専用品として顧客に提供されるものであるから、独立して取引の対象とされる商品とはいえない。
オ 被請求人の提出に係る証拠からは、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」自体の取引を窺わせる事実は一切見いだせない。
したがって、本件商標は、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品、電子計算機用プログラム」に使用されるものではない。
(2)被請求人の提出する証拠について
被請求人の提出に係る証拠について検討するに、以下のとおり、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品について使用することを立証する証拠は全く存在しない。
ア 乙第2号証及び乙第6号証について
乙第2号証は、「集中管理装置/MFX-EVシリーズ/Web監視オプション」の仕様書であるが、この仕様書の使用時期が不明確であるから、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたものであると認めることはできない。
さらに、乙第2号証のオプションとして販売される「対応ブラウザの範囲が追記されたソフトウェア仕様書」について営業資料として使用することが稟議された旨、乙第6号証の稟議書に記載されているが、この「対応ブラウザ範囲が追記された仕様書」が実際に営業資料として配布され、取引に使用された事実は一切立証されていない。そもそも「稟議書」は取引書類にはあたらないから乙第6号証によっても本件商標の使用が立証されたことにはならない。
イ 乙第3号証について
乙第3号証は、2010年1月に作成された「MFX-Wシリーズ」の取扱説明書であるが、本件審判の請求の登録前3年以内に使用された事実が立証されていない。
ウ 乙第4号証について
乙第4号証は、「MFX-W、EV Ver6更新用」の取扱説明書であるが、被請求人は、2013年5月に作成されたものである旨主張するが、内表紙の右下に記載されているのは「作成年月:2013年4月」とあり、さらに裏表紙の右下には「2013.05」と小さな記載がある。どちらの日付が正しいのか不明確であるため、証拠として信憑性がない。表紙・内表紙の次頁「重要安全情報」(iページ)以下、目次及び内容の中には、製品名である「MFX-W、EV」の文字はどこにも見当たらないから、別の取扱説明書に表紙だけ貼り替えて偽造したものであると思われても仕方ない証拠である。
そして、実際にこの取扱説明書が被請求人の顧客へ配布された証拠は一切示されていない。
仮に、「MFX-W、EV Ver6更新用」の取扱説明書が存在するとしても、前述のとおり、被請求人の「集中管理装置」は、ボイラ、水処理機器と一体化して取引に供される集中管理装置について使用されるものであって、独立して取引の対象とされる商品ということはできないから、請求に係る指定商品についての使用ということはできない。
エ 乙第5号証について
乙第5号証は、「MFX-EVシリーズ」の商品カタログであり、被請求人は「2008年11月に発行され、それ以降使用されてきたものであると主張するが、本件審判の請求の登録前3年以内に顧客へ配布された事実が立証されていない。
オ 乙第7号証ないし乙第9号証について
乙第7号証ないし乙第9号証は、被請求人の集中管理装置及び専用ソフトウェアが実際に販売されていたことを立証するための「御見積書」、「注文書」及び「売上伝票」であるが、以下の理由により、請求に係る指定商品についての使用とは認められない。
乙第7号証の1の「御見積書」には、「パソコン更新の御見積」の品名「1 更新部品一式」のうち「シーメンス製 産業用コンピューター一式」とあるが、「MFXシリーズ」に対応したものであるか不明である。また、同項目内に「ソフトウェアバージョンアップ」とあるが、「バージョンアップ用商品」を販売した事実を窺い知ることはできないので、これは、商品の販売ではなく、「バージョンアップ」というメンテナンスのための作業をしたものと考えられる。
乙第7号証の2の「注文書」は、品名「1.パソコン更新」の表示からも「パソコン更新」というのは、あくまでも、Windows7に対応すべく「パソコンのバ-ジョンアップ」というメンテナンス作業に係るものであると理解できる。
よって、乙第7号証については、独立して取引の対象とされる商品の使用であるとはいえない。
乙第8号証の「注文書」には、本件商標の記載が全くなされていないから、本件商標の使用の証拠たり得ない。
乙第9号証の「売上伝票」には、「キキイッシキ・バージョンUP」及び「OPソフトイッシキ・バージョンUP」とあるが、バージョンアップするための機器及びソフトウエアについての使用は、前述のとおり、独立して取引の対象となる商品とはいえない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証のいずれも本件商標の使用の証拠たり得ない。
(3)結語
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを立証したということはできない。
よって、被請求人の答弁は全て理由のないものである。

3 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)被請求人の「本件集中管理装置の構成」に係る主張について
被請求人の主張に対し、請求人は、以下に述べるとおり、本件商標「MFX」は、本件取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」には使用されていないと考える。
ア 本件集中管理装置は、乙第5号証の商品カタログによれば、「MAIFLEX SYSTEM/マイフレックスシステム」という被請求人会社である三浦工業株式会社製のボイラ、水処理または台数制御などの機器の運転を管理するためのシステム内でのみ使用されるものである。被請求人は、「ボイラ」や「水処理装置」とは別個の機能を持った独立したコンピュータ及びそのプログラムであると述べているが、被請求人会社の製品に特化したボイラや水処理機器の専用商品、即ち、「ボイラや水処理機器の周辺機器」であることは明らかである。このことは、特に、乙第4号証の取扱説明書及び乙第5号証の商品カタログにより理解することができる。
乙第4号証のvページ「リムーバブル記録メディアのセキュリティについて」の「注記」に、「本機は、汎用性のあるMicrosoft社のWindows上で稼動するシステムですが、本機専用とし、その他のソフトウェアのインストール及び使用はしないで下さい。本機が動作しなくなる可能性があります。」と記載されている。この記載から、専用のコンピュータプログラム(以下、請求人の主張の項において「本件プログラム」という場合がある。)は、被請求人会社の製品に特化したボイラや水処理機器の専用商品であることは明白である。
本件集中管理装置は、乙第5号証の商品カタログの表紙に記載された「マルチにボイラシステムをサポートする」という目的に基づいた「ボイラ管理システム一式」であり、そのシステム名称として「MAIFLEX/マイフレックス」があり、その機種のシリーズ名称に「MFX」を用いている。そして、乙第5号証の商品カタログの図やフローチャートに示されるように、本件集中管理装置は、全てボイラや水処理装置にリンクしているものであり、「集中管理装置」のみでは稼動し得ないボイラ又は水処理機器に特化した専用商品、即ち、ボイラ又は水処理機器専用の周辺機器(附属品)として取引される商品である。
乙第14号証の被請求人会社の陳述書によれば、「ボイラ」や「水処理機器」以外の既存設備や既存機器にも対応している旨述べられているが、実際に被請求人会社製以外の設備や機器に使用し得る商品であることの証拠は提出されていないので、その主張を採用することはできない。
また、被請求人は、本件集中管理装置を構成する専用のコンピュータプログラム(CD-ROM化したソフトウェア)が単体で販売されたり、バージョンアップの際に独立して販売されることを述べているが、一般に、機器や装置の部品・附属品が消耗したり、改良されたりする場合には、部品や附属品を個別に販売することは通常行われるものであるから、個別に販売される商品であるからといって、必ずしも独立した商品ということにはならない。仮に、本件集中管理装置が本件取消請求に係る指定商品の範疇に属すると認定されたとしても、バージョンアップの際に、プログラムを用いて機種の改良を行う行為は、あくまでもメンテナンス作業のための付随的な商品にほかならない。
イ 被請求人が主張する乙第4号証の「取扱説明書」21、45、218、225頁に記載された「MFX」の表示についてであるが、これら表示が何を意味するものか不明である。この取扱説明書の説明内容において、「MFX」が本件取消請求に係る指定商品(例えば、電子計算機、電子計算機用プログラム)を表すような記載は何もない。
被請求人は、これらの「MFX」の表示が、本件プログラムの使用に該当する旨述べているが、この取扱説明書の中に記載されているプログラムは、乙第4号証の13頁に示されるとおり「Miura Intelligence Flexibility System」であると思われる。このことは、『2.1「すべてのプログラム」から起動」ディスプレイ画面左下のタスクバーの?「すべてのプログラム」→「Miura Intelligence Flexibility System」→「取扱説明書」を選択すると取扱説明書一覧が表示されます。?』というように記載されていることから明らかである。ほかにも、全体モニタ画面の構成例(乙4・47頁)の全体モニタ画面の左上のシステム名称、報告書ビューアの起動のプログラム名称(同・130頁及び131頁)又はバックアップツールの起動のプログラム名称(同186頁)は、「Miura Intelligence Flexibility System」であって、「MFX」ではない。そもそも、乙第4号証の取扱説明書の表紙には、「集中管理装置」の文字の下に「Miura Intelligence Flexibility System」という記載があるので、本件集中管理装置の名称は、現在は「MAIFLEX/マイフレックス」から「Miura Intelligence Flexibility System」に変更されているのではないか疑わしいものである。なぜ乙第4号証の取扱説明書のプログラム名称が異なるのか説明していただきたい。
乙第4号証の表紙には、「MFX-W、EV Ver6 更新用」の表示があるものの、それ以降の記載に、集中管理装置の名称、システム名称、プログラム名称としての「MFX」の使用は見られない。乙第3号証の取扱説明書の内容の記載中には、集中管理装置「MFX-W」やプログラム名称としての記載(乙3・18頁)が見られるのに、乙第4号証にはそれがない。
乙第4号証の取扱説明書を単に更新用に配布しているだけであるならば、商品のメンテナンスのための配布物にすぎないから、独立した商品への使用とはいえない。
審判弁駁書において指摘したとおり、乙第4号証の作成年月日については矛盾も見られるため、乙第4号証の証拠力には疑わしい点が多い。
ウ 仮に、現在使用しているシステム名が「Miura Intelligence Flexibility System」に変更されたとするならば、乙第5号証の「MAIFLEX SYSTEM/マイフレックスシステム」の商品カタログは、要証期間内に使用している例があるのか疑問である。
エ 乙第14号証の被請求人会社の陳述書に記載された「CD-ROM」(ソフトウェア)の外形からは、このソフトウェアの作成時期、作成個数、取引された事実等が立証されていない。販売した事実があるのであれば、販売した時期、販売先等について明確に示していただきたい。
オ 被請求人は、特許庁における「遠隔監視用の電子計算機」、「コンピュータを利用した在庫管理用の装置」等を列挙して、遠隔監視できるコンピュータ装置を独立した商品として認めている旨主張するが、これら登録例は、それぞれの商品についての装置の動作、機能、使用状況、取引実情等に応じて個々に審査官が判断されたものであるから、本件とは事案を異にするので、参酌すべき理由は全くない。
(2)被請求人の「本件集中管理装置(産業用コンピュータ及び本件プログラム)の譲渡の事実」に係る主張について
ア 被請求人は、要証期間内に販売されたことを立証するため、「取引書類」(乙7ないし乙9)を提出し、本件取消請求に係る商品を販売したと述べているが、本件取消に係る商品を販売したという事実を立証したとは到底いえない。
イ 乙第7号証ないし乙第9号証の書証において、「MFX」関連商品についてのバージョンアップ関連の記載については、「ソフトウェアバージョンアップ」、「バージョンアップ」、「パソコン更新」、「キキイッシキ。バージョンUP」、「OPソフトイッシキ.バージョンUP」とあるのみで、本件に関する産業用パソコンや本件プログラム(CD-ROM化されたソフトウェア)が、実際に販売されたとの記載はない。これらの「ソフトウェアのバージョンアップ」程度の記載からは、「バージョンアップしたプログラムをインストールして、機器一式をセットアップする」という作業を顧客のために行うもので、それは新たな商品の販売行為ではなく、自らの商品を販売した後のメンテナンス行為であるとしか理解できない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証からは、具体的な商品を販売したという事実が明瞭には示されていないから、これらの証拠を以て、本件商標が本件取消請求に係る指定商品に使用した事実を立証したことにはならない。
ウ 乙第7号証は、「御見積書」と「注文書」のセットであるが、「御見積書」には項目や金額が詳細に記載されているのに対し、「注文書」は大まかな記載しかない。項目(品名)と金額が一致していないように見受けられるが、それはなぜか疑問である。実際に取引されたのであれば、最終的には、乙第9号証のような「売上伝票」があるはずであるが提出されていない。なお、乙第7号証の2の「注文書」の下の「売上No.」の横には、手書きの文字「4-25」とあるが、乙第9号証の売上伝票の番号は「13037036」とあるから、売上伝票の番号に統一性がない。実際に取引されたのか疑問である。
エ 乙第8号証及び乙第9号証の「注文書」と「売上伝票」が対応する書面であると述べているが、「注文書」と「売上伝票」の項目が合致していない。
(3)被請求人は、乙第6号証の「稟議書」に基づいて、乙第2号証の「仕様書」を「対応ブラウザの範囲を追記した改訂された仕様書」(営業資料)として、2013年5月13日以降配布できることが承認されていたことが明らかである旨述べているが、実際に営業資料として配布された事実は立証されていない。
(4)乙第4号証の異なる2つの作成日について、乙第14号証として提出された陳述書によれば、「作成年月:2013年4月」は、被請求人会社の担当部門による改訂の年月であり、取扱説明書の発行は2013年5月である旨記載されている。
しかしながら、ボイラや水処理機器のような感電や災害を引き起こす可能性のある商品に関する集中管理装置の取扱説明書の改訂年月や発行年月が正確に記載されていないということはあり得ない。乙第3号証では、表紙裏の改訂年月と裏表紙の発行年月が合致しているのに、乙第4号証の記載が異なるのは不自然である。
乙第4号証については、前述のとおり、説明書の内容においても矛盾点があることから信憑性のある証拠とはいえない。乙第4号証が、要証期間内に実際に、顧客に配布されているなら、その事実を立証していただきたい。
(5)乙第7号証の1の「御見積書」において、「1.更新部品一式」とあるのが、MFXシリーズのものであるか特定されていない。「2.ソフトウェアバージョンアップ」が「MFX-EV」に対応するものであることは理解できるが、前述のとおり、本件プログラム(CD-ROM化されたソフトウェア)が実際に販売されたという記載はない。
乙第7号証の2の「注文書」における「シーメンス製産業用コンピュータ」の記載についても、「パソコン更新」に基づくバージョンアップ程度のメンテナンス作業を行ったのか、実際に新しい商品が販売されたのか不明である。
(6)乙第7号証の2の注文書における「パソコン更新・MFX-EV 一式」という表示から、被請求人会社の顧客が本件集中管理装置を「MFX-EV」の商標で認識しているとしても、本件取消請求に係る商品が使用されたことが立証されているわけではない。被請求人会社の顧客は、「パソコン更新」をすることについて、商品を販売してもらったとは理解していない。顧客は、単に、既に購入した商品のメンテナンス作業をしてもらったという意味にしか認識していない。そのためのメンテナンス作業の対象物としての機種を「MFX」と理解しているにすぎない。
(7)被請求人は、乙第4号証「取扱説明書」、乙第5号証「商品カタログ」及び乙第2号証「仕様書」及び乙第7号証ないし乙第9号証の取引書類から、本件商標の使用及び本件商標を使用した本件集中管理装置の販売の事実は立証されている旨主張する。
しかしながら、乙第2号証ないし乙第5号証の配布時期や配布先が特定されておらず、実際に商取引に使用している事実があるか疑問である。平成26年1月31日付の審判長からの審理事項通知書においても指摘されているとおり、特に、乙第3号証ないし乙第5号証については、それぞれの作成日以降現在までに頒布しているのであれば、その事実を具体的かつ客観的に示す証拠を提出すべきである。
乙第7号証ないし乙第9号証の取引書類には一貫性がない。実際に商品を販売したのであれば、要証期間内の見積書→注文書→売上伝票(ほかにあれば納品書)等の一連の取引書類が提出されて然るべきである。さらに、実際に販売したのが独立して取引の対象となる商品であるのか、メンテナンス作業であるのか明確でない。乙第7号証ないし乙第9号証からは、具体的な商品を販売したという事実が明瞭には示されていないからである。
(8)まとめ
ア 被請求人により提出された証拠によれば、本件集中管理装置は、ボイラや水処理機器の専用品であり、周辺機器である。
このことは、被請求人会社のホームページの「集中管理装置」の紹介ページ(甲3)において、「ボイラ周辺機器製品」と自ら分類していることからも明らかである。
また、厚生労働省の「ボイラーの遠隔制御基準」によれば、運転上の安全を確保するよう、ボイラー設置場所以外の場所に設置されたボイラーについての基準を定め、ボイラーの圧力、水位等を制御したり、異常を監視するよう指導している(甲4)。したがって、ボイラや水処理機器と、これらを制御、管理する「集中管理装置」は切り離すことのできない一体的なシステムであり、「集中管理装置」は、ボイラや水処理機器の周辺機器として一般に認識されているということができる。
よって、被請求人が使用していると主張する「集中管理装置」は、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」には使用されていない。
イ 被請求人は、乙第2号証ないし乙第5号証が、要証期間に頒布されたという具体的且つ客観的な証拠を提出していない。これらの証拠によっては、要証期間内に、商標「MFX」の付された商品が使用されたという事実を認めることはできない。
ウ 乙第7号証ないし乙第9号証から、実際に商品が販売されたという事実を認めることはできない。これらの取引書類に記載された「バージョンアップ」や「パソコン更新」とは、あくまでも、被請求人が販売した商品のメンテナンス作業によるものであり、被請求人の顧客も商品購入ではなく、機種やプログラムのメンテナンス作業を依頼してその対価を支払うという認識をしているにすぎない。したがって、これらの証拠を以て、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム」に使用されたとはいえない。
エ 以上のとおり、これまでに、被請求人が提出した証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者の何れかが請求に係る指定商品の何れかについて、本件商標を使用していることを被請求人が立証したということにはならない。

4 上申書における陳述
(1)「取扱説明書」の頒布及びバージョンアップされた「コンピュータソフトウェア」の販売事実について
被請求人が提出した乙第15号証ないし乙第17号証の陳述書は、ほぼ同じ文章で作成された形式の書類に、被請求人の顧客とその営業担当者が署名捺印したにすぎない証拠である。特に、乙第15号証の1、乙第16号証の1及び乙第17号証の1について署名捺印する被請求人の顧客が、これら陳述書の内容を細かく検討し、一つ一つの事実を確認しながら、書類を作成したか疑問である。
そして、乙第15号証の1、乙第16号証の1及び乙第17号証の1の陳述書に記載された「要証期間内にバージョンアップしたコンピュータソフトウェア(CD-ROM版)を購入し、取扱説明書(乙21)がCD-ROM内に格納されている事実」については、それを裏付ける物証が何も存在していない。特に、乙第17号証の1においては、購入したと述べたCD-ROMの画像が添付されているが、そのCD-ROMが要証期間内に存在していたかの立証がなされていない。また、その画像がいつ誰によってどこで撮影されたものであるかも不明である。
被請求人は、乙第7号証の1及び2として、見積書及び注文書を提出することにより、被請求人の集中管理装置及びバージョンアップされたコンピュータソフトウェアが販売された事実を立証し、これら見積書及び注文書に記載された被請求人の顧客からの陳述書として、乙第17号証の1を提出すると主張するが、これらの証拠によっては、本件商標の付された商品が独立した商品として販売されたか疑問である。平成26年2月27日付の口頭審理陳述要領書においても述べたが、乙第7号証の見積書及び注文書の「MFX-EV」に関する記載は次のとおりである。
・乙第7号証の1「御見積書」
2 ソフトウェアバージョンアップ
・バージョンアップ
※MFX-EV Windows7対応
※M-NETII対応
・乙第7号証の2「注文書」
・パソコン更新 MFX-EV 1式
これらの記載のみによって、実際にコンピュータソフトウェア(CD-ROM版)が販売されていた事実が立証されたとは到底いえない。これらの記載から、被請求人が要証期間前に販売した集中管理装置のメンテナンス作業についての費用見積もり及び注文であった可能性が高い。メンテナンス作業によるものであれば、要証期間内に本件商標を本件取消請求に係る指定商品について使用していたことにはならない。
請求人が、乙第7号証に関する売上伝票や納品書の提出を求めた理由は、前記のとおり、被請求人が提出する乙第7号証の見積書や注文書では、商品販売の具体的且つ客観的な事実が把握できず、販売の事実が立証されていないからである。乙第7号証の2の注文書下部の「取引条件」欄によれば、納品の検収条件は「試運転」である。被請求人が顧客にCD-ROMを販売したのであれば、「試運転」という検収条件にはならないはずである。メンテナンス作業のためにバージョンアップしたCD-ROMを使うことはあるが、それは単に、パソコン機種のバージョン変更に伴う目的のための使用である。したがって、乙第7号証では立証不十分なため、実際に販売された事実を確認したいと考えたからであり、実際に被請求人の顧客が購入したと陳述するのであれば、約一年前の売上伝票や納品書が残っているのは当然であると思われるからである。
乙第21号証の取扱説明書の頒布について、そもそもCD-ROMの存在が立証されていないので、CD-ROMに格納されていると主張する乙第21号証が要証期間内に実際に存在していたか疑問である。
請求人提出に係る平成25年10月22日付の答弁書では、乙第2号証ないし乙第4号証の仕様書、取扱説明書は、CD-ROMに格納して頒布するという頒布形式について一切述べられていなかったにも拘わらず、乙第21号証を提出するにあたり、あわてて頒布形式について述べている。乙第21号証の存在があるなら、最初から答弁書に添付されて然るべき証拠である。要証期間内に、「MFX-EV」の表示のCD-ROMが実際に存在し、独立した商品として販売されていたかますます疑問であり、CD-ROMに格納されていると主張する取扱説明書の存在も疑わしい。
上記により、乙第15号証ないし乙第17号証及び乙第21号証によっては、乙第3号証ないし乙第5号証の「取扱説明書」又は「商品カタログ」をその作成日以降現在まで頒布しているという事実が、具体的かつ客観的に示されたことにはならないし、本件商標が要証期間内に本件取消請求に係る指定商品について使用されたことが立証されていない。
(2)総括
これまでに被請求人が提出した本件商標の使用立証に関する証拠は次のとおりであるが、これらの証拠から、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを立証したとはいえない。
最後に、請求人の主張を総括して陳述する。
ア 被請求人の提出した使用立証に関する証拠について
乙第2号証の仕様書は、要証期間内に頒布されたことが立証されていない。
乙第3号証の取扱説明書は、要証期間外の使用である。
乙第4号証の取扱説明書は、要証期間内に頒布されていたか不明である。
乙第5号証の商品パンフレットも要証期間内に頒布されていたか不明である。
乙第6号証の稟議書は取引書類にあたらない。
乙第7号証の1の見積書及び乙第7号証の2の注文書には、「バージョンアップ」及び「パソコン更新」のみしか表示されておらず、具体的な商品の販売事実の立証はない。
乙第8号証の注文書には、「MFX」の表示がないため、本件商標の使用は立証されていない。
乙第9号証の売上伝票も「バージョンUP」のみの表示であって、具体的な商品の販売事実が立証されていない。
乙第14号証の被請求人知財部の陳述書であるが、要証期間内にCD-ROMが存在していたか不明である。CD-ROMの販売事実の立証はない。
乙第15号証ないし乙第17号証は、被請求人の顧客と被請求人の営業担当の陳述書であるが、定型書面による形式的な陳述にすぎず、バージョンアップのためのソフトウェア購入と主張するも、物証は何もない。
乙第17号証に対応する乙第7号証の見積書及び注文書には具体的な商品を販売した事実が立証されていないし、それに関連する売上伝票や納品書も提出されていない。
乙第17号証のCD-ROMの画像から、CD-ROMが実際に販売されたという事実は立証されていない。そもそもCD-ROMの要証期間内の存在が不明である。
乙第21号証の取扱説明書は、乙第17号証のCD-ROM(画像)に格納されるものであるため、CD-ROMの存在事実自体不明であるから、使用事実は立証されたことにならない。
イ 本件商標の使用商品が本件取消請求に係る指定商品に含まれるかについて
(ア)被請求人は、平成25年10月22日付の答弁書において、ボイラの周辺機器としてのボイラ等の「集中管理装置」を製造・販売していると述べている。乙第5号証の商品パンフレットによれば、本件商標「MFX」は、「集中管理装置」の機種名称として使用されている。この「集中管理装置」は、パソコン、キーボード、専用のコンピュータプログラム、プリンタ、無停電電源装置、ボイラ等に接続するための接続装置等から構成されるボイラ専用の一つの装置である。即ち、被請求人が「MFX」シリーズの名称によって製造・販売しているのは、ボイラ及びその関連機器に接続してはじめて、ボイラの監視、制御等の機能や運転状況及びこれらデータの分析機能が実現される「コンピュータプログラムによって制御、監視されるボイラ専用の集中管理装置」である。
特許庁電子図書館の「商品・役務名リスト」で検索すると、プログラムによって制御される装置は、必ずしも、第9類の類似群コード「11C01」には分類されておらず、プログラムであっても、機械、装置等の用途によっては、必ずしも類似群コード「11C01」には分類されていない。
被請求人の製造・販売する「集中管理装置」は、明らかに、ボイラ専用の一つの装置である「集中管理装置」であって、被請求人は、「電子応用機械器具及びその部品」としてのパソコン機器、ソフトウェアを製造・販売しているのではない。
近年では、各種機械器具には、多くの電子技術が利用されており、それらの機器を制御し、監視するための専用のコンピュータシステム(パーソナルコンピュータ本体、コンピュータソフトウェア及びこれらの周辺機器)が用いられている。これらのコンピュータシステムについては、各種機械器具を駆動させるためにのみ使用され、これら各機械器具の専用商品として取り扱われるものであるから、必ずしも第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に分類されるとは限らない。
被請求人は、自ら開発した商品を「集中管理装置」として販売しているのであって、本件取消請求に係る指定商品に含まれる「コンピュータ本体、コンピュータプログラム」を販売しているのではない。このことは、平成26年2月27日付の口頭審理陳述書に添付して提出した甲第3号証の被請求人のインターネットホームページの商品「集中管理装置」紹介ページによっても明らかである。
被請求人の提出した証拠を精査すると、結局のところ、前述のとおり、要証期間内に使用したと主張する商品は、被請求人が要証期間外に販売した集中管理装置のバージョンアップ用のコンピュータプログラム(CD-ROM版)のみである。被請求人が提出した証拠によれば、要証期間内の「集中管理装置」の販売の事実は立証されていないから、「集中管理装置」としての販売は一台もないことになる。
したがって、被請求人が要証期間内の使用を主張する商品は、「コンピュータプログラムによって制御、監視されるボイラ専用の集中管理装置」に使用される「集中管理装置専用のコンピュータプログラム」であるから、第9類の「電子計算機用プログラム」には該当しない。
(イ)仮に、被請求人の製造・販売する「集中管理装置」が、本件取消請求に係る指定商品に含まれるとしても、前述のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、「集中管理装置」としての使用の事実は立証されていない。
ウ 本件商標の被請求人の使用は、独立した商品の使用に該当するかについて
(ア)被請求人が、要証期間内に使用したと主張する「コンピュータプログラム(CD-ROM版)」は、「コンピュータプログラムによって制御、監視されるボイラ専用の集中管理装置」に使用される「集中管理装置専用のコンピュータプログラム」であるから、第9類の「電子計算機用プログラム」には該当しない。
(イ)仮に、被請求人が使用の事実を主張する「コンピュータプログラム」が本件取消請求に係る指定商品に含まれるとしても、乙第15号証ないし乙第17号証の陳述書、乙第21号証の取扱説明書によっては、要証期間内の使用が立証されていない。
被請求人は、乙第17号証の1で被請求人の顧客が陳述した「コンピュータプログラム(CD-ROM版)」の購入については、乙第7号証の1の見積書及び乙第7号証の2の注文書により立証されていると述べているが、売上伝票や納品書の提出がなされていないので、実際に販売したかどうか確認ができない。
乙第7号証の見積書及び注文書に記載されている「バージョンアップ」及び「パソコン更新」とは、あくまでも、被請求人が要証期間前に販売した商品のメンテナンス作業によるものであり、被請求人の顧客も商品購入ではなく、機種やプログラムのメンテナンス作業を依頼してその対価を支払うという認識をしているにすぎない。
前述のとおり、乙第17号証の1の被請求人の顧客の陳述書は、被請求人側が用意した書式に署名捺印したにすぎないものであるから、その陳述内容の詳細を顧客自らが立証しているわけではない。メンテナンス作業のために使用するバージョンアップ用のCD-ROMを入手したにすぎないのであれば、独立した商品の販売ということはできない。
コンピュータプログラムによって駆動する集中管理装置であれば、コンピュータ本体やプログラムのバージョンアップは機種のサポートやセキュリティの都合上当然の作業であり、乙第21号証の取扱説明書は、要証期間前に販売した装置のバージョンアップ用のプログラムに付随して頒布されただけにすぎないものである。したがって、乙第21号証の取扱説明書によっても独立した商品の使用がなされたということはできない。
エ 結語
以上詳述したとおり、被請求人の要証期間内の本件商標の使用は全く立証されておらず、本件取消請求に係る指定商品の使用の事実は認められない。
請求の趣旨のとおりの審決を求める。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書、口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(2)において以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)を提出している。

1 答弁書における主張
(1) 本件商標の使用について
本件商標権者(被請求人)は、本件審判の請求の予告登録日(平成25年9月10日)前3年以内はもとより、それより前から継続して、指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」及び「電子計算機用プログラム」について、本件商標を使用してきている(乙2ないし乙9)。
(2) 本件商標の使用の事実
ア 本件商標の使用者
(ア)被請求人三浦工業株式会社は、自ら本件商標を、その請求に係る指定商品に含まれる「電子応用機械器具及びその部品」及び「電子計算機用プログラム」に使用している。
被請求人は、1959年(昭和34年)5月1日に設立され、小型貫流ボイラ・舶用ボイラ・排熱ボイラ・水処理装置・食品機械・滅菌器・薬品等の製造及び販売並びにそれらのメンテナンス等を主たる事業内容する企業であり、これら取扱商品に係る業界において、我が国を代表する企業である。
被請求人は、上記各種ボイラの製造・販売とともに、そのボイラ周辺機器として、ボイラ等の集中管理装置(以下、被請求人の主張の項において「本件製品」という場合がある。)をも製造・販売している。
本件製品は、汎用性のある「パーソナルコンピュータ」、「キーボード」、「プリンタ」等周辺機器及び専用の「コンピュータソフトウェア」からなるものである。
(イ)乙第2号証は、本件製品(MFX-EVシリーズ)の仕様書であり、その表紙には、被請求人の名称である「三浦工業株式会社」が表示されている。
(ウ)乙第3号証は、本件製品の「MFX-Wシリーズ」の取扱説明書であり、乙第4号証は、本件製品の「MFX-W、EV Ver6更新用」の取扱説明書である。これら取扱説明書については、その裏表紙に、被請求人の名称が表示されている。乙第3号証については、その裏表紙の「2010.1」の表示から、また、乙第4号証については、「2013.05」の表示から、それぞれ、2010年1月及び2013年5月に作成されたものであることが明らかであり、それ以後、配布されてきたものである。
(エ)乙第5号証は、本件製品の「MFX-EVシリーズ」の商品力タログである。その表裏面には、被請求人の名称が表示されている。同カタログの裏表紙に示されたとおり、2008年11月に発行され、それ以降、使用されてきたものである。
以上の表示から、上記仕様書、取扱説明書及びカタログは、被請求人が作成したものであり、また、被請求人がそれらに示された本件製品を製造・販売してきたことも明らかである。
(オ)乙第6号証は、乙第2号証として提出した本件製品の仕様書を営業資料として使用することを承認した被請求人の社内文書(稟議書)であり、同文書に示されるように、この仕様書(「対応ブラウザの範囲を追記したもの」)は、2013年5月13日以降、営業資料として配布することが認められている。
イ 使用商標
(ア)乙第2号証の仕様書の表紙には、大きく、「集中管理装置」の文言の下に、「MFX-EVシリーズ」の商標が示され、また、乙第3号証の取扱説明書の表紙には、「集中管理装置」の文言の下に、「MFX-Wシリーズ」の商標が示され、さらに、乙第4号証の取扱説明書には、「集中管理装置」の文言の下に、「MFX-W、EV Ver6更新用」の商標が示されている。
これらの表示から、上記本件製品の商標が、「MFX」であることは明らかである。
また、乙第5号証の商品カタログの表紙にも、「MAIFLEX SYSTEM」の表示の下に、「Windows(マルアール)対応」の文字とともに、「MFX-EVシリーズ」の商標が示されている。
なお、上記カタログの表示から、本件商標「MFX」が、「MAIFLEX SYSTEM」の頭文字を取って作られた商標(造語)であることがわかる。被請求人は、「MAIFLEX SYSTEM」商標とともに、その頭文字をとった本件商標「MFX」も、その一つの略称の商標として使用してきたものである。
この点付言すれば、「IBM」(International Business Machines)、「JTB」(Japan Travel(Tourist) Bureau)、「JAL」(Japan Airlines)等、各単語の頭文字を結合して造語商標を創作することは、商標を創り出す方法としてしばしば行われている。このことは周知の事実である。
(イ)なお、補足すれば、上記各使用商標と本件商標とは、社会通念上の同一の商標であることは明らかである(商標法第50条第1項かっこ書)。
すなわち、乙第2号証ないし乙第5号証には、「MFX-EVシリーズ」、「MFX-Wシリーズ」又は「MFX-W、EV Ver6更新用」の商標が示されているが、「-(ハイフン)」以下は、当該製品の機能等を区別するために付記的に付された型番等記号であることは明らかであり、「MFX」が、自他商品識別機能を発揮する商標部分であると容易に認識できる。
事実、被請求人は、本件製品に使用される基本OSのWindowsの各バージョンにあわせて、「-EVシリーズ」、「-Wシリーズ」というように、型番を違えて表示している。
なお、「-EVシリーズ」は2003年より製造販売され、他方、「-Wシリーズ」は1997年より製造販売されている。
(ウ)本件商標の使用商標については、「MFX-EVシリーズ」、「MFX-Wシリーズ」というように、「-(ハイフン)」以下には、「EVシリーズ」、「Wシリーズ」のように、「シリーズ」の言葉が付されている。この「シリーズ」の言葉を付すことにより、被請求人は、「-(ハイフン)」以下が、本件製品の特定の機種・型番の表示であることが、一見して明らかとなるようにしている。
けだし、「シリーズ」の言葉は、「製品」について、類似の仕様や互換性を持つ製品群を意味する、すなわち、製品の型番を示すために使用されており、かつ、それは周知の事実であるからである(乙13)。
ウ 使用に係る商品
(ア)本件商標の使用商品(本件製品)について説明する。
乙第5号証の商品カタログには、1ページ目に、本件商標の使用に係る商品「集中管理装置」(本件製品)の全体の外観が示されている。すなわち、本件製品は「集中管理装置」と命名されているものの、それを構成するものは、汎用性のある「パーソナルコンピュータ」、「キーボード」、「プリンタ」等その周辺機器、並びに、この商品カタログの「モニタリング機能」等の説明からわかるとおり、その「集中管理機能」を発揮する専用の「コンピュータソフトウェア」である。
また、同商品カタログには、上記装置が各ボイラや水処理装置とLAN等を通じて接続されるものであることが写真で示されている。
(イ)本件製品の装置全体の構造については、乙第4号証の第6頁にも示されており、コンピュータ、キーボード、カラープリンタ等のコンピュータシステムからなっていることが明らかである。
(ウ)なお、乙第2号証の仕様書は、その表紙に、「MFX-EVシリーズ/Web監視オプション」と標記されており、また、同3頁の仕様表の中に「Webサーバ用ソフトウェアとそのセットアップだけのご提供になりますので、」の説明にあるとおり、同仕様書は、本件製品のWebサーバ用のソフトウェアの仕様書である。すなわち、このソフトウェアをオプションとして購入し、本件製品(集中管理装置)に使用することにより、インターネットを通じ、各端末のコンピュータに対して、各ボイラ等の運転状態等の管理情報を通信することが可能となる。
このように、本件製品は、専用のコンピュータソフトウェアそれ自体でも、商標「MFX-EVシリーズ」を使用して、販売されていることが明白である。
(エ)本件製品の機能及び作用は、これらのカタログ、取扱説明書及び仕様書からわかるとおり、ボイラ単体やボイラに付随する水処理機器の状態の監視や複数台のボイラの運転状態を最適化する制御(台数制御)を行うものである。
より具体的には、モニタ監視は、ボイラ(燃焼状態・水位等)、水処理機器(処理状態等)、台数制御装置(圧力等)などの状態の監視をし、アラーム監視は、ボイラ、水処理機器、台数制御装置などで発生したアラーム情報(アラーム名称、対処方法等)の表示をし、熱管理データ管理は、ボイラ、水処理機器の運転情報(水、燃料、運転時間、蒸発量、処理水量、圧力等)を毎時収集し稼動データとして管理等を行うものである。
なお、乙第3号証及び乙第4号証には、本装置のモニタ画面の表示等そのコンピュータソフトウェアの取り扱いが説明されている。
(オ)以上のとおり、本件商標の使用に係る集中管理装置(本件製品)が、パーソナルコンピュータ(電子計算機)、キーボード、プリンタ及び専用のコンピュータソフトウェア等からなるいわゆるコンピュータ装置であることは明らかであり、これは、請求に係る指定商品である「電子応用機械器具及びその部品、電子計算機用プログラム」と同一の商品である。
すなわち、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用してきた。
エ 使用時期
(ア)乙第5号証の商品カタログは、2008年11月に発行されたことが明示されており、それ以降配布されてきているものである。
(イ)乙第2号証のオプションとして販売されるソフトウェアの仕様書は、乙第6号証の稟議書に示されるように、「対応ブラウザの範囲が追記」された仕様書について、2013年5月13日以降配布されてきたものである。
(ウ)また、乙第3号証及び乙第4号証の取扱説明書については、その裏表紙の「2010.1」及び「2013.05」の表示からわかるように、それぞれ、2010年1月又は2013年5月に作成され、それ以後、配布されてきたものである。
これら取扱説明書は、当然に、本件製品と一緒に顧客に配布されている。
(エ)なお、被請求人は、さらに、本件製品及び専用ソフトウェアが実際に販売されていたことを立証するため、「御見積書」及びそれに対応した「注文書」(乙7の1及び2)、「注文書」(乙8)及び「売上伝票」(乙9)を提出する。
(オ)上記「御見積書」には、品名欄の項目中、「バージョンアップ」として、「MFX-EV Windows7対応」との記載があり、「MFX-EV」の商標を使用して、本件製品のバージョンアップのためのコンピュータソフトウェア自体も販売されていることが明らかである。
また、同じく品名欄の項目中、「更新部品一式・シーメンス製 産業用コンピューター式(Windows7)」の表示から、この集中管理装置(本件製品)が、コンピュータからなっていることが明らかである。
(カ)上記「注文書」にも、品名欄に、「パソコン更新」、「シーメンス製産業用コンピュータ(Windows7)」と表示されるとともに、規格欄に、この商標の「MFX-EV」が表示されており、本件商標を使用して、これらの本件製品が販売されたことは明らかである。
(キ)さらに、上記「売上伝票」には、「OPソフトイッシキ.バージョンUP MFX-E」の表示があり、上述のとおり、バージョンアップ用の専用のコンピュータソフトウェアも独立して販売されていることがわかる。
(ク)これらの取引書類は、それぞれ、2013年2月18日及び同年3月5日(乙7の1及び2)、同年3月1日(乙8)、同年3月29日(乙9)付けのものを抽出した。すべて、本件審判の請求の予告登録日(平成25年9月10日)前3年以内のものであり、本件商標が使用され、本件製品が、要証期間内に販売されてきたことは明らかである。
(ケ)以上のとおり、本件商標は、指定商品中少なくとも、「コンピュータ」、「コンピュータの周辺機器」、「コンピュータソフトウェア」について、その広告(カタログ)、取扱書類等の取引書類において要証期間内に使用され、これら書類は被請求人の顧客らに頒布等されてきている。

2 口頭審理陳述要領書における陳述
(1)「本件商標が使用される『ボイラ、水処理装置の集中管理装置』は、被請求人が製造販売する『ボイラ、水処理装置』に特化した、これらの機器の管理、制御又は監視のためにのみ用いられるコンピュータシステムであり、上記ボイラ、水処理装置と一体化して取引に供されるものであって、独立して取引の対象とされる商品とはいえない。」及び「コンピュータやコンピュータプログラムのバージョンアップや再インストールは、被請求人が製造販売する『ボイラ、水処理装置』のメンテナンスの一つであって、これらの機器の専用品として顧客に提供されるものであるから、独立して取引の対象とされる商品とはいえない。」との弁駁書における請求人主張に対する反論。
ア 本件集中管理装置の構成
(ア)被請求人は、請求人の「本件商標が使用される『ボイラ、水処理装置の集中管理装置』は、被請求人が製造販売する『ボイラ、水処理装置』に特化した、これらの機器の管理、制御又は監視のためにのみ用いられるコンピュータシステムであり」の主張については概ね認める。
すなわち、被請求人の製造販売に係るボイラ、水処理装置の「集中管理装置」(以下、被請求人の主張の項において「本件集中管理装置」という場合がある。)は、「取扱説明書/集中管理装置/MFX-W、EV Ver6更新用」(乙4)の「第3章 各部の名称と役割」「1 装置全体」に写真で示されているとおり、通常の産業用のコンピュータ、キーボード、マウス、カラープリンタ、通信アダプタ等からなるものである。
(イ)このことは、本件集中管理装置の商品カタログ「Windows対応MFX-EVシリーズ」(乙5)からも明確である。同カタログの最終頁には、「マイフレックス要目表」という見出しの表の記述があり、そこでは、接続できるボイラの台数に応じて、「MFX-04EVF」、「MFX-08EVF」、「MFX-15EVF」、「MFX-36EVF」の本件集中管理装置の「機種」があることが示されている。
さらに、「機種」(注1)として、「産業用パソコンを搭載しています。」との説明があるとおり、これらの本件集中管理装置が、「産業用パソコン」で構成されていることが示されている。また、本件商標が使用されていることも明らかである。
(ウ)しかしながら、この産業用コンピュータのハードウェアのみによって、ボイラ等の管理・監視ができるはずもなく、この機能を果たすため、専用のコンピュータプログラム(以下、被請求人の主張の項において「本件プログラム」という場合がある。)が存在する。
(エ)本件プログラム単独でも販売されていることは、「仕様書/集中管理装置/MFX-EVシリーズ」(乙2)からも明らかである。
すなわち、同「仕様書」の中の「4.仕様」、「表1 仕様表(サーバ)」と称された表の「項目」の中に、「Web監視オプション構成部品」として、「Webサーバ用ソフトウェアとセットアップだけのご提供になりますので」の記載からわかるように、本件集中管理装置は、本件プログラムだけでも販売されていることが明らかである。
(オ)さらに、被請求人はこの点等含めて本件集中管理装置の構造・取引をより明確にすべく、被請求人会社の知的財産室担当者の陳述書(乙14)を提出する。本件プログラムがCD-ROMに格納されて、それのみでも販売されていることが陳述されている。また、同CD-ROMには、本件商標が、たとえば、「MFX-EVシリーズ」のように付されている。
(カ)なお、「取扱説明書」(乙4)の21、45、218、225、236の各頁に示されるように、本件集中管理装置に本件プログラムがインストールされ、起動等すると、そのコンピュータ画面に、「MFX」、「MFX監視」、「MFX-EV警報」、「MFX警報」等の本件プログラムの商標が表示され、使用できるようになる。これは、本件商標「MFX」の本件プログラムへの使用に該当する。
(キ)上記「仕様書」(乙2)の「3.システム構成」においても、本件集中管理装置が「MFX-EV」と示され、それが、「ボイラ設備」と接続され、さらには、「社内LAN」を通じて、各端末のコンピュータとも接続でき、「ボイラ設備」の動作等の情報が、これら各端末コンピュータでも共有し、操作確認できることが示されている。
このように、本件集中管理装置は、そもそも、「ボイラ」や「水処理装置」とは、別個の機能をもった独立したコンピュータ及びそのプログラムであることが明らかである。
イ 本件集中管理装置(産業用コンピュータ及び本件プログラム)の譲渡の事実
(ア)請求人は、「(当該集中管理装置は)、上記ボイラ、水処理装置と一体化して取引に供されるものであって、独立して取引の対象とされる商品とはいえない。」と反論する。
しかしながら、この主張には何らの根拠も示されておらず、全くの空想というほかない。明らかに事実と異なる。
この主張とは反対に、本件集中管理装置の本体のコンピュータやその本件プログラムが、「ボイラ」や「水処理装置」とは、独立して販売等取引されていることは、その商品カタログ(乙5)の存在自体からも明らかである。
(イ)さらに、被請求人は、本件集中管理装置の本体のコンピュータやその本件プログラムが、実際に、本件審判の請求の予告登録日(平成25年9月10日)前3年以内(要証期間内)に販売されたことを立証するため、「取引書類」(乙7の1及び2)を提出している。
(ウ)上記取引事実につき、当該「取引書類」の内容を改めて説明する。
乙第7号証の1は、「御見積書」(2013年2月18日付)とあり、それに対応するのが、乙第7号証の2の「注文書」(2013年3月5日付)である。
(エ)「御見積書」の「品名」欄には、「1」として、「更新部品一式・シーメンス製 産業用コンピューター一式(Windows7)」の項目があり、それに対応し、数量、単価、定価が示されている。また、同「2」として、「ソフトウェアバージョンアップ」の表示があり、その中に、「・バージョンアップ ※MFX-EV Windows7対応」との項目があり、これについても、数量、単価、価格が示されている。
この取引は、コンピューターの基本OSのWindowsが、「Windows7」にバージョンアップされたことに伴い、本件集中管理装置の本体の産業用コンピューター(Windows7搭載)及び「Windows7」対応にバージョンアップされた本件プログラムが、一緒に販売されたことを示すものである。
なお、上記「御見積書」が、被請求人より、被請求人の顧客に頒布されたものであることも明白である。
(オ)この点、請求人は、この「ソフトウェアバージョンアップ」の記載は、「ボイラ、水処理装置のメンテナンスの一つであって」と主張するが、このような主張は、「コンピュータソフト」の「バージョンアップ」が何を意味するのかを全く理解しない主張である。
「ソフトウェアバージョンアップ」とは、「バージョンアップされたソフトウェア(プログラム)」が提供されることに他ならない。
「御見積書」(乙7の1)及び「注文書」(乙7の2)は、このバージョンアップされた「Windows7」対応の本件ソフトウェアが「有償」で譲渡されたことを明瞭に示している。
このように、本件集中管理装置を構成する本件産業用コンピュータ及び本件プログラムが、「ボイラ」や「水処理装置」の売買とは関係なく、別個独立に販売されていることは明らかである。
(カ)なお、付言すると、「御見積書」の品名欄「1」において、「セットアップ、インストール」の項目も示され、それにも単価、定価が示されているとおり、本件プログラム「MFX-EV」のバージョンアップされたコンピュータプログラムのセットアップやインストールの作業についても、別にその費用が請求されている。
(キ)「注文書」(乙7の2)は、上記の「御見積書」(乙7の1)を受けて、被請求人の顧客より被請求人に発行され、頒布されたものである。
その「品名」欄には、「1.パソコン更新 2.シーメンス製産業用コンピュータ(Windows7) 3.データコンバート・試運転含む」と記載され、その「規格」、「数量」欄には、各々、「MFX-EV」、「1式」と表示されており、本件集中管理装置の本体コンピュータと本件プログラム並びにその作業全てが注文されたことは明らかである。
(ク)さらに、乙第8号証は、上記の乙第7号証とは異なる被請求人の顧客からの「注文書」であり、乙第9号証は、その「売上伝票」である。これらが対応する書面であることは、両書面に示されている売上番号「13037036」が同一であることから確認できる。
同「注文書」(乙8)には、「1.産業用コンピュータ一式 2.セットアップ・インストール 5.ソフトウェアバージョンアップ」等々の記載しかないが、これを受けた「売上伝票」(乙9)には、「キキイッシキ.バージョンUP MFX-EV/OPソフトイッシキ.バージョンUP MFX-E」の品名が表示されており、本件集中管理装置「MFX-EV」の産業用コンピュータ一式及びバージョンUPされた本件プログラムが販売されたことが明瞭に示されている。
ウ まとめ
以上詳細に説明したとおり、これらの書証から、本件商標が商品に付され、要証期間内に譲渡されたこと(商標法第2条第3項第1号、同項第2号)及び商品の取引書類に本件商標が付され、それが頒布されたこと(商標法第2条第3項第8号)は、明らかである。
(2)「乙第2号証の仕様書は、使用時期が不明確であり、乙第6号証の稟議書によっても、実際に営業資料として配付され、取引されたものとはいえない。そもそも『社内案議書』は取引書類にあたらない。」との請求人主張に対する反論。
ア 被請求人は、上述のとおり、「取扱説明書」(乙4)、「商品カタログ」(乙5)、「仕様書」(乙2)、「御見積書」、「注文書」、「売上伝票」(乙7の1及び2、乙8、乙9)によって、本件商標の使用及び本件商標を使用した本件集中管理装置の販売事実(とくに、「MFX-EV」のWindows7対応のバージョンアップされた本件プログラム及び本件集中管理装置の本体コンピュータの販売事実)は立証されている。
イ なお、「棄議書」(乙6)によって、上記「仕様書」(乙2)が、被請求人の社内において、2004年5月17日以降、営業資料として配布できることが承認されていたこと、そして、「対応ブラウザの範囲を追記」した同「仕様書」(所謂改訂されたもの)が、2013年5月13日以降、営業資料として配付できることが承認されていたことは明らかである。
(3)「乙第3号証ないし乙第5号証の『取扱説明書』又は『商品カタログ』については、それぞれの作成日が記載されているものの、要証期間内に顧客に配布された事実が立証されていない。乙第4号証の『取扱説明書』は、異なる2つの作成日が記載されていることなどから、証拠として信憑性がない。」との請求人主張に対する反論。
「取扱説明書」(乙4)に、異なる2つの作成日が記載されているとの請求人の指摘については、被請求人会社担当者より、本口頭審理陳述要領書に添付した「陳述書」(乙14)により、その事情を説明する。
(4)「乙第7号証の1『御見積書』に記載された『シーメンス製産業用コンピュータ一式』は、『MFXシリーズ』に対応したものであるか不明である。また、同『御見積書』、乙第7号証の2の『注文書』及び乙第9号証の『売上伝票』に記載された『ソフトウェアバージョンアップ』、『パソコン更新』、『キキイッシキ・バージョンUP』又は『OPソフトイッシキ・バージョンUP』については、独立して取引の対象となる商品とはいえない。」との請求人主張に対する反論。
ア 上述のとおり、例えば、「取扱説明書」(乙4)が説明するとおり、本件集中管理装置の本体は、通常の産業用コンピュータ、ディスプレイ、キーボード、マウス、プリンター等からなるものである。また、「商品カタログ」(乙5)からも本件集中管理装置が、「産業用パソコン」で構成されていることが示されている。
この「産業用パソコン」が、例えば、「シーメンス製の産業用コンピュータ」である場合もあり、乙第7号証の1、2はこれを示すものである。
イ すでに説明したところであるが、乙第7号証の1の「御見積書」には、明確に、「2.ソフトウェアバージョンアップ」の表示とともに、「※MFX-EV Windows7 対応」の品名が示され、その単価、定価が示されている。また、これに対応する乙第7号証の2の「注文書」には、「品名」として、「パソコン更新」、「シーメンス製産業用コンピュータ(Windows7)」等が記載されるとともに、「規格」、「数量」として、「MFX-EV」、「一式」と表示され、この金額が表示されている。
これらを見れば、本件集中管理装置及びその本件プログラムが、独立した商品として販売されたことは明らかである。
なお、付言すれば、乙第7号証の2「注文書」は、被請求人の取引先である顧客が作成し被請求人宛に発行、頒布したものである。ここに示された「MFX-EV」、「一式」の記載から、同顧客が本件集中管理装置を、「MFX-EV」の商標で認識していることも明らかである。
(5)「乙第8号証の『注文書』には、本件商標の記載がないから、本件商標の使用の証拠たり得ない。」との請求人主張に対する反論。
上記(1)イ(ク)で述べたとおり、同「注文書」に対して、これを受けた「売上伝票」(乙9)が存在し、そこには、「キキイッシキ.バージョンUP MFX-EV/OPソフトイッシキ.バージョンUP MFX-E」の商標が表示されている。同「注文書」及び「売上伝票」を併せて、本件集中管理装置「MFX-EV」の機器一式及びバージョンUPされた本件プログラムの販売事実及び本件商標の使用を立証するものであって、被請求人は、単に、乙第8号証の「注文書」のみをもって、かかる事実を立証しようとするものではない。
(6)まとめ
上述のとおり、「取扱説明書」(乙4)、「商品カタログ」(乙5)、「仕様書」(乙2)、「御見積書」、「注文書」、「売上伝票」(乙7の1及び2、乙8、乙9)によって、本件商標の使用及び本件商標を使用した本件集中管理装置の販売事実(とくに、「MFX-EV」のWindows7対応のバージョンアップされた本件プログラム及び本件集中管理装置のコンピュータ本体の販売事実)は立証されている。
かつ、本件集中管理装置は、(a)産業用コンピュータ及び(b)ボイラや水処理装置を監視、管理するコンピュータプログラムからなることも立証できており、これらは、類似商品・役務審査基準の「電子応用機械器具及び部品」であることも明確である。

3 口頭審理陳述要領書(2)における陳述
(1)「取扱説明書」の頒布について
ア この点に関して、被請求人は、本件集中管理装置及びそのバージョンアップされたコンピュータソフトウェアを実際に購入した被請求人の顧客2社からの陳述書を提出する(乙15ないし乙16)。以下、その内容を説明する。
イ 乙第15号証の1は、被請求人の顧客のうちの1社からの陳述書である。(a)2005年9月に本件集中管理装置(MFX-EV)を被請求人から購入したこと、さらに、(b)2011年4月28日に、当該装置のバージョンアップされたコンピュータソフトウェア(CD-ROM版:MFX-EV Ver.6.2.1)を購入したことが陳述されており、また、当該ソフトウェアと共に、同陳述書に添付の取扱説明書の頒布を受けたことも陳述されている。同取扱説明書は、乙第4号証として提出した取扱説明書の旧版のものであるが(作成年月日:2011月3月)、実質同一のものである。同取扱説明書の全文も乙第21号証として提出する。
ウ 乙第15号証の2は、乙第15号証の1と対になるものであり、被請求人の担当者からの同顧客への販売事実を陳述したものである。
エ 乙第16号証の1は、被請求人の顧客のうちの上記の者とは異なる1社からの陳述書である。(a)1988年11月に本件集中管理装置(MFX-W)を被請求人から購入したこと、また、(b)2008年10月に、当該装置のバージョンアップされた装置(MFX-W Ver.2.5.0)を購入したこと、さらに、(c)2011年7月4日に、当該装置のバージョンアップされたコンピュータソフトウェア(CD-ROM版:MFX-W Ver.6.2.2)を購入したことが陳述されている。また、当該ソフトウェアと共に、同陳述書に添付の取扱説明書の頒布を受けたことも陳述されている。乙第16号証の2は、乙第16号証の1と対になる陳述書であり、被請求人の販売担当者からの同顧客への販売事実を陳述するものである。
オ これらの書証から、乙第4号証提出の取扱説明書と実質同一の取扱説明書(乙21)が、バージョンアップされたコンピュータソフトウェアとともに、本件審判請求の予告登録日(2013年9月10日)の前3年以内に、頒布されていたことが明らかである。
カ なお、付言すれば、同取扱説明書の20、44、221、228、239頁をみると、同コンピュータソフトウェアが起動すれば、本件商標「MFX」がその商標として表示されることも明らかである。
(2)バージョンアップされた「コンピュータソフトウェア」の販売事実について
ア 被請求人は、乙第7号証の1及び2として、見積書及び注文書を提出することにより、被請求人の集中管理装置及びバージョンアップされたコンピュータソフトウェアが販売された事実を立証した。
さらに、これを明確にすべく、同見積書及び注文書に記載の当該被請求人の顧客からの陳述書を提出する(乙17の1)。
同陳述書では、(a)2013年3月22日に、本件集中管理装置のバージョンアップされたコンピュータソフトウェア(CD-ROM化されたもの:MFX-EV Ver.6.5.1)自体をも購入したこと、さらに、(b)同CD-ROMの表面には、本件商標「MFX-EVシリーズ」の商標が添付されていたことが陳述されている。
イ 乙第17号証の2は、乙第17号証の1と対になる陳述書であり、被請求人の販売担当者からの上記コンピュータソフトウェアの販売事実を陳述するものである。
なお、同陳述者は、乙第7号証の1として提出の「御見積書」にも検印を押印する者であり、当該売買における販売責任者のひとりであることが明らかである。
ウ 以上の追加証拠からも、本件集中管理装置用のバージョンアップされたコンピュータソフトウェアもCD-ROM版として販売されたことは明らかであり、かつ、その表面に本件商標が使用されていたことが明らかである。
(3)請求人の口頭審理陳述要領書における陳述(上記第2 3)の(1)アについて
ア 請求人は、再三、本件集中管理装置及びコンピュータソフトウェアについて、「ボイラや水処理装置の周辺装置である」、「ボイラや水処理装置の専用商品である」、「個別に販売される商品であるからといって、必ずしも独立した商品ということにはならない。」と主張するが、かかる主張と、「本件商標の本件取消請求に係る指定商品についての使用」という要件事実とどのように関連するのか全くもって意味不明である。
イ なお、商標法施行規則別表備考(三)によれば、「他の特定の商品の一部となることのみを用途とする商品は、当該他の特定の商品と同一の類に分類する。」との規則が存在する。これは、所謂、「部品」は、その完成品と同一の類に分類するということを定めたものである(乙18)。
ウ ここで、「ボイラ」は、第7類に分類されている商品であるが、その用途は、「蒸気を発生させるため水を加熱する装置」である(乙19)。
本件集中管理装置及びそのコンピュータソフトウェアは、商品カタログ及び取扱説明書(乙4及び乙5等)で説明するとおり、この「ボイラ」を管理するための装置であり、「ボイラ」自体の機能とは明らかに異なり、その用途は相違する。すなわち、本件集中管理装置及びそのコンピュータソフトウェアは、ボイラのいわゆる「部品」に該当するものではないことは明らかである。
エ さらに、「コンピュータソフトウェア」は、それぞれ特定の用途をもって使用されるものであるが、「コンピュータソフトウェア」(記録されたもの、ダウンロードされるもの)はすべて、第9類に属する商品とされており(乙20 ニース協定国際分類類別表(注釈付き)対訳表)、これを受けて、特許庁類似商品・役務審査基準においても、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」の概念の中に含められている。
本件集中管理装置に使用されるコンピュータソフトウェアにおいても、CD-ROMに記録され販売されており(乙7、乙14、乙17)、当該「コンピュータソフトウェア」、「電子応用機械器具及びその部品」の概念に含まれる商品であることは明らかというべきである。
(4)請求人の口頭審理陳述要領書における陳述(上記第2 3)の(1)イについて
ア 乙第5号証の提出の商品カタログでは、「MAIFLEX」の商標が使用されている一方、乙第4号証では、「Miura Intelligence Flexibility System」が使用されている点を指摘する。
しかしながら、本件商標は「MFX」であって、本件商標は、上記各号証両方において使用されていることは明らかである。本件においては、本件商標の使用が問題となるのであって、「MAIFLEX」や、「Miura Intelligence Flexibility System」の使用とは直接何らの関係もない。
本件商標は、これらの商標の略称の商標として、それ自体ひとつの商標として使用するものである。一つの商品に複数の商標(長い商標及びそれを短く略称したいわゆるペットネーム)が使用されることがあることは、経験則上からも明らかである。
イ なお、この点付言すれば、本件集中管理装置は、国内のみならず、外国でも販売されている。
外国では「MAIFLEX」という表記ではやや分かりにくいとも考えられたため、「Miura Intelligence Flexibility System」の商標を使用しているにすぎない。
被請求人として、これら商標は、実質的にみて同一の商標と認識し、使用してきているものである。
(5)請求人の口頭審理陳述要領書における陳述(上記第2 3)の(2)ウについて
乙第7号証の「御見積書」は、被請求人の作成する文書であり、他方、「注文書」は、被請求人の顧客が作成する文書である。よって、その項目の記載等の記載の仕方がそれぞれ異なるのはむしろ一般的というべきである。ここでの請求人の主張は、これら取引書類の実情を全く知らないことによる主張である。
また、請求人は、「売上伝票」が提出されていない点を指摘するが、上記「御見積書」と「注文書」をもって、本件集中管理装置の売買契約が成立していることは明らかである。上記取引は十分に立証されている。

4 まとめ
以上により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人によって、少なくとも請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」並びに「電子計算機用プログラム」に使用されていることは明らかである。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を要証期間内に、商品「電子計算機用プログラム」に使用していると主張しているところ、提出された証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。

1 乙第4号証について
(1)表紙には、「取扱説明書」、「集中管理装置」、「MFX-W、EV Ver6 更新用」、「資料No.C094-011-2205」等の記載があり、表紙裏には、「作成年月:2013年4月」との記載がある。
(2)「本管理装置は、Microsoft(マルアール)社のWindows(マルアール)上で稼働するシステムです。」との記載がある(iv頁)。
(3)「集中管理装置」は、ディスプレイ、キーボード、マウス、IPC(集中管理装置専用装置)などからなる(1頁、6頁)。
(4)裏表紙には、被請求人の名称及び住所のほか、「2013.05」の記載がある。

2 乙第7号証について
(1)被請求人札幌支店の担当者S氏の押印がされた、2013年2月18日付けの「御見積書」であり、「?パソコン更新の御見積?」、「1 更新部品一式/・シーメンス製 産業用コンピューター一式(Windows7)/・セットアップ、インストール」、「2 ソフトウェアバージョンアップ/※MFX-EV Windows7対応」のほか、金額等の記載がある(乙7の1)。
(2)注文主を小樽市の会社とする、被請求人あて2013年3月5日付け「注文書」であり、「1.パソコン更新」、「MFX-EV」、「一式」のほか、「2.シーメンス製産業用コンピュータ(Windows7)」等の記載がある(乙7の2)。

3 乙第14号証について
(1)被請求人知的財産室のE氏とH氏の押印がされた、2014年2月12日付けの「陳述書」であり、「1.弊社の本件集中管理装置「MFX(シリーズ)」の機能等の説明」の項には、「本件集中管理装置(以下、本件商品という場合がある。)は、三浦工業株式会社製のボイラ、水処理または台数制御などの機器を運転管理するための商品であり、以下の機能を有しております。…なお、本件商品がなくても、ボイラや水処理機器等は独立して動きます。」、「・バージョンアップについて。/本件商品は、最新機器に対応するため、定期的な機能追加を行っております。機器を導入していただいたお客様は、本件商品を最新版へバージョンアップ(有償)することによって、常に最新機器を監視、管理することが可能となります。…弊社はバージョンアップ版のCD-ROM(ソフトウェア)をそのお客様に発売し、そのお客様に新たなCD-ROM(ソフトウェア)を購入いただいております。」等の記載がある。
(2)「2.本件集中管理装置の販売形態としては、下記の2つのケースがあります。」として、「(1)CD-ROM(ソフトウェア)のみを販売するケース。」、「(2)パソコンに予め上記(1)のソフトウェアをインストールして、そのパソコンとセットで販売するケース。」との記載があり、CD-ROMの表面に、「集中管理装置」、「Ver.6.4.0」、「日本語」、「MFX-EVシリーズ」等が記載されている。
(3)「3.『シーメンス製 産業用コンピューター一式』について。」として、「上記2.の販売形態(2)の場合は、例えばシーメンス製のパソコンに予めソフトウェアをインストールして、そのパソコンとセットで販売しております。なお、パソコンは、シーメンス製である必要はなく、他のメーカーのパソコンにも対応しております。」、「また、上記2.の販売形態(1)の場合は、CD-ROM(ソフトウェア)のみを販売し、お客様のパソコン…にインストールしていただきます。」との記載がある。

4 乙第17号証について
(1)ワタキューセイモア株式会社の生産部部長のY氏の押印がされた、2014年3月4日付けの「陳述書」であり、「…さらに、当社は、2013年3月22日に、Ver.6.5.1のMFX-EV(CD-ROM化されたソフトウェア)を確かに購入しています。このCD-ROMの中にMFX-EVと表紙に記載された取扱説明書が格納されております。また、上記CD-ROMの表面には、『MFX-EVシリーズ』と大きく記載されており、本陳述書に添付するCD-ROM(表面)の写真と同じCD-ROMであります。」との記載があり、添付の写真にも「集中管理装置」、「Ver.6.5.1」、「日本語」、「MFX-EVシリーズ」等が記載されており、添付の取扱説明書の写しと思しき書面には、「取扱説明書」、「集中管理装置」、「MFX-W、EV Ver6 更新用」、「資料No.C094-011-2204」、「作成年月:2012年11月」、「発行日 2012年11月7日(第5版)」、被請求人の名称及び住所等の記載がある(乙17の1)。
(2)被請求人札幌メンテ課 課長のS氏の押印がされた、2014年3月4日付けの「陳述書」であり、「…当社は、本陳述書に添付しておりますCD-ROMの写真と同じ、集中管理装置(MFX-EV)の専用コンピュータソフトウェアのCD-ROM(MFX-EVシリーズ Ver.6.5.1)を、2013年3月22日に、北海道小樽市に所在するワタキューセイモア株式会社株式会社向けに販売しました。」との記載があり、添付の写真にも、「集中管理装置」、「Ver.6.5.1」、「日本語」、「MFX-EVシリーズ」等が記載されている。

5 乙第21号証について
(1)表紙には、「取扱説明書」、「集中管理装置」、「MFX-W、EV Ver6 更新用」、「資料No.C094-011-2202」等の記載があり、表紙裏には、「作成年月:2011年3月」との記載がある。
(2)「本管理装置は、Microsoft(マルアール)社のWindows(マルアール)上で稼働するシステムです。」との記載がある(iv頁)。
(3)「集中管理装置」は、ディスプレイ、キーボード、マウス、パソコン本体などからなる(6頁)。
(4)裏表紙には、「発行日 2011年3月1日(第3版)」、被請求人の名称及び住所等の記載がある。

6 以上の事実を総合すれば、以下のとおり判断することができる。
(1)使用商標について
使用商標は、「MFX-W」、「MFX-EVシリーズ」及び「MFX-EV」の文字からなるもの(乙4、乙7、乙14、乙17、乙21)であり、それらの構成中後半の「-W」、「-EVシリーズ」及び「-EV」の文字部分は、商品の型番などを示す記号を表したものと認め得るから、それらの要部は「MFX」の文字部分にあるといえ、使用商標は、「MFX」の文字を横書きしてなる本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
(2)使用商品について
被請求人の業務に係る商品「ボイラの集中管理装置」(以下「本件集中管理装置」という。)は、ディスプレイ、キーボード、マウス、パーソナルコンピュータ本体などからなり(乙4、乙21)、Windowsが導入された市販のパーソナルコンピュータにボイラなどの集中管理を行うためのコンピュータソフトウェア(以下「本件コンピュータソフトウェア」という。)をインストールすることで、本件集中管理装置として成立するものである(乙4、乙14、乙17、乙21)。
また、CD-ROMに格納された本件コンピュータソフトウェアのみの購入によっても、当該ソフトウェア購入者は、市販のパーソナルコンピュータを利用して、所有しているボイラの集中管理が実現できるものであり、当該ソフトウェアがバージョンアップされたときも同様である(乙14、乙17)。
そうすると、需要者が被請求人から本件コンピュータソフトウェアを含む本件集中管理装置一式を購入した場合には、取扱説明書(乙4、乙21)、取引書類や陳述書中(乙7、乙14、乙17)に表示された「MFX-W」、「MFX-EVシリーズ」及び「MFX-EV」の文字からなる商標は、本件集中管理装置に使用する商標であるといえるものであり、また、CD-ROMに格納された本件コンピュータソフトウェアのみを購入した場合には、CD-ROM(乙17)に表示された「MFX-EV」の文字からなる商標は、本件コンピュータソフトウェアに使用する商標であるといえるものである。
そして、本件集中管理装置一式を購入する場合であっても、本件コンピュータソフトウェアや取扱説明書のデータが格納されたCD-ROMも引き渡されていることが推認できる(乙7、乙14、乙17)から、取引書類(乙7)やCD-ROMに表示された「MFX-EV」の文字は、本件コンピュータソフトウェアの商標を表示したものともいえる。
また、商品「コンピュータソフトウェア」は、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品であって、かつ、本件審判の取消請求に係る指定商品中の「電子計算機用プログラム」に含まれる商品である。
以上のとおり、使用商標の使用商品は、「コンピュータソフトウェア」である。
(3)使用商標の使用行為及び使用時期について
商品に標章(商標)を付したものを譲渡又は引き渡しする行為(商標法第2条第3項第2号)は、要証期間内の2013年(平成25年)3月22日に行われていることが推認できる(乙7、乙17)。

7 小括
以上を総合すれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に本件審判の取消請求に係る指定商品中の「電子計算機用プログラム」に含まれる「コンピュータソフトウェア」について使用したものというのが相当である。

8 請求人の主張について
請求人は、(a)「被請求人が、要証期間内に使用したと主張する『コンピュータプログラム(CD-ROM版)』は、『コンピュータプログラムによって制御、監視されるボイラ専用の集中管理装置』に使用される『集中管理装置専用のコンピュータプログラム』であるから、第9類の『電子計算機用プログラム』には該当しない。」、(b)「仮に、被請求人が使用の事実を主張する『コンピュータプログラム』が本件取消請求に係る指定商品に含まれるとしても、乙第15号証ないし乙第17号証の陳述書、乙第21号証の取扱説明書によっては、要証期間内の使用が立証されていない。」、(c)「被請求人は、乙第17号証の1で被請求人の顧客が陳述した『コンピュータプログラム(CD-ROM版)』の購入については、乙第7号証の1の見積書及び乙第7号証の2の注文書により立証されていると述べているが、売上伝票や納品書の提出がされていないので、実際に販売したかどうか確認ができない。」などと主張する。
しかしながら、上記1ないし7のとおり、本件コンピュータソフトウェア(請求人のいう「コンピュータプログラム(CD-ROM版)」)は、需要者が被請求人からそれのみを購入する場合もあり、その場合にCD-ROMに表示された商標は、本件コンピュータソフトウェアに使用する商標である。
また、需要者が被請求人から本件集中管理装置一式を購入する場合であっても、本件コンピュータソフトウェアや取扱説明書のデータが格納されたCD-ROMも引き渡されていることが推認できるから、当該CD-ROMに表示された商標は、本件コンピュータソフトウェアに使用する商標であるといえるものである。
そして、取引があったことを証明するためには、必ず売上伝票や納品書が提出されなければならない訳ではなく、提出された証拠及び被請求人の主張を総合すれば、要証期間内の本件商標の使用が認められるのであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。

9 むすび
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が取消請求に係る指定商品中の「電子計算機用プログラム」に含まれる「コンピュータソフトウェア」について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2015-02-16 
結審通知日 2015-02-18 
審決日 2015-04-30 
出願番号 商願平2-128631 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 内山 進 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大森 健司
中束 としえ
登録日 1993-09-30 
登録番号 商標登録第2579058号(T2579058) 
商標の称呼 エムエフエックス 
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所 
代理人 正林 真之 
代理人 東谷 幸浩 
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