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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1314551 
異議申立番号 異議2015-900300 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-24 
確定日 2016-04-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5772841号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5772841号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5772841号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年2月24日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同年6月1日に登録査定、同年6月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する商標は次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1086165号商標(以下「引用商標1」という。)は、MOMO」の欧文字及び「モモ」の片仮名を2段に書してなり、昭和46年10月11日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同49年9月5日に設定登録、その後、平成16年12月15日に、指定商品を第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1980598号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和60年8月3日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年8月19日に設定登録、その後、平成20年2月27日に、指定商品を第12類「自動車及び競争自動車並びにこれらの部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がされたものである

3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人が使用する商標の周知性
(ア)申立人は、1960年代から商標「momo」の使用を開始し、現在に至るまで継続的に使用している。また、申立人は、1964年の創業時に販売を開始したレース専用のステアリングホイールを始めとして、商品を増やしながらブランドを育ててきた。
そして、申立人は、現在ではレース用のみならず、一般用の製品も供給しており、この製品に商標「momo」を付して日本をはじめとする世界中に供給している。
また、申立人の業務に係る製品は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品である(甲2)。
(イ)申立人は、日本で開催されている大規模な展示会にも出展して、ブランドカの向上に努めている。
申立人の所在地はイタリアであるため、日本国内における宣伝販売等は、例えばモモジャパンリミテッド、株式会社レアーズ、株式会社オートウェイを介して行っている(甲2?甲5)。
商品を「ステアリング」として検索すると販売量が多いため商標「momo」を付した複数の商品が表示される。需要者間では「モモステアリング」又は「モモステ」と呼ばれて広く知られている。「momo」の製品のデザイン性や機能性が需要者間によく知られているため、同業他社製品で「MOMOタイプ」なる表示が付されているものもあり、これは「MOMOタイプ」と表記することで、商品「ステアリング」のデザインや機能を需要者に端的に伝達できるほど、商標「momo」が著名性を有していることに他ならない(甲6)。
また、商品「ステアリング」に限らず、商品「シフトノブ」や「ホーンボタン」においても、商標「momo」は需要者に広く知られている(甲7、甲8)。
そして、商品「ステアリング」の買い取りを行う株式会社アップガレージのウェブページでは、ステアリングのブランド名が2つ例示されていて、その内の一つが「MOMO(モモ)」であることから、申立人の商標「momo」の周知性は明らかである(甲9)。
申立人の日本における売上高は年々増加しているところ、2010年は41,200ユーロ(約562万円)であった売上高が、日本国内における宣伝活動等の効果により2014年には2,442,887ユーロ(約3.3億円)まで増大した(甲10)。
(ウ)以上から明らかなように、商標「momo」は申立人の製造販売に係る「自動車並びにその部品及び附属品」の商標として、本件商標の登録出願日以前から需要者の間で広く知られており、結果として多額の売上高を実現している周知著名商標である。
イ 本件商標と証拠に示される「momo」との対比
本件商標は、「moma」の英小文字を図案化してなるものであるところ、図案化された「a」の外観は英小文字「o」に極めて近い外観であるため、「momo」と読まれる可能性があるから、本件商標は「モマ」又は「モモ」の称呼を生じる。
他方、証拠(甲2?甲10)に示される商標は、「momo」の英文字からなり(以下、それらをまとめて「申立人商標」という。)、これより「モモ」の称呼を生じる。
してみれば、本件商標と申立人商標は、ともに「モモ」の称呼を生じるので、その称呼において同一の商標である。
仮に、本件商標から「モマ」の称呼を生じるとしても、申立人商標の称呼である「モモ」とは、ともに同数音の称呼からなり、その第一音「モ」を共通にし、第二音が相違しており、相違している第二音の子音は、ともに50音図の同行に属し、その母音は「ア」と「オ」で類似するから、称呼において類似する。
また、本件商標において英小文字「a」は、英文字「o」に極めて近い外観となるように図案化されているから、本件商標と申立人商標は、その外観において類似の商標である。
そして、本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品は、同一又は類似のものである。
ウ 小活
以上のとおり、申立人商標と同一又は類似の本件商標をその指定商品に使用する場合には、需要者が商品の出所について誤認混同し、正常な商取引を混乱させるおそれがある。また、申立人が数十年にわたり使用している申立人商標には、業務上の信用が化体していて、この信用は商標法の法目的から保護されるべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1との対比
本件商標は、「モマ」又は「モモ」の称呼を生じ、他方、引用商標1は、「モモ」の称呼を生じる。
してみれば、本件商標と引用商標1は、共に「モモ」の称呼を生じるので、その称呼において同一の商標である。
仮に、本件商標から「モマ」の称呼を生じるとしても、引用商標1の称呼である「モモ」と類似する。
また、本件商標において英小文字「a」は、英文字「o」に極めて近い外観となるように図案化されているから、本件商標と引用商標1は、その外観において類似の商標である。
そして、両商標の指定商品は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ 本件商標と引用商標2との対比
引用商標2は、別掲2のとおり、「momo」の英小文字を横書きにし、これを中心に上下に配置した右向き矢印の図形を表してなり、これより「モモ」の称呼を生じる。
してみれば、本件商標と引用商標2は、上記アと同様にその称呼において同一又は類似の商標である。
そして、両商標の指定商品は、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
上記のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
(1)申立人の使用する商標及び引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、イタリア国ミラノ所在の法人であり、1964年に設立されて以降、現在まで「ステアリングホイール」、「シフトノブ」、「ホーンボタン」、「ロードホイール」などの自動車関連商品(以下「申立人商品」という。)の製造・販売を行っている(甲2?甲8)。
我が国において申立人商品は、2014年以降、モモジャパンリミテッド、株式会社レアーズ、株式会社オートウェイが取り扱っている(甲2?甲5)ほか、インターネットを通じた販売もなされている(甲6?甲8)。
(イ)申立人商品には、「momo」の文字や引用商標2と同一の標章が付されており、また、それら商品の広告には「momo」、「MOMO」、「MOMO(モモ)」の文字が用いられている(甲2?甲8)。
(ウ)株式会社オートウェイは、2015年(平成27年)1月9日ないし11日に開催され、30万人以上が来場した「TOKYO AUTO SALON 2015」の展示ブースにおいて、「momo」の標章とともに申立人商品を展示したと推認できる(甲3、甲4)。
(エ)「ステアリング」の買い取りを行うウェブページに、高額査定実績として、「MOMOレース」、「MOMO ドリフティングオレンジ」、「MOMO ジェットカーボン」が掲載されている(甲9)。
(オ)しかしながら、引用商標1(外観上同一視できる商標を含む。)の使用は確認できない。
イ 上記アの事実からすれば、申立人は、我が国において、「ステアリングホイール」などの自動車関連商品について、遅くとも2014年以降「momo」、「MOMO」、「MOMO(モモ)」の各文字からなる商標(以下「使用商標」という。)や引用商標2(外観上同一視できる商標を含む。)を使用していることが認められる。
しかしながら、申立人商品の売上高(甲10)は、これを裏付ける証左が提出されておらず、その他、2013年以前の使用事実を裏付ける証左を見いだすことはできないから、使用商標及び引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標1は、使用の事実も確認できないから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることは到底できない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 使用商標の周知性
上記(1)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と使用商標の類否
(ア)本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、その構成文字が重なり合うなど相当程度デザイン化されているものであるが、容易に「moma」の文字からなるものと認識できるものであり、該文字に相応し「モマ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
なお、申立人は、本件商標はその構成中「a」の文字が「o」の文字に極めて近い外観であるから「モモ」と読まれる可能性がある旨主張しているが、近時、文字の一部を省略、簡略化するなど商標の構成文字のデザイン化が一般に行われていることからすれば、該文字は看者をして容易に「a」の文字であると認識させるものと判断するのが相当である。さらに、本件商標の構成中には「o」の文字も含まれているから、両文字の差異は、より明瞭なものとなるといえる。
したがって、申立人のかかる主張は理由がない。
(イ)使用商標は、「momo」、「MOMO」、「MOMO(モモ)」の文字からなり、いずれも各文字に相応し「モモ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
(ウ)そこで、本件商標と使用商標の類否を検討すると、両者は、外観において、本件商標の構成文字が相当程度デザイン化されており、使用商標と明らかに区別できる差異を有するから、相紛れるおそれがない。
次に、本件商標から生じる「モマ」と使用商標から生じる「モモ」の称呼を比較すると、両者は第2音において「マ」と「モ」の差異を有するものである。
そして、該差異音は同行音であるものの、共に2音という極めて短い音構成からなる称呼においては、その差異が称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は、ともに特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうとすれば、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
その他、本件商標と使用商標が類似するというべき事情も見いだせない。
ウ 小括
以上のとおり、使用商標は、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標と使用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記(2)イ(ア)のとおり、相当程度デザイン化された「moma」の文字からなり、これより「モマ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「MOMO」の欧文字と「モモ」の片仮名からなるところ、これより「モモ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
引用商標2は、別掲2のとおりの構成からなるところ、その構成中「momo」の文字に相応し「モモ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
そこで、本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の上記のとおりの外観、称呼及び観念は、上記(2)イと同様の理由により、いずれの点においても相紛れるおそれのない、非類似の商標といわなければならない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標2)




異議決定日 2016-04-12 
出願番号 商願2015-16369(T2015-16369) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W12)
T 1 651・ 262- Y (W12)
T 1 651・ 263- Y (W12)
T 1 651・ 261- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 平澤 芳行
中束 としえ
登録日 2015-06-19 
登録番号 商標登録第5772841号(T5772841) 
権利者 三菱レイヨン株式会社
商標の称呼 モマ 
代理人 清流国際特許業務法人 

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