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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z30
管理番号 1315722 
審判番号 取消2015-300671 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-09-18 
確定日 2016-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4557080号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4557080号商標(以下「本件商標」という。)は、「Angel・Heart」の欧文字と「エンジェル・ハート」の片仮名を2段に横書きしてなり、平成13年6月28日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、同14年4月5日に設定登録、その後、同24年4月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年10月7日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中の第30類「コーヒー及びココア,茶,食用粉類,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,菓子及びパン,氷」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書及び平成27年12月2日付け上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。なお、以下、枝番号のすべてをいうときは、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 被請求人について
本件商標権者である被請求人は、コミックの発行・出版事業を行っており、具体的には「月刊コミックゼノン」を発行している(乙2の1)。被請求人は、自社管理の漫画作品に関する商標権・著作権等の知的財産権の管理もあわせて行っており(乙2の2)、本件商標は、現在も「月刊コミックゼノン」で連載中の漫画であって、2015年10月からは日本テレビでドラマ放映もされている「エンジェル・ハート(ANGEL HEART)」に関する商標として管理されている(乙3ないし乙6)。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人は、自身が所有する知的財産権に基づくライセンス事業を展開しており(乙2の2)、「エンジェル・ハート(ANGEL HEART)」のドラマ化に伴い、日本テレビに対し商品化権の許諾を与えて商品開発相談が進められた(乙7ないし乙9)。
乙第7号証の2及び乙第9号証より両者間の契約において、被請求人は日本テレビに対し、本件商標を用いた商品化に関する許諾をしている。
乙第8号証は、被請求人の関係会社であって、被請求人がライセンス管理するコンテンツに関し営業業務等を行う株式会社コアミックス(以下「コアミックス」という。)(乙10)と、日本テレビの関係会社であって、日本テレビの番組にかかる商品の企画・製造・販売等を行う株式会社日本テレビサービス(以下「日本テレビサービス」という。)(乙11)間のメールのやりとりのコピーである。両者のやりとりから被請求人は、日本テレビサービスに本件商標を使用した商品の開発・製造・販売を行うことにつき許諾をしている。
上記商品化権の許諾に基づいて、日本テレビサービスは「コーヒー」及び「まんじゅう」について発注・製造を行い、これらの商品(以下「本件商品」という。)は、現に日本テレビにある「日テレ屋」、テレビ局公式ショップ「ツリービレッジ」及び上記ドラマのウェブサイト上で販売されている(乙12及び乙13)。
以上のとおり、日本テレビサービスは、本件商標をその指定商品中、本件商品について使用することにつき、被請求人より許諾を受けた通常使用権者である。
(2)本件商品については、2015年9月16日時点で製造発注が行われており(乙14)、「エンジェル・ハート 香スペシャル(コーヒー)」については750個が発注され、製造された(乙14の1)。
以上より、商標「エンジェル・ハート」(以下「本件使用商標」という。)が本件審判の取消対象商品中「コーヒー」及び「まんじゅう(“菓子及びパン”の範ちゅうに属する商品)」について使用されている。
また、乙第14号証のとおり、本件審判の予告登録日(平成27年10月7日)前に、本件使用商標を自他商品識別標識として使用していたことは明らかである。加えて、乙第12号証のとおり、日本テレビにある「日テレ屋」で「10月8日10時より販売開始」とあることからも2015年10月7日以前に本件使用商標を付した本件商品が製造されたことは明らかである。
本件商標は、欧文字「Angel・Heart」と片仮名「エンジェル・ハート」の2段書きからなるものであるところ、商標法第50条第1項では、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標は、社会通念上同一の商標である旨規定されていえる。本件商標の構成中、片仮名部分は本件使用商標と中黒点も含めて完全同一であり、欧文字の「Angel・Heart」は片仮名の「エンジェル・ハート」に対応する欧文字表示にすぎず、本件使用商標と本件商標は、同一の称呼及び観念を生じさせるものであるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)平成27年11月24日付け答弁書において、「エンジェル・ハート 香スペシャル(コーヒー)」及び「エンジェル・ハート まんじゅう」が発注、製造された旨主張したが、これに関し日本テレビにある「日テレ屋」宛出荷案内書及び納品書のとおり、これらの商品は、本件審判の請求の予告登録日以前に納品されていたこと明らかである(乙15)。
なお、「日テレ屋」とは、日本テレビサービスが運営する日本テレビの番組や日本テレビが出資している映画の商品を販売する店舗の名称であり(乙11の2)、日本テレビサービスは、日本テレビ放送網株式会社の100%子会社であって(乙11の2)、本件商標の通常使用権者として上記商品の企画・発注業務を行った者である。
3 結語
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本において、被請求人の通常使用権者によって、指定商品中、第30類「コーヒー,菓子及びパン」につき使用されているものである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について、被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第7号証の1及び2は、本件商標権者が日本テレビ担当者に送信した2015年6月12日のメール及び該メールに添付して送信された「原作契約書(案)『エンジェルハート』ドラフト文言調整の概要」であるところ、該原作契約書(案)によれば、許諾作品の特定及び表記について、許諾作品は、2001年公表の漫画作品「エンジェル・ハート」の記載がある。
(2)乙第8号証は、本件商標権者の関係会社である「コアミックス」と「日本テレビサービス」の担当者間のメールであるところ、2015年9月4日付けの日本テレビサービス店舗事業部の担当者からコアミックスの担当者Aに宛てた「ドラマ『エンジェル・ハート』商品化につきまして」と題するメールには、「■コーヒー 香の特徴の付け方がまだ決まっていないということですので、決まり次第入れ込みたいと思います。」の記載があり、また、同日付のコアミックスの担当者Aから「シティーハンター30周年グッズの担当になります。」と題するメールには、「シティーハンター&エンジェルハート30周年グッズの担当窓口は下記になります。」の記載があり、さらに、2015年9月14日付けの日本テレビサービスからコアミックスの担当者Aに宛てた「ドラマ『エンジェル・ハート』監修のお願い」と題するメールには、「『エンジェル・ハート』のグッズにつきまして下記ご確認をお願いできますでしょうか。■コーヒーの設定が、『ハチミツを入れた上でミントを浮かべる』ことで確定いたしました。」の記載がある。
(3)乙第9号証は、平成27年11月17日付けの本件商標権者による「宣誓書」であり、本件商標権者が日本テレビ放送網株式会社に対し、本件商標を使用した商品の製造・販売許諾をしたことについて、「商標登録第4557080号は、当社が所有・管理する商標登録であり、当社は、日本テレビ放送網株式会社(住所:東京都港区東新橋一丁目6-1)に漫画『エンジェル・ハート』のドラマ化を許諾し、これに伴い上記商標を使用したドラマ関連商品の製造・販売についても許諾しております。」の記載がある。
(4)乙第11号証の1及び2は、日本テレビサービスのウェブサイトの抜粋であるところ、会社概要の株主の欄には、「日本テレビ放送網株式会社(100%)」の記載があり、また、「事業所」の欄には、「日テレ屋汐留店 東京都港区東新橋1-6-1」の記載があり、「◆商品事業部」の欄には、「商品事業部は主に日本テレビの番組や日本テレビが出資している映画の商品を企画、製造及び、販売をおこなっています。」の記載がある。
(5)乙第13号証の1葉目は、被請求人が日本テレビにあると主張している日テレ屋の外観の写真であり、その2葉目の上部には、包装箱と思しき写真と「コーヒー ¥500+税」と記載されている。そして、5葉目は、本件使用商標「エンジェル・ハート」が表示されたコーヒーの包装箱の写真であり、さらに、6葉目の「商品名」には、「エンジェルハートコーヒー」、「賞味期限:2016.9.30」、「発売元」として「株式会社日本テレビサービス」の記載がある。
(6)乙第14号証の1は、2015年9月16日を発注年月日とする、日本テレビサービス商品事業部の「発注書」であり、「取引内容」の欄に「下記商品の製造委託」、「発注区分」の欄に「新規」、「JANコード」の欄に「4533773374079」、「品名」の欄に「エンジェル・ハート 香スペシャル(コーヒー)」、「納期指定日」の欄に「2015/10/6」、「納品場所」の欄に、「八潮倉庫」、「数量」の欄に「750」の記載がある。
(7)乙第15号証の1は、平成27年10月6日付けの日テレ屋宛の出荷案内書であり、「下記のとおり納品いたしました」の記載があり、「品名」の欄に「エンジェルハート コーヒー」、乙第14号証の1のJANコードと同じ「4533773374079」、「数量」の欄に「100」(50から100に訂正されている。)、「摘要」の欄に「16.9.30」の記載、さらに、下方に「汐留店」の押印がある。
2 以上の事実を総合すれば、以下のとおり判断することができる。
(1)使用者について
上記1(3)によれば、本件商標権者は、日本テレビ放送網株式会社に対して、本件商標を使用したドラマ関連商品の製造・販売について許諾していること、上記1(2)によれば、本件商標権者がライセンス管理するコンテンツに関し営業業務等を行う「コアミックス」の担当者と日本テレビ放送網株式会社の子会社である「日本テレビサービス」の担当者の間で、ドラマ「エンジェル・ハート」の商品化についてやりとりをしていること、上記1(4)によれば、「日本テレビサービス」は、日本テレビ放送網株式会社の子会社であり、商品事業部は主に日本テレビの番組や日本テレビが出資している映画の商品を企画、製造及び、販売をおこなっていること、上記1(5)によれば、「コーヒー」の包装箱には、「発売元」の欄に「株式会社日本テレビサービス」の記載があることが認められるところ、これらを総合勘案すると、本件商標権者は、日本テレビサービスに対して、ドラマ「エンジェル・ハート」の商品化を行うに当たり、本件商標の使用について、黙示の許諾があったものと認められる。
(2)使用時期について
上記1(6)及び(7)によれば、日本テレビサービスの発注により、上記1(5)の「エンジェル・ハート コーヒー」が平成27年10月6日に八潮倉庫に納品され、同日に日テレ屋汐留店に出荷すべく、出荷案内書が出されていることを踏まえると、平成27年9月16日の日本テレビサービスの発注日後、遅くとも10月6日前には、日本テレビサービスの指示の下、本件使用商標を包装に付した商品が製造されていたことが容易に推認することができる。
そうすると、本件使用商標は、遅くとも平成27年10月6日より前に商品「コーヒー」に付されていたとみることができるのであって、その「付する」行為は、発注者である日本テレビサービスが行ったものとみて差し支えないものといえる。
そして、当該、平成27年9月16日ないし10月6日の期間は、要証期間内といえる。
(3)使用商品について
通常使用権者である日本テレビサービスは、商品「コーヒー」の包装用紙に本件使用商標を表示したものであるところ、該商品は、本件審判の請求に係る指定商品中の「コーヒー及びココア」の範ちゅうに含まれるものと認められる。
(4)本件商標と本件使用商標の同一性について
本件商標は、「Angel・Heart」の欧文字と「エンジェル・ハート」の片仮名を2段に横書きしてなるところ、下段の文字は、上段の欧文字の読みを表したものと認められ、構成各文字からは、「エンジェルハート」の称呼を生ずるものであり、また、一連の観念が生じないとしても、その欧文字部分は、「Angel」及び「Heart」の各文字を結合させたものであることは容易に認識し得るものである。
他方、本件使用商標は、上記1(5)のとおり、「エンジェル・ハート」の文字を書してなるものである。
そうすると、本件使用商標は、本件商標の「エンジェル・ハート」の片仮名とつづりが同一であり、「エンジェル」が「Angel」、「ハート」が「Heart」を片仮名で表したものとして親しまれていることを踏まえると、本件商標の構成中「Angel・Heart」の欧文字の読みを片仮名で表したものと理解されるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
以上のとおり、本件商標の通常使用権者は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品中「コーヒー及びココア」の範ちゅうに含まれる商品「コーヒー」について、その包装に本件商標を付した(商標法第2条第3項第1号)といえる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「コーヒー」について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-03-15 
結審通知日 2016-03-18 
審決日 2016-03-29 
出願番号 商願2001-59134(T2001-59134) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z30)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2002-04-05 
登録番号 商標登録第4557080号(T4557080) 
商標の称呼 エンジェルハート、エンゼルハート 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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