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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1314554 
異議申立番号 異議2015-900336 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-23 
確定日 2016-04-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5780903号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5780903号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5780903号商標(以下「本件商標」という。)は、「TRADINGDESK」の欧文字と「トレーディングデスク」の片仮名を2段に横書きしてなり、平成27年2月20日に登録出願、第35類「インターネットによる広告,インターネットにおけるウェブサイト上の広告枠の競売の運営」を指定役務として、同年6月2日に登録査定、同年7月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5819843号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、図形と「theTradeDesk」の欧文字からなり、平成26年9月10日に登録出願、「広告業,他人のためのオンライン広告,他人のためのオンライン上の広告スペースの貸与,ビジネスマーケティング・販売促進及び広告に関する助言,広告に関する調査,広告・宣伝の企画,電子通信ネットワークを通しての第三者のためのオンラインの送信による広告,電子メディア及びインターネットによる広告,インターネットを通じた他人のための広告の配布,広告の仲介,広告の対象となる消費者層の決定に関する助言」を含む第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同28年1月15日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定役務中、第35類「インターネットによる広告」について、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号に基づいて取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)具体的理由
本件商標登録が商標法第8条第1項に違反するといえるためには、ア)本件商標が引用商標の後願であること、イ)指定役務が互いに類似すること、ウ)本件商標と引用商標が互いに類似すること、の3つの要件を満たす必要がある。上記要件を満たしていることを以下に説明する。
ア 出願時期
本件商標及び引用商標の出願日は上記1及び2のとおりであり、本件商標が後願であることは明らかである。
イ 指定役務の類否
本件商標の指定役務中「インターネットによる広告」は、「広告業」の範ちゅうに属する。
一方、引用商標では、第35類において「広告業」が指定されている。その他の指定役務「他人のためのオンライン広告,ビジネスマーケティング・販売促進及び広告に関する助言」などもまた、「広告業」の範ちゅうに属する。
このように、本件商標と引用商標とはいずれも「広告業」(類似群コード:35A01)の範ちゅうに属する役務を指定しており、これらは互いに類似する。
ウ 本件商標と引用商標の類否
引用商標は、図形部分と「theTradeDesk」の文字部分で構成される。そして、後述のとおり、「theTradeDesk」の文字部分からは「貿易用の机」又は「貿易の受付」といった意味合いが生じる。かかる意味合いは引用商標の指定役務の質等を具体的かつ記述的に表示するものではないから、当該文字部分は、識別力を有し、引用商標の要部として認識され得る。よって、当該文字部分が本件商標と類似する場合は、引用商標と本件商標も類似すると判断するのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標の文字部分である「theTradeDesk」の類否について、以下のとおり検討する。
(ア)本件商標は、上段に「TRADINGDESK」の欧文字を、下段に「トレーディングデスク」の片仮名を配置してなる2段書きの商標である。
ここで、「TRADINGDESK」を構成する「TRADING」の語が「貿易」を意味する英単語であって「トレーディング」と称呼されること、及び「DESK」の語が「机」や「受付」を意味する英単語であって「デスク」と称呼されることは、日本人に広く知られている事実である。よって、本件商標に接した需要者は、上段の「TRADINGDESK」の文字部分から「貿易用の机」や「貿易の受付」といった意味合いを容易に想起し、下段の「トレーディングデスク」の文字部分は上段の欧文字の読み仮名として認識する。
一方、引用商標の文字部分である「theTradeDesk」を構成する「the」、「Trade」及び「Desk」は、それぞれ、英語の定冠詞、「商業、貿易(名詞)」、貿易する(動詞)」及び「机」を意味する英単語として日本人に広く知られている。よって、引用商標に接した需要者は、その文字部分より、「貿易用の机」や「貿易の受付」といった意味合いを容易に想起できる。
このように、本件商標と引用商標とは、ともに「貿易用の机」や「貿易の受付」といった意味合いを有し、観念上同一の商標である。
(イ)本件商標は、その構成文字に即して「トレーディングデスク」と称呼される。
一方、引用商標は、その文字部分より「ザトレードデスク」の称呼が生じる。また、「the」が定冠詞であって識別力を有しないこと及び簡易迅速を旨とする商取引の実情に鑑みると、残りの「TradeDesk」の文字部分のみが商標の要部と認識されて、「トレードデスク」と略称されることも十分想定される。
そこで、まず、本件商標から生じる称呼「トレーディングデスク」と引用商標から生じる称呼「ザトレードデスク」を比較すると、語頭において「ザ」の音の有無を有し、中間において「ド」と「ディング」の相違を有する。
しかし、語頭の「ザ」の音は定冠詞であって、比較的弱く称呼されるのが通常である。また、両称呼はやや冗長であるため、語頭音や語尾音に比べて中間音の相違が称呼全体に及ぼす影響は比較的小さいと考えられる。さらに、本件商標に含まれる「TRADING」の語が引用商標の文字部分に含まれる「Trade」の語の進行形にすぎないことや、両商標全体が観念上同一であることを考慮すると、「トレーディング」と「トレード」の相違をもって両商標を聴別することには困難が伴うといわざるを得ない。よって、両称呼は、類似するといえる。
また、本件商標から生じる称呼「トレーディングデスク」と引用商標から生じる称呼「トレードデスク」を比較すると、両称呼は、中間において「ド」と「ディング」の相違を有するのみであり、上述のとおり、かかる差異が称呼全体に及ぼす影響は小さいと考えられる。よって、両称呼も類似するといえる。
以上より、本件商標と引用商標とは、称呼上、相紛らわしいほど類似する。
(ウ)引用商標の図形部分と文字部分とは、分離不可能なほど渾然一体となっておらず、かつ、当該図形部分と文字部分は、それぞれ別個に識別力を有しているため、引用商標全体から文字部分のみを分離して把握されるおそれも十分ある。
そこで、引用商標の文字部分「theTradeDesk」と、本件商標の文字部分「TRADINGDESK」とを比較すると、両文字部分は、前半に「Trade」と「TRADING」の語を有し、後半に「Desk(DESK)」の語を配置しており、外観上の構成はほぼ同じであるといえる。上述のとおり、両文字部分が「貿易用の机」や「貿易の受付」といった同一の観念を有することも考慮すると、両文字部分は、外観において相紛らわしいため、本件商標と引用商標は、外観上類似すると考えるのが相当である。
(エ)以上より、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する商標である。
仮に、両商標が外観上区別し得ると判断された場合であっても、両商標が観念上同一であり、かつ、称呼上の類似の程度が高いことも考慮して全体的に判断すれば、両商標が類似することは明らかである。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件商標よりも先に出願された引用商標に類似し、その指定役務中「インターネットによる広告」が引用商標の指定役務に抵触するにもかかわらず、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第8条第1項該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「TRADINGDESK」の欧文字と「トレーディングデスク」の片仮名を2段に横書きしてなるところ、該構成文字に相応して、「トレーディングデスク」の称呼を生じるものであって、構成文字全体として特定の意味合いを有しない一種の造語として把握されるものである。
なお、申立人は、本件商標は「TRADINGDESK」の文字部分から「貿易用の机」、「貿易の受付」といった意味合いを容易に想起する旨主張しているが、本件商標の構成中「TRADING」及び「DESK」の語が「貿易」及び「机」などの意味を有する語として知られているものの、両語の意味に特段の関連性があるものとはいえず、また、申立人が主張する「貿易用の机」「貿易の受付」の語がどのような机又は受付であるのか想起できないことから、該文字部分は、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、図形と「theTradeDesk」の欧文字からなり、その構成文字は同書、同大、同間隔でまとまりよく一体に表され、これから生じる「ザトレードデスク」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標は、その構成態様から図形部分と「theTradeDesk」の文字部分が、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであって、構成文字全体として特定の意味合いを有しない一種の造語として把握されるものである。
なお、申立人は、引用商標は「theTradeDesk」の文字部分から「貿易用の机」「貿易の受付」といった意味合いを容易に想起する旨主張しているが、上記アと同様の理由により、該文字部分は、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、その全体の外観においては、図形の有無、構成文字及び態様の相違により相紛れるおそれのないことが明らかである。
また、本件商標と引用商標の構成中の「theTradeDesk」とを比較しても、語頭に「the」の有無という明らかな差異を有し、さらに中間部に「ING」と「e」の差異を有するから、十分区別することができる。
次に、本件商標より生じる「トレーディングデスク」の称呼と引用商標より生じる「ザトレードデスク」の称呼とは、語尾部の「デスク」の称呼を共通にするものの、語頭を含む前半部において「トレーディング」と「ザトレード」という明らかな差異を有するから、その構成音数、構成音の差異により、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標より生じる「トレーディングデスク」の称呼と引用商標より生じる「トレードデスク」の称呼とは、その中間において、「ディング」の音と「ド」の音の差異があり、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、十分に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、両商標を比較することはできないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである
したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標ということはできないから、商標法第8条第1項に違反して登録されたものといえない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標


異議決定日 2016-04-08 
出願番号 商願2015-15339(T2015-15339) 
審決分類 T 1 652・ 4- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2015-07-24 
登録番号 商標登録第5780903号(T5780903) 
権利者 株式会社エスワンオーインタラクティブ
商標の称呼 トレーディングデスク 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
代理人 須山 佐一 
代理人 南 敦 

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